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投稿日: 更新日: 弁護士 宮地 政和

不貞行為とはどこから?定義は?具体的な行動や有効な証拠について紹介

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記事目次

「夫のスマホに知らない女性からのLINEが。浮気されてるのかも…」
「不貞行為って?不倫とはどう違うの?」

自分の夫や妻が不倫をしていると気づいたショックは、言葉で言い表せないほどでしょう。

もし本当に配偶者が不貞行為に及んでいたとしたら…つらい状況の中でも、「離婚するのか?」「やり直すのか?」「慰謝料はどうする?」といった、さまざまな選択をしなければなりません。

まずは、あなたの配偶者の行動が不貞行為に当たるかどうか、以下のチェックリストで確認しましょう。

確認できている行為 不貞行為に当たるか
頻繁にLINEや電話をしている ×
2人でランチに出かける ×
2人で夜、食事をしたり、お酒を飲んだりする ×
2人だけでデートする
相手の自宅に出入りしている
手をつないだり、腕を組んだりしている ×
ハグをしたりキスをしたりする ×
肉体関係がある(性交渉をしたことがある)

配偶者と不倫相手に肉体関係があるかどうかを確認するのは、簡単ではありません。このチェックリストでは判断がつかない場合もあるでしょう。

そこで今回は、不貞行為とはどのような行為を指すのか、言葉の定義や判断基準を解説します。

この記事を読むと分かること
  • 不貞行為の定義と判断基準
  • 不貞行為の例外的なケース
  • 不貞行為をされたときの2つの選択肢
  • 不貞行為の証拠とつかみ方

この記事を読めば、不貞行為とはどのような行為なのか、その定義と判断基準が分かります。

不貞行為とは何なのか、配偶者の行動が不貞行為に当たるのかを知り、配偶者とやり直すにしても、離婚するにしても、あなたにとって最善の選択をつかみとれるでしょう。

配偶者の行動は不貞行為に当たるのか、もしそうなら次にどうすればいいのかとやきもきしているのなら、ぜひこの記事をご一読ください。少しでもお役に立てれば幸いです。

不貞行為の定義とは「肉体関係があること」

不貞行為の定義とは「肉体関係があること

まずは「不貞行為」の定義を正しく理解しましょう。

不貞行為はどんな意味か、また、似たような言葉として使われる「浮気」や「不倫」とはどう違うかを、解説します。

▽不貞行為とは

配偶者以外との「肉体関係(性交渉)」を意味する、民法に定められている法律用語です。一般に浮気や不倫と呼ばれる場合もありますが、厳密には、少し意味が異なります。

浮気と不倫・不貞行為の違いは、以下の2つの点で異なります。

  • 結婚の有無
  • 行為の内容

それぞれの違いについて、以下の比較表で確認してみましょう。

婚姻関係にあるか 肉体関係があるか
浮気 結婚していない場合も含む 肉体関係がない場合も含む
不倫 結婚している場合に限る 肉体関係がない場合も含む
不貞行為 結婚している場合に限る 肉体関係がある場合に限る

浮気は結婚していないカップルにも使う言葉で、肉体関係がない場合も含みます。

不倫は浮気と違い、結婚している夫婦にのみ使う言葉で、こちらも肉体関係の有無を問わず使えます。

一方、不貞行為は不倫同様、結婚している夫婦で、なおかつ肉体関係がある場合のみを指します。

不貞行為の法律上の根拠は、民法第770条1項1号にあります。

(裁判上の離婚)
第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1 配偶者に不貞な行為があったとき。

出典:民法 | e-Gov法令検索

第770条が定めているのは、配偶者が離婚に同意しない場合に、裁判を起こすための「法定離婚事由」です。

不貞行為が認められると、たとえ配偶者が拒否しても、離婚が認められます。不貞行為は、法律上で、離婚を認めさせる効力を有するほどの、重大な行為に当たるのです。

【チェックリストで確認!】配偶者の浮気が不貞行為に該当する判断基準

【チェックリストで確認!】配偶者の浮気が不貞行為に該当する判断基準

ここでは、配偶者が不倫相手と行っている行為が、不貞行為に当たるかどうかの判断基準を紹介します。

まずは、確認できている行為が不貞行為に当てはまるか、以下の表で確認してみましょう。

確認できている行為 不貞行為に当たるか
頻繁にLINEや電話をしている ×
2人でランチに出かける ×
2人で夜、食事をしたり、お酒を飲んだりする ×
2人だけでデートする
相手の自宅に出入りしている
手をつないだり、腕を組んだりしている ×
ハグをしたりキスをしたりする ×
肉体関係がある(性交渉をしたことがある)

