別居中の配偶者と離婚話が進まない時の対処法は?理由や注意点を紹介

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記事目次
離婚を決意して別居を開始したものの、相手との離婚の話し合いがぜんぜん進まないというお悩みをよく耳にします。
離婚話が長引いてしまうと、心身の負担も大きくなってしまい日常生活にも支障をきたしてしまうことにもなりかねません。
この記事では、別居中に配偶者と離婚話が進まない主な理由とその対処法を解説していきます。
別居中の配偶者と離婚することは可能?
離婚届を提出する前に別居してしまった方の中には、そもそも離婚できるのかご不安に思われている方もいらっしゃるかと思います。
結論から申し上げますと、別居中の夫婦であっても、離婚について話し合い離婚をすることは可能です。
別居中の配偶者と離婚話が進まない4つ理由
しかし、場合によっては、別居しているが全く離婚の話が進まないというケースも少なくありません。
ここでは、離婚話が進まない代表的な理由について、いくつか解説していきたいと思います。
①相手が離婚を望んでいない
そもそも、相手方が離婚を望んでいない場合には、こちらから単に離婚話を持ちかけても効果がありません。
相手がなぜ離婚を望んでいないのかを考えることが重要です。
一般的に考えられる相手が離婚を望まない理由としては、以下のような理由が挙げられます。
ⅰ夫婦関係の修復を望んでいる
ⅱ経済的な不安
ⅲ子どもへの影響
ⅳ世間体や周りの目を気にしている
②相手との連絡が取れない、話し合いを拒否される
こちらから離婚について話し合いを申し入れても、相手方から連絡が一切返ってこない場合や連絡は返ってきても話し合いには応じてくれない場合などは、相手の意向を聞くことができないことから話し合いを始めることすらできないということもあります。
話し合いに応じない要因としては、先ほどの説明のとおり、相手が離婚を望んでいないこともあれば、別居期間中の生活費(婚姻費用)を少しでも長い期間受け取るために、引き伸ばしていることなどが考えられるところです。
③感情的なもつれから冷静な話合いができていない
相手が離婚に応じるつもりがあり、相手からの連絡が返ってきている場合であっても、感情的になってしまって建設的な話合いができないといった状態も考えられます。
夫婦が離婚することを前提に別居に至ったケースでは、何かしらの要因があることがほとんどかと思います。
同居中の不倫や暴言、暴力、パワハラ、モラハラ等が別居の原因となっている時は、これらの過去の出来事が尾を引いており、同居中の双方の言動の有無やパワハラモラハラ該当するか等が話の中心となってしまい、離婚の話が進まなくなってしまっていることが想定されます。
④財産分与や親権などの条件面で対立している
相手方と冷静に話し合いはできているものの、双方の求める離婚条件に乖離があり、離婚話が進まないという理由も多いです。
離婚の話合いにおいて、一般的に定める項目としては、親権、養育費、財産分与、慰謝料など多岐にわたります。
また、上記の項目について話し合うためには法的な知見が必要となるところ、一般の方にはなかなか馴染みがなく、自身で調べながら話し合うとなるとかなりの時間を要してしまう可能性が高く、こうした理由から当事者同士での話し合いの長期化につながってしまいます。
別居中に離婚話が進まない場合の対処法3選
これまで見てきた理由から離婚話が進まなくなってしまった時には、どのように対処したら良いのでしょうか。
以下では、離婚話が進まなくなったしまった場合の対処法をいくつかご紹介いたします。
書面やメール等であなたの意向を伝える
相手方と口頭で話し合ってしまうと、過去の遺恨などから感情的になってしまいなかなか冷静に話し合うことが難しくなってしまうかと思います。
そのような時には、相手方への連絡手段を書面やメール等の文字に起こす方法を検討してみてください。
文字に起こすことでご自身の意向やお気持ちを客観視することができ、口頭で話し合うよりも冷静に話し合うことができます。
また、相手方からの連絡が一切ない場合や話合いを拒否されている場合においては、あなたが、冷静に話し合うことを提案していたことを記録として残すことができます。
その後の裁判所における手続において、証拠として提出することもできます。
上記のメリットの他にもあなたの意向を文字で伝えることができるため、相手方との認識の相違点や条件面の対立点などを明確化することができ、より建設的な話し合いを行うことに役に立つはずです。
書面やメール等を作成する際の注意点としては、非難や怒りの文言は感情的な対立の激化につながってしまうため控えた方が良いです。
丁寧で事務的な文章を心がけた方が感情的な対立を避けることができるでしょう。
第三者である弁護士に交渉を依頼する
どんなに冷静な話合いを心がけたとしても、やはり当事者同士での話合いは上手くいかないことは多いです。
また、相手方から連絡がない場合や話合いを拒否されてしまった場合には、ご自身で対応することには限界があると思います。
その場合には、第三者である弁護士を間に入れて交渉をするといった方法が考えられます。
弁護士に離婚の話合いを依頼した場合には、基本的には、弁護士が相手方と連絡を取り合うことになり、あなたが直接相手方と連絡を取る必要がなくなります。
