マッチングアプリ不倫とは?慰謝料請求の流れや必要な証拠を紹介

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記事目次
近年、出会いのツールとして広く普及しているマッチングアプリですが、その手軽さから既婚者が不倫相手を探す手段として悪用されるケースも増えています。
「もしかして、自分のパートナーも…」と不安に感じている方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、マッチングアプリを利用した不倫(マッチングアプリ不倫)が発覚した場合に、法的に慰謝料を請求できるのか、どのような証拠が必要になるのか、そして実際に慰謝料を請求するための手続の流れについて、法律の専門家が分かりやすく解説します。
もしあなたがパートナーの不倫に悩み、どうすればよいか分からずにいるのであれば、この記事が解決への第一歩となるはずです。
マッチングアプリ不倫とは
マッチングアプリ不倫とは、その名の通り、マッチングアプリを通じて知り合った相手と既婚者が不倫関係になることを指します。
本来、多くは独身者同士の出会いを目的としたサービスですが、身分を偽って登録する既婚者も少なくありません。
匿名で手軽に登録できる、日常の行動範囲では出会えない相手と繋がれるといったアプリの特性が、不倫の温床となりやすい側面を持っています。
マッチングアプリ不倫をする動機
なぜ、既婚者がマッチングアプリを利用してまで不倫に走ってしまうのでしょうか。その動機として、主に以下のような点が挙げられます。
- 家庭内のコミュニケーション不足: 配偶者との会話が減り、精神的な孤独を感じている。
- 承認欲求: 家庭や職場以外で、異性から「魅力的だ」と認められたい、必要とされたいという欲求を満たしたい。
- 刺激や非日常感: 結婚生活のマンネリから抜け出し、恋愛のドキドキ感やスリルを味わいたい。
- 手軽さと匿名性: スマートフォン一つで、身元がバレにくい状況で簡単に出会いを探せるため、不倫へのハードルが低くなっている。
- 割り切った関係への期待: 遊び目的の相手を見つけやすく、ドロドロした関係になりにくいだろうという安易な考え。
不倫経験のある人がマッチングアプリを利用している割合
民間の調査会社のアンケートによると、不倫経験のある人のうち、半分近くがマッチングアプリを利用していたとの調査結果が存在しています。
もちろん、不倫経験がある全ての人に調査をしているわけではないため、この数値が完全に信用できるわけではございません。
しかし、一定数の割合で、マッチングアプリを利用して不倫をしている人がいるというのも事実だといえます。
既婚者だと伝えない割合
さらに深刻なのは、既婚の事実を隠してアプリを利用するユーザーが多数存在することです。相手を騙す形で関係を持つため、トラブルがより深刻化しやすくなります。
既婚者だと知らずに肉体関係を持った場合には、故意がないため、その既婚者の配偶者に対して、不貞行為による損害を賠償する義務は発生しません。
しかし、その後既婚者だと知り、それでもなお肉体関係を持った場合には、損害賠償義務を追うことになります。
現実的には、初めは既婚者だと知らなかったとしても、既婚者だと知ってからも肉体関係を継続させるというケースは非常に多く存在しています。
マッチングアプリで不倫された場合、慰謝料請求できる?
パートナーがマッチングアプリで不倫をしていた場合、法律上の「不貞行為」にあたれば、慰謝料の請求が可能です。
不貞行為とは、一般的に「配偶者のある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」を指します。
たとえマッチングアプリでの出会いがきっかけであっても、配偶者と不倫相手との間に肉体関係があれば、それは不貞行為となります。
不倫相手にも慰謝料請求は可能?
慰謝料は、不倫をした配偶者だけでなく、その不倫相手に対しても請求することができます。
ただし、不倫相手に請求するためには、相手が「あなたの配偶者が既婚者であることを知っていた(または、少し注意すれば知ることができた)にもかかわらず、肉体関係を持った」という事実が必要です。
マッチングアプリのプロフィールで「独身」と偽られていた場合、不倫相手は「既婚者だとは知らなかった」と主張してくる可能性があります。
しかし、交際を続ける中で、普段の言動(週末に会えない、家に連れて行ってくれない等)から既婚者だと気づくチャンスはあったはずだと反論できるケースも多いです。
マッチングアプリ不倫で慰謝料請求できないケース
不貞行為があったとしても、慰謝料の請求が認められないケースも存在します。ご自身の状況が当てはまらないか、事前に確認しておきましょう。
慰謝料請求できないケース
- 肉体関係(不貞行為)の証拠がない
慰謝料請求の根幹は「不貞行為」の存在です。アプリ上での親密なメッセージのやり取りだけでは、肉体関係があったとまでは断定できず、慰謝料請求は難しいでしょう。 - 不倫が始まる前から夫婦関係が破綻していた
不倫が始まるよりも前に、すでに別居しているなど、夫婦としての実態が失われている(婚姻関係が破綻している)と判断された場合、不倫によって受けた精神的苦痛は小さいとみなされ、慰謝料が認められない可能性があります。 - 慰謝料請求の時効が成立している
不倫の慰謝料請求権には時効があります。**「不倫の事実と不倫相手を知った時から3年」または「不倫が始まった時から20年」**のいずれか早い方が経過すると、時効によって請求権が消滅してしまいます。(出典:e-Gov法令検索「民法」第724条) - 不倫相手に故意・過失がなかった
不倫相手が、あなたの配偶者を既婚者だと知らず、かつ、知らなかったことに落ち度(過失)がない場合、不倫相手への慰謝料請求は認められません。例えば、配偶者が独身証明書を偽造するなど、巧妙に独身であると偽っていたケースがこれにあたります。
