再逮捕とは?流れや執行猶予との関係を解説
全国20拠点以上!安心の全国対応
初回相談0円
記事目次
再逮捕とは?再逮捕の仕組みを紹介
再逮捕とは、一度逮捕した人を、釈放後や勾留中に再度逮捕することをいいます。
①同じ事件で再度逮捕するケースと②別の事件で再度逮捕するケースがあります。
今回は、再逮捕とは何か、再逮捕の流れや仕組み等について解説します。
同一の被疑事実での再逮捕は禁止されている?
逮捕というのは、ある事件(被疑事実といいます)の犯人であるとの嫌疑が生じた時、逃亡や証拠隠滅を防ぐため、一時的に身柄を強制的に拘束する手続きのことをいいます。
逮捕されると、警察署の留置場に拘束されます。
このように、逮捕は強制的に身柄を拘束し、その人の自由を奪いますので、同じ事件で何回も繰り返し行われることは許されていません。
すなわち「一罪一逮捕一勾留の原則」があり、同一の被疑事実での再逮捕や再勾留は、原則禁止とされています。
再逮捕や別件逮捕は行われる
既に解説した通り、同一の被疑事実での再逮捕や再勾留は原則禁止されていますが、「再逮捕」というニュースを聞いたことがあると思います。
このニュースでよく聞く「再逮捕」というのは、同じ事件ではなく、別の事件での再逮捕を指していることが大半です。先に述べた②のケースです。
なお、刑事訴訟法での再逮捕とは、現行犯逮捕で被疑者の身柄を拘束したものの、逮捕に必要な要件を満たしていなかったため勾留の許可が下りず、改めて緊急逮捕などで逮捕しなおすことを指しますが、ケースは多くありません。
そのため、以下では、一般的にいわれている別の事件での再逮捕について、その流れ等を解説します。
逮捕から再逮捕までの流れ
再逮捕のタイミングは、別事件の発覚のタイミングや捜査状況などによって異なりますが、一般的には、先に逮捕されている事件の勾留期間が満了した日に、別の事件で逮捕するというケースが多いように思います。
先の事件の勾留期間満了までに、検察官は、さおの事件を起訴か不起訴にするか、処分保留で釈放するかを決めます。
仮に処分保留で釈放となっても、別事件で再逮捕される場合は、留置場の出口等で再度逮捕されてしまうので、拘束が続きます。
1つ目の被疑事実で逮捕
逮捕から再逮捕までの流れですが、まず、1つ目の被疑事実で逮捕されると、その被疑事実についての捜査が行われます。
そして警察は、被疑者を逮捕してから48時間以内に、検察庁に事件を送ります。
検察による24時間以内の捜査と最大20日の勾留
警察から検察に送致されると、続いて、検察官による捜査が行われます。
しかし、検察官は、24時間以内に、逮捕に引き続いて勾留するかを決めなければなりませんので、捜査といっても、基本的には、警察の捜査内容を確認することや被疑者の取り調べをすることが主なものでしょう。
捜査の結果、勾留が必要であると判断すれば、検察官は裁判所に勾留請求を行い、裁判所が勾留が相当であると認めると、最大20日間、身体拘束が続きます。
2つ目の被疑事実の発見と逮捕状の作成
1つ目の被疑事実の捜査の過程等で2つ目の被疑事実が明らかになった場合、再逮捕の可能性が生じます。
捜査の結果、逮捕が必要であると捜査機関が判断すれば、1つ目の被疑事実の逮捕・勾留と同時進行で、2つ目の被疑事実の逮捕状を用意します。
具体的には、裁判所に2つ目の被疑事実についての逮捕状の発布を申請します。
そして、裁判所が許可し逮捕状を発布すると、2つ目の被疑事実での逮捕が可能となります。
2つ目の被疑事実で再逮捕
裁判所が2つ目の被疑事実についての逮捕状を発布すると、捜査機関は、2つ目の被疑事実で逮捕、すなわち再逮捕します。
再逮捕後の流れ
再逮捕後は、先の逮捕手続きと同じ流れが繰り返されることとなります。
再勾留までされると、再逮捕に続き最大20日間の拘束が続きます。
そして、1つ目の逮捕・勾留から数えると、最大合計46日間もの長期間にわたって身体拘束が続いてしまうのです。
再逮捕は何回までなのか
再逮捕に回数の上限はありません。
例えば複雑な殺人事件で、まずは死体遺棄罪で逮捕し、その逮捕勾留中に殺人罪の捜査を進め、死体遺棄罪の勾留の後に殺人罪で再逮捕するということはよくあります。
ニュースで聞いたことも多いかと思いますが、この場合、想定される再逮捕は1回です。
他方、近時頻発する振り込め詐欺等のような組織的詐欺罪の場合、複数回事件に加わっていることが多いです。
その場合、再逮捕の回数の上限はないため、被害者の数だけ再逮捕・再勾留が繰り返されることもあり得ます。
再逮捕中は保釈請求をすべきでない
起訴後に身柄の拘束を解く手続きとして、保釈があります。
保釈とは、一定のお金(保釈金と言います)を裁判所に納めること等を条件に、勾留の執行を停止し、身体拘束を解く制度です。
保釈金は、裁判所からの呼び出し等に応じて最後まで裁判に出席すれば、たとえ実刑判決になっても全額返金されます。
そのため、余罪がなく再逮捕が想定されない場合、起訴直後に保釈請求をするのが一般的です。
しかし、再逮捕が予想される場合、1つ目の被疑事実の起訴後に保釈が認められても、2つ目の被疑事件で再逮捕されれば、1つ目の被疑事実の保釈に関係なく、再び身柄が拘束されてしまいます。
1つ目の被疑事実の保釈の際に収めた保釈金も、1つ目の裁判が終わるまで戻ってきません。
そのため、再逮捕が想定される場合には、今後再逮捕がないということを検察官に確認したうえで、保釈請求をすることが良いでしょう。
再逮捕と執行猶予の関係
再逮捕されると執行猶予がつかないのではないかと心配されるかもしれません。
しかし、再逮捕されても、かならず再逮捕された被疑事件で起訴されるとは限りません。
仮に先に逮捕された事件で起訴されても、再逮捕された被疑事件で不起訴になれば、裁判が行われるのは、先の事件だけです。
そのため量刑事情で考慮されることはありますが、一概に執行猶予の可能性がないわけではありません。
他方、再逮捕の被疑事実でも起訴されると、罪が重くなることは避けられません。
そのため、執行猶予の可能性は低くなります。
しかし、事件の内容にもよりますので、まずは弁護士に相談しましょう。
再逮捕が行われるのはどのような場合?