たとえ不倫をしている本人同士に「恋人同士」だとか「付き合っている」という自覚があったとしても、肉体関係のない、プラトニックな関係では「不貞行為」とは認められません。

あなたが「浮気や不倫だ!」と思っている行為でも、不貞行為に該当しない場合があるのです。

この章では、不貞行為に関する、下記の2つを理解していきましょう。

  • 不貞行為が認められるのは「肉体関係の有無」による
  • 肉体関係が確認できなくても、不貞行為に当たる可能性のあるケース

不貞行為が認められるのは「肉体関係があるかどうか」

「不貞行為に当たるか」を言い換えると、「肉体関係があるかどうか」となります。

頻繁に連絡を取り合っていても、2人きりで出掛けていても、ハグやキスなどの肉体的な接触があっても、「肉体関係がない」限り、「不貞行為」には該当しません。

ただし「肉体関係があるのではないか…」と疑われるような行為は、不貞行為だと判断される場合もあります。例えば上記の表で「△」としたようなケースです。続けて解説していきます。

肉体関係が確認できなくても不貞行為に当たる可能性のあるケース

「肉体関係がある」とハッキリ確認できなくても、行為によっては不貞行為だと判断されます。

具体的には、下記3つの事例のような、「肉体関係があると推測できる」疑わしい行為です。

  • ラブホテルを2人で利用している
  • 2人で泊まりがけの旅行をしている
  • 同棲している

1つずつ説明します。

ラブホテルを2人で利用している

不倫を疑われる2人が、ラブホテルを利用している場合、不貞行為に当たる可能性が高いと考えられます。

一般的にラブホテルは「性交渉をするために利用する」場所です。社会の常識としても「ラブホテルを利用しているカップルは、肉体関係がある」と考えるのが、自然ではないでしょうか。

ラブホテルの部屋の中で、2人が何をしていたか確認できなくても、利用していることが証明できれば「肉体関係がある」と認められます。

不倫の当事者による「ラブホテルに2人で入ったが、何もしていない」という言い訳は、通用しません。

2人で泊まりがけの旅行をしている

お泊りデートをした場合、不貞行為に当たる可能性があります。

泊まりがけのデートは、ただのデートと違います。密室で誰にも見られずに、長い時間を2人きりで過ごすため、肉体関係があると推測できるからです。

特に、同じホテルの同じ部屋に宿泊している場合には、性交渉を行った可能性が高いと考えられます。

同棲している

配偶者と不倫相手の関係が進展し、同棲に至っている場合、肉体関係があるという証明になります。

交際相手と一緒に住んでいるにもかかわらず、「肉体関係はない」という主張には無理があるからです。

同棲はしていなかったとしても、相手のために部屋を借りていたり、お互いの自宅とは別に、逢引きのための部屋を借りていたりする場合も、同様に不貞行為の証拠となるでしょう。

肉体関係があっても不貞行為に当たらない可能性のあるケース

肉体関係があっても不貞行為に当たらない可能性のあるケース

肉体関係が確認できなくても不貞行為に当たる可能性のあるケース」とは反対に、「肉体関係があっても」不貞行為に当たらない可能性のあるケースもあります。

配偶者の不貞行為が確認できても、下記のような特定のケースに該当する場合は、不貞行為とは認められないかもしれません。

  • すでに夫婦関係が破綻している場合
  • 配偶者が「独身」を自称し、不倫相手を騙している場合
  • 配偶者が強引に関係を迫った場合

不貞行為の証拠を集める前に、上記のケースに当てはまっていないか、確認しましょう。

すでに夫婦関係が破綻している場合

配偶者と不倫相手が肉体関係となった最初のタイミングで、すでに夫婦関係が修復不可能なところまで壊れてしまっている場合、不貞行為と認められません。

すでに夫婦関係が破綻しているのなら、不貞行為が与える影響が少ないと考えられるからです。

法律上も、破綻している夫婦の生活は保護する対象となりません。

夫婦関係が破綻しているかどうか判断する3つのポイント

夫婦関係が破綻しているかどうかを判断するのには、大きく分けて3つのポイントがあります。

もしも「私たち夫婦はすでに関係が破綻しているかも…?」と思っているのなら、こちらを参考にして判断してみてくださいね。

①両方に離婚の意思がある(主観的要素)

