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更新日: 代表弁護士 中川 浩秀

モラハラで離婚する場合の慰謝料の相場・証拠の集め方

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近年、「モラハラ(モラルハラスメント)」が原因で離婚を考える方が増えています。暴力がなくても、精神的な嫌がらせや人格否定が続けば、十分に離婚理由になりますし、慰謝料請求も可能です。この記事では、モラハラ離婚の慰謝料相場と、裁判や交渉で有利になるための証拠の集め方について、弁護士の視点から分かりやすく解説します。

モラハラとは

モラハラとは、倫理や道徳に反した言葉や態度による嫌がらせのことをいいます。身体的な暴力とは違い、被害の実態が外から見えづらいという特徴があります。夫婦間に限らず、親子、恋人同士、友人同士、上司と部下など、あらゆる人間関係でモラハラは起こる可能性があります。

モラハラをする人の特徴は?

以下ではモラハラをする人に見られる特徴を挙げていきます。

①自己中心的で共感力が低い
モラハラをする人は、基本的に「自分が正しい」「相手方悪い」という思考しがちで、自分の非を認めない傾向にあります。

②プライドが異常に高い
これは①とも共通する点ですが、自分の非を認められず、指摘されると不機嫌になり誤ることがほとんどないのも特徴です。

③外面が非常に良い
モラハラをする人は、職場や友人関係などでは評判良く振舞おうとする傾向にあるため、実は家庭外では評判が良いということがあります。

④相手をコントロールしたがる
モラハラをする人は、相手のスマホを逐一チェックする、GPSアプリで相手の位置情報を把握するなど、相手への束縛が強いのも特徴です。

モラハラは治らない?

モラハラ(モラルハラスメント)は病気ではありませんが、一種の「心の病気」と言われることがあります。また、モラハラをする人は以下の精神疾患を抱えているケースもあります。

自己愛性パーソナル障害

簡潔にいうと、常に自分は特別な存在だと感じており、他人よりも優れているということを感じるために他人を見下す・無視する・支配しようとする人のことをいいます。

アダルトチルドレン

アダルトチルドレンとは、「機能不全家庭(問題のある家庭環境)で育ったことで、大人になっても心に傷や影響を抱えている人」のことを指します。

自己肯定感の欠如

自己肯定感とは「ありのままの自分を受け入れ、肯定的に評価する感覚」といいます。
自己肯定感が低く自身がない人の場合、配偶者を失うことへのおそれから相手を束縛しよう、意のままにしようとしてしまいます。

そのため、医学的治療を受けることにより、改善する見込みが全くないというわけではないでしょう。

ただし、前述のとおり、モラハラをする人には自分の非を認めようとしないという特徴があるため、自分の非を認めてモラハラをしないように改善しようと試みない人も多いことに加えて、そもそも治療を受けることすらも受け入れないという人もおり、モラハラが治る可能性は低いでしょう。

モラハラの行為の例

実際の夫婦生活の中では、相手の言動がモラハラ行為に当たるのか否かが分からないことも多いかと思います。そのため、夫婦間で起こり得るモラハラの具体例をいくつか紹介します。

1. 人格を否定する行為

以下のような配偶者の人格を傷つける行為はモラハラの典型例です。


結婚生活の中では、家事や子育ての些細な不注意や失敗などがきっかけとなり、モラハラに発展するケースが少なくありません
配偶者からモラハラを受けていることに気づかずに、「自分が悪いのだから仕方ない」と考える方もいらっしゃいます。

2. お金を渡さない

収入があるにもかかわらず、生活費を渡さない行為もモラハラに該当する場合があります。特に、一方が専業主婦(主夫)で収入がない場合、夫(妻)からお金を受け取らなければ家庭生活が成り立たないので、悪質なハラスメントだといえるでしょう。

3. 無視

気に入らないことがあると話しかけても無視し続ける、何も言わずに家を出て帰ってこないといった行為もモラハラに該当する可能性があります。配偶者から無視され続けることにより、精神的に大きなダメージを受ける場合もあるからです。

4. 外部との交流を制限する

モラハラをする人は言葉や態度によって相手の心を傷つけ、支配・コントロールしようとする傾向にあります。
モラハラをする人は、あなたが家族や友人、同僚などとの接触や相談を制限・妨害することがありますが、このような行為もモラハラに当たります。
具体的には、以下の行為が挙げられます。
実家や友人との連絡を禁止・監視する

