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投稿日: 代表弁護士 中川 浩秀

窃盗の示談金の相場は?示談交渉のポイントを弁護士が解説

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「窃盗事件を起こしてしまい示談をしたいが、どのように進めればよいのだろうか」「示談金の相場はいくらくらいなのだろうか」などという疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

窃盗事件は、適切な示談交渉を行い、示談を成立させることで、起訴前なら不起訴処分となる可能性、起訴後なら減刑となる可能性を高めることにつながります。

今回は窃盗事件の示談金の相場や示談交渉のポイントについて解説します。

窃盗事件の示談金の相場

窃盗事件の示談金は10万円~50万円が相場です。

窃盗事件の示談金を決めるにあたって、事件の被害額(損害額)が基準とされます。

すなわち、被害額が大きければ大きいほど示談金は高くなる一方で、被害額が小さければ小さいほど示談金は低くなります。

上記の相場はあくまで目安であり、上記の範囲に示談金が収まるわけではありません。

また、窃盗事件の示談金は被害額のほか、犯行態様・回数、犯行により生じた実害、犯人と被害者との関係性、被害者の処罰感情などの諸要素にも左右されます。

たとえ、被害額が数万円程度だったとしても、被害者の処罰感情が厳しい場合には数十万円の示談金で合意せざるをえない場合もあります。

もともと示談とは、被害者との合意に基づく民事上の紛争解決手段であることから、加害者の一方的な意思で示談金を決めることができません。

被害者の合意を得られた金額が最終的な示談金になるので、示談交渉においてはいかにして被害者の合意を得られるかという点がポイントとなります。

窃盗事件とは

窃盗事件とは、刑法第235条に定められている窃盗罪に問われ得る事件をいいます。

刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

「窃取」とは、暴行・脅迫によることなく、自分以外の人の物を自分の支配下に移すことをいいます。

手口としては、万引き、スリ、置き引き、ひったくり、さいせん盗、自転車盗などがあります。これらの手口は全て窃盗罪に問われる可能性があります。

窃盗事件の発覚は被害者から警察への届出が端緒になることがほとんどで、被害届を受理した警察は犯人の特定や窃盗事件の証拠集めに向けて捜査を始めます。

窃盗事件の時効7年ですが、被害届の受理から数週間で発覚することもあれば、時効完成間際に発覚することもあります。

捜査機関に窃盗事件が発覚すると逮捕されることもあれば逮捕されないこともあります。

いずれにしても窃盗事件は警察から検察庁に送致され、検察官が事件を起訴するか不起訴にするかを判断します。

検察官に起訴され裁判所に有罪と認定されれば懲役(執行猶予の場合を含む)、あるいは罰金の刑を科されます。

一方、不起訴となった場合には刑事罰は科されません。

窃盗で示談するメリット

では、なぜ窃盗事件で示談した方がよいのでしょうか。窃盗事件で示談するメリットについて解説します。

1.刑事事件化を回避できる

示談が成立すれば、刑事事件化を回避することができる可能性があります。

窃盗事件が警察に発覚すると、いずれは窃盗事件の犯人として特定されてしまう可能性があります。

窃盗事件の犯人として特定されると逮捕される可能性があります。

また、逮捕されなくても捜査機関からの呼び出しを受けて取調べを受ける可能性があり、最終的に刑事罰を受ける可能性があります。

裁判が確定すれば前科がつきます。

一方、窃盗事件が警察に発覚する前に被害者と示談できれば、窃盗事件が警察に発覚することを免れることができます。

示談金の支払いを条件に、被害者が警察に被害届を出さないことに合意してくれるからです。

警察に窃盗事件が発覚しなければ、逮捕や警察から呼び出しを受けることを免れることができます。

この場合、刑事罰を受けることも、前科がつくこともありません。

これまでと変わらない日常生活を送るためには、被害者が警察に被害届を提出する前に示談を成立させることが重要です。

2.早期釈放を実現できる

万が一、窃盗事件が警察に発覚し、逮捕されてしまったとしてもまだ諦める必要はありません。

逮捕直後から弁護士に示談に向けて動いてもらい、示談を成立させること(あるいは、少なくとも示談の目途を立てること)ができれば、逮捕後の勾留の前に釈放される可能性は十分にあります。

そもそも身柄拘束されるのは、罪証隠滅のおそれや、逃亡のおそれがあると判断される場合です。

しかし、示談に向けて動いているということは罪を認めている証ですし、示談が成立すれば事件によっては不起訴処分となる可能性も高いため、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれがないと判断され、早期釈放につながりやすくなります。

