傷害で逮捕されたら?その後の流れ・逮捕されないために出来ることを解説
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記事目次
傷害事件を起こしてしまった際は、「逮捕されるのだろうか」「逮捕後の流れはどうなっているのだろうか」「早期に釈放される可能性はあるのだろうか」など、いろいろと気になるのではないでしょうか。
傷害事件は、日常の些細なトラブルから起きる可能性があります。
典型的な例は、友人や知人と飲酒した上で口論となり、殴る蹴るなどの暴行を加え、怪我を負わせるケースです。
また、集合住宅での騒音やペットなどを巡る近隣トラブルがエスカレートして、怪我を負わせてしまうことも珍しくありません。
傷害事件では怪我の程度などにより逮捕されないケースもあります。
また、被害者との示談を成立させることにより早期釈放される場合もあります。
今回は、傷害事件の定義、傷害事件で逮捕された場合の流れ、逮捕されないために出来ることなどについて解説します。
傷害事件の逮捕の種類
傷害事件の逮捕には、現行犯逮捕と後日逮捕の2つの種類があります。
それぞれの種類について説明します。
1.現行犯逮捕
現行犯逮捕とは、傷害事件が発生した直後に警察官が犯人を現行犯として逮捕することです。
警察官が事件現場に駆けつけ、犯行を確認した場合に行われます。
法律上、「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」とされています(刑事訴訟法第213条)。
傷害事件の場合は、被害者や目撃者、あるいは通報によって現場に駆けつけた警察官に逮捕され、そのまま警察署に連行されるのが一般的です。
2.後日逮捕
後日逮捕(正確には「通常逮捕」といいます)とは、傷害事件が発生した後、警察が裁判所に逮捕状を発行してもらい、それに基づいて事件後日に加害者を逮捕することを指します。
後日逮捕は警察が行うものであり、一般人が行うことはできません。
裁判所は、警察の請求を審査し、逮捕状の発行を決定します。
逮捕状が発行されると、警察はそれを手に入れ、特定の日時に加害者を逮捕します。
この日時は、警察と裁判所の間で調整され、一般的には事件発生後数日から数週間の間に設定されます。
逮捕の時期については、捜査の進み具合によって変わるので、一概に目安はありませんが、単純な傷害事件であれば、1ヶ月以内、関係者が多数存在する複雑な事件であれば半年から1年かかることもあります。
傷害事件で逮捕されるケースとは
傷害事件では、犯行現場を目撃された場合は現行犯逮捕される可能性があります。
また、傷害事件の容疑が固まれば、数日後に逮捕されるケースも珍しくありません。
防犯カメラの映像や目撃者がスマホなどで撮影した動画などから、警察官が自宅を訪れ連行されるパターンもあります。
逮捕される可能性が高いケースについて説明します。
1.傷害の程度が重大である場合
一般的には傷害の程度が重大である場合に逮捕の可能性が高くなります。
具体的には、被害者の状態が重篤である場合や、長期間の治療や後遺症が予測されるような場合が該当します。
暴力行為によって相手が命にかかわるような重傷を負わせた場合は、逮捕される可能性が高いといえるでしょう。
2.逃亡のおそれがある場合
逃亡のおそれがある場合、警察は犯人を早急に逮捕するために動きます。
そのため、逃亡の可能性が高い場合は、逮捕される可能性が高いといえるでしょう。
逃亡の前兆としては、犯行直後に現場から逃げる様子や、身元を偽る行為、海外への逃亡の準備などが挙げられます。
このような行動が見られる場合、警察は迅速に対応し、逮捕に踏み切ることがあります。
3.証拠隠滅の可能性が高い場合
証拠隠滅の可能性が高い場合も、逮捕される可能性が高いといえます。
証拠隠滅とは、犯行の証拠を隠蔽するために行われる行為のことをいいます。
具体的には、物的証拠の破壊や隠匿、関係者の脅迫や買収などが該当します。
警察はこれらの行動に対して警戒し、証拠を確保するために迅速に逮捕に踏み切ることがあります。
4.加害者が容疑を不合理に否認している場合
加害者が容疑を不合理に否認している場合も、逮捕の可能性が高くなります。
不合理な否認とは、複数の関係者の証言や、明確な証拠があるにも関わらず、容疑を否認することを指します。
このような場合、警察は裁判所に逮捕状を請求した上で、後日逮捕に移る必要があります。
裁判所は証拠や関係者の証言を総合的に判断し、逮捕状の発行の是非を検討します。
5.共犯者が多数存在する場合
傷害事件では単独の加害者だけでなく、共犯者が多数存在する場合もあります。
共犯者が存在する場合、逮捕の対象は加害者だけでなく、共犯者も含まれます。
共犯者の特定や逮捕には、証拠や関係者の証言の集積が必要となる場合があります。
警察はこれらの情報を収集し、共犯者も含めた逮捕を行います。
傷害事件の逮捕までの期間
傷害事件の逮捕までの期間は、法律上の規定は特になく、事件の内容や捜査の進行状況によって異なります。
現行犯逮捕の場合は、事件が発生してから比較的早い段階で逮捕されることが多いです。
一方、後日逮捕の場合は、事件発生後数日から数週間の間に逮捕される場合もありますが、1〜3か月程度後に逮捕されるケースもあります。
傷害事件の刑罰
