業務上横領罪で逮捕されるケースとは?事件後にやるべきことや示談について
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記事目次
あなたやあなたの周りの人が業務上横領罪に問われた場合、どのような対処をするべきなのでしょうか。
今回の記事では業務上横領罪の事例を紹介しながら、対処法や量刑、逮捕される場合と逮捕されない場合の違いについて解説しています。
業務上横領罪とは?
業務上横領罪は10年以下の懲役刑
業務上横領罪とは、業務の一環として他人のものを預かっている人が、その金品や財産を着服したときに問われる罪です。
業務上横領罪の刑罰には罰金刑がなく、刑罰は10年以下の懲役刑と刑法253条で定められています。
罰金刑がないということはつまり、有罪判決を受けた場合には、執行猶予がつかない限り、直ちに刑務所へ収監されるということを意味します。
被害額と弁償の可否などが刑罰の重さに関わる
横領罪には、業務上横領罪のほかに単純横領罪と遺失物等横領罪がありますが、その中で業務上横領罪が最も重い刑を課せられます。
これは、業務として委託された信頼関係を裏切ることになるため、悪質性が高く罪が重いと判断されるためです。
業務上横領罪の刑罰の重さは主に被害額の大きさや、弁償可能かどうかにより判断されます。
被害額が高額で弁償が難しい場合は、執行猶予のつかない実刑判決となるケースが多いです。
業務上横領罪の事例
ここからは、実際に起こった業務上横領事件の事例を取り上げます。動機や被疑者の社会的地位によっても刑罰は変動しますが、被害金額と刑罰の重さについて参考にしてみてください。
計3回にわたり約120万円を横領した事例
三浦市の「三浦国際市民マラソン」の運営資金計約120万円を私的に着服した元事務局長が逮捕された事件。
元事務局長は2016年8から12月の間に、計3回にわたって横領を行っていました。横浜地裁による判決は、懲役3年執行猶予5年でした。
引用:「三浦マラソン事業費横領 元事務局長に有罪判決 横浜地裁」『カナロコ』(2019年12月)
3年9カ月で約1億円を横領した事例
兵庫県三木市の土木建築会社「神和商事」などから約1億円の資金を着服した女が逮捕された事件。
女は元経理担当役員で、3年9カ月にわたって横領に及んでいました。刑罰は懲役4年6月の実刑判決(執行猶予は付かず)が下されました。
引用:「1億円着服の元会社役員に懲役4年6月 神戸地裁」『産経新聞』(2019年4月)
15年で約28億円を横領した事例
大手製紙会社の子会社で起きた横領事件。当時、総務部長だった男が2000年〜2015年の約15年間で、約24億7600万円もの会社の金を横領していたことが発覚し、大きなニュースとなりました。
この男には、被害額が非常に高額だったこともあり、懲役7年の実刑判決(執行猶予は付かず)が下されました。
引用:「24億円を手にした60歳男は愛人やマンションにすべてをつぎ込んだ…横領サラリーマンがかなえた男の欲望とは…」『産経ニュース』(2016年6月)
業務上横領で逮捕される場合
業務上横領が発覚した場合、逮捕されるケースと逮捕されないケースがあります。ではどのような場合に、業務上横領罪で逮捕されてしまうのでしょうか。
被害申告がなされたとき
業務上横領では、被害に遭った会社が捜査機関に正式に被害申告を行わない限り、被疑者が逮捕されるということはありません。
被害申告とは、一般的に「被害届」もしくは「告訴状」を警察等に提出することでなされます。
被害届
被害届とは、犯罪が発生し被害を受けた事実を記載した書面です。
被害届は交番や警察署に提出されます。
被害届が出されると、警察や検察など捜査機関によって捜査が開始され逮捕に至るという場合もありますが、被害金額が少なく、加害者の身元は明らかな場合は在宅事件として扱われ、逮捕されないということもあります。
告訴状
告訴状は、被害を受けた事実を申告し、加害者への処罰を求めるための書類です。
告訴状は司法警察員もしくは検察官に提出する必要があるため、警察署か検察庁に持っていくか郵送して出されます。
告訴状が受理されると捜査機関は必ず捜査をしなければならないため、被害届よりも会社側の処罰意識が高いと捉えられます。
被害申告がなされても必ずしも逮捕されるわけではない
被害届や告訴状が提出されても、必ずしも逮捕されるとは限りません。
例えば、被害申告がなされた後に示談が成立し、被害申告が取り下げられた場合は逮捕されません。
示談は、会社への謝罪と、横領金額の返済を約束することで成立するケースがほとんどです。
他にも、被害金額が少額で被疑者の身元が明らかな場合も逮捕されない場合が多いです。
しかしこれはあくまで、被疑者が逃亡する可能性が低く、証拠隠蔽をする可能性も低いと判断された場合に限ります。
業務上横領で逮捕を回避するためには
すみやかに示談を成立させる
弁護士を立てて示談交渉を行う
業務上横領が発覚した場合は、すみやかに会社側と示談交渉を行いましょう。示談交渉を行う際は、弁護士に依頼することをおすすめします。
被疑者本人が直接会社側と示談を行うことも可能ですが、会社側の怒りを増幅させてしまうおそれや、示談交渉が決裂してしまう可能性も大いに考えられるため、専門の知識を持った弁護士に任せると良いでしょう。
横領金額の返済について話し合う
示談交渉では、横領した金額をすべて返済できるのかどうかが重要なポイントとなってきます。
横領した金額を一括で返済できるのであれば、示談が成立し、逮捕を回避できる場合がほとんどです。
しかし、横領した金額を用意することができない場合は示談交渉が難航します。
一括で返済できない場合は、被害を受けた会社が納得するような現実的な返済計画を提示することができれば、示談成立し逮捕を回避することができる場合もあるため、弁護士と話し合いながら返済計画を立てましょう。
示談不成立の場合
示談が成立しなかったからといって、必ずしも逮捕されるとは限りません。
示談不成立の場合、会社側がとる対応は以下が考えられます。
刑事責任の追及
まず考えられるのは、被疑者の刑事責任を追及するという対応です。捜査機関に被害申告を行い、被疑者に処罰を求めることを優先する方法です。
このような場合、被害側が被害申告をしてから捜査開始までに約半年程度のタイムラグが生じる場合が多いです。
この間に、横領した金額の返済目途が立てば、もう一度示談交渉を行い、被害申告を取り下げてもらえるということも考えられます。
民事責任の追及
会社側が被疑者の民事責任を追及するという対応をとる場合は、会社側は、被疑者に処罰を与えるというよりも、損害の回復を望んでいるのだと考えられます。
刑事責任を追及し、被疑者が実刑判決になってしまうと、会社としても被害の回復をはかることが困難になるため、民事責任を追及し横領金額を取り戻そうとするケースが多く見られます。
この場合は、横領した金額を一括で返済することができなくても、長期の分割返済を認めてもらう余地があるため、再度示談交渉を行う、もしくは裁判で和解に持ち込むという方法が考えられます。
まとめ
業務上横領事件の事例や、横領が発覚した場合の対応について解説してきました。
横領が発覚しても、弁護士を立てて示談交渉を行うことで、逮捕されないケースもあります。
業務上横領の罪に問われてしまった場合は、一刻も早く弁護士に相談することをおすすめします。
そうすることで、不起訴を獲得することができたり、前科がつかなくなったりします。まずはお気軽に弁護士にご相談ください。
「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
- 得意分野
- ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
- プロフィール
- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設