非親告罪とは?親告罪との違いや告訴との関係性について
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記事目次
「非親告罪?親告罪?」
刑事事件の加害者になってしまった方にとっては、非常に気にかかる問題です。
非親告罪であれば、被害者との示談を成立させることで起訴を回避できる可能性が高まります。
そこで、本記事では非親告罪と親告罪の違いや、非親告罪に該当する罪、非親告罪の示談について解説します。
ご自身の問われている罪が、親告罪か非親告罪なのかを知りたい方はぜひ最後まで読み進めて下さい。
非親告罪とは?親告罪との違い
まずは、非親告罪の概要と親告罪との違いを解説します。
非親告罪は告訴がなくても起訴される
非親告罪とは、被害者等からの告訴がなくても起訴できる罪のことを指します。
告訴とは、警察等の捜査機関に、被害者その他一定の関係者が犯罪事実を申告し加害者を罰して欲しいという意思表示を行うことです。
非親告罪は、告訴がなくても捜査機関が捜査を行い、検察官が起訴をすることができます。
例えば、事件の目撃者や被害者の友人知人による警察への通報だけで、警察は捜査を行い、検察官が起訴をすることができるということです。
親告罪と非親告罪の違い
親告罪と非親告罪の違いは、「被害者等の告訴がなくても起訴できるかどうか」です。
親告罪は、被害者等の告訴がなければ、検察官は起訴することができません。
つまり、告訴がなければ刑事裁判が開かれないということです。
一方で、非親告罪は、被害者が告訴しなくても刑事裁判が開かれる可能性があります。
また、親告罪に該当する犯罪では、被害者からの告訴がなければ逮捕や検察への送致といった手続が行われないこともあります。
一方で、非親告罪は、被害者からの告訴や被害の申出がなくても、必要があると判断されれば逮捕や検察への送致等の手続が進められます。
非親告罪化した罪について
2017年の刑法改正や、TPP協定の締結によって、親告罪だった犯罪が非親告罪化しました。
非親告罪化した代表的な罪について説明します。
著作権侵害罪の一部の非親告罪化
文章や音楽、漫画等のありとあらゆる著作物を、著作権者の同意なく、無断使用したり、複写したりする行為は、著作権侵害罪に該当するおそれがあります。
これまで、著作権侵害罪は、親告罪であり、著作権者が告訴しなければ、起訴されることはありませんでした。
しかし、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(TPP11協定)の発効に伴い、著作権法が改正されることになり、2018年12月30日より、著作権侵害に関する罪の一部が非親告罪化しました。
親告罪として規定されている行為でも、当該著作権侵害行為が非親告罪となる場合もあります。
次の要件に該当する場合がその例になります。
①対価を得る目的または有償著作権等の提供等により著作権者の得ることが見込まれる利益を害する目的でかつ②有償著作物等を、原作のまま複製された複製物を公衆に譲渡、または原作のまま公衆送信を行うことまたは③有償著作物等を、原作のまま複製された複製物を公衆に譲渡、または原作のまま公衆送信を行うために、当該有償著作物等を複製することによって④第119条1項の罪を犯すこと(著作権、出版権又は著作隣接権を侵害したこと)
原則として第119条の罪は親告罪とされていますが、別の項で一定の要件のもと非親告罪となる場合があることになりますので注意が必要です。
強制性交等罪(旧強姦罪)、強制わいせつ罪の非親告罪化
2017年7月13日に刑法が改正されたことにより、強制性交等の罪(旧強姦罪)と強制わいせつ罪が、非親告罪化しました。
これまで、強制性交等罪、強制わいせつ罪等の性犯罪は、被害者のプライバシーを守り、被害者の意思を尊重するなどの理由から親告罪とされていました。
しかし、被害者に告訴をするかどうかを選択させることが被害者の精神的負担になっているとして、非親告罪となったのです。
そのため、改正後の刑法施行日以降は、被害者が告訴をしなくても捜査対象になる可能性があります。
非親告罪に該当する罪一覧
次に非親告罪について解説します。
親告罪に該当するもの以外は全て非親告罪となります。
非親告罪として代表的なものを紹介します。
親告罪の一覧についてはこちらの記事をご確認ください。
いかなる場合も非親告罪となるもの
- 殺人罪
- 強盗罪
