【2025年最新】銃刀法違反とは?知らないと危険な落とし穴と対策

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記事目次
「銃刀法違反で逮捕」などというフレーズは、たまにニュースで耳にすると思います。
しかし、具体的にどのような場合に銃刀法違反で逮捕されるのかなどについては知らない方も多いのではないでしょうか。
実は知らず知らずのうちに銃刀法に抵触する行為をしてしまっていることも考えられます。
そこで、今回は、どのような場合に銃刀法違反となるのかを説明します。
銃刀法違反とは?
そもそも、銃刀法の正式名称は「銃砲刀剣類所持等取締法」といいます。
その名の通り、鉄砲や刀剣類の取り締まりに関する法律となっています。
具体的には、権限なく銃砲・クロスボウ・刀剣類を所持することを規制するものとなっております。
また、刀剣類以外の刃物(包丁、ナイフ、カッターなど)についても、正当な理由のない携帯を禁止しています。
そのほか、銃砲、刀剣類の輸入・譲渡の禁止についても規定されていますが、以下では主に「所持」及び「携帯」の場面を想定しています。
参考:(2024年6月)銃刀法が改正されました!(警視庁) https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/hoan/r6jutohokaisei/index.html |
違反行為の3つの分類方法
違反行為は主に以下の3つに分類されると考えられます。
①許可のない者による鉄砲や刀剣類の所持禁止、②正当な理由のない刃物の携帯禁止、③銃・刀剣類の輸入・譲渡禁止です。
①については、「所持」が禁止されており、②については「携帯」が禁止されていることに注意しましょう。
違反した場合の罰則の厳しさ
銃刀法違反として処罰を受けることになった場合、対象となる銃砲刀剣類に応じて厳しい罰則が設けられているので、不用意な所持等については気を付けましょう。
なお、以下はあくまで代表的な例をピックアップしただけであり、使用や譲受等についても罰則が用意されているので注意しましょう。
1. 拳銃の所持(31条の3)
1年以上10年以下の懲役
2. 猟銃の無許可所持(31条の11)
5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
3. 刃物の携帯(31条の18第2項2号)
2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
4. 鉄砲(拳銃・猟銃以外)や刀剣類の所持(31条の16)
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
銃刀法で規制される対象物品とは?
銃刀法では、銃砲や刀剣類を権限なく所持することを禁止しております。
また、近年クロスボウについても、それを用いた事件が増加していることから、銃刀法の規制対象となりました。
さらに、下記でも説明しますが、刃体の長さが6センチメートルを超える刃物についても、正当な理由のない携帯を禁止しています。
そのため、拳銃や日本刀などを所持していない場合であっても、誰しもが銃刀法に違反する可能性を秘めています。
自分には関係のないことだと判断するのは危険ですので、十分に気を付けましょう。
所持が完全に禁止される危険物
銃刀法ではあくまで許可などの権限がなければ銃砲刀剣類の所持はできないものとされています。
また、ナイフやカッターなどの刃物は、正当な理由のない携帯を禁止しています。
許可が必要な銃器・刀剣類
銃刀法において許可が必要とされている銃砲刀剣類は以下のものになります。
1. 銃砲
拳銃、小銃、機関銃、砲、猟銃その他金属性弾丸を発射する機能を有する装薬銃砲及び空気銃(圧縮した気体を使用して弾丸を発射する機能を有する銃のうち、内閣府令で定めるところにより測定した弾丸の運動エネルギーの値が、人の生命に危険を及ぼし得るものとして内閣府令で定める値以上となるもの)
2. 刀剣類
刃渡り15センチメートル以上の刀、やり及びなぎなた、刃渡り5.5センチメートル以上の剣、あいくち並びに四十五度以上に自動的に開刃する装置を有する飛出しナイフ(刃渡り5.5センチメートル以下の飛出しナイフで、開刃した刃体をさやと直線に固定させる装置を有せず、刃先が直線であって峰の先端部が丸みを帯び、かつ、峰の上における切先から直線で一センチメートルの点と切先とを結ぶ線が刃先の線に対して60度以上の角度で交わるものを除く。)
