家族が警察に逮捕された際に弁護士を呼ぶべき理由と弁護士の選び方
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記事目次
ある日突然、家族が逮捕された場合、逮捕された本人が不利な状況に陥るリスクを軽減するためにも、早い段階で弁護士に相談することが大切です。弁護士に相談することにより、本人が罪を認める場合は、示談交渉による処分の軽減を図ることができ、無実を主張する場合は、本意によらない自白調書を取られることを回避することができます。
今回は、警察に逮捕された際に弁護士を呼ぶべき理由、逮捕時に頼れる弁護士の呼び方・選び方、刑事事件の弁護士費用などについて解説します。
警察に逮捕された際に弁護士を呼ぶべき理由
警察に逮捕された際に、弁護士を呼ぶべき最大の理由は、本人が罪を認める場合は被害者側との示談交渉が可能になることによる処分軽減、無実を主張する場合は早期釈放が可能になることです。それぞれの場合について具体的に説明します。
1.罪を認める場合
①示談交渉により検察官・裁判官の心証を良くすることができる
被疑者本人が事実を認める場合、弁護士に相談する最大のメリットは被害者側との示談交渉が可能になることです。
示談が成立すると、警察、検察官、裁判官の心証形成が良くなるため、被疑者にとっては、逮捕や勾留を免れる、あるいは不起訴処分や執行猶予付き判決を得られる可能性が高くなるというメリットがあります。特に検察官は勾留請求や起訴をするか否かの判断を行う際、示談成立の有無やその内容を非常に重視するので、示談成立による被疑者のメリットは大きいといえるでしょう。
被害者にとっても、示談成立により警察や検察による捜査継続、裁判所への出廷等の負担を免れる可能性が高くなるというメリットがあります。
業務上横領事件などでは、被害者が民間企業等の団体であることが多く、被害者側としては事件が表沙汰になることによる信用や評判の低下を避けたいため示談交渉に応じてもらえる可能性が高いです。ただし、性犯罪や住居侵入窃盗事件等の場合は、被害者の被疑者に対する恐怖感や嫌悪感が強く、示談交渉を拒絶される場合もあります。
②過度に不利益な処分を免れることができる
被疑者が事実を認める場合、弁護士に相談することにより、過度に不利益な処分を免れることができるというメリットもあります。弁護士は以下のような対応を行うことが可能です。
- 被疑者にとって有利な証拠を収集する
- 被害者に対する適切な謝罪文や反省文の書き方を指導する
- 犯罪行為に至った経緯やその過程での被疑者の心理状態等を被疑者や家族から聞き出して検察官や裁判官に対して意見書を作成・提出する
これにより、不起訴処分、起訴後の保釈、執行猶予付き判決などを得られる可能性が高くなります。
逮捕段階で弁護士を依頼しない場合は、示談交渉ができないために起訴されて実刑判決を受けるなど、罪状に対して過度に不利益な処分を受ける可能性があるという点には注意が必要です。逮捕段階で弁護士を依頼しなかった場合でも、勾留段階から国選弁護人による弁護を受けることができますが、国選弁護人は被疑者や家族が選ぶことができないため、その事件での処分軽減に向けてのベストなサポートが得られる可能性は私選弁護士より低くなります。
2.無罪を主張する場合
①逮捕直後に依頼すれば不利益な証拠となる自白を回避できる
犯罪行為を行った事実あるいは故意がないのに逮捕された場合、弁護士に相談する最大のメリットは、勾留請求前から接見・弁護活動を行うことが可能であることです。
あらゆる刑事事件の被疑者は、私選弁護人を選任することができなかった場合でも弁護士である国選弁護人による弁護を受けることができます(憲法第37条3項)。
ただし、国選弁護人は検察官が勾留請求して裁判所による勾留状が発布されてから選任されるので、逮捕期間中は弁護活動ができないことになります。
無実を主張する場合、自白調書を取らせないことは非常に重要です。
