美人局とは?手口や事件が発生した際の対処方法を専門家がわかりやすく解説
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記事目次
「美人局」という用語をご存じでしょうか?
美人局(読み方:「つつもたせ」)とは、男性が女性と肉体関係を結ぶ、又は結ぼうとした時に、女性と事前に共謀していた第三者が現れ、この第三者と女性が男性から金品を脅し取る行為のことをいいます。
この場合の第三者は、その女性の夫や恋人、女性と交際関係にない人など様々です。
美人局の被害に遭いやすい状況や、美人局の被害に遭わないようにするために、どうすれば良いかを解説します。
美人局(つつもたせ)とは何か

美人局とは、女性が男性を誘惑し、男性と肉体関係を持とうとした際、性行為中、肉体関係を持った後に女性の夫と名乗る人が現れ、「自分の妻と肉体関係を持ったことに対する慰謝料を支払え。」などと脅し、男性に金銭の支払いを要求します。
男性の側としては、家族や会社に知られたくない一心で、その場で金銭を支払うことに了承してしまうことがあります。
近年では出会い系サイトやマッチングアプリが普及し、男性を誘い出し性的関係に持ち込むことも容易になっています。
名前の由来
かつて、博打用の筒に細工を施し、これを持たせることで金銭を得る行為を「筒持たせ(つつもたせ)」と呼びました。
「筒持たせ」とは、姦淫をした男性から金銭を脅し取る行為に限らず、広くイカサマ行為一般を指していたようです。
古代中国の書籍に、女性が男性を誘惑して金銭を脅し取る行為が「美人局」と記されていたことが語源とされ、「筒持たせ」に「美人局」という漢字を当てたと言われています。
また、「筒(つつ)」が女性自身を意味することから、男性に女性をあてがうという行為から「つつもたせ」という言葉が生まれたという説もあります。
ハニートラップとの違い
「美人局」と似た言葉に、英語で「ハニートラップ(Honey Trap)」があります。
「美人局」は専ら金銭等を脅し取ることを目的とするのに対し、「ハニートラップ」は政敵の失脚や機密情報の獲得など、男性を陥れて、自己又は第三者の利益を図るということを目的とする点で両者は区別されます。
「美人局」は、犯罪行為にあたりますが、「ハニートラップ」は必ずしも犯罪が成立するとは限らない点で美人局と区別することが必要です。
美人局とロマンス詐欺の違い
美人局とロマンス詐欺は、いずれも異性との関係を利用して金銭を得る手口ですが、金銭を要求するまでの流れが異なります。
美人局は、実際に会って性的関係を持った、又は持とうとした状況を作り、共犯者が不倫や未成年者との関係などを口実として、短期間で金銭を脅し取るのが典型です。
一方、ロマンス詐欺は、主にSNSやマッチングアプリでやり取りを重ね、恋愛感情や親近感を抱かせたうえで、投資資金や事業資金、渡航費などの名目で金銭をだまし取ります。
逆美人局とは
「逆」美人局とは、男性が、肉体関係を持った女性に対して「このことを夫(又は交際相手)に知らせる」、又は「学校関係者や勤務先に知らせる」と脅し、金銭等を脅し取る行為を指します。
したがって、逆美人局の被害者は女性ということになります。
美人局の被害に遭いやすいケース

次に、美人局(つつもたせ)の被害に遭いやすいケースについて解説します。
どのような状況で被害に遭いやすいのかをあらかじめ知っておくことで、不審な誘いに気づきやすくなります。
対面
古くから存在する「美人局」の典型的な詐欺のパターンです。
歓楽街の路上、バーやクラブ等お酒を取り扱うお店で女性から声をかけられ二人きりになったところで、いきなり第三者が現れて法外な金額を要求されます。
SNS
最近では、インターネットやSNS、出会い系サイト等で知り合いデートした女性が、美人局の共謀者であったという詐欺事案が増えています。