  • 妻と夫の両方に離婚の意思がある
  • 夫婦関係を修復する意思がない

②長期間の別居や家庭内別居をしている(客観的要素)

  • 5年以上に及ぶ長期間、別居している
  • 数年以上にわたる徹底した家庭内別居をしている(生活の場や家計が別、会話が全くないなど)

③夫婦間に明らかな問題がある(有責性)

  • DVやモラハラ
  • 家事・育児の放棄
  • 性の不一致(セックスレスなど)

配偶者が「独身」を自称し、不倫相手を騙している場合

不倫相手が、配偶者のことを既婚者だと知らなかった場合も、不貞行為に当たらない可能性があります。

特に配偶者が「自分は独身だ」と偽り、相手を騙していた場合には、2人に肉体関係があっても、不貞行為だとは認められないでしょう。

よくあるパターンとして、独身者を対象とした、マッチングアプリや婚活パーティーでの出会いがあります。

独身者を対象とした出会いの場で出会っている以上、配偶者には明確に相手を騙す意図があります。不倫相手は当然「相手は未婚者」だという前提で、行動するでしょう。

「独身である」「すでに離婚している」といった主張をメールやLINE、SNSのメッセージで送っていたり、会話の音声データがあったりする場合、配偶者が不倫相手を騙していた証拠となります。

このケースに当たると、不倫相手は「被害者」となり、配偶者が慰謝料を請求される可能性もあります。

配偶者が強引に関係を迫った場合

不倫相手にその意思がなく、合意がなかったにもかかわらず、配偶者が無理やり関係を迫った場合にも、肉体関係は不貞行為だと認められません。

具体的には、肉体関係を持つ際に「会社に関係をバラすぞ」と、暴行や脅迫をしているケースです。

暴行や脅迫がなくても、学校や職場などでの立場を利用したハラスメントというケースも考えられます。

また、既婚者であると不倫相手にバレ、別れを告げられたにもかかわらず、「これまでのことを回りにバラしてもいいのか」などと、相手を脅迫して関係を続けた場合も、不倫相手に非はありません。

不貞行為に対する慰謝料は誰に請求できる?

不貞行為を行った配偶者に対して請求する

まず、不貞行為を行った配偶者に対して、不貞行為に関する慰謝料を請求することができます。

夫婦間には、他の異性と不貞行為を行わないという義務があるところ、不貞行為を行うこと自体がこの義務に違反するものだからです。

そのため、配偶者と離婚をするか否かに関わらず当該慰謝料を請求することができます。

もっとも、離婚をしない場合、家計が同じである配偶者に対して慰謝料を請求しても、世帯的な経済的メリットは見込めません。

配偶者の不貞相手に対して請求する

不貞行為に基づく慰謝料請求は、不貞行為があったことによって夫婦関係の平穏が害されたことを根拠とするものです。

そして、かかる慰謝料は、不貞行為を行った者が連帯して支払う責任を負うものです。

よって、配偶者の不貞相手に対しても不貞行為に関する慰謝料を請求することができます。

もっとも、配偶者が既婚者であることを不貞相手が過失なく知らなかった場合、不貞相手は当該慰謝料を支払う義務を負わないことになります。

そこで、不貞相手からこうした反論が考えられる場合には、こうした反論を覆すための証拠を集めておく必要があります。

配偶者+不貞相手の双方に請求する

既述の通り、配偶者にも不貞相手にも不貞行為に関する慰謝料を請求することができます。

そして、配偶者か不貞相手かいずれか一方に対してのみ慰謝料を請求することも、両方に対して慰謝料を請求することも自由です。

ただし、両方に対して慰謝料を請求する場合、いずれか一方に対してのみ請求する場合と比べて慰謝料額が2倍になるという訳ではない点には注意が必要です。

すなわち、例えば慰謝料150万円を支払うことが妥当なケースであれば、この150万円を配偶者と不貞相手が連帯責任として支払えば足りることになるため、一方が150万円を支払ってしまえば、他方には請求できないという理屈になります。