3. クロスボウ
引いた弦を固定し、これを解放することによって矢を発射する機構を有する弓のうち、内閣府令で定めるところにより測定した矢の運動エネルギーの値が、人の生命に危険を及ぼし得るものとして内閣府令で定める値以上となるもの。
正当な理由が求められる一般的な刃物
銃刀法が規制の対象としている刃物、つまり、正当な理由が求められる刃物は、刃体の長さが6センチメートルを超えるものとなっております。
ただし、刃体の長さが6センチメートルを超えていなくても、軽犯罪法の対象となる可能性はありますので注意してください。
なお、軽犯罪法では、「隠して携帯」することを処罰の対象としています。
銃刀法違反の具体的な事例5選
1. アウトドア用のナイフや包丁を車に載せたままにする行為
キャンプで使用するためにナイフを所持すること自体には正当な理由があるので問題ございません。
ただし、キャンプを終えて帰ってきたのにもかかわらず車両から取り出さずにいると、正当な理由のない携帯に該当するおそれがあります。
2. 自分でエアガンなどを改造する行為
昨今、サバゲーと呼ばれるエアガンを使用したゲームが流行っているように、エアガン自体は銃刀法の規制の対象外です。
しかし、それらを改造し、一部金属を使用したりなどすると、銃刀法違反のおそれがあります。
3. 護身用ナイフ
下記でも詳しく述べますが、護身用ナイフは正当な理由のない携帯として銃刀法違反の可能性があります。
4. コスプレ目的での摸造刀
下記で述べるように、刀剣類として規制の対象になる可能性があります。
5. 許可を受けない観賞用の日本刀
下記で述べるように、観賞用として保存したい場合は「銃砲刀剣類登録証」を取得する必要がありますので、許可のない所持については、たとえ観賞用であっても銃刀法違反となります。
コスプレイベントでの模造刀携帯
コスプレイベントでは、模造刀を使用することもあるかと思いますが、金属製の模造刀を使用してしまうと、銃刀法違反となる可能性はあります。
そのため、コスプレイベントでは金属製ではなく、発泡スチロールやプラスチック製の製品を使用したほうがよいことになります。
護身用ナイフの所持で逮捕
意外だと感じるかもしれませんが、護身用としてナイフを所持していたとしても、正当な理由と認められない可能性が高いです。
差し迫った危険が現に想定されている場合は正当な理由があるといえる可能性は高そうですが、それがないのにも関わらず護身用でナイフ等の所持を許すと、護身用と言っておけばナイフの所持が許されるといったことに繋がってしまいます。
そのため、ナイフを所持するには個別具体的な理由が必要とされるのです。
工具としてのカッター携帯
カッターを業務上使用する人であれば、カッターの所持は正当な理由があるものとして許されます。
業務に不可欠であることから、それらの所持については正当な理由があると考えられるからです。
また、工具として使用することが具体的に決まっていて、かつ、すぐに使用すること想定される場合においても正当な理由と認められる可能性は高いといえるでしょう。
一方で、業務上ではなく、漫然と工具として使用するために所持していることは正当な理由があるとは認められない可能性が高いといえます。
知らずに違反?銃刀法の落とし穴と注意点
拳銃や日本刀を個人で所有している人は数少ないと思いますが、今まで説明してきた通り、銃刀法が適用されるのはそのような場合に限られません。
特に一般人が気を付ける場面としては、うっかりと刃物等を持ち歩いている場合です。
何かの用事で使ったカッターなどをカバンや車の中に置き忘れていた場合、銃刀法でいう正当な理由のない所持であるとされる可能性があります。
また、正当な理由のあるナイフ等の携帯であっても、それらの保管方法によっては正当な理由がなかったのではないかと疑われることがあります。
このように、刃物は適切に保管し、不要であれば持ち歩かないという意識を心がける必要があります。
日常生活で気をつけるべきポイント
以上のとおり、うっかりミスであっても銃刀法の規制の対象となってしまう可能性がありますので、刃物を持ち歩くときはその保管方法に気を付け、持ち歩く目的を明確に証明できるようにしましょう。