刑事訴訟法上、強制・拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留または拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑いのある自白を証拠として採用することは禁止されています。また、刑事訴訟の被告人にとって唯一の不利益な証拠が自白である場合は有罪とされないと規定されています(刑事訴訟法第319条1項・2項)。
それにもかかわらず、日本では未だに自白調書が有罪認定の重要な証拠として用いられています。警察や検察官は被疑者から自白調書を取ろうとして閉鎖的な取調室で執拗に誘導尋問を行います。そのため、逮捕段階で弁護士を選任していない場合、逮捕段階で真実と異なることを自白してしまうおそれがあります。
一度自白調書を取られてしまうと、起訴された場合に公判廷の被告人尋問で被告人が真実を説明しようとしても、裁判官には嘘をついていると疑われるおそれがあります。そのため、実際は無実であるにもかかわらず、有罪判決を受ける可能性もあるのです。
逮捕直後から弁護士を依頼すれば、自白調書を取らせないため、警察や検察官に対して黙秘権を行使するよう助言を受けることができます。黙秘しないで取り調べに答える場合でも、「~したという可能性はあるかもしれません」など、自白と受け取られるおそれのある供述をしないことは非常に大切です。弁護士から、適切なアドバイスを受けることにより、黙秘や否認を貫き、不利な状況に陥ることを回避できる可能性が高くなります。
②早期釈放に向けて最善のサポートが受けられる
また、弁護士に依頼すると、被疑者が無実を主張する場合の目標である早期釈放に向けて最善のサポートを受けることができます。例えば、被疑者側に有利な証拠収集活動を行うことにより、不起訴処分、起訴後の保釈、執行猶予付き判決などを得られる可能性が高くなります。
また、弁護人は被害者側の事情を詳しく調べるとともに、捜査段階からの被害者側の主張を分析します。
被疑者が起訴された場合、公判廷での証人尋問で捜査段階と矛盾する供述をした場合等には反対尋問でその矛盾点が指摘されます。また、被害者の主張に変化があった場合はそれぞれを詳細に引用しながら、それが事実と異なり被疑者・被告人の主張が真実である旨の意見書を検察官・裁判官に対して提出する等、被疑者・被告人にとって有利な証拠を収集・提出することができます。
逮捕段階で私選弁護士を選任していなかった場合、被疑事実を認める場合と同様のリスクがありますが、無罪を主張する場合は特に証拠収集が不十分であるために本来無罪判決を得られるはずだった事件で有罪判決になってしまうという、より大きなリスクがあります。
逮捕時に頼れる弁護士の呼び方・選び方
警察に逮捕された場合、逮捕直後から呼ぶことが可能なのは当番弁護士と私選弁護士です。
国選弁護士はもともと刑事被告人の人権保障の観点から、憲法第37条3項に基づき、被告人に対して刑訴法第36条が認めた制度です。
2004年の刑事訴訟法改正以前は、国選弁護士によるサポートを受けられるのは起訴された被告人のみで、被疑者段階では私選弁護士を依頼することができなければ弁護士のサポートを受けられませんでした。その制度下で起訴前の被疑者のサポートを可能にするために弁護士会が始めたのが当番弁護士制度です。
現在においては、当番弁護士は、逮捕されてから勾留までの間に(最大72時間)1回だけ無料で被疑者と接見を行うことができることとなっています。
ただし、1回接見を行った当番弁護士を私選弁護士として選任すること、あるいは勾留後に国選弁護士として所属弁護士会が選任することが可能です。
1.当番弁護士の呼び方
当番弁護士を依頼することができるのは被疑者本人またはその家族です。
本人が依頼する場合、逮捕された警察署の職員に当番弁護士を依頼したい旨を伝えれば、その警察署のある都道府県の弁護士会に連絡され、当番にあたる弁護士がその警察署に接見に来てくれます。
本人以外が依頼する場合は、当該都道府県の弁護士会に直接連絡します。
当番弁護士は弁護士会が当番を割り当てた弁護士を選任するため、本人や家族が弁護士を選ぶことはできません。
2.私選弁護士の呼び方・選び方
私選弁護士を依頼することができるのは、当番弁護士と同様に被疑者本人またはその家族です。