・スマホを勝手にチェックし、交友関係を管理する
・他人に家庭のことを話すな」と圧力をかける

5. 一方的なルールや禁止

モラハラをする人は、自分の価値観や都合を一方的に押しつけ、相手の行動・言動・選択の自由を制限することがありますが、このような行為もモラハラの典型的な特徴です。
具体的には、
・服装や髪型、買い物まで細かく指示・禁止する
・自分の許可なしに外出することを責める
・家の掃除や料理の出来に毎回文句をつける

などが挙げられます。

6. 失敗や間違いを人のせいにする

モラハラをする人は、プライドが高く失敗や弱さを認められない傾向があります。そのため、自分が非難されそうになると、「悪いのは自分ではなく他人だ」と考え、あらゆる責任を相手に押しつけようとします。
・「部屋が汚いのはお前がちゃんと掃除しないせいだ」
・「金が足りないのは、お前の無駄遣いが原因だ」

といった発言はモラハラに当たります。

7. 被害者意識を植えつける

モラハラをする人は、あなたが加害者で自分が「被害者であるかのように振る舞い、あなたに罪悪感や責任を感じさせることがあります。このような行為もモラハラ当たると考えられます。
・「俺(私)だってつらい思いをしている」
・「お前に振り回されてもう限界だ」
・「お前のせいで自分が精神的に壊れそうだ」
・「被害者ぶるな。俺の方がよっぽど傷ついてる」

8. 常に命令をする

相手を対等なパートナーとして尊重せず、一方的に指示・命令を出し、相手の意思や感情を無視する行為もモラハラになります。
以下のような発言が代表的です。
・「夕飯は○時に出せ。遅れたら許さない」
・「友達と会うのは月1回までにしろ」
・「いいから黙ってやれ」
・「俺が正しいんだから従え」

9. 無理な要求をする

パートナーの体力・時間・金銭的余裕・精神的余裕などを無視して、常識的に見て過度・不合理なことを強要することもモラハラといえるでしょう。
以下のような発言が挙げられます。
・「フルタイムで働いてても家のことは全部やれ」
・「体調が悪くてもメシは作れ」
・「妊娠してても家事は完璧にやれ」
・「夜中に今すぐ○○をやれ」
・「休日は全部俺(私)の実家に行け」

モラハラは離婚事由になる?

法律では離婚が認められる場合が定められており(これを「法定離婚事由」といいます。)、離婚事由があると認められれば、裁判において離婚を認める判決が下されます。
離婚事由の1つとして、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき(民法第770条1項5号)」が定められております。
モラハラは離婚事由として直接的には定められてはおりませんが、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当して離婚事由となる場合があります。
そして、モラハラが「その他の婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するか否かは、当該モラハラの程度により判断されることとなり、モラハラが軽度なものである場合は離婚事由に該当しない可能性が高い一方で、モラハラが重度なものである場合は離婚事由に当たる可能性があります。

モラハラ理由に離婚する方法

モラハラが離婚事由に当たる場合には、モラハラを理由に相手に離婚を求めることが可能です。
離婚を求める手続については、法的には大きく3つの段階があります。

協議離婚

協議離婚とは、夫婦が話し合い(協議)によって離婚に合意し、役所に届け出る離婚の方法です。
日本の離婚方法としては最も多いのがこの協議離婚になります。
協議については、当事者(夫婦)で直接協議する場合もあれば、一方のみ弁護士に依頼する場合や夫婦双方が弁護士に依頼する場合も協議離婚に含まれます。

具体的な協議の方法としては、まず、離婚するかどうか、財産分与・慰謝料・養育費・親権・面会交流などについて話し合います。
この点、口頭の約束ではトラブルになりやすいため、離婚協議書(離婚条件を記載した書面)の作成した方が良いでしょう。
ただ、離婚協議書の作成については、法的な知識が必要となることがほとんどであるため、弁護士にて作成することがおすすめです。

離婚調停

調停離婚とは、話し合い(協議)では離婚の合意ができない場合、家庭裁判所で調停手続きを行い、第三者(調停委員)の立ち会いのもとで離婚条件等について話し合い、離婚を成立させる方法です。

相手がモラハラをする人である場合には、当事者間での話し合いが上手くいかない可能性が高いと思われます。
その場合には、離婚調停を申し立て、第三者に間に入ってもらい、離婚条件について話し合った方が上手くいくことがあります。

離婚裁判

離婚裁判とは、夫婦間の話し合い(協議離婚)や裁判所での離婚調停でも離婚が成立しない場合、裁判所に訴えを起こし、裁判官の判決によって離婚を決める手続きです。

日本では原則として、いきなり裁判を起こすことはできず、まず裁判所で調停を経る必要があります(調停前置主義)。そして、離婚調停が不成立となった場合にのみ、離婚裁判を提起することが可能です。