持ち歩く必要がない場合は、必ず自宅等に置いておく癖をつけるようにすれば、銃刀法に抵触することを防ぐことができます。
正当な理由の証明方法
刃物などを携帯する際は、正当な理由が必要になります。
具体的には、「いつ、どこで、何のために」を明確にする必要があります。
また、当該刃物を使用しなければならない必要も証明する必要があります。
例えば、ピクニックに行くのに出刃包丁を持ち出すというのは正当な理由があるといえるのか微妙になります。
ピクニックに行くのであればナイフ程度で足りそうです。もし出刃包丁を持っていくのであれば、出刃包丁しかなかったことや、出刃包丁でないと切れないものが存在したことを証明することになるでしょう。
このように、なぜそれを持ち出したのかをしっかりと説明できれば、正当な理由の証明はそこまで難しいものではありません。
所持と携帯の違い
法律上、「所持」とは、支配の意思をもって事実上の支配が及んでいる状態をいいます。
難しいので簡単に例を挙げると、仕事のために会社にいたとしても、自宅にある家電や家具に対しては、自分の所有物として支配する意思も当然及んであり、なおかつ自宅という基本的に簡単に入ることができない空間において保管されているので事実上の支配も及んでいるといえるので、「所持」が認められます。
「携帯」とは、直接手に持ち、あるいは身体に帯びる等し、これを直ちに使用し得るという支配状態で身辺に置くことをいいます。
具体的には手に持っているカバンの中にカッターを入れている場面や、運転している車の中にナイフを置いている場面が考えられます。
銃刀法の最新規制と改正ポイント
銃刀法は、最近でいうと2024年6月と2025年3月に改正されています。
具体的には、電磁石銃の所持規制や、拳銃などの不法所持の罰則強化が盛り込まれることとなりました。
また、拳銃等の不法所持や、人の生命、身体又は財産を害する目的での拳銃等以外の銃砲等の不法所持を、公然と、あおり、またはそそのかす行為についても処罰対象になっています。
さらに、ハーフライフル銃についても規制が及ぶことになりました。
これらが改正されることとなった経緯には、自作銃やハーフライフルを使った殺人事件や、ネットの書き込みによって銃の所持を唆す行為が増加してきたという背景があります。
今度も、事件があれば規制の対象が増えていくものと思われます。
2024年の法改正の変更内容
上記のとおり、銃刀法では、過去に起きた凄惨な事件をきっかけに規制対象が拡大しております。
2024年には、元総理襲撃事件やハーフライフル銃を使用した事件をきっかけとして、インターネット等で鉄砲等の所持をあおる行為が規制対象となり、ハーフライフル銃についても規制が強化されることとなりました。
インターネット取引の規制内容
インターネットで拳銃等を販売した場合においても、銃刀法違反となります。
当然ですが、それを購入し所持するに至った場合も銃刀法違反となります。
そのほか、インターネットで銃砲等の作成方法を公開している場合や、インターネット販売を促進させるために銃砲等の所持をそそのかしている場合にも銃刀法違反となります。
昨今、インターネット上で色々な物が便利で購入できるようになりましたが、中には悪質なサイトもあり、許可を得ているなど噓をついて拳銃等を販売するケースもありますので、十分に注意しましょう。
罰則強化の具体例
上記で挙げたように、インターネット上で銃砲の作成方法を指南していたりすると銃刀法違反となります。
また、ハーフライフルや電磁石銃が規制対象となります。
これらを所持していた人は、法改正によってこれらを所持できなくなりますので、その場合には最寄りの警察署に連絡をし、引き取ってもらうようにしましょう。
銃刀法違反で逮捕された場合の対応方法
銃刀法違反で逮捕された場合、後述するように調書にサインをしないことや、黙秘をすることも考えられます。
それは、たとえ自分が銃刀法に違反した認識がある場合でも変わりありません。
しかし、実際には黙秘せずに供述調書にサインしてもよい場合があります。
どうすればよいのかは具体的事案によって異なりますので、逮捕された場合は弁護士を呼ぶように告げ、弁護士に相談するようにしましょう。
逮捕直後の具体的な行動