なお、勾留される前の釈放を希望する場合、すなわち、逮捕直後から弁護士に示談に向けて動いてもらうには私選弁護人に依頼する必要があります。

私選弁護人はいつでも弁護活動できるのに対して、国選弁護人は勾留された後でないと弁護活動してくれないという点に注意が必要です。

3.不起訴処分を獲得できる

窃盗事件が警察に発覚した場合、逮捕されなかったとしても、事件は検察庁に送致され、最終的には起訴、不起訴の刑事処分を受けます。

起訴か不起訴かの判断は検察官が行いますが、検察官は事件捜査で集めた証拠に基づいて起訴か不起訴かを判断します。

その証拠の中には被害者と示談したときに取り交わす示談書も含まれます。

示談成立は不起訴処分獲得にあたってプラスに働く事情になりますから、検察官が起訴、不起訴の判断をする前に示談を成立させ、検察官に示談書を提出することができれば不起訴処分となる可能性が高くなります。

4.実刑を回避できる

被害者が示談交渉に応じるといっても、検察官が刑事処分を決めるまでに示談を成立させられるとは限りません。

示談条件でもめるなど、時間がかかる場合もあります。

中には「示談交渉には応じるものの、加害者には刑事裁判を受けさせることが相当」と判断して、あえて起訴された後に示談交渉に応じる被害者もいます。

起訴された後に示談が成立した場合には、判決において、示談成立の事情を被告人に有利な事情として考慮してもらえます。

その結果、実刑が相当な事件でも執行猶予を獲得できる場合があります。

起訴された後に示談交渉を行うことになっても、粘り強く交渉を続けていくことが大切です。

窃盗事件の示談交渉の流れとポイント

示談交渉の流れとポイントは次のとおりです。

1.謝罪文を作成する

まず、示談を希望する場合は謝罪文を作成します。

被害者に示談を申し入れる際は、罪を認めて謝罪することが大前提となります。

謝罪と反省の気持ちを示さなければ、被害者は示談交渉に応じてもらえないでしょう。

被害者が応じるのであれば、謝罪は直接行ってもかまませんが、多くの被害者は直接の謝罪を受け付けませんので、通常は謝罪文で謝罪します。

謝罪文には、内容をじっくり検討した上で、被害者に伝えたいことを端的に伝えることができるというメリットもあります。

ただし、謝罪文の内容によっては被害者の怒りを増幅させるだけになってしまう可能性もあります。

謝罪文は細心の注意を払って作成する必要があります。

2.示談・謝罪を申し入れる

謝罪文を作成したら、タイミングを見計らって被害者に示談と謝罪を申し入れます。

前述した通、示談成立のタイミングが早いほど示談の効果は大きくなりますが、被害者に示談を申し入れてから示談が成立するまでに時間がかかってしまう可能性があります。

示談成立のタイミングが遅れると、その分被る不利益が大きくなる可能性があるので、できる限り早めに示談を申し入れる必要があります。

ただし、事件直後など、被害者の処罰感情が高まっている時期に示談を申し入れると、被害者の感情を逆なでし、その後の示談交渉に応じてもらえない可能性があります。

ケースバイケースで適切なタイミングで示談と謝罪を申し入れる必要があります。

3.被害者と示談金額、示談条件を交渉する

示談の申し入れに対し、被害者が応じる姿勢を示したら謝罪文を渡し、示談金などの示談条件について交渉します(状況によっては先に謝罪文を渡し、示談に応じる旨の回答を得てから示談交渉を進めます)。

示談交渉では示談金のほかにも、以下の点について話し合います。

  • 示談金の支払い方法
  • 示談金の支払い期限
  • 誓約事項(店での万引き事案では、店に立ち入らないなど)
  • 清算条項

また、刑事手続では、被害者の加害者に対する処罰感情も一つの考慮事情となるので、示談交渉では、被害者が示談金を受け取った場合の加害者対する処罰に関する意見についても聞いておきます。