そして、先ほど述べたとおり、法律で定められている離婚事由が認められない場合、裁判官は離婚を命じる判決を下すことはありません。
そのため、離婚裁判の中では、夫婦間に離婚事由があること、すなわち、モラハラが婚姻を継続し難い重大な事由に該当することを主張していくことが重要です。

参考:離婚手続の種類と流れ・離婚前後の確認事項や必要な届け出も解説
https://tokyo-startup-law.or.jp/legalpark/category08/type-of-divorce-procedure/

モラハラを理由に離婚する際のポイント

これまで離婚を求める手続について、説明させていただきましたが、ここからはモラハラを理由に離婚する際のポイントを3つほどご紹介いたします。

①証拠を集める

モラハラについては、家庭内での出来事であることに加えて暴力とは違い目には見えないため、調停委員や裁判官といった第三者が分かる客観的な証拠を収集することが非常に重要です。
また、離婚協議や離婚調停が始まってからだと、相手は警戒しなかなか証拠を残さないことが考えられるため、離婚を申し入れるより前から証拠の収集をしておくことをおすすめします。
モラハラの証拠足り得るものとしては、以下のものが挙げられます。
LINEやメールの暴言のスクショ
・長期間の無視や冷たい態度を示す日記、メモ
・暴言、威圧的な言動の録音、録画
・精神的苦痛で通院した場合の診断書
・第三者(家族・友人)の供述
これらの証拠は、いつ頃から始まりどのくらい続いているのか(始期と期間)、どのような言動を受けたのか(モラハラの具体的な内容)等が記録されていることも重要なポイントとなりますので、証拠を集める際にはこれらの点を意識していただければと思います。

②別居の検討

モラハラをする相手に対応しながら、離婚について話し合う(協議)ことは非常に困難であり、精神的にも肉体的にも大きな負担になります。その際には、負担の原因である相手から距離を取るために別居することも検討するべきです。別居は、離婚への明確な意思表示であると同時に、モラハラから身を守り、冷静に状況を整理するための重要な一歩です。
別居は自身の身を守るためにも有効な手段ですが、法的にも重要な意味を持つことがあります。
長期間にわたって別居している夫婦においては、婚姻関係が破綻しているとして「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当し、離婚が認められることがあります。
長期間の別居については、法律や裁判例では明確に「何年以上」とは定められておりませんが、別居期間が長ければ長いほど婚姻関係が破綻していると判断される傾向にあります。
そのため、別居をすることにより自身の身を守りながら離婚を有利に進められる可能性があります。

③離婚問題に強い弁護士に相談

モラハラを長期間にわたり受け続けているケースでは、精神的に追い込まれ、自分を責めたり、正常な判断ができなくなる状態になりがちです。
また、前述のモラハラをする人の特徴上、相手は自身の非やあなたの発言を受け入れてもらえない場合が多く、話し合いをすることもままならないことも少なくありません。
さらに、離婚といっても単純ではなく、財産分与・慰謝料・養育費・親権・面会交流など、話し合う内容は多岐にわたり、それぞれ専門的な知識も必要となります。モラハラを受けている状況下でモラハラをする相手とこれらの点を話し合うのは困難でしょう。
そんな時には一人で抱え込まず、専門家、特に離婚問題に強い弁護士に相談することおすすめします。弁護士であれば、離婚協議でまとまらずに離婚調停に移行した場合でも引き続き、離婚問題に対応することが可能です。

参考:離婚弁護士の選び方│優秀な弁護士を選ぶためのポイントを解説
https://tokyo-startup-law.or.jp/legalpark/category08/bengosi-erabikata/

モラハラを理由に離婚を成立させることは可能?

夫婦間のモラハラに悩まされていることを理由に離婚を成立させることはできるのでしょうか。モラハラを理由に離婚できる場合とできない場合について説明します。

1.モラハラで離婚ができる場合

離婚には、協議離婚と裁判離婚の2種類があります。協議離婚とは、夫婦の話し合いによって婚姻関係を解消することについて合意し、市区町村役場に離婚届を提出することによって離婚を成立させることをいいます。日本の離婚の約9割は協議離婚によって成立しているといわれています。
協議離婚の特徴は、離婚の理由を問われないことです。離婚届にも、離婚の理由を記載する欄はありません。