逮捕された後、警察官からの取調べが行われます。事実自体に間違いがなく、調書にもそのように記載されているのであれば、調書にサインをしてもかまいません。
しかし、自分が不利になるように調書が作成されていることに気が付かないケースや、そもそも自分の認識と異なることが調書に残ってしまうケースもありますので、調書にサインするかどうかは慎重に判断すべきです。
そのため、逮捕直後は弁護士を呼ぶように告げ、早い段階で弁護士に相談するようにしましょう。
弁護士相談のベストタイミング
銃刀法違反については現行犯逮捕等が想定されます。そのため、弁護士相談のタイミングとしては、警察から捜査の対象とされたときにできる限り早く、というのが正解でしょう。
また、逮捕された方の接見については、逮捕された人以外であっても依頼することができます。
そのため、身近な人が逮捕された場合は、弁護士に相談してみましょう。
示談による減刑の可能性
銃刀法違反は示談する相手がいません。そのため、そもそも「示談」という概念がありません。
したがって、銃刀法違反で逮捕されてしまった場合は、示談によって起訴される可能性を下げることは考えられません。
銃刀法に関するよくある疑問と回答
「銃」と聞いてピンとくるものとして、「エアガン」や「モデルガン」などがあげられます。実は、それらについては所持の禁止はされていません。
しかし、「模擬拳銃」に該当する場合には、たとえエアガンやモデルガンであったとしても所持することはできません。
模擬拳銃とは、金属製のものであって拳銃に著しく似ているものをいいます。
また、観賞用に所持することの可否については、後述します。
合法的な所持・運搬の具体例
狩猟等の目的があり、許可を受けている場合には、猟銃等の所持も許されます。クレー射撃の選手なども同様です。
また、警察官が拳銃を携帯しているように、職務によってそれらの所持が許されている場合があります。
また、銃砲刀剣類の運搬については、「銃砲刀剣類登録証」を取得したうえ、それとともに運搬することが許されます。
ただし、刀剣類とわからなくする必要もありますので、不安であれば最寄りの警察署等に確認してみましょう。
職務上の所持に関する規定
上記のとおり、警察官は警察法上、拳銃の所持が認められています。
また、自衛官については自衛隊法で銃刀法の規定は適用しないこととなっております。
そのほか、法律等において例外的に銃砲刀剣類の所持を許されている場合は、銃刀法の例外として所持が許されることになります。
このように、職務上銃砲刀剣類の所持が必要である職業については、銃刀法の例外として扱われることになっています。
観賞用・収集品の取扱いルール
基本的に、上記の銃砲刀剣類に該当する場合は、許可などの権限がない限り所持が禁止されています。
ただし、美術品として認められるものについては、各都道府県の教育委員会に登録し、「銃砲刀剣類登録証」を取得することができれば例外的に所持することが可能となります。
その場合であっても、「銃砲刀剣類登録証」と常に一緒に保管しておくなどの対応を心がけましょう。
逮捕後の具体的な流れ
銃刀法違反を理由として逮捕されてしまった場合は、すぐに弁護士を呼びましょう。
逮捕後はそれに続く勾留をされてしまう可能性があり、勾留は10日間、延長されると最長20日間に及びます。
逮捕に続く勾留について、弁護士に相談することで阻止できるケースもあります。
また、検察官によって起訴されることを防ぐ活動ができることがあります。
逮捕後は迷わず弁護士に相談をしてください。
また、ご家族が逮捕等されてしまった場合でも、同様にすぐに弁護士に相談するようにしましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。銃刀法違反について解説してきましたが、意外だと感じることも多かったのではないでしょうか。
特に刃物の携帯については誰しもが注意する必要があることです。銃刀法違反について理解できれば、それを理由に逮捕等されることを防ぐことができます。
もし銃刀法違反で逮捕等をされてしまった場合には、すぐに弁護士に相談し、今後の対応を検討しましょう。
- 得意分野
- 不貞慰謝料 、 離婚 、 刑事事件 、 遺産相続 、 交通事故
- プロフィール
- 東京都出身 青山学院大学法学部 卒業 都立大学法科大学院 修了