このように当事者の間に、弁護士が入ることによって冷静に話し合うことが可能となり、離婚話が進むきっかけになる可能性があります。
また、弁護士であれば、親権や養育費、財産分与、慰謝料について精通しているため、あなたのケースでは実務的にはどういった条件になることが多いのかという点を、法律家の専門的な視点からのアドバイスを受けながら、相手方との離婚の話合いを進めていくことが可能になります。
家庭裁判所に離婚調停を申し立てる
当事者間での話合いがどうしても上手くいかない場合の対処法として、家庭裁判所の夫婦関係調整(離婚)調停を申し立てるという方法があります。
離婚調停とは、家庭裁判所において、夫婦間で離婚の話し合いを行う手続になります。
具体的には、調停委員という第三者が間に入り、夫婦が交互に自身の意向を主張し話し合うことになります。
離婚調停は、おおよそ1か月~2か月に1回の頻度で行われ、調停委員や裁判官の心証を聞くこともできるため、当事者間で話合いを行う場合よりも、法的、実務的な条件に沿った離婚条件となる可能性が高いでしょう。
離婚調停の申立てには、戸籍等の資料が必要になることに加えて、調停の申立書を作成し裁判所に提出する必要があります。
もっとも、離婚調停については必ずしもご自身で申立てを行う必要はなく、弁護士が付いている場合であっても、離婚調停の申し立ては可能なため、弁護士を付けた場合には、上記の煩雑な離婚調停申立ての手続を弁護士にて行うことも可能です。
別居中に準備しておきたい離婚の準備
スムーズに離婚の話し合いを進めるために、相手方と話し合うことの他に、どのようなことを準備することができるかを解説いたします。
財産資料の準備
離婚の条件を話し合うにあたり、財産分与が問題となることは多いです。
財産分与を簡単に説明すると、従前の夫婦生活にて築いた夫婦の共有財産を折半する制度です。
夫婦の共有財産を正確に把握する上では財産資料を取得することが重要です。
財産分与において、必要となる財産資料としては以下のものが挙げられます。
ⅰ預貯金を示す資料(通帳の写しなど)
ⅱ不動産に関する資料(不動産の登記簿謄本、査定書、ローン関係の書類など)
ⅲ保険に関する資料
ⅳ退職金に関する資料
収入資料の準備
財産分与の他に養育費が争点となることも多いです。
養育費の金額は、子どもの人数や年齢、父母の収入等を踏まえて、裁判所で用いている計算式に基づき算出されることとなります。
そのため、養育費の金額を算出するためには収入を示す資料が必要となります。
会社員の方の場合は勤務先から源泉徴収票または課税証明書、自営業者の場合は確定申告書や課税証明書等を収入資料として取得しておくと良いでしょう。
離婚条件の中で譲れる点、譲れない点を整理しておく
話し合いにより離婚を成立させるためには、当事者双方の意向が合致する必要があります。
この点、離婚条件の中でどの点を重視されるかはその人によって異なることが多いです。
そのため、離婚条件についての話し合いが本格化するまでの間に、ご自身の中で、離婚条件において譲れる点と譲れない点はどの点になるのかを明確にしておくと、離婚条件の話合いがスムーズにいきやすくなるでしょう。
別居中に離婚話が進まない場合にしてはいけないこと
別居は離婚に向けた第一歩ではありますが、その後の対応を間違えると、離婚の話し合いがこじれてしまい、難航してしまうおそれがあります。
以下では、離婚話がスムーズに進まなくなってしまう別居中にしてはいけないことを解説いたします。
不貞(不倫)行為をしない
不貞(不倫)行為とは、配偶者以外の方と性交渉や性交渉に類似する行為を行うことをいいます。
別居中の状態であっても離婚成立前のは、まだ戸籍上は夫婦関係にありますので、配偶者以外の方と関係をもってしまうと不貞行為が成立し、慰謝料を支払わなければいけなくなるおそれがあるため注意が必要です。
また、実務上は離婚の原因を作った方(有責配偶者)から離婚の請求は認められないことがあるため、離婚成立前に不貞行為をしてしまうと慰謝料の支払いだけでなく、あなたからの離婚の請求までが認められないという事態に陥ってしまう危険もあります。
攻撃的または脅迫的な言動をしない
早期に離婚を成立させたいあまり、相手方の回答をせかしてしまう方がいます。
一般的な進捗確認であれば問題はありませんが、中には攻撃的な言動や脅迫的な言動で催促してしまう方がいらっしゃいます。
【具体例】
「早く離婚届にサインしないとお金を払わないぞ」
「周りに不倫をばらされたくなったらこちらの条件に応じろ」
こうした言動は相手方を感情を刺激し対立の激化に繋がってしまうだけでなく、脅迫罪が成立してしまうおそれすらあります。
離婚話は良い話ではないため早期に終わらせたい気持ちは理解できますが、解決を急ぐあまり攻撃的または脅迫的な言動はむしろ逆効果となってしまいます。
無断で相手宅に入り私物を搬出すること
別居後、従前住まわれていた相手方宅にある私物などを回収しようと思い、自身の持っている鍵を使用して相手方に無断で私物などを回収してしまうケースがあります。
離婚成立前は夫婦ではありますが、別居後はこのような行為は控えるべきです。
夫婦間であっても別居後に相手方に無断で相手方宅に入った場合には、住居侵入罪が成立してしまうおそれがあります。