傷害事件の刑罰は「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」と規定されています。
ただし、加害者に有利な事由があれば、罰金の金額は減額されます。
例えば、被害者と示談が成立し、損害の賠償を行なっている場合や被害者の処罰感情が強くない場合などが挙げられます。
罰金は、通常、検察官の請求により、略式裁判という書面のみによって審理を行います。
検察官の判断により、不起訴処分となるケースもあります。不起訴処分の場合は、罰金を科されることはありません。
傷害事件で逮捕されないために出来ること
傷害事件の嫌疑があったとしても、軽微な犯罪である場合や、逃亡や証拠隠滅のおそれがないと判断された場合は、後日逮捕されずに在宅事件として扱われます。
在宅事件とは、身柄拘束を受けずに通常の生活を送りながら捜査や裁判を受ける刑事事件のことをいいます。
在宅捜査になると、警察からの呼び出しには応じる必要がありますが、普段通り学校や会社に通うことが可能です。
捜査機関は、事件の重大性や被疑者の状況などを総合的に判断し、逮捕の必要性を検討します。
後日逮捕を回避して在宅事件にするためには、逃亡や証拠隠滅をしないこと、任意の取調べに応じることが重要です。
傷害事件で逮捕された場合の流れ・勾留期間の目安とは?
ここでは、傷害事件で逮捕された場合の流れについて解説します。
1.逮捕
現行犯逮捕か後日逮捕のいずれかになります。
後日逮捕については、検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができると規定されています(刑事訴訟法第199条)。
逮捕後72時間は、家族とも面会することができません。
逮捕される可能性がある場合、可能な限り早い段階で弁護士に相談して適切な対処ができるようにアドバイスを受けることが大切です。
2.検察官への送致(逮捕後48時間以内)
傷害事件で警察官が被疑者を逮捕した場合、48時間以内に、犯罪を立証するに十分な書類や証拠を揃えて、被疑者を検察官に送致するための送致手続きをしなければなりません。(刑事訴訟法第203条1項)
送致手続きを行わない場合は、被疑者を釈放することになります。
3.勾留請求(送致後24時間以内)
被疑者が送致された場合、検察官は勾留請求をするか否かの判断を行い、勾留請求する場合は、送致から24時間以内に裁判所に勾留請求を行わなければなりません。(刑事訴訟法第205条1項)
勾留請求を行わない場合は、被疑者を釈放することになります。
4.最大20日間の勾留
勾留請求が認められれば、10日間の勾留が行われ、勾留の延長請求を行う場合、裁判所が認めるとさらに10日間拘留されることになります。
この間、検察官は被疑者を起訴するか不起訴とするかの判断を行います。
5.起訴
起訴されると被疑者から被告人となり、刑事裁判が行われます。
6.刑事裁判
一般的には、起訴された日から約1か月後に1回目の公判が行われ、懲役か罰金刑のいずれかを言い渡されます。
判決で執行猶予が付いた場合、刑事施設に収監されることはありません。
公判手続を経ることなく、書面審理だけの略式手続きとなることもあります。
略式手続きとなった場合、罰金または科料が科されます。不起訴になった場合、前科はつきません。
未成年の傷害事件の流れ
14歳未満の場合は「触法少年」として、刑事責任は問われません。
ただし、一時保護所などで最長2か月間、身体拘束を受ける場合があります。
傷害事件について警察から児童相談所に通告され、指導や児童養護施設への入所等が決まります。
14歳以上は、逮捕から勾留の満期日まで警察署の留置場で過ごし、その後、少年鑑別所に移ります。
処分には保護観察や少年院送致等の保護処分、試験観察などがありますが、重大事件では刑事裁判で争う場合もあります。
重大事件や家庭裁判所で審判を受けさせる場合は、家庭裁判所に送致されます。
一方、触法少年(14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年)であっても事件の程度により、少年院送致となる可能性も否定できません。
傷害事件の治療費・示談金について
傷害事件の被害者が、加害者の刑事処分を望まないために被害届を取り下げるという意思を書面で示せれば、示談は成立します。
傷害事件の示談金の相場は、程度の軽いものであれば20万円〜150万円、後遺障害が残るような重いものであれば50万円〜200万円程度と幅があります。
示談金は治療費だけではありません。精神的苦痛に対する慰謝料も含まれます。
慰謝料の金額は、怪我の程度、通院・入院の期間、休業損害などを総合的に勘案した上で算出します。
休業損害とは、怪我の原因で仕事を休んだために減った期間の損害を補償するものです。
13歳未満の少年については、支払義務を負わないと考えられています。
しかし、中学生や高校生は「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えている」と解されています。
そのため、分割で支払うか、親が代わりに支払うことが多いです。
慰謝料請求権の時効は、傷害罪の損害及び傷害罪の加害者を知ったときから3年と規定されています。
傷害罪に関するよくある質問と回答
最後に傷害罪に関するよくある質問に回答します。
1.傷害罪は暴行罪とどのような違いがありますか?