- 強盗致傷罪
- 強制性交等罪
- 準強制性交等罪
- 強制わいせつ罪
- 準強制わいせつ罪
- 傷害罪
- 傷害致死罪
- 過失致死罪
- 公務執行妨害
- 道路交通法違反
- 住居侵入罪
- 不退去罪
- 建造物侵入罪
- 公然わいせつ罪
- 保護責任者遺棄罪
- 都道府県の迷惑防止条例違反(痴漢や盗撮等)
- 覚せい剤取締法違反
- 大麻取締法違反
- 税法違反
- 出入国管理法違反
- 児童ポルノ禁止法違反
親族による犯行の場合のみ親告罪(他人による犯行は非親告罪)
以下の罪は、相対的親告罪といって一定の親族が加害者である場合のみ、親告罪となる罪です。
親族ではない者が加害者であった場合は、非親告罪ですので、親告罪の対象となる親族と共犯関係にある場合であっても、被害者の告訴がなくても起訴をすることができます。
なお、親族の中でも、特に配偶者、直系血族または同居の親族が下記の罪を犯した場合には、刑を免除することとなっています。
- 詐欺罪
- 準詐欺罪
- 横領罪
- 業務上横領罪
- 遺失物横領罪
- 窃盗罪
- 恐喝罪
- 背任罪
- 不動産侵奪罪
非親告罪の場合は示談をする必要があるのか?
非親告罪は、被害者の告訴がなくても起訴される可能性がある犯罪です。
すると疑問に思うのが、「示談をすることに意味があるのか」という点です。
非親告罪と示談の関係、示談の必要性について解説します。
告訴を取り下げても不起訴になるとは限らない
非親告罪は、被害者の告訴が起訴の条件ではありません。
したがって、示談を成立させて被害者が告訴を取り消したとしても起訴される可能性はあります。
例えば、詐欺罪においては、特殊詐欺を主導的に指示する立場であれば、被害者が告訴を取り消したとしても起訴される可能性が高いです。
傷害罪においては、犯行に凶器を用いている、暴行を加えている時間が長い等、犯行が悪質であると判断されると、告訴が取り消されていても、起訴されるおそれがあります。
非親告罪でも示談をする必要はある
以上で説明したように、非親告罪の中には示談を成立させて被害者が告訴を取り消したとしても、起訴される可能性が高い犯罪もあります。
しかし、被害者が存在する犯罪の多くは、示談の成立、被害者の処罰感情が、起訴、不起訴の判断に大きな影響を与えます。
特に、親告罪から非親告罪にかわった、強制性交等罪や強制わいせつ罪等の性犯罪においては、被害者の意思が尊重される傾向が強いため、示談は非常に有効です。
また、窃盗や傷害、暴行、横領、過失傷害等も、示談を締結させて被害者が告訴を取り下げることで不起訴になる可能性は大いにあります。
さらに、特に他人の財産権を侵害する財産犯(窃盗罪や詐欺罪など)は、起訴された後の量刑判断において、被害弁償がされていることが有利な情状として働くことがあります。
したがって、被害者が存在する犯罪においては、親告罪か非親告罪を問わず、示談をすることは有用です。
非親告罪に問われてしまった人は弁護士へ相談
不起訴処分を獲得するために、被害者と示談を成立させたい場合は、弁護士にご相談ください。
多くのケースで、加害者は被害者の連絡先を知ることすらできず、示談交渉に着手できないからです。
また、犯罪被害者は、加害者への処罰感情が強く、冷静に示談交渉に臨むことが難しいです。
しかし、弁護士が示談交渉を申し入れた場合は、多くの被害者が冷静に示談交渉のテーブルにつくことがあります。
弁護士は、示談交渉に必須の交渉力、専門知識、ノウハウ、経験を有しておりますので、適切な条件での示談交渉が可能です。
また、弁護士であれば、不起訴処分獲得のために残された時間を正確に把握した上で、迅速に示談交渉に着手できます。
被害者との示談交渉を依頼する弁護士を選ぶ際のポイントは、「刑事事件での豊富な弁護実績があること」と、「交渉力が高い(コミュニケーション能力が優れている)こと」です。
この2条件を満たしている弁護士であれば、被害者との示談交渉が成功する可能性が高くなりますので、弁護士探しの際の参考になさってください。
「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
- 得意分野
- ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
- プロフィール
- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設