配偶者に不貞行為をされたときの選択肢と慰謝料請求について

配偶者に不貞行為をされたときの選択肢と慰謝料請求について"

配偶者の不貞行為が明らかになったら、その後の行動には大きく分けて、以下2つの選択肢があります。

  • 夫婦関係を再構築する(離婚しない)
  • 離婚する

つらい状況ではありますが、離婚するか、しないかを選択することになります。どちらを選ぶにしても、一番大切なのは、その選択があなたの明るい未来につながる、最善の選択であるかどうかです。

配偶者と今後どうするかを考えるときには、不倫相手や配偶者に、あなたが精神的苦痛を受けた分の慰謝料請求も、検討しましょう。

不貞行為により、あなたが不倫相手や配偶者に請求できる慰謝料には、下記の2種類があります。

意味 請求できるケース 請求できる相手
①不貞慰謝料 配偶者の不貞行為によって受けた精神的苦痛に対して請求する 離婚する・しない場合
両方
配偶者
不倫相手
②離婚慰謝料 離婚によって受けた精神的苦痛に対して請求する 離婚する場合のみ 配偶者のみ

離婚する場合としない場合で、取れる慰謝料の種類と、取れる相手が異なります。

ここからは、不貞行為をされたあなたが、今後決断する必要のある選択肢と、それぞれのケースで取れる慰謝料について、解説します。

関係を再構築する(離婚しない)場合

まずは離婚せずに、夫婦の関係を再構築するという選択肢があります。

再構築する場合は、下記の3つのパターンが考えられます。

  • 何もせず穏便に済ませる
  • 不倫相手に慰謝料を請求する
  • 配偶者に慰謝料を請求する

特に何もせず穏便に済ませるつもりなら、不倫相手と直接会ったり、謝罪文や誓約書を書かせたりするのはやめましょう。トラブルを引き起こすリスクがあります。

現状の法律では、不倫相手に下せる社会的制裁は、慰謝料の請求しかありません。少しでも「相手への恨みを晴らしたい」という思いがあるなら、慰謝料の請求をおすすめします。

配偶者と離婚しない場合に請求できる慰謝料は、「不貞慰謝料」です。

意味 請求できるケース 請求できる相手
不貞慰謝料 配偶者の不貞行為によって受けた精神的苦痛に対して請求する 離婚する・しない場合
両方
配偶者
不倫相手

ここからは、不倫相手と配偶者、それぞれに慰謝料を請求する場合について、解説していきます。

不貞行為の慰謝料請求は時効がある!

不貞行為の慰謝料請求には、時効があります。

  • 不貞行為が始まってから20年間(除斥期間)
  • 配偶者の不貞行為と相手が発覚してから3年間(消滅時効)

時効
上記の時効は、以下の民法724条で制定されています。

(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
第724条 不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
1 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき。
2 不法行為の時から20年間行使しないとき。
出典:民法 | e-Gov法令検索

不貞行為の慰謝料請求は、不貞行為と不倫相手の発覚から、3年が時効です。

ただし、不倫そのものに気が付かなかった、あるいは不倫相手が特定できなかった場合の時効は、不倫が始まってから20年となります。

不貞行為とその相手が発覚した場合、その日から時効へのカウントダウンが始まります。

その時点では慰謝料請求をするつもりがなくても、気が変わる可能性もあります。慰謝料請求をするか迷っていたとしても、時効がいつなのかは、しっかり確認しておくべきでしょう。

