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更新日: 弁護士 宮地 政和

刑務所生活の実態とは?1日のスケジュールやいじめ等のリアルを解説

刑務所生活の実態とは?1日のスケジュールやいじめ等のリアルを解説
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家族や友人など身近な人が刑務所に入っていると、どのような生活を送っているのか、気になる方も多いのではないでしょうか。

また、現在捜査を受けている人も、もし実刑になったら、と不安を覚えている方もいらっしゃると思います。

今回は、刑務所内での生活環境について、内部での環境や規則、平日・休日それぞれのスケジュール等について解説します。

刑務所生活の基本とは?

刑務所生活の基本とは?

刑務所は、刑事裁判で拘禁刑などの判決を受けた人が主に収容される施設です。

2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑は「拘禁刑」に一本化されました。拘禁刑では、受刑者の改善更生を図るため、それぞれの特性に応じて必要な作業や指導が行われます。

基本的には厳格な規則に基づいた生活を送ることになり、自由は相当程度制約されると考えてよいでしょう。

生活に必要な衣類や食事などは提供されますが、施設内の規則に従って生活することが求められます。

参考:刑事施設(刑務所・少年刑務所・拘置所)(法務省)
https://www.moj.go.jp/kyousei1/kyousei_kyouse03.html

受刑者の権利と義務について

受刑者については、管理栄養士の監修のもと食事が提供される等、健康的な生活を送るための基盤は確保されます。

また、自由時間では、時間などは限られますが、読書やテレビ観賞等も認められており、最低限の文化的な生活を送ることは可能といえるでしょう。

他方、刑務所の目的は、あくまで教育、更生を図る点が中心となるので、受刑者にもそれに応じた義務が課されます。

拘禁刑では、すべての受刑者に一律に作業を行わせるのではなく、個々の特性に応じて、改善更生のために必要な作業や指導が行われます。

また、刑事収容施設法103条に基づき「改善指導」が実施されています。改善指導には一般改善指導と特別改善指導があり、特別改善指導として薬物依存離脱指導や性犯罪再犯防止指導などが行われています。

刑務所内での規則と罰則

刑務所内では、決められたタイムスケジュール通りに生活をすることが要求されます。

細かな時間は刑務所によっても異なりますが、多くの場合、平日は7時前には起床して8時頃に作業を開始し、休憩や昼食をはさんで夕方まで刑務作業を行う、というパターンが多いようです。

このほか、刑務所内での生活に当たっては、私語の禁止や服装等の風紀についても、厳しい規則が定められている場合が多いです。

こうした規則に違反したり、職員の指示に従わなかったりした場合には、懲罰の対象となることがあります。

違反の内容や程度に応じて、戒告、書籍等の閲覧停止、報奨金計算額の一部削減、一定期間の閉居などの懲罰が科される場合があります。刑事収容施設法150条では懲罰の要件が、151条では受刑者に科される懲罰の種類が定められています。

参考:生活の心得(受刑者用)【山形刑務所】
https://www.moj.go.jp/content/001422167.pdf

刑務所の1日のスケジュール

刑務所の1日のスケジュール

刑務所では、起床、食事、刑務作業、点検、就寝などの時間が細かく決められています。

平日は刑務作業を中心に生活し、休日は居室内で過ごす時間が長くなるのが一般的です。ここでは、府中刑務所の例を基に、平日と休日のスケジュールを紹介します。

なお、具体的な時間や生活上のルールは、収容されている施設によって異なる場合があります。

平日のタイムスケジュール

平日は、午前6時45分頃に起床し、清掃や洗面、点検、朝食を済ませた後、午前8時頃から刑務作業を開始します。

作業は昼食や短い休憩を挟みながら夕方まで続きます。作業終了後は居室に戻り、点検や夕食を済ませ、午後6時頃から余暇時間となります。

時間 主な行動
6:45 起床
6:45~7:05 清掃・整頓・洗面・点検
7:05~7:35 朝食
7:35~8:00 作業場への移動
8:00頃 刑務作業開始
9:50~10:00 休憩
12:00~12:20 昼食
14:30~14:40 休憩
16:40頃 刑務作業終了
16:40~17:00 入室・点検
17:00~17:30 夕食
17:30~18:00 居室清掃など
18:00~21:00 余暇時間・仮就寝
21:00 就寝

余暇時間には、認められた範囲でテレビを観たり、本を読んだり、手紙を書いたりできます。ただし、就寝後の会話や読書などは禁止されており、消灯後は静かに過ごさなければなりません。

休日の過ごし方と自由時間

休日は、平日よりも起床時間が遅く、刑務作業も原則として行われません。府中刑務所の例では、平日の起床が午前6時45分であるのに対し、休日は午前7時20分となっています。

時間 主な行動
7:20 起床
7:20~7:40 清掃・整頓・洗面・点検
7:50~8:10 朝食
朝食後~12:00頃 余暇時間
12:00~12:30 昼食
昼食後~16:30頃 余暇時間
16:30~16:40 点検
16:40~17:10 夕食
17:10~18:00 居室清掃など
18:00~21:00 余暇時間・仮就寝
21:00 就寝

休日の余暇時間には、読書、手紙の作成、テレビ鑑賞などが認められることがあります。ただし、自由時間であっても一般社会の休日のように自由に外出したり、好きな人と連絡を取ったりすることはできません。

会話や娯楽に関するルールも施設ごとに定められており、基本的には職員の指示や所内規則に従って過ごします。

刑務所での食事メニューとは?

