盗撮で慰謝料請求されたらいくら支払うべき?相場を解説
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記事目次
盗撮は、性犯罪の中でも日常的に発生している犯罪です。
東京都内で「東京都迷惑行為防止条例」によって禁じられている盗撮行為で検挙された人数は、平成30年の1年間で740人でした。
1日に約2人が盗撮によって検挙されていることになります。
ちなみに、軽犯罪法などの他の罪名で逮捕されるケースも存在しますので、盗撮自体の検挙者数や被疑者はさらに多いと考えられます。
盗撮の疑いをかけられている場合は、刑事処罰を避けるために、被害者に慰謝料を支払い、示談を成立させることが重要です。
そこで、盗撮の被害者に支払う慰謝料の相場を解説します。
盗撮をした際に問われる可能性がある罪や示談の必要性についても説明しますので、盗撮をしてしまった方は参考にしてください。
盗撮をした場合に問われる可能性がある罪とは
盗撮をした場合は以下の犯罪に問われる可能性があります。
- 都道府県の迷惑防止条例違反
- 軽犯罪法違反
- 住居侵入罪/建造物等侵入罪
- 児童ポルノ禁止法違反(製造)
- リベンジポルノ禁止法
盗撮を直接禁じているのは、各都道府県の迷惑防止条例です。
都道府県によって、盗撮を禁じる場所が異なります。
迷惑防止条例違反に問えない場所での盗撮は、軽犯罪法違反に問われる可能性があります。
また、盗撮の際に、他人の建物に侵入した場合は住居侵入罪や建造物等侵入罪に問われることになります。
盗撮した相手が、18歳未満の児童の場合は児童ポルノ禁止法違反です。
また、撮影した画像や動画をインターネットにアップロードした場合は、リベンジポルノ禁止法違反に問われる可能性もあります。
盗撮の慰謝料の相場は?いくら支払うべき?
盗撮の慰謝料の相場は、状況や被疑者が問われている罪によって異なります。
慰謝料の相場は事案によって異なりますので、一概には言えませんが、10万円から50万円の範囲に収まることが多いと言えます。
ここでは、盗撮の慰謝料を決める要素を確認しておきましょう。
起訴前か、起訴後か
起訴前であれば、示談を成立させることで起訴を回避できる(結果として前科が付かない)可能性があることから、慰謝料が高額になる傾向にあります。
起訴後は、被疑者としてどうしても示談を成立させたいというインセンティブが下がるため、起訴前と比較すると慰謝料は低額になる可能性があります。
ただし、起訴後であっても慰謝料の支払い義務自体がなくなるわけではなく、被害者の方に民事上の請求権(不法行為に基づく慰謝料請求権)は残りますので、起訴前になるべく早く示談を成立させて慰謝料を支払い、起訴を回避する方向で動いた方が得策です。
問われている罪名や犯行の悪質性
犯行の悪質性の高さによっては、さらに高額の慰謝料を請求される可能性もあります。
被害者の年齢が低く児童ポルノ禁止法に問われているケースなどでは、相場よりも高い慰謝料が請求されるおそれがあります。
同じ迷惑防止条例違反であっても、「スマートフォンで撮影した」ものと、「他人の家をのぞいて性交中の動画を撮影した」ものでは、慰謝料の金額も変わってきます。
一般的には、悪質性が高いものの慰謝料は高額になる傾向にあります。
同じ盗撮行為であったとしても、加害者が軽犯罪法や住居侵入罪、建造物侵入罪などに問われている場合の慰謝料は、迷惑防止条例違反に問われている場合よりも低くなる可能性があります。
慰謝料以外に請求される可能性があるお金や、求められる示談の条件
盗撮の示談の際は、慰謝料以外にも下記の金銭の支払いや、一定の条件を付すことを求められることもあります。
治療費や通院交通費など
被害者が、盗撮を受けたことで、精神的な病気を発症して通院している場合はその治療費や交通費、休業損害なども請求される可能性があります。
ただし、盗撮の被害と病気の発症に因果関係が認められなければ、応じる必要はありません。
破れた衣服や下着の修理費用若しくは購入費用
盗撮の際に、衣服をハサミで切る、下着やストッキングを破るなどの行為があった場合は、それらの修理費用若しくは購入費用を請求されます。
通勤通学路線の制限
電車やバスの中で盗撮された場合は、被害者は示談が成立しても「また盗撮されるのでは」という恐怖は拭いされず、不安な思いを抱えることになります。
それを払拭するために、「加害者は、被害者が使う鉄道路線を二度と使用しないこと」、などの接触禁止条項が示談の際に付け加えられることがあります。
この条項に違反し、違反した事実が発覚した場合には違約金の支払いを求められることになりますので、注意しなければなりません。
盗撮における示談の有効性
ここまで、盗撮をしてしまった方が相手と示談する際に支払うべき慰謝料等のお金について説明してきました。
そもそも、どうして示談が必要なのでしょうか。
ここでは、盗撮をした場合に示談をすることの意義、及び示談の有効性について説明します。
示談って何?