不倫相手に慰謝料を請求する

配偶者と離婚しなくても、慰謝料は「不倫相手のみ」に請求できます。

不倫相手に請求するのは、不貞行為によってあなたが受けた「精神的被害」への慰謝料なので、離婚をするかどうかは関係ありません。

ただし、不倫相手のみに慰謝料を請求するなら、「求償権」について知っておくべきでしょう。

▽求償権とは

慰謝料の請求を受け、その全額を支払った不倫相手に発生する権利。

不倫相手である配偶者に、負担割合分の支払いを求めることができます。

不貞行為は、配偶者と不倫相手が、共同であなたに被害を加えた「共同不法行為」に当たります。

共同不法行為

そのため、不倫相手のみに慰謝料を請求すると、「私だけが払うなんて平等じゃないのでは?あなたも支払ってよ!」と、配偶者に支払い負担が課せられるリスクがあります。

共同不法行為

不貞行為による慰謝料の負担割合は、不倫相手よりも配偶者の方が大きくなるケースがほとんどです。

実務上は、多くのケースで【配偶者:不倫相手=6:4または7:3】程度と、判断されています。

負担割合が4:6の場合、以下の図のように、求償権を行使される可能性があります。

求償権

求償権については、「求償権の放棄とは?不倫の慰謝料の求償権放棄のメリット、デメリット手続を解説」で詳しく解説していますので、ぜひご参考ください。

不倫相手だけに請求する場合は「求償権放棄」も検討しよう

実際には、不倫相手が求償権を行使する可能性は低いと考えられます。費用も時間もかかり、裁判になることもあるため、不倫相手も簡単には行使してこないからです。しかし、万が一にも求償権の行使を避けるためには、「求償権放棄」の検討がマストです。

不倫相手に求償権の放棄を提案し、代わりに慰謝料の減額に応じ、お互いにwin-winな解決を目指す選択をする方も多くいます。

不倫相手に求償権を請求されると、一度は関係を絶ったはずの相手と、再びつながる必要が生じます。

不倫相手と二度と関わりたくないのであれば、「求償権放棄」という選択がおすすめです。

配偶者に慰謝料を請求する

離婚せずに、配偶者に慰謝料を請求することは可能です。過去の裁判でも、認められた事例があります。

しかし、一般的ではないため、以下のような壁に阻まれる可能性があります。

  • 配偶者や周囲の理解が得られない
  • 弁護士などの専門家に相談しても、断られる
  • 裁判が長引くと、解決までに時間と費用がかさむ
  • 裁判に至った場合、配偶者との関係が悪化するリスクがある

上記の問題を考慮すると、離婚せずに配偶者に慰謝料を請求するのは、現実的ではないと分かります。

「配偶者にも不倫相手と同じだけの責任があるから、制裁を受けさせたい」

「次同じことをしたら離婚するつもりだから、先を見越して慰謝料を受け取っておく」

という方は、上記の障害を考慮し、それなりの覚悟を持って、請求すべきでしょう。

離婚する場合

配偶者の不貞行為がきっかけで、離婚を決断した場合です。

相手と離婚する場合は、お互いに話し合って行う「協議離婚」で合意する方が大半です。

しかし協議離婚でお互いに合意が取れない場合などは、家庭裁判所に離婚の申し立てをする、「調停離婚」を進めることになります。

離婚をする上で、「不貞行為」による慰謝料請求をするときは、下記の3つのケースがあります。

  • 配偶者にのみ慰謝料を請求する
  • 不倫相手のみに慰謝料を請求する
  • 配偶者と不倫相手の両方に慰謝料を請求する

調停や裁判に進んだとしても、ほとんどの場合、不貞行為をされた被害者が有利な立場で離婚を進められるので、安心してくださいね。

離婚を決意される場合は、「離婚手続の種類と流れ・離婚前後の確認事項や必要な届け出も解説」で詳しく説明しているため、ご参考ください。

離婚する際に、あなたが誰にも慰謝料を請求しない場合

不倫相手や配偶者に、慰謝料を請求しないと決めた方へ、慰謝料以外で離婚において取り決めなければならないことをお伝えします。

①財産分与の清算(現金、預貯金、不動産、家具・家電、保険料、退職金など)
②親権「人口動態調査」によると2021年は親権を取った割合が、母親は84.9%に対し父親は11.5%)
③養育費の内容など(支払い期間や方法など)
④面会交流の内容など(頻度、面会や電話などの方法など)