ここまで再逮捕の意味や流れについて解説しましたが、実際、再逮捕はどのような場合に行われるのでしょうか。
捜査過程で発見された余罪での逮捕
捜査の過程で別の犯罪も行っていると分かった場合、再逮捕される場合があります。
例えば、窃盗事件の捜査中に、家宅捜索で別の店舗での盗品が見つかり、その店舗の被害届の品と一致した場合等が考えられます。
重罪の場合
例えば、殺人事件が発生したときに、先に死体遺棄罪で逮捕することがあります。
これは、死体遺棄罪と殺人罪で同時に逮捕してしまうと、被疑者を身体拘束して取り調べる時間が短くなるので、殺人の捜査を慎重に行うため、ひとまず証拠の固い死体遺棄容疑で逮捕しておこうとする意図が捜査機関にあることが考えられます。
このように殺人事件等の重大犯罪の場合、まずは証拠が固い被疑事実で逮捕を行い、その後関連する別事件で再逮捕するということがあります。
再逮捕の可能性が高い犯罪とは?
再逮捕の可能性は、事件の内容や捜査状況などにより異なりますが、一般的に再逮捕の可能性が高い犯罪について解説します。
覚せい剤などの薬物犯罪
覚せい剤の所持と使用は別個の罪とされています。
そのため、罪が複数となり、再逮捕の可能性が高い犯罪類型です。
例えば、職務質問を受け、所持していた薬の簡易鑑定の結果、覚せい剤の陽性反応がでると、覚せい剤所持の罪で逮捕されます。
その後の捜査で尿検査等が行われ、尿から覚せい剤の鑑定結果がでると、所持に続き覚せい剤の使用の罪で再逮捕されるということです。
長期間にわたる業務上横領罪
業務上横領とは、業務上会社から預かっている会社のものを、無断で自分のものにしてしまうことです。
例えば、会社の経理担当者が、会社のお金を勝手に引き出したり、自身の口座に送金するなどして私的に着服するというケースが典型的です。
このような業務上横領は、1回で会社に明らかになるケースは少なく、長期間にわたってなされてしまうことが多いため、再逮捕の可能性が高い犯罪類型となります。
振り込め詐欺などの詐欺罪
振り込め詐欺やオレオレ詐欺などの犯罪は、「受け子」「出し子」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、多くの者が役割分担をして行う組織的犯罪です。
組織的犯罪の場合、複数回犯罪が行われ、被害者が別であることが大半です。
そのため、被害者ごとに再逮捕が行われる可能性が高いです。
振り込め詐欺などの組織的犯罪の場合、警察は、組織を根本から撲滅するため、余罪を含め徹底的に捜査しますので、再逮捕が繰り返されることが多いです。
そのため、振り込め詐欺などの組織的詐欺罪は、再逮捕の可能性が高い犯罪類型といえます。
再逮捕を回避することはできる?回避方法を紹介
弁護士の力を借りよう
これまで解説してきた通り、再逮捕が続くと、身体拘束期間も長くなります。
逮捕・勾留は、そもそも逮捕・勾留される人の自由を強制的に奪う手続きのため、最長23日間という期限が定められています。
しかし、再逮捕されると、結局身体拘束期間は長くなります。
1回再逮捕がなされると、最初の逮捕・勾留も合わせ最長1か月以上の身体拘束となります。
1か月以上もの間、留置施設に勾留されることは、精神的にも肉体的にもつらい状況ですし、それだけでなく仕事等も辞めざるを得なくなるでしょう。
そのため、再逮捕について何か不安がある場合は、すぐに弁護士に相談しましょう。
もしご自身が逮捕されてしまった場合は、当番弁護士や国選弁護人を利用して、弁護士を呼びましょう。
またご家族やご友人が逮捕されてしまった場合でも、再逮捕の可能性が高い犯罪かもしれませんので、今後の流れを確認するため、速やかに弁護士に相談しましょう。
それぞれの犯罪事情を踏まえ、弁護士のアドバイスを受けることができます。
まとめ
今回は、再逮捕について、その仕組みや流れ等について詳しく解説しました。
繰り返しになりますが、再逮捕がなされると身体拘束が長期間となります。
覚せい剤や振り込め詐欺等の再逮捕がされやすい犯罪類型も存在します。
そのため、再逮捕が予測される事件については、刑事事件に精通した弁護士に依頼をして、今後の見立てについて説明を受けた方が良いでしょう。
東京スタートアップ法律事務所では、数多くの刑事事件を取り扱っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
- 得意分野
- 一般民事
- プロフィール
- 名古屋大学法学部法律政治学科 卒業 名古屋大学法科大学院 修了 弁護士登録 都内法律事務所 勤務 東京スタートアップ法律事務所 入所