ネットを介して交際相手を探したり、性行為のみを目的として相手を探すことが容易になっており、この状況を利用した「美人局」が近年主流となっています。
美人局の手口にみられる特徴

美人局では、相手と早い段階で直接会い、性的な関係を持つ、又は持とうとする状況を作ったうえで、金銭を要求する口実にするケースがあります。
そのため、マッチングして間もないにもかかわらず、すぐに連絡先を交換しようとする、会う日程が急に決まる、ホテルや自宅など特定の場所へ誘われるといった不自然な点が複数重なる場合は注意が必要です。
ただし、一つの言動だけで美人局と断定することはできません。相手とのやり取りや会うまでの経緯を含めて慎重に判断することが大切です。
特徴①連絡先の交換やデートの日程調整がすんなりできる
出会い系サイトで知り合い、実際に会うことにはリスクがつきものですので、特に女性側は慎重に行動するものです。
それなのに、マッチングしてすぐに連絡先を交換できたり、会う日程が決まったりした場合は、美人局である可能性があると考えた方が良いです。
美人局の手口として最も多いのは、実際に会い、男性を脅して金銭を要求する方法です。
つまり、実際に男性と会うことが、美人局を成功させるための第一歩なのです。
マッチングしてすぐに連絡先の交換を促してくる場合や、会う場所や日程を男性の都合が良い方に積極的に合わせようとしてきた場合は、警戒心を持って接したほうが良いでしょう。
また、ホテルへ行くことを前提として約束し、ホテルやホテル近くで待ち合わせをする場合は特に要注意です。
このように、スムーズに女性と肉体関係を持てそうな場合は、美人局である可能性が高いといえます。
特徴②デート費用を女性が負担する
マッチングして間もない相手から、ホテルへ行くことを前提とした誘いを受けたり、「ホテル代は私が払う」「お金はいらない」などと言われたりした場合は、慎重に対応しましょう。
もちろん、女性側が費用を負担することや、早い段階でホテルへ誘うことだけで、美人局や売春目的であると判断することはできません。
しかし、知り合って間もないにもかかわらず性的な関係を急ぐ、特定のホテルや場所を指定するなど、複数の不自然な点が重なっている場合には注意が必要です。
特徴③初対面なのに自宅へ来てと誘う
初対面であるにもかかわらず、女性の自宅でのデートを提案された場合は要注意です。
通常、女性が面識のない男性を自分の自宅に招き入れることはありません。
知らない男性に自宅の場所を伝え、自宅で二人きりになることは危険と隣り合わせだからです。
暴行される、裸の写真や動画を撮られる、写真や動画をもとに脅迫される、金銭を要求されるなどの危険があるため知らない男性を自宅に招き入れるなどということは通常しません。
反対に、美人局が目的で、自分が加害者になろうとしている女性であれば、自宅に男性を招くことには合理性があります。
なぜならば、自宅は、夫や彼氏がいつ来てもおかしくない場所であるため、夫や彼氏にばれてしまったという状況を作りやすいからです。
初めて会う女性から自宅へ来るように言われた場合は、美人局である可能性が高いため、それ以上関わらないようにした方が良いと考えます。
特徴④パートナーへの不平不満を口にする
美人局の特徴として、彼氏・夫がいることをアピールをするケースが多いです。
マッチングした男性に、自分には彼氏や夫がいることを知らせておくことで、美人局を実行する加害者側の男性が現れた際に、「この人が彼氏・旦那だ」と即座に認識させることができるためです。
たとえば、女性と連絡を取り合っている中で「彼氏・夫のDV被害にあっている。」等と相手が伝えてきた場合、自分には暴力的な彼氏や夫がいることを男性側に伝えることができます。