慰謝料請求をするために必要な証拠
慰謝料請求を有利に進めるには、客観的な証拠が何よりも重要です。
特に、言い逃れのできない強力な証拠を確保することが求められます。
1. 不貞行為(肉体関係)を直接示す証拠
これらは一つあるだけで、不貞行為の事実を強く証明できるものです。
- 性交渉やそれに準ずる行為の様子が分かる写真や動画
- ラブホテルに出入りする写真や動画(顔と日時が鮮明なもの)
- 不貞行為を認める内容の音声データや念書
2. 不貞行為を推認させる証拠
一つ一つの証拠は弱くても、複数組み合わせることで不貞行為の存在を裏付けることができます。
- マッチングアプリやSNSのやり取り: 「好き」「会いたい」といった愛情を示すメッセージや、肉体関係をうかがわせる内容。
- ラブホテルの領収書やクレジットカードの利用明細
- 配偶者や不倫相手のスケジュール帳、日記
- カーナビの走行履歴やGPSの記録
- 第三者の証言(共通の知人など)
これらの証拠を、感情的にならず冷静に集めることが重要です。
慰謝料請求の流れ
証拠が集まったら、いよいよ慰謝料請求の具体的な手続に進みます。主な流れは「話合い(交渉)」と「裁判」の2段階です。
(1)話合いの場を設ける
まずは裁判をせずに、当事者同士の話合いによる解決を目指します。一般的には、内容証明郵便で慰謝料を請求する旨の通知書(請求書)を送付し、交渉を開始します。
話合いで慰謝料の金額や支払方法について合意できたら、後々のトラブルを防ぐために、必ず**「示談書」**を作成しましょう。示談書は、合意内容を法的に有効な形で記録する重要な書類です。
(2)裁判を起こす
話合いで合意に至らない場合や、相手が請求を無視する場合には、家庭裁判所に**「離婚調停」を申し立てるか(離婚する場合)、地方裁判所に「慰謝料請求訴訟」**を提起することになります。
裁判では、集めた証拠をもとに、裁判官に不貞行為の事実を客観的に認めてもらう必要があります。法的な知識や主張の組み立てが求められるため、この段階では弁護士のサポートが不可欠と言えるでしょう。
不倫の慰謝料請求を成功させるコツ
慰謝料請求は、精神的にも時間的にも大きな負担がかかります。少しでも有利に、そしてスムーズに進めるためのコツをご紹介します。
感情的にならず、冷静に対応する
不倫をされた怒りや悲しみから、相手を感情的に責め立てたくなる気持ちは当然です。
しかし、感情的な言動は交渉をこじらせる原因になりかねません。あくまで法的な請求権を行使しているという意識を持ち、冷静に、淡々と手続を進めることが重要です。
早めに弁護士に相談する
「どの証拠が有効か分からない」「相手と直接話したくない」「法的な手続が不安」といった方は、できるだけ早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士は、あなたの代理人として相手と交渉し、法的に有効な示談書の作成や、裁判になった場合の対応まで、すべてを任せることができます。
専門家が介入することで、精神的な負担が大幅に軽減され、より有利な条件での解決が期待できます。
配偶者がマッチングアプリ不倫をしていた場合離婚するべき?
配偶者の不倫が発覚したとき、すぐに離婚を決断できる人ばかりではありません。今後の関係をどうするか、冷静に考える時間が必要です。
離婚する場合
離婚を決意した場合は、慰謝料請求と並行して、以下の事柄についても取決めが必要です。
- 財産分与: 婚姻期間中に夫婦で協力して築いた財産を分け合います。
- 親権: 未成年の子どもがいる場合、どちらが親権者となるかを決めます。
- 養育費: 子どもを監護しない親が、子どもの生活費や教育費として支払うお金です。
- 年金分割: 婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録を分割します。
これらの条件を「離婚協議書の書き方解説!自分で法的に有効な書類作成を【サンプル付き】」にまとめておくと、後のトラブル防止に繋がります。
関係を修復する場合
関係の修復を選ぶのであれば、同じ過ちが繰り返されないための具体的なルール作りが不可欠です。
- マッチングアプリの退会とアカウント削除を徹底させる
- 不倫相手との連絡を完全に断ち、二度と会わないことを約束させる
- GPSアプリの導入など、お互いが安心できるルールを決める
- 夫婦カウンセリングなど、第三者のサポートを受けることを検討する
一度失った信頼を取り戻すのは簡単なことではありません。しかし、夫婦双方が努力することで、再構築の道が開ける可能性もあります。どちらの道を選ぶにしても、一人で抱え込まず、信頼できる人や専門家に相談することが大切です。
まとめ
マッチングアプリの手軽さは、時として不倫という深刻な問題を引き起こします。もしパートナーの不倫が発覚し、あなたが深い心の傷を負ったのであれば、慰謝料という形でその損害の賠償を求めることは、法的に認められた正当な権利です。
慰謝料を請求するためには、「不貞行為の証拠」を集め、適切な「手続」を踏む必要があります。感情的になってしまいがちな問題だからこそ、冷静な判断と行動が求められます。
一人で悩みを抱え込まず、まずは法律の専門家である弁護士にご相談ください。あなたの心の負担を少しでも軽くし、最善の解決へ向かうためのお手伝いをいたします。
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- 得意分野
- 不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 刑事事件
- プロフィール
- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設