私選弁護士は随時相談を受け付けているため、逮捕されていない段階では被疑者本人がインターネット等で法律事務所を任意に検索して連絡・依頼することができます。
本人が逮捕された場合、本人は携帯電話等の通信手段を使用することができなくなるため、警察署から連絡を受けた家族がインターネット等で検索して法律事務所を選び、相談することができます。
法律事務所を選ぶ際は、以下の点を確認するとよいでしょう。
- その事件に関して実績があるか
- 報酬体系が明確で、報酬金額が納得できる範囲であるか
本人が逮捕された後に、家族が法律事務所を選ぶ場合、上記に加えて、その地域の警察署に迅速に接見に駆けつけてくれることも重要なポイントとなります。
また、逮捕後は勾留請求まで72時間しか時間がないため、勾留によって勤務先を解雇される等の損失を防ぐためにも、即時に接見に来てもらえるか確認しましょう。
3.国選弁護士の呼び方
国選弁護士は逮捕され勾留された被疑者本人あるいは起訴された被告人本人が、貧困その他の事由によって私選弁護人を依頼できない場合に本人の請求により裁判官が選任します。
貧困その他の事由とは、具体的には以下のようなケースのことです。
- 被疑者の有する資産の合計が50万円(刑事訴訟法第36条の3第1項に基づき政令で定められた標準額)以下である場合
- 選任しようとした私選弁護士(弁護士会が派遣した当番弁護士を含む)が受任を拒絶した場合(同法第31条の2)
この請求ができるのは本人のみで、家族は国選弁護人選任を請求することができません。被疑者が警察署の職員に対して国選弁護人選任を請求する旨を伝えれば管轄の地方裁判所に連絡されます。
なお、この請求が刑事訴訟法第36条の「貧困」を理由とする場合、請求が認められるためには、被疑者は裁判所に対して、資力申告書を提出する必要があります(同法第37条の3)。
被疑者の請求を受けた裁判所は日本司法支援センター(法テラス)に対してその旨連絡し、同センターが国選弁護人契約弁護士の中から候補者を指名して通知します。通知を受けた裁判所は当該候補者を国選弁護人に選任します(総合法律支援法第38条)。
刑事事件の弁護士費用
国選弁護士の場合、無罪判決を得ることができれば弁護士費用はかかりません。有罪になると原則として支払いが必要ですが、資力が全くない場合などは免除されることもあります。
国選弁護士の報酬基準については、法テラスの「国選弁護人の事務に関する契約約款」の中で、弁護士の労力や被疑者・被告人の利益に比例して報酬が高くなるように定められています。
当番弁護士は、無料の接見後に私選弁護士として選任された場合は私選弁護士の所属する法律事務所の報酬体系に沿った費用がかかります。勾留後に国選弁護士となった場合は国選弁護士の報酬基準に従います。
1.弁護士費用の相場
私選弁護士の費用は弁護士が所属する法律事務所によって報酬体系が異なり、また事件の内容や被疑者が犯罪事実を認めるか否か等によって大きく異なります。
費用の内訳として、一般的に、正式依頼前の接見費用、着手金、成功報酬があり、接見費用は初回とその後1回ごとに別料金を設定している法律事務所もあります。
分割払いの対応についても法律事務所によって異なるので、分割払いの可否を含めた費用の内訳について、初回の相談事に十分な説明を受けることが大切です。
2.刑事被疑者弁護援助制度
逮捕された被疑者が勾留される前の段階に限って、経済的事情により私選弁護士を依頼できない場合に弁護士会が費用を立て替え払いして私選弁護士を選任する制度です。
この制度を利用した場合は後で費用を支払う必要がありますが、資力がない場合等に免除される場合もあります。
まとめ
今回は、警察に逮捕された際に弁護士を呼ぶべき理由、逮捕時に頼れる弁護士の呼び方・選び方、刑事事件の弁護士費用などについて解説しました。
警察に逮捕された本人は、不安や恐怖を抱えながら、厳しい取り調べを受けることになります。取り調べの中で、本人にとって不利となる供述調書が作成されてしまうと、不当な不利益を被る結果となる可能性もあるため、できる限り早い段階で刑事事件に精通した弁護士に相談することが大切です。
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