ホテルに入ろうとした時やホテルから出てきた時に、彼氏や夫を名乗る男性が現れ「俺の女と何している?」などと言われると、彼氏や旦那がいるのに女性と関係を持った(持とうとした)ことによる罪悪感を抱きやすくなります。
こうなると、金銭の要求にも応えてしまう可能性が高くなります。
初めから彼氏や夫がいると伝えてくる女性や、パートナーの不平不満を口にする女性は警戒してください。
特徴⑤避妊しなくていいと伝える
美人局の手口として、相手から「避妊具をつけなくても大丈夫」などと言われ、性的な関係を促されるケースも考えられます。
避妊具を使用しない性行為には、妊娠だけでなく性感染症などのリスクもあります。知り合って間もない相手から避妊をしない性行為を積極的に求められた場合は、慎重に判断しましょう。
また、後から「妊娠した」「あなたの子どもだ」などとして金銭を要求されるケースも考えられます。ただし、妊娠や父子関係を理由とした請求を受けたからといって、相手の要求どおりに支払う必要があるとは限りません。
父子関係についてはDNA鑑定などによって確認できる場合もあるため、その場で金銭を支払ったり約束したりせず、請求を受けた場合は弁護士へ相談することが大切です。
美人局の逮捕事例4選

かつては歓楽街などで起こるイメージの強かった美人局ですが、現在ではSNSやマッチングアプリなどを通じて相手を誘い出すケースもあります。
ここでは、実際に報道された事件をもとに、美人局の手口によってどのような犯罪が問題となるのかを紹介します。
逮捕事例①LINEで美人局(強盗致傷容疑で広島の少年ら6人逮捕)
スマートフォンの無料通信アプリ「LINE」などを使って男性を誘い出し、暴行を加えて現金を奪ったとして、三原署は2014年9月25日、強盗致傷などの容疑で、尾道市や三原市に住む17~20歳の男女6人を逮捕しました。
逮捕された6人のうち4人は容疑を認め、うち2人は「見ていたけどお金は取っていない」などと容疑を否認。
逮捕容疑は同月2日、おびき出し役の尾道市の無職の女(20歳)が「暇しているから誰かいない?」などと「LINE」やフェイスブックなどに書き込み、三原市の会社員の男性(28歳)を、同市須波西の「すなみ海浜公園」に連れだし、待ち伏せていたほかの5人が「わしらの女友達になにしよんや」などと因縁をつけて暴行し、現金3万円を奪ったとしている。
さらに、うち5人は同様の手口で福山市の無職の男性(20歳)から現金16万円を奪おうとし、男性に1週間の怪我をさせたとされる。同署によると、6人は遊び仲間。余罪もあるとみて調べている。
逮捕事例②出会い系サイトを利用し、美人局を行ったとして男性を逮捕
出会い系サイトを利用し、「美人局」の手口で少女に会いに来た男性に集団でけがをさせ、現金を奪ったとして、兵庫県警少年捜査課と西宮署は2015年12月18日、強盗致傷容疑で、通信制高校1年の男子生徒(18歳)ら16~18歳の少年5人と、中学3年の少女(15歳)の計6人=いずれも兵庫県尼崎、西宮市=を逮捕したと発表した。5人は容疑を認めているが、1人は「その場にいただけ」と否認しているという。
同署によると、男性と少女は出会い系サイト「ハッピーメール」で知り合い、同市内のコンビニエンスストアで待ち合わせ、男性の車で公園に移動。
その後、ベンチ付近に少年5人が駆けつけ、「強姦になるぞ」などと因縁をつけて集団で暴行を加えたという。逮捕容疑は同月13日午前0時ごろ、同市西宮浜の公園で、大阪市淀川区の会社員男性(30歳)を殴って顔に軽傷を負わせ、現金約1万円を強奪。
さらに、少年らの車で移動し、同日午前7時ごろ、西宮市天道町の別のコンビニで現金10万円を奪ったとしている。
逮捕事例③盗撮を目撃した人が盗撮犯を脅して金銭の支払いを要求
通常の「美人局」と少し異なる事案として、盗撮を目撃した人が盗撮犯を脅すという事案も増えています。
男性が女性を盗撮したのを目撃した第三者が、この男性に対し盗撮したことをネタとして金銭の支払いを要求するというものです。