協議離婚ができる場合

上述の通り、離婚することについて相手の同意を得られた場合は、離婚することが可能です。

一方的に離婚を成立させることが可能な場合

しかし、配偶者が離婚に同意してくれるとは限りません。離婚すること自体には同意しても、子どもの親権や養育費、財産分与等の離婚の条件で折り合いが付かずに合意に至らない場合もあります。
この場合、相手の同意がなくても一方的に離婚を成立させる手続が裁判離婚です。裁判離婚とは、家庭裁判所に申立てを行い、判決文を得て離婚を成立させる手続をいいます。
もっとも、裁判離婚を成立させるためには法律で定められた離婚事由があることが条件となります。離婚事由は以下の5つです。

  1. 配偶者に不貞な行為があったとき
  2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき
  3. 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
  4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

②の「悪意の遺棄」と⑤の「婚姻を継続し難い重大な理由」に、モラハラが該当する場合があります。
②の悪意の遺棄とは、家を出て行ったまま帰ってこない、収入があるのに生活費を入れない等の行為をいいます。夫婦には、お互いに助け合って生活していく義務がありますので、この義務に違反する場合、離婚が認められます。
⑤の婚姻を継続し難い重大な理由とは、①から④のいずれにも該当しないものの、離婚を成立させるのもやむを得ないと認められる場合をいいます。これに該当する典型例は、ドメスティック・バイオレンス(DV)です。夫婦の一方あるいはその子どもが相手から継続的に身体的な暴力を受けている場合には、婚姻関係を継続させることが難しいため、⑤の婚姻を継続し難い重大な理由に該当すると判断される可能性が高いです。精神的な暴力であるモラハラもDVに含まれると考えられているため、モラハラが⑤の婚姻を継続し難い重大な理由に該当すると認められる場合もあります。ただし、モラハラは身体的暴力に比べ立証が難しいため、長期に渡る悪質なモラハラがあるという証拠を集めることが重要です。

2.モラハラで離婚ができない場合

夫婦間にモラハラがあっても、裁判所が離婚を認めない場合もあります。例えば、モラハラの証拠がない場合です。裁判所は当事者の証言だけでなく、録音やLINEのやりとり等の客観的な事実を元に事実関係を認定します。モラハラが事実だったとしても、配偶者がその事実を否定し、かつ客観的な証拠が何もなければ離婚は認められない可能性が高いです。
また、モラハラがあまり悪質でない場合や、加害者である配偶者が大いに反省しており、婚姻の継続を強く希望している場合も、離婚は認められない可能性があります。
日本の裁判所は、離婚の成立について当事者の意思を尊重しつつ、一方の当事者の意思により一方的に離婚を成立させる判断には慎重になる傾向があります。これは「夫婦の協力により婚姻関係を継続させる余地があるなら、離婚を成立させるべきではない」という価値観によるものと考えられています。
また、モラハラという概念自体が比較的最近生まれたもので、モラハラに該当する行為も広範囲で曖昧な面があるため、裁判所も離婚事由として認めづらいという事情もあります。

モラハラを理由に慰謝料を請求できる可能性と慰謝料の相場

モラハラを理由に、加害者である配偶者に対して慰謝料を請求することはできるのでしょうか。慰謝料を請求できる可能性や慰謝料の相場などについて説明します。

モラハラを理由に慰謝料を請求できる可能性

慰謝料は、不法行為に基づき請求することができます。不法行為により損害賠償を請求するには、相手の故意または過失によって違法な権利侵害がなされ、それによって損害が生じたことが必要です(民法第709条)。
違法な権利侵害の対象には人の名誉やプライバシーなどの、人格権も含まれ、損害には精神的な損害も含まれるので、モラハラ行為に基づく損害賠償請求は可能です。ただし、全ての場合に損害賠償請求が認められるわけではなく、一般的な夫婦喧嘩中の暴言である場合、暴言が一度限りだった場合は、違法性が認められず、損害も認められない可能性が高いでしょう。
一般的には、裁判所により離婚の事由として認められる程度のモラハラであれば慰謝料請求が認められる可能性が高いと考えられています。また、夫婦は家計を共有していることも多いので、離婚が成立しない場合は、慰謝料を請求するメリットがないというケースも多いでしょう。そのため、基本的にはモラハラを理由とする慰謝料請求は離婚の請求とセットで検討されることになります。

モラハラを理由に離婚するときの慰謝料の相場

モラハラを理由に離婚する時には慰謝料が請求できる可能性があります。
慰謝料が認められるか否かその金額は、法律で明確な基準はありませんが、モラハラの内容・程度・期間、被害の程度により決まります。
・長期間モラハラを受けている
・高頻度でモラハラを受ける
・モラハラが悪質である
・うつ病などの精神疾患を患い通院している

