美人局とは?よくある特徴や対処方法を専門家がわかりやすく解説

全国20拠点以上!安心の全国対応
初回相談0円
記事目次
美人局(「つつもたせ」と読みます。)とは、男性が女性と肉体関係を結ぶ、又は結ぼうとした時に、女性と事前に共謀していた第三者が現れ、この第三者と女性が男性から金品を脅し取る行為のことをいいます。
この場合の第三者は、その女性の夫や恋人、女性と交際関係にない人など様々です。
美人局の被害に遭いやすい状況や、美人局の被害に遭わないようにするために、どうすれば良いかを解説します。
美人局(つつもたせ)とは何か
女性が男性を誘惑し、男性と肉体関係を持とうとした際、性行為中、肉体関係を持った後に女性の夫と名乗る人が現れ、「自分の妻と肉体関係を持ったことに対する慰謝料を支払え。」などと脅し、男性に金銭の支払いを要求します。
男性の側としては、家族や会社に知られたくない一心で、その場で金銭を支払うことに了承してしまうことがあります。
近年では出会い系サイトやマッチングアプリが普及し、男性を誘い出し性的関係に持ち込むことも容易になっています。
名前の由来
かつて、博打用の筒に細工を施し、これを持たせることで金銭を得る行為を「筒持たせ(つつもたせ)」と呼びました。
「筒持たせ」とは、姦淫をした男性から金銭を脅し取る行為に限らず、広くイカサマ行為一般を指していたようです。
古代中国の書籍に、女性が男性を誘惑して金銭を脅し取る行為が「美人局」と記されていたことから「筒持たせ」に「美人局」という漢字を当てたと言われています。
また、「筒(つつ)」が女性自身を意味することから、男性に女性をあてがうという行為から「つつもたせ」という言葉が生まれたという説もあります。
ハニートラップとの違い
「美人局」と似た言葉に「ハニートラップ」があります。
「美人局」は専ら金銭等を脅し取ることを目的とするのに対し、「ハニートラップ」は政敵の失脚や機密情報の獲得など、男性を陥れて、自己又は第三者の利益を図るということを目的とする点で両者は区別されます。
「美人局」は、犯罪行為にあたりますが、「ハニートラップ」は必ずしも犯罪が成立するとは限らない点で美人局と区別することが必要です。
逆美人局とは
「逆」美人局とは、男性が、肉体関係を持った女性に対して「このことを夫(又は交際相手)に知らせる」、又は「学校関係者や勤務先に知らせる」と脅し、金銭等を脅し取る行為を指します。
したがって、逆美人局の被害者は女性ということになります。
美人局の被害に合いやすいケース
次に、「美人局(つつもたせ)」の被害に遭いやすい場合について説明いたします。
どのような場合に、被害に遭うかをあらかじめ知っておくことで、被害を回避することができます。
対面
古くから存在する「美人局」の典型的なパターンです。
歓楽街の路上、バーやクラブ等お酒を取り扱うお店で女性から声をかけられ二人きりになったところで、いきなり第三者が現れて法外な金額を要求されます。
SNS
最近では、インターネットやSNS、出会い系サイト等で知り合いデートした女性が、美人局の共謀者であったという事案が増えています。
ネットを介して交際相手を探したり、性行為のみを目的として相手を探すことが容易になっており、この状況を利用した「美人局」が近年主流となっています。
美人局のよくある特徴とは
出会い系サイトを使って交際相手を探していても、すんなりとデートの予定が決まることは稀です。
マッチングしてすぐに実際に会えることになったような場合は、美人局の可能性があるといえます。
あまりにもすんなり女性と会えることになった場合は、注意してください。
美人局のターゲットを探している人の言動には、次のような特徴があります。
- ①スムーズに連絡先を交換したり、デートの日程がすんなり決まる
- ②デートにかかるお金を女性が負担すると言う
- ③初対面なのに自宅へ呼ぶ
- ④パートナーへの不平不満を口にする
- ⑤避妊をしなくてよい(避妊しなくて大丈夫)と言う
一般的に美人局は、性行為等を行おうとした時、又は実際に性行為を行った後に慰謝料を請求されます。
実際に会わなければ、慰謝料を請求する口実を作ることができないため、美人局を行おうとしている人は、できるだけスムーズに会えるように仕向けてきます。
美人局を行おうとしている人がする言動の特徴について解説しますので、美人局の被害に遭わないために、ぜひ参考にしてみてください。
特徴①連絡先の交換やデートの日程調整がすんなりできる