慰謝料を請求するかどうか悩んでいるのなら、弁護士への相談を検討してもいいかもしれません。

配偶者にのみ慰謝料を請求する

不貞行為に及んだ配偶者に対して、あなたが請求できる慰謝料は、下記の2つです。

意味 請求できるケース 請求できる相手
①不貞慰謝料 配偶者の不貞行為によって受けた精神的苦痛に対して請求する 離婚する・しない場合
両方
配偶者
不倫相手
②離婚慰謝料 離婚によって受けた精神的苦痛に対して請求する 離婚する場合のみ 配偶者のみ

①不貞慰謝料」は、あなたが配偶者の不貞行為によって受けた精神的苦痛に対しての慰謝料です。

②離婚慰謝料」は「離婚の原因を作ったこと」に対して求めるもので「①不貞慰謝料」とは別物です。

しかし離婚の原因が不貞行為のみの場合、「①不貞慰謝料」と「②離婚慰謝料」は区別されません。(2つの慰謝料を合わせて、「=離婚の慰謝料」として、一体に処理されます。)

不貞行為以外に、以下のような離婚の原因がある場合には、不貞慰謝料と離婚慰謝料を別のものとして、それぞれ請求できる可能性があります。

離婚慰謝料が認められる可能性のある離婚の原因
  • DV
  • モラハラ
  • 悪意の遺棄(例:働かない、生活費を渡さない、話し合いに応じない、家事育児を負担しない)
  • セックスレス

不貞慰謝料と、離婚慰謝料は、請求できる期間の時効が異なります。あなたが不貞行為に加えて、DVやモラハラを受けていた場合には、下記の表で、時効をご確認ください。

請求できる期間の時効
①不貞慰謝料 不貞行為が始まってから20年間(除斥期間)
配偶者の不貞行為と相手が発覚してから3年間(消滅時効)
②離婚慰謝料 離婚したときから3年間

不倫相手のみに慰謝料を請求する

離婚する場合」でもお伝えしたように、不倫相手に請求できるのは、「①不貞慰謝料」のみです。

意味 請求できるケース 請求できる相手
不貞慰謝料 配偶者の不貞行為によって受けた精神的苦痛に対して請求する 離婚する・しない場合
両方
配偶者
不倫相手

あなたが不貞行為による離婚をしても、不倫相手には「離婚をしたことによる慰謝料」を支払う義務はないとされています。

離婚はあくまで、婚姻関係の当事者が行うことです。夫婦の離婚の原因が不貞行為であり、その一端を不倫相手が担っていたとしても、慰謝料の請求はできません。

基本的に請求できるのは、不貞行為によってあなたが受けた精神的苦痛に対する「①不貞慰謝料」のみです。

離婚する場合、不倫相手の支払う慰謝料の金額は大きくなる

「夫婦を離婚させることをねらって」不貞行為に及んだと認められた場合、不貞慰謝料とは別に、離婚慰謝料の請求が認められる可能性があります。

また、不貞行為によって離婚することになった場合、離婚しない場合よりも被害者に与えた損害が大きいと判断されます。そのため、不倫相手が支払うべき不貞慰謝料の金額は、相対的に上がります。

配偶者と不倫相手の両方に慰謝料を請求する

離婚するときに、配偶者と不倫相手、両方に慰謝料を請求する場合は、それぞれに下記の慰謝料が請求できます。

意味 請求できるケース 請求できる相手
①不貞慰謝料 配偶者の不貞行為によって受けた精神的苦痛に対して請求する 離婚する・しない場合
両方
配偶者
不倫相手
②離婚慰謝料 離婚によって受けた精神的苦痛に対して請求する 離婚する場合のみ 配偶者のみ

配偶者にのみ慰謝料を請求する」で説明したように、不貞行為による慰謝料で、配偶者から取れる可能性があるのは「①不貞慰謝料」と「②離婚慰謝料」です。

ただし、離婚慰謝料が取れるのは、不貞行為以外の原因があった場合に限られると考えてください。

不倫相手のみに慰謝料を請求する」で説明したように、不倫相手から取れるのは「①不貞慰謝料」のみです。

配偶者と不倫相手の両方に慰謝料を請求する場合、「慰謝料の二重取り」に注意してください。慰謝料の金額は、配偶者と不倫相手の両方が負担する額ではなく、合計額です。慰謝料は二重取りできません。