このように、盗撮を見逃さない行為は一見正しいように見えます。
盗撮をされた女性は、相手の男性に対して損害賠償金や示談金の請求をすることができる場合もありますが、相手を脅して、金銭を受け取る行為は犯罪にあたるので、絶対に行わないでください。
逮捕事例④盗撮した男性に金銭を要求した事例
買い物に訪れていた男性会社員が、スマートフォンで女性のスカート内を盗撮したところ、女性の夫を名乗る男性から50万円を支払うよう要求される事件がありました。
この事件では、大阪府警曽根崎署が、夫を名乗った男性を恐喝未遂容疑で逮捕しています。
盗撮などの犯罪をしたことを理由としても、脅迫によって金銭を要求する行為が正当化されるわけではありません。要求の態様によっては、恐喝罪などが成立する可能性があります。
性的関係をもつことで犯罪が成立するのか
美人局は、男性が女性と肉体関係を持ったこと、又は持とうとしたことにつけ込んで金銭を要求する手口です。
しかし、相手の年齢や性的行為の内容、同意の有無などによっては、美人局の被害者側にも犯罪が成立する可能性があります。
ここでは、性的関係を持った場合に問題となり得る主な犯罪について解説します。
18歳未満の者を買春した場合
18歳未満の者に対し、金銭などの対価を渡し、又は渡す約束をして性交等をした場合、児童買春・児童ポルノ禁止法上の児童買春に該当する可能性があります。
同法では「児童」を18歳未満の者と定義しており、児童買春をした者の法定刑は、5年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金です。
さらに、対価の授受がなく児童買春に該当しない場合でも、行為の内容によっては各都道府県の青少年保護育成条例や刑法上の不同意性交等罪・不同意わいせつ罪などが問題となる可能性があります。
相手が18歳未満であることを知らなかった場合でも、メッセージの内容や会話の経緯などから、18歳未満である可能性を認識していたと判断されれば、故意が認められる場合があります。
18歳以上の者を買春した場合
18歳以上の者は、児童買春・児童ポルノ禁止法における「児童」には該当しません。
したがって、相手が18歳以上である場合には、同法上の児童買春として処罰されることはありません。これは、同法の対象が18歳未満の者に限定されているためです。
一方、売春防止法では年齢にかかわらず売春やその相手方となることが禁止されています。ただし、単に売春の相手方となったこと自体に対する罰則は設けられていません。
不同意わいせつ罪、不同意性交等罪が成立する場合
相手の自由な意思に反してわいせつな行為や性交等をした場合、不同意わいせつ罪又は不同意性交等罪が成立する可能性があります。
金銭を支払って性的な関係を持つことについて合意があったとしても、個々の性的行為について相手の同意がなければ、これらの犯罪が成立する可能性があります。たとえば、避妊をしない性交や特定の性的行為を相手が拒否しているにもかかわらず、無理に行った場合などです。
また、性交同意年齢は16歳未満です。相手が13歳未満の場合は年齢差にかかわらず、13歳以上16歳未満の場合は、行為者が相手より5歳以上年長であれば、本人が同意していたとしても不同意わいせつ罪又は不同意性交等罪が成立する可能性があります。
法定刑は、不同意わいせつ罪が6月以上10年以下の拘禁刑、不同意性交等罪が5年以上の有期拘禁刑です。
なお、刑事責任を追及し、刑罰を科すかどうかは刑事手続によって判断されます。一方で、犯罪の被害者が加害者に対して正当な損害賠償を請求することまで否定されるわけではありません。
ただし、「警察に言われたくなければ金を払え」などと脅して金銭を要求した場合には、恐喝罪などが成立する可能性があります。
売春をした女性は処罰されない?