出会い系サイトで知り合い、実際に会うことにはリスクがつきものですので、特に女性側は慎重に行動するものです。
それなのに、マッチングしてすぐに連絡先を交換できたり、会う日程が決まったりした場合は、美人局である可能性があると考えた方が良いです。
美人局の手口として最も多いのは、実際に会い、男性を脅して金銭を要求する方法です。
つまり、実際に男性と会うことが、美人局を成功させるための第一歩なのです。
マッチングしてすぐに連絡先の交換を促してくる場合や、会う場所や日程を男性の都合が良い方に積極的に合わせようとしてきた場合は、警戒心を持って接したほうが良いでしょう。
また、ホテルへ行くことを前提として約束し、ホテルやホテル近くで待ち合わせをする場合は特に要注意です。
このように、スムーズに女性と肉体関係を持てそうな場合は、美人局である可能性が高いといえます。
特徴②デート費用を女性が負担する
女性側は、友人を探す、パートナーを探す、あるいは性行為をすることによって金銭を受け取る、などの目的を持って出会い系サイト等を使います。
友人やパートナーを探している場合、すぐにホテルへ行って性行為をしようといった約束をすることはほとんどありません。
そのため、マッチングしてすぐにホテルに行く等の約束をする場合、相手の女性は売春が目的であると考えられます。
売春が目的の場合は、ホテル代の負担も男性側に求めることが一般的です。
それにもかかわらず、「お金は要らない」や「ホテル代は私が支払うよ。」などと伝えてくる場合は、美人局が本当の目的である可能性が高いので注意が必要です。
特徴③初対面なのに自宅へ来てと誘う
初対面であるにもかかわらず、女性の自宅でのデートを提案された場合は要注意です。
通常、女性が面識のない男性を自分の自宅に招き入れることはありません。
知らない男性に自宅の場所を伝え、自宅で二人きりになることは危険と隣り合わせだからです。
暴行される、裸の写真や動画を撮られる、写真や動画をもとに脅迫される、金銭を要求されるなどの危険があるため知らない男性を自宅に招き入れるなどということは通常しません。
反対に、美人局が目的で、自分が加害者になろうとしている女性であれば、自宅に男性を招くことには合理性があります。
なぜならば、自宅は、夫や彼氏がいつ来てもおかしくない場所であるため、夫や彼氏にばれてしまったという状況を作りやすいからです。
初めて会う女性から自宅へ来るように言われた場合は、美人局である可能性が高いため、それ以上関わらないようにした方が良いと考えます。
特徴④パートナーへの不平不満を口にする
美人局の特徴として、彼氏・夫がいることをアピールをするケースが多いです。
マッチングした男性に、自分には彼氏や夫がいることを知らせておくことで、美人局を実行する加害者側の男性が現れた際に、「この人が彼氏・旦那だ」と即座に認識させることができるためです。
たとえば、女性と連絡を取り合っている中で「彼氏・夫のDV被害にあっている。」等と相手が伝えてきた場合、自分には暴力的な彼氏や夫がいることを男性側に伝えることができます。
ホテルに入ろうとした時やホテルから出てきた時に、彼氏や夫を名乗る男性が現れ「俺の女と何している?」などと言われると、彼氏や旦那がいるのに女性と関係を持った(持とうとした)ことによる罪悪感を抱きやすくなります。
こうなると、金銭の要求にも応えてしまう可能性が高くなります。
初めから彼氏や夫がいると伝えてくる女性や、パートナーの不平不満を口にする女性は警戒してください。
特徴⑤避妊しなくていいと伝える
美人局の手口に、「避妊具をつけなくて良い」と伝えて性行為を行うことがあります。
初対面で相手がどのような人かわからないのに、避妊具をつけずに性行為をすることは男性にとっても女性にとっても危険な行為です。
避妊具の目的は避妊だけではなく性病の予防等もあるからです。
しかし、美人局の手口の一つとして、「あなたの子供を妊娠した」と言って高額な慰謝料等を請求する場合があります。
このような請求をしたい場合は、避妊具をつけないで性行為をする必要があります。
実際に、避妊せずに性行為を行っていれば、自分の子供ではないと証明することは難しく、慰謝料や示談金を請求されることになります。
美人局の逮捕事例4選
「自分には美人局など関係がない」と考えている人がほとんどだと思います。
しかし、歓楽街などで被害に会うことが多かった一昔前と比べ、ネットが発達した現在は、ネットを通じて簡単に人と出会うことができるようになりました。