離婚の原因が不貞行為のみの場合、配偶者から離婚慰謝料を全額受け取ると、不倫相手に不貞慰謝料を請求できなくなる可能性があります。

配偶者と不倫相手の両方に慰謝料を請求する場合、負担割合は話し合いで決めますが、被害者の意見が尊重されます。

慎重な検討と判断をし、後悔が残らない選択をしましょう。

不貞行為に対する慰謝料増減のポイントは?

不貞行為の期間、回数

不貞行為の期間が長いこと、回数が多いことは、不貞行為の悪質性を裏付ける事情となり、慰謝料の増額事由となる可能性があります。

不貞相手の認識

不貞行為を開始するにあたって婦関係がどういった状況だと認識していたかという点について、例えば、夫婦関係が円満であると認識していながらこれを破壊しようとして不貞行為に至ったというケースでは、そうでないケースよりも慰謝料が増額される可能性があります。

不貞に至った経緯

不貞に至った経緯についても、例えば、相手が夫婦関係が円満ではないと嘘を付いて積極的に誘ってきたために不貞に至ったという事情があれば、減額事由として主張できる可能性があります。

不貞行為に対する反省の有無

例えば、不貞行為発覚後も不貞行為を続けたケースのように、不貞行為に対する反省がないと評価され得る態度をとることは慰謝料の増額事由となる可能性があります。

不貞行為による妊娠の有無

不貞行為により妊娠をしたという事情があれば、慰謝料の増額事由となる可能性があります。

不貞行為時の婚姻関係の状態

不貞行為時に婚姻関係が円満でなかったことは慰謝料の減額事由になる可能性があります。

また、婚姻関係が破綻していたようなケースでは慰謝料がゼロとなるケースもあります。

もっとも、裁判になった場合、これらを理由に減額を主張していくためには、婚姻関係の破綻や円満でなかったことを証明する必要があり、そのハードルは高いことが多いです。

婚姻期間の長さ

一般的には、婚姻期間が長い方が短い場合よりも慰謝料が増額される傾向にあります。

幼い子供の有無

夫婦間に幼い子供がいることは、慰謝料の増額事由とされる可能性があります。

離婚や別居の有無

不貞行為によって夫婦が離婚や別居に至ったか否かという点は慰謝料の相場を分ける大きな事情となります。

そして、不貞行為によって夫婦が離婚に至ったケースでは、不貞行為の結果が重大といえ、慰謝料が高くなる傾向にあります。

不貞行為に対する慰謝料請求の判例

東京地判令和3年1月20日

この裁判例では、約11年間にわたって平穏な家庭生活を営んでいた夫婦関係が不貞行為によって破綻したこと、原告(妻)が不貞行為によって食欲不振や睡眠障害などの心身の不調による通院をするようになったこと、夫婦間に小学生の子が二人いること、夫と不貞相手が両者間で生まれた子供と同居していることいること等を踏まえて、慰謝料300万円が相当であるとの判断が下されました。

東京地判平成30年1月23日

この裁判では、不貞が行われた時に夫婦が別居していたこと等から婚姻関係が破綻していたか否かが争われました。

裁判所は、夫婦が別居していること自体から直ちに婚姻関係の破綻は認めませんでした。

また、別居中も妻が関係修復のための努力を行っていたこと等から、婚姻関係は破綻の危機に瀕していたにとどまる(破綻していたとまでいえない)と判断しています。

他方で、夫婦関係が円満でなかったことに加え、不貞相手には婚姻関係の平穏を害することにつき故意があったとまではいえず過失にとどまることを理由に、慰謝料としては40万円が相当という判断をしました。

東京地判平成29年1月18日

この裁判例では、原告の妻が原告との会話の中で不貞行為を認めたことを理由に原告が妻の不貞相手である被告に対して慰謝料請求をしました。

これに対して、裁判所は、原告の妻の発言が不貞行為の正確な日時、前後の経緯等を具体的に述べるものでもなく、裏付けとなる証拠もないこと等から、不貞行為があったことを認定するに足りる証拠がないと判断し、原告の請求を認めませんでした。

不貞行為による慰謝料の請求には証拠が重要!