刑務所では、管理栄養士などが栄養バランスやカロリーを考慮した献立を作成し、原則として1日3回の食事が提供されます。

主食には米と麦を混ぜた麦飯が出されることが多く、紹介されている例では、米7に対して麦3程度の割合とされています。ただし、米と麦の割合や献立は施設によって異なります。

食事の量は全員が同じとは限りません。年齢や性別、健康状態のほか、担当する刑務作業の強度などに応じて、主食の量が調整されることがあります。立ち仕事や体力を使う作業を担当する受刑者には、座って行う作業の受刑者よりも多くの食事が提供される場合があります。

また、正月やクリスマスなどには、普段とは異なる献立や菓子類が提供されることもあります。自由に食べ物を購入できない受刑者にとって、行事に合わせた特別メニューは、数少ない楽しみの一つといえるでしょう。

刑務所の居住環境と人間関係のリアル

刑務所の居住環境と人間関係のリアル

刑務所では、刑務作業をしている時間以外の多くを居室で過ごします。共同室に収容された場合は、複数の受刑者が限られた空間で長期間生活しなければなりません。

一人になれる時間や場所がほとんどなく、生活上の細かなルールも定められているため、受刑者同士の人間関係が大きなストレスになることがあります。

居室の広さと設備について

刑務所の居室には、大きく2種類あります。

1人で使用することを前提とした「単独室」と、複数人で使用する「共同室」です。

居室はランダムに割り当てられるわけではなく、処遇上の必要性や心身の状況、ほかの受刑者との関係などを踏まえて施設側が決定します。そのため、本人が自由に単独室や共同室を選べるわけではありません。法務省の受刑者の処遇調査に関する運用でも、共同室・単独室などの居室配置について個別に留意事項を定める仕組みが設けられています。

受刑者同士の人間関係やいじめ問題

共同室では、生活習慣や性格、年齢、刑期などが異なる受刑者が同じ空間で生活します。一般社会のように、苦手な相手と距離を置いたり、自由に部屋を移ったりすることはできません。

刑務所内では受刑者同士に公式な上下関係はありませんが、収容された時期や刑務所での経験、周囲への影響力などによって、事実上の力関係が生まれる場合があります。

ささいな生活音や態度、掃除の方法などがトラブルのきっかけとなり、無視、嫌がらせ、脅し、物品の取り上げ、暴力などに発展する可能性もあります。閉鎖された環境では被害を周囲に相談しにくく、報復を恐れて被害を申告できないケースも考えられます。

もっとも、すべての刑務所や共同室でいじめが起きているわけではありません。受刑者間の暴力や嫌がらせは規則違反であり、内容によっては懲罰や刑事事件の対象となります。

刑務所内の性に関する問題と性的被害

刑務所では共同生活を送ることもあり、受刑者同士の人間関係をめぐってさまざまな問題が生じる可能性があります。

性的指向や同性に対する恋愛感情そのものが問題となるわけではありません。注意が必要なのは、相手の意思に反する性的な嫌がらせや身体への接触、暴力などです。

こうした行為が施設内の規則に違反した場合には懲罰の対象となる可能性があり、行為の内容によっては刑事事件となることもあります。

刑務作業の内容と報酬について

2025年6月1日の改正刑法施行により、懲役刑と禁錮刑は拘禁刑に一本化されました。

拘禁刑では、従来の懲役刑のようにすべての受刑者へ一律に所定の作業を課すのではなく、改善更生を図るため、受刑者の特性に応じて必要な作業や指導を行う仕組みとなっています。

作業を行った受刑者には「作業報奨金」が支給されます。報奨金の計算額は、作業の種類や内容、必要となる知識・技能の程度、作業成績などを考慮して算出され、原則として釈放時に支給されます。一定の場合には、在所中に日用品の購入や家族の生計援助などに使用することも可能です。

なお、作業報奨金の計算と、面会や手紙の発信回数などに関係する「優遇区分」は別の制度です。優遇区分は第1類から第5類まであり、受刑態度などに応じて指定されます。

刑務所での教育プログラムとは?