これは、美人局を行う側からすると、ネットを介して次々とカモとする相手を探し、実際に会う約束まで行うことができる時代になったということです。
実際に起こった事件から、身近に潜む犯罪であることを認識していただきたいと思います。
逮捕事例①LINEで美人局(強盗容疑で広島の少年ら6人逮捕)
スマートフォンの無料通信アプリ「LINE(ライン)」などを使って男性を誘い出し、暴行を加え現金を奪ったとして、三原署は2014年9月25日、強盗致傷などの容疑で、尾道市や三原市に住む17~20歳の男女6人を逮捕した。
逮捕された6人のうち4人は容疑を認め、うち2人は「見ていたけどお金は取っていない」などと容疑を否認。
逮捕容疑は同月2日、おびき出し役の尾道市の無職の女(20歳)が「暇しているから誰かいない?」などと「LINE」やフェイスブックなどに書き込み、三原市の会社員の男性(28歳)を、同市須波西の「すなみ海浜公園」に連れだし、待ち伏せていたほかの5人が「わしらの女友達になにしよんや」などと因縁をつけて暴行し、現金3万円を奪ったとしている。
さらに、うち5人は同様の手口で福山市の無職の男性(20歳)から現金16万円を奪おうとし、男性に1週間の怪我をさせたとされる。同署によると、6人は遊び仲間。余罪もあるとみて調べている。
逮捕事例②出会い系サイトを利用し、美人局を行ったとして男性を逮捕
出会い系サイトを利用し、「美人局」の手口で少女に会いに来た男性に集団でけがをさせ、現金を奪ったとして、兵庫県警少年捜査課と西宮署は2015年12月18日、強盗致傷容疑で、通信制高校1年の男子生徒(18歳)ら16~18歳の少年5人と、中学3年の少女(15歳)の計6人=いずれも兵庫県尼崎、西宮市=を逮捕したと発表した。5人は容疑を認めているが、1人は「その場にいただけ」と否認しているという。
同署によると、男性と少女は出会い系サイト「ハッピーメール」で知り合い、同市内のコンビニエンスストアで待ち合わせ、男性の車で公園に移動。
その後、ベンチ付近に少年5人が駆けつけ、「強姦になるぞ」などと因縁をつけて集団で暴行を加えたという。逮捕容疑は同月13日午前0時ごろ、同市西宮浜の公園で、大阪市淀川区の会社員男性(30歳)を殴って顔に軽傷を負わせ、現金約1万円を強奪。
さらに、少年らの車で移動し、同日午前7時ごろ、西宮市天道町の別のコンビニで現金10万円を奪ったとしている。
逮捕事例③盗撮を目撃した人が盗撮犯を脅して金銭の支払いを要求
通常の「美人局」と少し異なる事案として、盗撮を目撃した人が盗撮犯を脅すという事案も増えています。
男性が女性を盗撮したのを目撃した第三者が、この男性に対し盗撮したことをネタとして金銭の支払いを要求するというものです。
このように、盗撮を見逃さない行為は一見正しいように見えます。
盗撮をされた女性は、相手の男性に対して損害賠償金や示談金の請求をすることができる場合もありますが、相手を脅して、金銭を受け取る行為は犯罪にあたるので、絶対に行わないでください。
逮捕事例④盗撮犯した男性から金銭を受け取る「美人局」
買い物に訪れていた男性会社員(29)が、自分のスマートフォンを女性に近づけ女性のスカートの中を盗撮したところ、この女性の夫を名乗る男性から50万円を支払うよう要求されるという事件が起きました。
大阪府曽根崎警察は、この夫を名乗った男性を恐喝未遂容疑で逮捕しました。
他にも、盗撮した人に対し、そのことをネタに脅し金銭を受領した容疑で逮捕された事案は数件あり、このような犯罪は今後も増加する可能性があります。
性的関係をもつことで犯罪が成立するのか
「美人局」は、男性が女性と肉体関係を持ったこと、又は、持とうとしたことに漬け込んで金銭を脅し取る行為です。
肉体関係を持ったとき、又は持とうとしたときに、成立する可能性がある犯罪について説明します。
18歳未満の者を買春した場合
18歳未満の者を買春した場合、児童買春防止法により、処罰されることになります。
その法定刑は「五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金」(第4条)とかなり重いものです。
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律
第二条 (定義)
1項 この法律において「児童」とは、十八歳に満たない者をいう。
2項 この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
