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更新日: 代表弁護士 中川 浩秀

妊娠中に離婚したらどうなる?離婚によるリスクや、親権や子どもの戸籍、養育費について解説

妊娠中に離婚したらどうなる?離婚によるリスクや、親権や子どもの戸籍、養育費について解説
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妊娠中の離婚は、心身の変化や将来への不安、パートナーとの関係悪化など、複雑な事情が重なり合うデリケートな問題です。

感情的な判断で後悔しないためにも、親権・戸籍・養育費といった法的ポイントや経済的リスクを正しく理解し、冷静な判断が求められます。

妊娠中に離婚を考える原因

お子さんを妊娠している最中に配偶者との離婚を検討する、そんな場面もあるかもしれません。

一般的に、離婚の時期については法律で制限されておらず、妊娠中であっても離婚をすることは可能です。

妊娠中の女性は精神的に不安定になることも多いでしょう。

そのような状況のもと、その場の思い付き等で離婚手続を進めてしまい、あとで後悔することがあってはなりません。

したがって、離婚したい理由については配偶者に離婚を切り出す前にはっきりさせておくことが賢明です。

妊娠中に離婚を検討する妻が考える離婚原因の例

  • 夫が頻繁に飲みに行くなど、妻の状況に対する配慮が足りずイライラしてしまう
  • 家事等についてなにもしてくれない夫の行動に対する不満
  • 妊娠によるホルモンバランスの変化等を原因とするメンタル面の変化に理解をしてもらえず不安が募る
  • 夫にもうすぐに父親になる自覚を感じることができずに将来を不安に思う
  • 妊娠中に夫の不倫が発覚する

妻の妊娠中に離婚を検討する夫が考える離婚原因の例

  • 妊娠による妻の心身の変化を受け入れることができない
  • 子の父親になることに対する重圧に耐えきらない
  • 妻とのスキンシップの減少、セックスレスに対する不満
  • 妻の妊娠後、妻の浮気が発覚し、生まれてくる子の父親が自分ではないことが明らかになった

パートナーの浮気や不倫に直面したとき

妊娠中における体調の変化や気分の変動によって、妻の夫とのスキンシップが減少するといったことは一般的に見られます。

この場合、夫はそれまでのように応じてくれない妻の態度を不満に思い、他の女性と肉体関係を持ち、結果として夫婦が離婚するに至るケースは実際にも少なくありません。

この場合、夫の不倫が一時的なものであって、夫自身自らの行為を深く反省し、生まれてくる子のために夫婦が協同して生活していくことを約束できるのであれば、すぐには離婚に踏み切らずともしばらく様子をみることもよいでしょう。

もっとも、その後夫側の不倫が継続的に行われるケースもありますので、その後の離婚手続や慰謝料請求を見据えて、不倫があった証拠は集めておくことをお勧めします。

DVやモラハラが表面化した場合

妻が妊娠中に夫から身体的な暴力を受けるケース、暴言や侮辱を受けるケース、生活費を渡してもらえずに経済的に困窮するケース等、DVやモラハラといえる場合も少なからず存在します。

このような状況は、母体や胎児に影響を及ぼしますので、無理することなく公的機関や警察、弁護士等に相談し、実家やシェルター等安全な場所に避難することが必要です。

マタニティブルーによる夫婦関係の悪化

妊娠によるホルモンバランスの乱れや、子の母親になることに対する重圧から、精神的に落ち込む、些細なことでイライラする、不安を感じて不安定になる等の症状が出る場合があり、これは一般的にマタニティブルーと呼ばれています。

マタニティブルーの際、夫による言動行動に必要以上に腹を立てたり、些細なことでケンカになったりして、夫婦仲が悪くなった結果、離婚に至るケースもゼロではありません。

ですが、マタニティブルーによる心身の変化は一時的なものであり、時間の経過により自然に治癒するといわれています。

この場合に、離婚を急ぐことで後になって後悔する可能性も考えられます。

まずはかかりつけの産婦人科や診療内科を受診して、医師に相談し、解決の糸口を探ってみることが重要です。

また、夫に対して状況を伝え、今後の生活不安等について夫婦揃って考えてみることもよいでしょう。

妊娠中の離婚によるリスク

子を妊娠している最中に離婚を進めることのリスクについても、考えておくことが必要です。

以下、典型的なものとして考えられるリスクを解説していきます。

出産後の就労と育児の両立は可能?

出産後、子育てをしながら働くことのできる環境は、そう多くはありません。

条件面等で希望と合わず、なかなか就職先の見つからないケースもあります。

就職に成功しても子育てをしながらの環境で長時間労働は難しく、結果として十分な収入が得られないこともあるでしょう。

可能な場合、就職の際に有利な資格を取得したり、国・自治体の支援制度を利用したりして、子育て環境の維持確保についてある程度の目途を立ててから離婚を進めることをお勧めします。

経済的な困難への対処法

上記のとおり、子育てをしながら働き十分な収入を得ることには困難が伴うことが少なくありません。

また、独身時代の貯金等を確保していたとしても、離婚時の引越しや新たな生活環境を整えるための費用としてまとまった金員を要することが多く、結果として自身の資産を十分に確保することのできないまま新生活をスタートさせることもあるでしょう。