また、相手方に無断で私物などを回収してしまうと、窃盗罪が成立してしまうおそれもあります。
このように刑事責任が生じるおそれがあるだけでなく、相手方の留守中にあなたが自宅に入られたことを知ると悪感情を抱くかもしれません。
このことをきっかけに一気に離婚の話し合いがこじれてしまうことも考えられます。
そのため、私物などを回収に行く際には、事前に相手方に了承を得てから行くようにしましょう。
子どもの連れ去り行為
子どもがいる夫婦間における離婚の話し合いでは、どちらが親権者になるかという点は非常に重要な争点になるかと思います。
子どもと一緒にいたいという気持ちのあまり、相手方と同居している子どもを相手方に無断で連れ去ってしまうこともしばしば散見されますが、こうした行為には誘拐罪が成立してしまうおそれがあります。
それだけでなく、子どもを物理的に連れ去ってしまったという事実が、後の離婚調停や離婚裁判において、不利に働いてしまうことになります。
親権については、実力行使をしてしまうのではなく、相手方との話し合いや裁判所の法的な手続で話し合うのが良いです。
財産を勝手に処分する、財産を隠してしまう
財産分与を少しでも有利に進めようと考えて、夫婦の共有財産を勝手に処分してしまった、自身の財産を隠してしまったというケースが見受けられます。
これらの行為も控えた方が良いといえます。
財産分与においては、別居時点における夫婦の共有財産が基準となります。
そのため、別居後に財産分与で相手方に支払う金額を下げようと預貯金を使用したとしても、別居後に預貯金が減少したことは考慮されません。
また、自身の財産を隠す行為は、相手方に怪しまれ不信感を抱かれてしまい、離婚の話し合いが難航してしまう危険があります。
別居期間の長さが離婚事由になる可能性も
民法では法律で離婚を認めて良い場合が定められており(これを「法定離婚事由」といいます。)、これらに該当する場合、裁判において離婚を認める判決が下されます。
法定離婚の1つとして、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき(民法第770条1項5号)」が定められております。
そして、長期間にわたり別居しているケースでは、婚姻関係が破綻しているとして「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当し、離婚が認められることがあります。
長期間の別居とは一体どのくらいの期間をいうのでしょうか。
この点については、民法や裁判例では明確に「何年以上」とは定められておりませんが、別居期間が長ければ長いほど婚姻関係が破綻していると判断される傾向にあります。
これまでの裁判例に照らすと、当事者双方に同程度の原因がある場合やどちらにも責任がない場合、婚姻関係が破綻していると認められるまでには3年~5年程度の別居期間が必要であると考えられています。
そのため、別居を継続することで、裁判において離婚が認められる可能性が高くなります。
よくある質問
最後に、別居中の離婚話をされている方からよくある質問をいくつかご紹介いたします。
別居を開始したが経済的に困窮しています。どうしたら良いでしょうか?
婚姻費用を請求しましょう。
離婚成立前であれば別居中であっても夫婦関係にはあるため、相手方に対して生活費(婚姻費用)を請求できる場合があります。
婚姻費用の金額は、夫婦の収入額や子どもの人数や年齢によって変動します。
また、婚姻費用は請求をしないと発生しないものとなりますので、別居後はすみやかに婚姻費用を請求することをおすすめします。
弁護士を入れるタイミングはいつが良いですか?
明確にこのタイミングで弁護士を入れた方が良いという時期はありませんが、ご自身で離婚の話し合いを行うことをご不安に思われているのであれば、早期に弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士が夫婦の間に入ることで冷静に離婚の話し合いが進むこともありますし、その時々で最適な方針や対応をアドバイスすることも可能です。
調停や裁判となった場合、どのくらいの期間がかかりますか?
個別具体的な事情により確定的な期間をお伝えすることが難しいですが、離婚調停の場合は6か月前後、裁判の場合は1年以上の期間を要することが多いように思われます。
この点、調停や裁判は通常1か月~2か月に1回の頻度で開かれるため、当事者間で話しあうよりも長期化してしまう可能性は高いといえます。
まとめ
別居中に配偶者と離婚話が進まない主な理由とその対処法について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
別居中に離婚の話が進まないと、どうしても感情的になったり、焦りや不安を抱えてしまい、間違ったアプローチをしてしまい悪循環に陥ってしまいがちです。
そのような場合には、この記事で紹介させていただいた対処法を実践してみてください。
また、ご自身で抱え込まず、ぜひ専門家である弁護士に一度、ご相談することをおすすめします。
- 得意分野
- 不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 刑事事件
- プロフィール
- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設