売春防止法は、第二章に刑事処分について規定しています。
ここでは、買春目的での勧誘、買春の斡旋などにつき、刑事罰が定められています。この中で、売春した女性が処罰される可能性がある行為は、第5条に規定されています。
女性が自ら客となる人を勧誘した場合には、以下の刑罰を受けることになります。
あくまで、勧誘をしたことに対する処罰であり、売春行為をしたことに対する処罰ではありません。
第二章 刑事処分
(勧誘等)
第五条(勧誘等)
売春をする目的で、次の各号の一に該当する行為をした者は、六月以下の拘禁刑又は一万円以下の罰金に処する。
一 公衆の目にふれるような方法で、人を売春の相手方となるように勧誘すること。
二 売春の相手方となるように勧誘するため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
三 公衆の目にふれるような方法で客待ちをし、又は広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること。
(以下略)
美人局に狙われやすい人の特徴
美人局を行う者は、被害を家族や勤務先に知られたくない人や、突然の金銭要求に対して冷静に対応しにくい人を狙う傾向があります。
次の特徴に当てはまる人は、不審な誘いに安易に応じないよう注意が必要です。
既婚者や社会的立場のある人
既婚者や経営者、会社役員、公務員など、トラブルを周囲に知られることで失うものが大きい人は、美人局の標的にされやすいと考えられます。
加害者は、「家族に不倫を知らせる」「勤務先に連絡する」「SNSで実名や写真を公開する」などと脅し、被害者が警察へ相談しにくい状況を作ります。
周囲に知られたくないという気持ちから、その場で金銭を支払っても、追加の要求を受ける可能性があります。秘密にすることを条件とした金銭要求には、その場で応じないことが重要です。
相手からの積極的な誘いを疑わない人
マッチングして間もない相手から、すぐに連絡先の交換やデート、ホテルでの待ち合わせを提案されたにもかかわらず、不自然さを感じずに応じてしまう人は注意が必要です。
美人局では、金銭を要求する口実を作るため、短期間で直接会い、性的な関係へ進もうとする傾向があります。
相手が初対面から自宅や特定のホテルへ誘う場合や、待ち合わせ場所を一方的に指定する場合は、共犯者が待機している可能性も考え、会うことを控えた方がよいでしょう。
トラブルを一人で抱え込みやすい人
異性関係のトラブルを恥ずかしいと感じ、家族や警察、弁護士へ相談できず、一人で解決しようとする人も被害が拡大しやすい傾向があります。
美人局の加害者は、被害者が冷静に考える時間を与えず、「今すぐ払え」「今日中に振り込め」などと支払いを急がせます。
一度支払いに応じると、弱みを握ったとして要求を繰り返すケースもあります。その場で結論を出さず、やり取りを保存したうえで、警察や弁護士などの第三者へ相談することが重要です。
美人局の被害を防ぐための対策

美人局の被害を防ぐには、知り合って間もない相手から性的な関係を急かされた場合に、相手の誘いへ安易に応じないことが重要です。
例えば、マッチング直後にホテルや自宅へ誘われる、特定の場所での待ち合わせを強く指定される、年齢や身元について曖昧な説明をされるなど、不自然な点が複数ある場合は慎重に対応しましょう。
また、SNSやマッチングアプリで知り合った相手とのメッセージは、トラブルに備えて保存しておくことも大切です。
実際に金銭を要求された場合は、その場で支払いや示談を約束せず、まず安全な場所へ移動してください。その後も脅迫や金銭要求が続く場合は、やり取りを削除せず、警察や弁護士へ相談しましょう。
事例
AさんはSNSで知り合った女性と親しくなり、ホテルで会う約束をしました。
待ち合わせ場所に現れた女性と一緒にホテルの部屋へ入った直後、突然「彼女は俺の妻だ」と名乗る男性が乱入。
男性から「不倫関係で慰謝料を請求する」と脅され、恐怖を感じたAさんは現金30万円を支払いました。
後日、冷静になって考えたAさんは警察に相談し、美人局であることが判明。男女は恐喝容疑で逮捕されました。
このように、美人局は「男女の親密な関係」を装って金銭を脅し取る点が特徴です。
美人局で成立する3つの犯罪
①詐欺罪が成立する場合
「美人局」を行う者の中には、性交渉を行う意思無く、被害者を呼び出して金銭を要求する場合があります。
また、実際には交際関係にはない第三者が慰謝料として金銭を要求してくる場合や、実際には女性が18歳以上であるにもかかわらず、児童買春が成立するとして慰謝料を請求してくる場合があります。