そもそも、示談とは、当事者同士の合意によって事件を解決することを言います。
盗撮の場合は、通常加害者から被害者に示談金を支払いそのことに関して合意を結ぶことで、示談が成立します。
示談金とは、先ほど説明した慰謝料や治療費などの合計金額です。
通常示談に際しては示談書を交わし、示談書には清算条項(両者の間には示談金の支払いを除いて一切の債権債務関係がないことを確認する条項)が入ります。
これにより被害者は、示談成立以降は、加害者側に一切の損害賠償請求を行うことはできなくなります。
盗撮事件で慰謝料を支払い、示談をするメリット
刑事事件においては、起訴不起訴が判断される前に被害者との示談を成立させることで、被害者が被害届等を取り下げ、不起訴処分に持ち込める公算が高くなります。
つまり、早急に示談を成立させることで前科がつくことを防止できる可能性が高いのです。
日本では、刑事裁判が開かれた場合の有罪率は99%以上と非常に高いため、起訴されると無罪になる確率は非常に低いと言えます。
しかし、不起訴処分になれば同じ盗撮行為によって前科がつくことはありません。
身柄が拘束されている場合は、その時点で身柄も解放されます。
すなわち、不起訴処分となることによって、無罪判決と同様の効果が得られるのです。
その不起訴処分を導く強力なトリガーとなるのが、被害者と「示談」を成立させることなのです。
盗撮をしてしまった方にとっては、起訴前の示談は多大なるメリットがあります。
示談をしなければどうなるの?
では、被害者と示談をしなければどうなるのでしょうか。
この場合、被害者は自主的に被害届を取り下げることは考えられませんので、起訴される可能性が高まります。
逮捕・勾留されている場合は比較的長期間の身柄の拘束が続きますので、社会生活への影響も甚大です。
起訴されて刑事裁判が開かれれば、高確率で有罪となるのは先ほど述べたとおりです。
刑罰としては、初犯の場合は罰金刑が言い渡されることが多いです。
前科というと刑務所にいく懲役刑を想像される方が多いかと思いますが、罰金刑も立派な前科です。
損害賠償を請求される
また、被害者から慰謝料を含めた損害賠償を請求されます。
応じなければ、損害賠償請求訴訟を提起される可能性があります。
判決によって、慰謝料の損害賠償金の支払いが命じられたにも関わらず支払いに応じなければ、強制執行手続に移行し、財産や給与が差し押さえられる可能性があります。
こちらは民事上の責任ですので、刑事上の責任として発生する罰金刑とは異なります。
つまり、早期に示談をしておかなければ、民事上の責任である損害賠償金も刑事罰における罰金も支払わなければならない可能性があるのです。
適切な示談の流れとは
盗撮事件で、被害者と示談する場合に重要なのは、盗撮事件が露見してからなるべく早い段階で弁護士に弁護活動を依頼して、示談交渉に着手してもらうことです。
起訴を回避するためには早急に被害者と示談を成立させなければなりません。
逮捕・勾留という身体拘束に服している場合は、逮捕されてから起訴・不起訴が判断されるまでの時間は最大で23日間です。
この期間中に示談を成立させなければなりません。
まとめ
盗撮をしてしまった方は、被害者に慰謝料を支払い、示談を成立させることで、起訴を回避できる可能性が高まります。
盗撮の慰謝料の相場は10万円から50万円程ですが、児童ポルノ禁止法などの罪に問われている場合はさらに高額な慰謝料が請求されることもあります。
盗撮の場合は、問われている罪や悪質性などによって慰謝料の相場も異なりますので、弁護士に示談交渉を一任して妥当な慰謝料を判断してもらいましょう。
「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
- 得意分野
- ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
- プロフィール
- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設