1号 児童
2号 児童に対する性交等の周旋をした者
3号 児童の保護者(かっこ書き省略)
第四条 (児童買春)
児童買春をした者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
また、各自治体では、条例で18歳未満の者を買春する行為を禁止しています。
例えば、東京都青少年育成条例は以下の通り、規定しており、18歳未満の者を買春した場合には、各自治体の条例にも違反することになります。
東京都青少年の健全な育成に関する条例
第二条(定義)この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
1号 青少年 十八歳未満の者をいう。
2号〜4号<省略>
第18条の6(青少年に対する反倫理的な性交等の禁止)
何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない。
第24条の3(罰則)
第18条の6の規定に違反した者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
もっとも、これらの法律には未遂犯の処罰を規定していないため、児童買春をしようとしたが目的を達成できなかった場合には、これらの犯罪の未遂は成立しません。
また、買春の相手が18歳未満であることを知らなかった場合には、犯罪を犯す意思が認められないため、これらの犯罪は成立しません。
もっとも、買春に至る会話の経緯等から、女性が18歳未満であることを未必的にも認識していたケースには、犯罪の故意が認められる場合があるので要注意です。
刑法
第38条(故意)
1項 罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
2項、3項 <省略>
第44条(未遂罪)
未遂を罰する場合は、各本条で定める。
18歳以上の者を買春した場合
18歳以上の者は「児童」や「青少年」には当たりません。
したがって、相手方が18歳以上の場合は、児童買春防止法で処罰されることはありません。
売春防止法は、「18歳未満の者」と限定することなく、18歳以上の者を相手とする買春行為も広く禁止しています(3条)。
もっとも、同法には買春をした側に対する罰則が規定されていないため、買春をしても同法により罰せられることはありません。
売春防止法
第二条(定義)
この法律で「売春」とは、対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交することをいう。
第三条(売春の禁止)
何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない。
不同意わいせつ罪、不同意性交等罪が成立する場合
女性の意思に反し、性交渉等をした場合、これらの犯罪が成立する場合があります(以前は、強制わいせつ罪、強制性交等罪という名前でした。)。
もっとも、買春の場合には女性に一定の同意があると考えられるため、これらの犯罪が成立することはありません。
もっとも、買春であっても、例えば本番行為等、特定の行為については女性が拒絶の意思を示していたにもかかわらず、無理矢理そのような行為を行った場合には、犯罪が成立することがあります。
また、女性が13歳未満の場合では、性交渉について、本人の同意があった場合にも、これらの犯罪が成立するので要注意です。
第176条(不同意わいせつ)
1項 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
1号 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
(以下略)
第177条(不同意性交等)
1項 前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛こう門性交、口腔くう性交又は膣ちつ若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
(以下略)
買春を行った場合に該当する可能性がある犯罪は上記の通りです。
犯罪に該当する行為をした場合、その行為に対応できるのは国家権力のみです。
一般人が、犯罪を犯したことを理由に金銭を要求する行為も犯罪に当たりますので、そのような要求に応じる必要はありません。
売春をした女性は処罰されない?