4.示談書を作成する

被害者との示談交渉の結果、示談条件について合意できたら示談書を作成します。

示談書は加害者、被害者、どちらが作ってもかまいませんが、示談を申し入れた加害者が作った方が、被害者のサインまでスムーズに手続きを進めることができるでしょう。

示談書には以下の内容を盛り込むことが一般的です。

  • 謝罪条項
  • 誓約条項
  • 示談金の支払い条項
  • 清算条項
  • 刑事処分に関する意向の条項

示談交渉の内容によっては一部を含めない場合や、上記以外の条項を含める場合もあります。

示談書は加害者用(1部)と被害者用(1部)を作成し、サインした上で被害者に2部とも送り、被害者にもサインしてもらいます。

その後、1部を返送してもらい(もう1部は被害者が保管)、到着後、被害者が指定した方法で示談金を支払います。

窃盗で示談交渉を弁護士に依頼すべき理由

身柄拘束された場合を除き、示談交渉はご自分で行うこともできますが、以下の理由から示談交渉は弁護士に依頼することをおすすめします。

1.被害者が示談交渉に応じてくれない可能性があるから

窃盗事件の当事者同士で直接示談交渉することは、被害者にとって加害者以上に精神的な負担が大きいといえます。

そのため、たとえ互いに面識がある同士の事件でさえも、被害者から直接の示談交渉を拒否されることが多いです。

一方、弁護士に依頼すれば弁護士が窓口となって被害者と示談交渉することができます。

つまり、被害者は加害者と直接示談交渉する必要がなくなるため、被害者に示談交渉に応じておらいやすくなります。

2.不利な条件で示談してしまうおそれがあるから

被害者に示談を申し入れた場合、あなたではなく被害者が弁護士に示談交渉を依頼する可能性も十分に考えられます。

当然、被害者側の弁護士は被害者に有利な条件で示談できるように示談交渉してきます。

あなたは示談を成立させなければ不利益を被るという弱みを相手に握られており、示談交渉に慣れた弁護士であれば巧みに弱みに付け込んで示談交渉してくることも考えられます。

あまりにも不利な条件で示談してしまわないためには、あなたも弁護士に示談交渉を依頼すべきです。

3.被害者の連絡先を把握する必要があるから

窃盗事件の場合、被害者とは面識がなく、連絡先すらも知らないという場合がほとんどではないでしょうか。

その場合、被害者に示談を申し入れるには、捜査機関から被害者の連絡先を入手し、被害者とコンタクトをとる必要がありますが、捜査機関が加害者に被害者の連絡先を教えることはなく、示談を申し入れることは難しいでしょう。

この点、弁護士なら、捜査機関が被害者の了承を得た上で教えてくれることが多く、示談の申し入れも比較的スムーズにいくでしょう。

そのため、被害者と面識がない場合は、弁護士に示談交渉を依頼する必要性が高いといえます。

窃盗事件の示談や示談金に関するよくある質問と回答

最後に、示談に関してよくある質問に回答します。

1.被害者の連絡先がわからない場合は?

被害者の連絡先は捜査機関から入手するしかありませんが、前述した通、捜査機関は弁護士にしか教えることはありません。

そのため、弁護士に示談交渉を依頼するしかありません。

2.示談を拒否された場合は?

示談を拒否された場合、示談条件を変えるなどして粘り強く交渉してみます。

どうしても示談に応じてもらえない場合は慈善団体等に贖罪寄付することが考えられます。

3.示談金を一括で払えない場合は?

示談金を一括で払えない場合は、分割払いの相談をしてみましょう。

ただし、長期間の支払いは被害者にリスクがあります。

できる限り一回の支払い金額を多くし、短期間で支払いを終えるようにしましょう。

4.示談金と慰謝料の違いは?

示談金と慰謝料は、どちらも被害者に生じた損害を賠償する賠償金という点では同じです。

ただし、慰謝料は精神的苦痛によって生じた賠償金であるのに対し、示談金は慰謝料以外の賠償金(物的賠償金など)が含まれることがあります。

その点で、慰謝料は示談金の一部といえます。

まとめ

今回は窃盗事件の示談金の相場や示談交渉のポイントについて解説しました。

刑事事件を起こして示談をしたい場合、経験豊富な弁護士に依頼すれば、示談に応じる気配のなかった被害者が応じてくれたり、難航していた示談が成立したりすることも少なくありません。

一人で悩む前に、刑事事件に精通した弁護士への相談を検討しましょう。

私達東京スタートアップ法律事務所は、刑事事件で逮捕された、あるいは「刑事告訴する」などと言われた等の問題を抱えているご本人やご家族の気持ちに寄り添い、ご本人の大切な未来を守るために全力でサポートさせていただきたいと考えております。

検察官や捜査機関の考え方を熟知している刑事事件に強いプロ集団が、ご相談者様の状況やご意向を丁寧にお伺いした上で的確な弁護戦略を立て、迅速に対応致します。

秘密厳守はもちろんのこと、分割払い等にも柔軟に対応しておりますので、安心してご相談いただければと思います。

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執筆者 代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会 登録番号45484
東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。
「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
得意分野
ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
プロフィール
京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設
書籍・論文
『スタートアップの法務ガイド』中央経済社
『スタートアップの人事労務ガイド』中央経済社

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