このように虚偽の事実を示して、金銭等を要求する行為には詐欺罪(又は詐欺未遂罪)が成立する可能性があります。
②脅迫罪・恐喝罪・強要罪などが成立する場合
肉体関係を持ったことなどを理由に、「家族に知らせる」「勤務先にばらす」などと害を加える旨を告げて相手を脅した場合、刑法222条の脅迫罪が成立する可能性があります。脅迫罪の法定刑は、2年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金です。
さらに、相手を脅して金銭を交付させた場合には、刑法249条の恐喝罪が成立する可能性があります。恐喝罪の法定刑は、10年以下の拘禁刑です。
また、脅迫や暴行によって、金銭の支払いを約束させるなど義務のないことを行わせた場合には、刑法223条の強要罪が成立する可能性があります。強要罪の法定刑は、3年以下の拘禁刑です。
暴行や脅迫の程度がさらに強く、相手の反抗を抑圧して財物を奪った場合には、恐喝罪ではなく強盗罪が問題となることもあります。
③恐喝容疑で逮捕された事例
新潟署は28日、恐喝未遂の疑いで、新潟市東区の無職少年(16)を逮捕した。容疑を一部否認しているという。
逮捕容疑は5月下旬、少女と少年と共謀し、同市中央区の路上で、会員制交流サイト(SNS)で援助交際相手として知り合った同市の20代の会社員男性の頭をたたき、「お前のやっていることは犯罪だ」などと言って、現金を脅し取ろうとしたとしている。
同署によると、男性が少女と一緒に同市内のホテルから出てきたところを少年2人が待ち構えていたという。
このように、実際に金銭を奪い取っていなくても、脅して金銭を奪い取ろうした場合には、恐喝未遂罪が成立します。
美人局が強盗罪に当たる場合
美人局では、金銭を要求する際の暴行や脅迫の程度によっては、恐喝罪ではなく強盗罪が成立する可能性があります。
特に、相手が抵抗できないほど強い暴行や脅迫を加え、その状態を利用して現金などを奪った場合には、強盗罪が問題となります。
そのため、美人局だから一律に詐欺罪や恐喝罪になるわけではなく、実際に行われた暴行・脅迫の程度や金銭を取得するまでの経緯によって、成立する犯罪が判断されます。
美人局の被害にあった場合の3つの対処方法

美人局の被害にあった場合の対処法は、①まずその場から逃げる、②警察に被害届を出す、③弁護士に相談をする、です。
これらの対処法について詳しく説明していきます。
①その場から逃げる
美人局の被害に遭い金銭を要求された場合、可能であればその場から離れてください。美人局では、人を脅して金銭を要求するケースがあります。
相手とその場で話し合いを続けるよりも、まずは自身の安全を確保することが重要です。逃げることが難しい場合は、無理に抵抗せず、周囲に助けを求めるなど身の安全を最優先にしてください。
後からメッセージなどで「家族や勤務先にばらす」などと脅され、金銭を要求された場合も、その場で支払いや示談を約束せず、やり取りを保存して警察や弁護士へ相談しましょう。
※「逃げてください美人局は」の句点抜けも修正しています。
②警察に被害届を出す
金銭を支払ってしまった場合や、その場を離れた後も繰り返し脅されている場合には、警察への相談や被害届の提出を検討しましょう。
美人局では、詐欺罪や恐喝罪、強要罪、暴行罪、傷害罪などが成立する可能性があり、警察へ相談することで捜査につながる場合があります。
一方、自身の行為についても犯罪が成立する可能性がある場合には注意が必要です。例えば、**相手が18歳未満である場合には、児童買春や不同意性交等罪などに該当し、自身も罪に問われる可能性があります。**児童買春に該当するかどうかは、対価の有無や相手の年齢など具体的な事情によって判断されます。
自身の刑事責任について不安がある場合は、警察へ相談する前に弁護士へ事情を説明し、対応方法について助言を受けることも検討しましょう。
③弁護士に相談をする
女性や共犯者から慰謝料や示談金を請求された場合は、できるだけ早く弁護士へ相談することが有用です。
弁護士に相談すれば、本当に慰謝料の支払義務があるのか、美人局として詐欺罪や恐喝罪などが成立する可能性があるのかを、具体的な事情に基づいて判断してもらえます。
また、弁護士が窓口となって相手との連絡や交渉を行うことで、追加請求や家族・勤務先への連絡を防げる可能性があります。
すでに金銭を支払ってしまった場合でも、詐欺や恐喝によって支払ったことを証明できれば、返還請求や示談交渉によって被害回復を図れる可能性があります。ただし、返金の見通しは、証拠の有無、相手を特定できるか、相手に返済能力があるかなどによって異なります。