暴行罪は、他人に暴行を加えた場合に成立する犯罪です。
暴行とは、相手方の身体に対する有形力の行使です。殴る・蹴る以外にも以下のような行為は「暴行」に該当します。
- 物を投げる
- 髪の毛を引っ張る
- 塩などをふりかける
- 脅すことを目的として室内で日本刀を振り回す
- 後続車両に対して進路妨害をする
傷害罪との違いは、暴行の結果、傷害が生じているかという点です。
暴行により、傷害が生じていない場合には「暴行罪」が成立します。
例えば、相手方を殴る・蹴るなどの暴行を加え、怪我を負わせるまでには至っていない場合は「暴行罪」となり、怪我を負わせてしまった場合は「傷害罪」が成立するのです。
暴行罪の刑罰は「2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留若しくは科料」(刑法第208条)と規定されています。
2.親しい友人に怪我を負わせた場合も傷害罪で逮捕されますか?
被害者が親しい友人だったとしても、傷害罪で逮捕される可能性はあります。
傷害事件というと、面識のない人に怪我を負わせるというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、傷害事件の被害者は面識のない人とは限りません。家族や親しい友人、会社の同僚や部下など面識のある人が被害者になるケースもあります。
関係性のある相手に怪我をさせた場合も傷害事件になるのです。
例えば、親しい友人との口論がきっかけで暴力を振るい、相手に怪我を負わせてしまうケースは珍しくありません。
感情の高まりや意見の対立などが、暴力行為につながることもあるのです。
また、押し倒す行為によって相手が怪我をするケースもあります。
力の差や体力の差がある場合、一瞬の出来事でも大きな怪我を負わせてしまうことはあります。
また、近年増加傾向にある夫婦間のDVでも怪我を負わせると傷害罪になる可能性があります。
軽い気持ちで暴力を振るい、結果的に怪我を負わせてしまった場合でも、傷害罪は成立します。
傷害罪の基準については、医師の診断書によって判断されることがほとんどです。
3.怪我ではなく精神的疾患を生じさせた場合も傷害罪は成立しますか?
PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの精神疾患を生じさせた場合も傷害事件となることがあります。
例えば、不法に被害者を監禁し、その結果,被害者が医学的な診断基準において特徴的な精神症状が継続して発現していることなどから精神疾患の一種であるPTSD(心的外傷後ストレス障害)の発症が認められた事件で、傷害罪が成立するとの判断が示された事例があります。(平成24年7月24日、最高裁判所第2小法廷決定)
4.傷害罪で逮捕された場合に早期に釈放される方法は?
傷害罪で逮捕されてしまい早期釈放を目指したいという場合は、弁護士に依頼して被害者との示談をスムーズに進めることが重要です。
示談が成立すれば、逮捕・勾留の途中で釈放される可能性があります。
早期釈放を目指すためにも、早めに刑事事件に精通した弁護士に相談しましょう。
まとめ
今回は、傷害事件の定義、傷害事件で逮捕された場合の流れ、逮捕されないために出来ることなどについて解説しました。
傷害事件とは、人の身体に傷害を負わせる事件を指します。
刑罰は「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」と規定されています。
傷害事件の示談金の相場は、程度の軽いものであれば20〜150万円、後遺障害が残るような重いものであれば50万円から200万円程度と幅があります。
傷害事件で逮捕されてしまい早期釈放を目指したい場合は、弁護士に依頼して、被害者との示談をスムーズに進めることが重要なポイントとなります。
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- ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
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- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設