妊娠中に離婚するのであれば、子の出産費用や養育費等について、しっかりと取り決めておくことが極めて重要です。

妊娠中に離婚した場合の親権と子どもの戸籍

日本の民法上、子の嫡出推定制度、というものがあります。結論として、子の戸籍如何については出産のタイミングにより異なることになります。

そもそも、嫡出推定制度というのは、父子関係が明らかにならずに子の地位が不安定になることを防ぐために、法律上の親子関係を確立するものです。

令和6年4月1日の民法改正により嫡出推定制度についても改正されましたが、改正前に生まれた子については依然として旧法によるルールが適用され、その内容は以下のとおりとなります。

  • 離婚後300日以内に生まれた子 元夫の子であるとの推定を受けますので、結婚している夫婦と同様に嫡出子として、元夫からの養育費や相続権が発生します。
    子は離婚時の夫婦の戸籍に入るため、婚姻中の戸籍の筆頭者が元夫である場合には、元夫の戸籍に入ることになります。
  • 離婚してから300日より後に生まれた子 元夫との間の子であるとの推定が及びませんので、非嫡出子として母の戸籍に入ります。
    この場合において、父に認知されない限りは法律上の父子関係が生じず、養育費をもらう権利や相続権は発生しません。

なお、令和6年4月の改正により、母が再婚している場合において、改正後に生まれた子についてはその誕生が離婚後300日以内であっても再婚した夫の子と推定され、再婚後の夫の戸籍に入ることになりました。

出産前と出産後で異なる親権の扱い

親権については、離婚後に生まれた子に関しては基本的に母親が単独で行使することになります。

出産時には夫婦がまだ婚姻していて、その後離婚した場合には、出産時には一旦夫婦共同親権となり、離婚の際に親権者を決める必要があります。

また、離婚後母が再婚してその後子を出産した場合には、再婚した夫と母親が共同して子の親権を行使することになります。

子どもの戸籍はどうなる?選択肢と手続き

上記のとおり、元夫との離婚から300日以内に生まれた子は元夫との子であるとの推定を受けますので、元夫が戸籍筆頭者である場合には子も元夫の戸籍に入ることになります。

この場合において、子と母との親子関係を証明するために手間取ったり、元夫に住居を秘匿している場合には戸籍の記載からその点が明らかになるといった可能性が出てきますので、子の戸籍を母の戸籍へ移す対処をする必要があります。

その手続としては、まず母親を筆頭者とする新しい戸籍を作り、家庭裁判所に対して子の氏の変更許可申し立てを行います。

裁判所による許可を得た後、審判書や入籍届書を役所に提出することで、子を母の戸籍に入れることができます。

離婚時に決めるべき重要な条件

妊娠中に離婚することによるリスク等を理解した上で離婚の手続きに踏み切る場合、離婚時に離婚条件をしっかり決めておくことが必要です。

具体的には、子の養育費、面会交流、財産分与、慰謝料等が考えられます。

養育費の適切な金額と計算方法

養育費は子が成長する上で大切な費用に関する取り決めですので、しっかりと決めておくことが必要です。

もっとも、すでに述べたとおり離婚後300日を過ぎてから生まれてくる子は元夫の子であることの推定を受けませんので、元夫が子を認知しない限りは養育費をもらう権利はありません。

ただし、元夫が任意で養育費を支払う場合には、受け取ることができます。

養育費の適正金額については家庭裁判所が公開している算定表が存在します。

当事者双方の収入に応じて子の養育費の適正額を決める仕組みになっていますので、確認してみましょう。

また、養育費の支払始期(離婚時)、および終期についてもはっきりと決めておくことをお勧めします。

面会交流の取り決め方と注意点

養育監護権を行使しない親(非親権者)と子との面会をどういうかたちで実施するのかも、離婚時に決めておかなければならない条件の一つとなります。

子の成長のために、子の利益を優先して取り決められることが推奨されますが、面会の場所、方法、頻度等の詳細についても、可能な限り話し合って決めておくことが重要です。

シングルマザーが受けられる支援制度

児童扶養手当など経済的支援の種類

経済的な支援制度については、以下のものがあげられますので、離婚する前に確認しておくことをお勧めします。

また、保険料の減免制度、公共料金の割引制度などが存在します。

  • 児童福祉手当
  • 母子寡婦福祉資金貸付制度
  • ひとり親家庭住宅手当
  • ひとり親家族等医療費助成制度

(以下、ひとり親に限らず受けられる支援)

  • 児童手当
  • 児童育成手当
  • 生活保護

まとめ

以上、本記事では妊娠中に離婚を検討する場合の典型的な原因、対処法から離婚時に決めておくべき条件、子の戸籍、親権者、シングルマザーの就職先確保や経済的な支援等、幅広く関連する分野について解説してきました。

子の養育のため、これらについてよく確認、検討した上で離婚を進めることが賢明です。

法律の専門家である弁護士や各分野の担当の助言を受けることも大切ですので、ひとりで抱え込まずにしかるべき場所に相談へいかれることをお勧めします。

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執筆者 代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会 登録番号45484
東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士として、男女問題などの一般民事事件や刑事事件を解決してきました。「ForClient」の理念を基に、個人の依頼者に対して、親身かつ迅速な法的サポートを提供しています。
得意分野
不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 刑事事件
プロフィール
京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設
書籍・論文
『スタートアップの法務ガイド』中央経済社
『スタートアップの人事労務ガイド』中央経済社

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