自己破産の裁量免責が認められる反省文の書き方と注意点を解説
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記事目次
自己破産の申立て後に、裁判所から反省文の提出を求められたけれど、何を書けばよいのかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
自己破産の手続では、浪費やギャンブルで借金を負ってしまった等、免責不許可事由に該当する場合、裁判所の裁量で免責が認められることがあります。
これを裁量免責と呼び、裁判所は裁量免責を認めるか否かの判断材料として、申立人に反省文の提出を求める場合があります。
今回は、裁量免責の判断をする上で反省文の提出を求められた場合の注意点、反省文で重視される点について解説します。
裁量免責の判断のために反省文を求められることがある
裁量免責の可否を判断する上で、裁判官は、申立人が反省しているか否かが重要視します。
反省しているか否かを確認するために、裁判所から反省文を提出するように求められることがあります。
1.反省文提出の趣旨
免責不許可事由に該当しても、全ての申立人に対して反省文の提出が求められるわけではありません。
反省文を提出させるか否かも裁判官が判断し、一般的には免責不許可事由の程度が重く、免責を認める根拠が必要な場合に、反省文の提出が求められる傾向にあります。
「反省文の提出を求められるということは、免責は難しいということなのだろうか」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、反省文の内容次第では、免責不許可事由が重大であったとしても免責が認められる可能性は十分あります。
2.反省文と陳述書との違い
陳述書と反省文の違いがわからないという方もいらっしゃるかもしれません。
破産法第20条1項に則って、破産申立時に全ての申立人が提出する陳述書は、自己破産するに至った経緯や現在の生活状況、財産について事実に即して説明するための書類です。
裁判所が陳述書の提出を求める目的は、本当に申立人は支払不能状態に陥っているのか否かを確認するためです。
客観的に見て返済が不可能な状態(支払不能状態)にあるかどうか、という点は自己破産の可否を決める要件の一つなので、陳述書では、返済が不可能な状態である理由を、現在の収支を踏まえて詳しく説明する必要があります。
提出された陳述書と預金通帳、給与明細、債権者一覧などの書類を照合して、裁判所は申立人の話に虚偽がないか等を確認するのです。
一方、反省文は、文字通り、申立人が反省しているか否かを判断するための材料として用いられます。
そのため、事実を正確に記載するよりも、借金を重ねて破産を考えるに至った心情や、今後は過去の行いを改めて経済的な再生を図りたいという意思などを記すことが大切です。
反省文を書く上での注意点
反省文の提出を求められたけれど、何をどれくらい書けばよいのかわからない、反省している気持ちが伝わらなかった場合はどうなるのかなど、不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。反省文を書く上で注意すべき点について説明します。
1.反省文作成時の心構え
反省文提出を求められたということは、免責不許可の判断が下る可能性が否定できない状況だといえます。
しかし、経済的な更生を期待されているからこそ、反省文の提出が求められているのです。
このことを念頭に、免責を得られたら過去と同じ過ちはしないこと、生活を立て直したいという気持ちを持っていることなどを中心に反省文を作成しましょう。
2.反省文に必要な文字数
反省文には、最低文字数などの規定はありませんが、原稿用紙2〜3枚程度、文字数にして1000~2000文字程度が好ましいとされています。
あまりにも短いと、適当に書いたという印象を与えてしまうおそれがあります。
また、原稿用紙数十枚もの反省文を渡されても、管財人や裁判官は全てを読むのに苦労してしまいます。
3.反省文が理由で免責不許可になる可能性は?
「反省文がうまく書けないと免責不許可になるのでは」とプレッシャーを感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、誠実かつ正直に書いた反省文がマイナスの評価を受ける可能性は低いと考えてよいでしょう。
ただし、以下のような場合は、マイナスの評価を受けるおそれがあります。
- 特段の理由なく反省文を提出しなかった
- 期日までに提出が困難な状況であるにもかかわらず、事前に申立代理人の弁護士や破産管財人へ相談しなかった
このような非協力的な態度をとると、全く反省していないという印象を裁判官に与えてしまう可能性があるため、期日内に反省文を完成させて提出することが大切です。
期日内に提出ができない状況だという場合は、必ず事前に代理人の弁護士または破産管財人に相談しましょう。
反省文で重視される点
反省文を書く際は、どのような点が重視されるのか理解しておくことが大切です。反省文で重視される点について具体例を交えながら説明します。
1.借金を作った理由を把握しているか
反省文の冒頭には、最初に借入をした時期と、何に使う目的で借りたのかを記載するとよいでしょう。
よく思われたいという気持ちから虚偽の内容を記載しないよう注意して下さい。
虚偽の内容を記載すると、免責不許可になるおそれもあります。
免責不許可事由に該当していることは裁判官にも破産管財人にも既に知られているので、正直に事実を記載しましょう。
借金をした時期については陳述書のように詳細に書く必要はありませんが、初回の借入をしてから借金が返済不可能な額になるまでの過程については、できる限り明確に記載してください。
2.自己破産に至るまでの心情
借金が返済不可能な額になるまでの過程と併せて、自己破産を検討するに至るまでの心情も反省文に盛り込む必要があります。
家族に借金を知られたくない一心で悪いことだと知りながら返済に充てる目的でクレジットカードの現金化に手を出してしまったが、それでも自転車操業になり、寝ても覚めても借金のことばかり頭にあったなど、返済中の心情と返済不可能だと感じた時の心情を、思い出せる範囲で正直に書くとよいでしょう。
3.現在の生活状況
現状は借金の返済が困難であること、また現時点で収入が増える予定もないことを述べるとともに、現在、生活を送る上で心がけている点について綴りましょう。
たとえば浪費で借金を重ねてしまったが、現在は買い物依存症を治すためにカウンセリングを受けている、家計簿をつけて収支を把握しているなど、生活改善に向けて努力していることを伝えることが大切です。
4.反省と更生の意が表明されているか
自己破産に至るまでの経過や心情を書き起こすことにより、現在の自分の状況を客観視することができるかと思います。
その上で、過去の自分の行為を反省している旨と債権者に迷惑をかけてしまうことを申し訳なく感じている旨を併記して、反省と謝罪の気持ちを綴りましょう。
債務者が免責を受けて債務の返済義務を免除されると、債権者は貸したお金を返してもらえなくなります。
債権者の立場に立って考えると、「申し訳ないことをした」、「迷惑をかけてしまった」と感じるのではないでしょうか。
その気持ちを素直に表現するとよいでしょう。
裁判所は、裁量免責の可否を決める上で申立人に経済的な更生が望めるか否かを重視するため、「今後は同じ過ちを犯さないように自分を律していきます」など、免責を得た後の展望についても記載することが大切です。
5.自分の言葉で綴られているか
反省文で特に重要なのは、本人の正直な言葉で書かれているという点です。
インターネット上にも反省文の例文などが公開されていますが、インターネット上で見つけた反省文を切り貼りして体裁だけを整えた文章や、主語や名称だけ変えた文章では、反省の意は伝わりません。
まとめ
今回は、裁量免責の判断をする上で反省文の提出を求められた場合の注意点、反省文で重視される点について解説しました。
自分の気持ちを反省文として綴るのは難しいと感じる方もいらっしゃるかと思いますが、自分の正直な気持ちと向き合い、自分の言葉で綴ることが何よりも大切です。
普段、文章を書き慣れていなくて書き方がわからない、自分が書いた反省文の内容に不安があるという方は、細かい箇所の推敲を重ねることをおすすめします。
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同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
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