刑務所は、所内生活を通じて犯罪の責任を自覚させ、再犯を防ぐことを目的としています。

そのため、刑務作業だけでなく、こうした目的に従ったプログラムも用意されています。

まず、「改善指導」があります。

これは、都度指示される日程に従い、1日8時間以内の時間で、犯罪の責任を自覚し、健康な心身を培い、社会生活に適応するために必要な知識や生活態度を習得するために行われる指導です。

さらに、薬物事犯や性犯罪等の特定分野の犯罪に関しては、その分野に特化した改善指導が行われることもあります。

このほか、日常生活全般における事項についても指導を行う、集団行動訓練や生活指導目標といったものも存在します。

いずれのプログラムも、出所後に再犯をせず、自立して生活を送れることを目標として用意されているわけです。

女子刑務所での生活の特徴とは

女子刑務所での生活の特徴とは

女子刑務所でも、起床、点検、食事、作業・指導、就寝など、基本的な生活時間は施設の規則に基づいて管理されています。

一方、女性受刑者が抱える課題に対応するため、女子刑務所では医療・福祉の専門家と連携した支援や、依存症からの回復支援、女性受刑者特有の課題に対応する処遇プログラムなども実施されています。

なお、入浴については男女を問わず、法務省令上は原則として1週間に2回以上とされています。実際の回数や時間は施設の運用などによって異なるため、「女子刑務所では週3回・1回20分」などと一律に記載するのは避けたほうがよいでしょう。

刑務所生活の気になるQ&A

ここでは、スマートフォンの使用や刑務所内での楽しみなど、刑務所生活について気になる疑問に回答します。

刑務所の中でスマホやパソコンは使える?

刑務所内では、私物のスマートフォンやパソコン、タブレットなどを持ち込んで使用することはできません。

そのため、インターネット検索や動画視聴、SNS、メール、オンラインゲームなどを自由に利用することも不可能です。家族や友人など外部の人との連絡は、主に手紙や面会によって行われ、一定の要件を満たす場合には電話による通信が認められることもあります。

なお、職業訓練や教育の一環として、施設が管理するパソコンを職員の監督下で使用するケースはあります。ただし、インターネットやSNSを私的に利用できるわけではありません。

日常的にスマートフォンを使用している人にとっては、必要な情報をすぐに調べたり、身近な人へ自由に連絡したりできないことも、刑務所生活の大きな辛さとなるでしょう。

刑務所ではお風呂にどれくらい入れるの?

刑事施設では、法務省令上、収容開始後速やかに、かつ原則として1週間に2回以上、入浴の機会を設けることとされています。実際の入浴回数や時間は施設や季節などによって異なり、週2~3回、1回15分程度とする運用例もあります。

また、男子受刑者のひげそりについても、原則として1週間に2回以上行わせることが法務省令で定められているため、「入浴時にしかできない」と一律に説明するのは適切ではありません。

運動や、髪を切ることはできるの?

運動は、就業日に30分行うのが原則とされています。

髪を切ることも、概ね1か月に1回できますが、髪型は、原則として原型刈りか前五分刈りという、丸刈りにかなり近いスタイルに限定されます。

刑務所内の温度管理はどうなの?

刑事施設の居室については、適切な換気や採光、保温などのための構造・設備を設けることが求められています。

ただし、すべての居室に冷房設備が整っているわけではありません。刑事施設視察委員会から、夏季のエアコンや扇風機の不足、熱中症対策などについて改善を求める意見が出された例もあります。

そのため、「暑さや寒さで不快に感じることはない」と一概にいうことはできず、とくに夏季は施設や居室の設備によって暑さが負担となる場合があります。

刑務所内で楽しいと感じることはある?

刑務所は刑罰を受けながら更生を目指す場所であり、基本的には自由が制限された辛い環境です。多くの受刑者にとって、楽しい、快適だと感じられる場所ではないでしょう。

一方で、厳しい生活の中でも、テレビや読書、囲碁・将棋などのクラブ活動、運動会などの行事を楽しみにする受刑者もいます。

また、正月や季節の行事に提供される特別な食事、月に数回食べられる菓子なども、日常の小さな楽しみになることがあります。ただし、これらの内容や実施の有無は施設によって異なります。

まとめ

まとめ

刑務所では、起床や食事、作業・指導、余暇、就寝などの時間が定められており、外部との連絡や所持品などについても一定の制限があります。

また、2025年6月1日から拘禁刑が導入され、受刑者一人ひとりの特性に応じて作業や指導を組み合わせ、改善更生や社会復帰につなげる処遇が行われています。

家族や身近な人が刑務所に収容されている場合には、こうした生活環境や面会・手紙などの制度を理解しておくことで、今後の支援を考えやすくなるでしょう。

また、現在捜査や裁判を受けており、実刑判決や刑務所への収容に不安を感じている場合には、早い段階で弁護士へ相談し、今後の見通しや対応について確認することが重要です。

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執筆者 弁護士宮地 政和 第二東京弁護士会 登録番号48945
弁護士登録後、都内の法律事務所に所属し、主にマレーシアやインドネシアの日系企業をサポート。その後、大手信販会社や金融機関で信販・クレジットカード・リース業務に関する法務やコンプライアンス、プロジェクトファイナンスなどの経験を積む。これらの経験を活かし、個人の法的問題に対し、専門的かつ丁寧に対応しています。
得意分野
不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 刑事事件 、 遺産相続 、 交通事故
プロフィール
岡山大学法学部 卒業 明治大学法科大学院 修了 弁護士登録 都内の法律事務所に所属 大手信販会社にて社内弁護士として執務 大手金融機関にて社内弁護士として執務
書籍・論文
『スタートアップの法務ガイド』中央経済社
『スタートアップの人事労務ガイド』中央経済社

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