売春防止法は、第二章に刑事処分について規定しています。
ここでは、買春目的での勧誘、買春の斡旋などにつき、刑事罰が定められています。この中で、売春した女性が処罰される可能性がある行為は、第5条に規定されています。
女性が自ら客となる人を勧誘した場合には、以下の刑罰を受けることになります。
あくまで、勧誘をしたことに対する処罰であり、売春行為をしたことに対する処罰ではありません。
第二章 刑事処分
(勧誘等)
第五条(勧誘等)
売春をする目的で、次の各号の一に該当する行為をした者は、六月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
一 公衆の目にふれるような方法で、人を売春の相手方となるように勧誘すること。
二 売春の相手方となるように勧誘するため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
三 公衆の目にふれるような方法で客待ちをし、又は広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること。
(以下略)
「美人局」の特徴とその被害に合わないために
美人局の被害にあわないようにするために、どのような点に気をつければ良いでしょうか。
美人局は、女性が男性と実際に会ったり、肉体関係を持つことによって「金銭を請求できる理由」を作るところから始まります。
よって、美人局を目的とする場合、女性側が肉体関係を持つことに対して積極的であるという特徴があります。
例えば、すぐに連絡先を交換する、すぐにデートの約束をする、ホテルデートを持ちかける等です。
このように、コンタクトをとった女性が積極的だと感じた場合は、美人局の可能性が高いので会わないようにすべきです。
近年は、ネットを通じて男女が出会える場がたくさんあります。
歓楽街に出向かなくとも美人局を仕掛ける人を探すことができるという点において、美人局を企んでいる人にとってはネットほど良い環境はありません。
トラブルになった後に備えて、ネットで知り合った人とのやり取りは記録をとっておく、女性と会う時は、身分がわかるものを持っていかない、クレジットカードなども持っていかない等の対策も有効です。
もし、トラブルになってしまった場合は、警察か弁護士へ早期に相談することが、高額な請求に応じてしまう可能性を減らせる手段といえます。
事例
AさんはSNSで知り合った女性と親しくなり、ホテルで会う約束をしました。
待ち合わせ場所に現れた女性と一緒にホテルの部屋へ入った直後、突然「彼女は俺の妻だ」と名乗る男性が乱入。
男性から「不倫関係で慰謝料を請求する」と脅され、恐怖を感じたAさんは現金30万円を支払いました。
後日、冷静になって考えたAさんは警察に相談し、美人局であることが判明。男女は恐喝容疑で逮捕されました。
このように、美人局は「男女の親密な関係」を装って金銭を脅し取る点が特徴です。
美人局で成立する3つの犯罪
①詐欺罪が成立する場合
「美人局」を行う者の中には、性交渉を行う意思無く、被害者を呼び出して金銭を要求する場合があります。
また、実際には交際関係にはない第三者が慰謝料として金銭を要求してくる場合や、実際には女性が18歳以上であるにもかかわらず、児童買春が成立するとして慰謝料を請求してくる場合があります。
このように虚偽の事実を示して、金銭等を要求する行為には詐欺罪(又は詐欺未遂罪)が成立する可能性があります。
②脅迫罪、恐喝罪が成立する場合について
肉体関係を結んだことを理由として、配偶者や会社にこのことを告げる等の害悪を告知して、相手を怯えさせた場合には脅迫罪が成立する可能性があります。
暴行や脅迫を行い、金銭の要求をした場合は、恐喝罪が成立する可能性があります。
また、相手を脅して、法的根拠のないことをさせた場合は強要罪が、暴行をしたり、傷害を負わせた場合は、暴行罪や傷害罪が成立する可能性があります。