美人局トラブルで想定されるケースと弁護士の対応
美人局のトラブルでは、不当な金銭要求への対応だけでなく、すでに支払った金銭の返還、警察への相談、自身の行為について犯罪が成立する可能性の確認など、状況に応じた対応が必要です。
ここでは、美人局トラブルで想定されるケースと、弁護士へ相談した場合に考えられる対応を紹介します。
【想定ケース1】不当な慰謝料と追加の金銭を要求された場合
相談者Aさんは、マッチングアプリで知り合った女性の自宅を訪れたところ、女性の夫を名乗る男性が現れ、慰謝料として200万円を支払うよう要求されました。
さらに、「支払わなければ家族や勤務先へ連絡する」と脅されています。
このような場合、弁護士に相談することで、請求に法的な根拠があるのか、相手の行為が恐喝などに該当する可能性があるのかを確認できます。
弁護士を連絡窓口とし、本人への直接連絡を控えるよう相手へ求めることも考えられます。
【想定ケース2】すでに支払った金銭の返還を求める場合
相談者Bさんは、女性とホテルから出た直後に複数の男性に囲まれ、「未成年者と関係を持った」「警察へ通報する」などと言われ、恐怖から現金30万円を支払いました。
その後も追加の金銭を要求するメッセージが届いています。
このような場合、弁護士はメッセージや振込記録、待ち合わせまでのやり取りなどを確認し、恐喝などに該当する可能性や、支払った金銭の返還を求められる可能性を検討します。
必要に応じて、警察への被害申告や相手との返還交渉についてサポートを受けることもできます。
【想定ケース3】18歳未満との関係を口実に金銭を要求された場合
相談者Cさんは、相手の女性から成人であると説明されていましたが、面会後に現れた男性から「女性は未成年者だ」「逮捕されたくなければ金を払え」と脅されました。
このような場合は、女性のプロフィールや年齢についての発言、メッセージの履歴、金銭の授受や約束の有無などを確認する必要があります。
弁護士へ相談することで、相談者自身に児童買春などの犯罪が成立する可能性があるのか、相手の金銭要求が恐喝などに該当する可能性があるのかを整理し、その後の対応について助言を受けることができます。
美人局に関するよくある質問
美人局かどうかを見抜くポイントはありますか?
一つの言動だけで美人局と断定することはできませんが、複数の不審な点が重なっている場合は注意が必要です。
例えば、マッチング後すぐに会おうとする、初対面で自宅やホテルへ誘う、相手が既婚者であることを強調する、特定の場所を指定する、年齢や身元について説明が曖昧であるといった場合が挙げられます。
また、面会後に突然、夫や恋人、兄などを名乗る人物が現れ、その場で現金や振込みを要求する場合は、美人局の可能性が高いといえます。金銭を支払ったり個人情報を渡したりせず、安全な場所へ移動して警察や弁護士へ相談してください。
美人局の被害に遭った場合、支払ったお金は取り戻せますか?
詐欺や恐喝によって金銭を支払った場合は、加害者に対する返還請求や損害賠償請求、示談交渉によって、支払ったお金を取り戻せる可能性があります。
ただし、警察へ被害届を提出しただけで、自動的に返金されるわけではありません。相手の氏名や住所を特定できない場合や、すでに金銭が使われている場合、相手に十分な資力がない場合には、回収が難しくなることがあります。
メッセージ、通話録音、振込明細、領収書、相手のアカウント情報などの証拠を削除せず、できるだけ早く警察や弁護士へ相談することが重要です。
まとめ

美人局の特徴や、被害を防ぐ方法について解説しました。
女性が実際に会ったり肉体関係を持つことに積極的であったり、過剰に人目を避けるなど、美人局は第三者から見れば不審な点が多いです。
ただ、人は自分のことを客観的に観察することが苦手です。
そのような状況になっても、まさか自分が美人局の被害に合うなどとは思わず、相手の女性の手中にはまってしまうことになります。
話があまりにも順調に進む場合には、冷静になって、これまでの経緯を振り返ったり友人に相談してみることで、美人局であると判明すると思います。
この記事を参考に「美人局とはなにか?」を理解し、美人局の被害に遭わないようにお気をつけください。
- 得意分野
- 不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 刑事事件
- プロフィール
- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設