これらの事情があるケースでは慰謝料が認められる可能性が高くなる傾向にあります。
ただ、モラハラについては、家庭内での出来事であり暴力とは違い目には見えないことから、証拠がないと言った言わないの水掛け論になってしまい、慰謝料が認められないおそれがあります。そのため、前述の証拠の収集がより重要となってきます。
モラハラに関する慰謝料の相場としては、個々の事案によりますが、数十万円~300万円程度が中心となります。

調停や裁判で有利に進めるためのコツ

証拠の収集

繰り返しになりますが、普通に生活を送っているとなかなかモラハラの証拠が残っているということはありません。
そのため、離婚に向けて動き出すためには、まず意識して証拠の収集を行いましょう。
また、客観的な証拠があれば、調停委員や裁判官などの第三者にも、モラハラの具体的な被害等が伝わりやすく、調停や裁判のスムーズな進行にもつながります。

書面などに事前に時系列や事実をまとめておく

調停や裁判の場において、当日いきなりこれまでの経緯や事実関係を詳細に伝えることは非常に難しいです。
また、夫婦間でのモラハラの場合、長期間に及んでいることも少なくないため、当日思い出すのも限界があると思います。
そのため、夫婦間でのこれまでの事実関係や時系列を事前に書面にまとめておくことをおすすめします。
当日は、書面を見ながら事実関係を伝えても良いですし、ご自身で作成した書面を提出することも可能です。

自身の要望を明確にしておく

自身の要望を明確にしておくことで、調停委員や裁判官にも本件では何が問題となっているのかが伝わりやすいです。
離婚調停や離婚裁判を起こしているため、離婚を求めていることは前提かと思いますが、離婚について話し合う際には、財産分与・慰謝料・養育費・親権・面会交流なども取り決める必要があります。
そのため、それぞれの点について、あらかじめ自分は何を求めたいのかを考えておくことをおすすめします。

モラハラをする人と離婚する際に注意すること

精神的に追い詰められないためにも、モラハラをする相手との離婚での注意点を押さえておくことが重要です。

本人同士の話し合いで解決しようとしすぎない

モラハラをする人は、言葉や態度で相手を支配・コントロールしようとします。そのため、離婚を切り出すと激しく抵抗してきたり、逆に被害者を装ったりと、通常の離婚以上に複雑かつ長期化しやすく、本人同士での話し合いでは解決が困難なことが少なくありません。
その際には、弁護士に依頼することや離婚調停を申し立てるなど、第三者を間に入れることを検討した方が良いでしょう。

準備ができるまでは相手に気付かれないようにする

これまでご説明させていただいたとおり、モラハラはなかなか目に見える証拠がないことが多く、特に証拠の収集が重要になってきます。
そのため、事前準備無しで突発的に離婚を切り出すのは止めましょう。
また、離婚に向けて証拠の収集をする際には、相手に気付かれないように注意しましょう。あなたがモラハラの証拠を集めていることや離婚を考えていることを相手がすると、モラハラが悪化するおそれがあります。

相手の態度に惑わされない

あなたが離婚を切り出した場合、相手は一時的に態度を急変することがあります。これまでのモラハラがまるで嘘のように態度を改めるケースが散見されます。
しかし、先ほどご説明させていただいたとおり、モラハラが治る可能性は低いのが実情です。そのような相手の態度の変化も一時的なものにすぎず、またすぐにモラハラが再開にすることが多いです。
そして、あなたが離婚を考えていることを、一度相手に知られてしまうと、その後の証拠の収集などがいっそう困難になるおそれがあります。
モラハラをする相手が態度を改めたとしても、それに惑わされず離婚するという決意を最後まで維持することが肝要です。

まとめ

モラハラの特徴として、被害者が長期間精神的に追い込まれ、自分を責めたり、正常な判断ができなくなる状態になりがちです。
そのため、「一人で抱え込まず、第三者や専門家に助けを求める」ことが離婚を有利に、そして安全に進めるために欠かせません。モラハラを理由とする離婚では「自分さえ我慢すれば…」と考える方が多いですが、我慢は解決になりません。
早い段階で弁護士や専門家に相談することで、本当に離婚すべきか、どんな証拠を集めるべきかといった具体的な戦略を立てられます。

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執筆者 代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会 登録番号45484
東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士として、男女問題などの一般民事事件や刑事事件を解決してきました。「ForClient」の理念を基に、個人の依頼者に対して、親身かつ迅速な法的サポートを提供しています。
得意分野
不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 刑事事件
プロフィール
京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設
書籍・論文
『スタートアップの法務ガイド』中央経済社
『スタートアップの人事労務ガイド』中央経済社

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