③恐喝容疑で逮捕された事例
新潟署は28日、恐喝未遂の疑いで、新潟市東区の無職少年(16)を逮捕した。容疑を一部否認しているという。
逮捕容疑は5月下旬、少女と少年と共謀し、同市中央区の路上で、会員制交流サイト(SNS)で援助交際相手として知り合った同市の20代の会社員男性の頭をたたき、「お前のやっていることは犯罪だ」などと言って、現金を脅し取ろうとしたとしている。
同署によると、男性が少女と一緒に同市内のホテルから出てきたところを少年2人が待ち構えていたという。
このように、実際に金銭を奪い取っていなくても、脅して金銭を奪い取ろうした場合には、恐喝未遂罪が成立します。
美人局で逮捕されたらどうなるのか
暴行・脅迫の程度が著しく、被害者の反抗を抑圧する態様で行われた場合は、強盗罪が成立する可能性があります。
美人局の被害にあった場合の3つの対処方法
美人局の被害にあった場合の対処法は、①まずその場から逃げる、②警察に被害届を出す、③弁護士に相談をする、です。
これらの対処法について詳しく説明していきます。
①その場から逃げる
美人局の被害にあい金銭を要求された場合、可能であればその場から逃げてください美人局は、人を脅して金銭を奪う犯罪行為です。
そのため、相手の話を聞く必要はありません。
すぐにその場を離れ、相手にとって有利な状況から離れてください。逃げることが困難な場合は、身の安全を確保することを最優先してください。
後からメッセージ等で、事実をバラすと脅され金銭を要求されることも考えられます。しかし、このような要求に応じる必要はありませんので、無視してください。
あまりにもしつこい場合や心配な点がある場合には、弁護士にご相談ください。
②警察に被害届を出す
しかたなく金銭を払ってしまった場合や、とりあえずその場から逃れたが後から繰り返し脅されている場合には、警察へ被害届を出してください。
美人局は、金銭を請求している側が何らかの犯罪に抵触する可能性が高いので、警察に被害を届け出ることによって捜査をしてもらえる可能性があります。
一方で、美人局は自分が犯罪を犯してしまっている可能性もあるため、注意が必要です。
たとえば、未成年者を相手とした場合、不同意性交等罪や児童売春といった犯罪に該当し、自分自身も罪に問われてしまう可能性があります。
よって、自身が犯罪を犯してしまった可能性がある場合は、次に述べるように、弁護士にご相談いただくことをお勧めします。
③弁護士に相談をする
女性に会い請求されてしまった場合は、弁護士に相談することも有用です。
請求されてしまいどうしようか迷う場面で、自身も犯罪を犯しているのではないかという不安がつきまとえば、さらに冷静な判断ができなくなります。
美人局の不当な請求を毅然と拒むことや、自身が犯罪を犯してしまったことに、弁護士に相談していただけば、適切な対応をすることができます。
まとめ
美人局の特徴や、被害を防ぐ方法について解説しました。
女性が実際に会ったり肉体関係を持つことに積極的であったり、過剰に人目を避けるなど、美人局は第三者から見れば不審な点が多いです。
ただ、人は自分のことを客観的に観察することが苦手です。
そのような状況になっても、まさか自分が美人局の被害に合うなどとは思わず、相手の女性の手中にはまってしまうことになります。
話があまりにも順調に進む場合には、冷静になって、これまでの経緯を振り返ったり友人に相談してみることで、美人局であると判明すると思います。
この記事を参考にして、美人局の被害に遭わないようにお気をつけください。
- 得意分野
- ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
- プロフィール
- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設