不貞行為による慰謝料の請求には証拠が重要!
慰謝料の請求や離婚など、あなたがこれから行動を起こすなら、不貞行為の証拠が必要です。

「不貞行為は立証が難しい」とよく言われますが、証拠さえ揃えれば、不可能ではありません。

加害者側は、被害者の主張が事実であっても、嘘をついてでも否定してきます。だからこそ、相手が認めざるを得なくなるだけの十分な証拠を集めて、請求に臨みましょう。

不貞行為の証拠は、主に以下の2つのパターンが考えられます。

  1. 1つだけでも有効となりうる決定的な証拠
  2. 1つでは効力が薄いけれど、複数を合わせることで有効となる証拠

ここからは、どのようなものが不貞行為の証拠として有効となるのか、実例を挙げて紹介していきます。

証拠は「日時確認できるもの」で揃えよう!

不貞行為の証拠を集めるときには、「日時確認」ができるものを揃えるように意識してください。例えば以下のような日時が確認できると理想的でしょう。

  • 不貞行為が始まった日付
  • 不貞行為の継続期間
  • 不貞行為に該当する行為が起きた日時

不貞行為の証拠は、裁判などで、不貞行為の内容について、客観的な議論を行う際に必要となります。

日記を付ける場合には、毎回記録した日付と時間帯を書くようにしましょう。

写真も撮影日時が分かるように、徹底してください。写真を撮影した日時を記録する方法には、以下のような手段があります。

  • 可能であれば被写体に日時の分かるものを入れる
  • カメラの時間設定を正確な時刻に合わせる
  • 撮影後するに画像データをメール送信する

もし日記や写真を裁判などの証拠として使う場合には、「その写真がいつから存在するのか」を公的に証明してもらえる「確定日付」をもらっておくと良いでしょう。

詳しくは、日本公証人連合会HP内の「確定日付」のページをご確認ください。

確定日付の手続きは、全国約300カ所にある「公証役場」で行うことができます。

1つだけで有効な5個の証拠

1つだけで有効となる証拠は、「不貞行為に及んだ」という事実がひと目で分かる、決定的なものでなければいけません。

ここでは以下の5つの証拠について、それぞれ解説します。

  1. 不倫中の画像や映像
  2. 会話などの録音データ
  3. LINEやメールなどの履歴
  4. 妊娠・堕胎の事実書類や子のDNA鑑定
  5. 不貞行為を認める念書や誓約書、動画・録音データなど

①不倫中の画像や映像

最もイメージしやすいのが、不貞行為(性交渉)に及んでいる最中の、画像や映像です。

とはいえ不倫をしている2人が、不貞行為中の画像や動画を残すことはまれでしょう。密室の中を撮影するのも困難です。

そこで実際に証拠となるのは、不貞行為に及んでいると推定できるような画像や動画だと考えられます。例えば以下のようなものであれば、手に入る可能性があります。

  1. 2人が裸体や下着姿で、同じ部屋にいることが分かる写真や動画
  2. ラブホテルや同棲している部屋に2人が出入りしている(入退室両方)写真や動画

スマートフォン

重要なのは、これらの写真や動画に「2人の顔がハッキリ写っていて、撮影場所が分かる」ことです。

さらに撮影日時の確認ができれば、かなり有力な証拠となるでしょう。

Caution!

撮影時は、入室・退室どちらかではなく、必ず「入退室両方」の写真や動画を押さえてください。

不倫相手と配偶者が過ごした時間帯(特に深夜)や、一緒に過ごしている時間の長さが、不貞行為の証拠になります。

また、画像や動画は別の日時で2回以上撮影したものがあるとベターです。

不貞行為が2回以上確認される場合、常習性が高いと判断されるため、より有力な証拠となります。

②会話などの録音データ

配偶者と不倫相手の会話を、ボイスレコーダーなどで録音したデータも有効です。

会話などの録音データ

  • 不貞行為(性交渉)の最中、その前後の音声データ
  • 不貞行為に関する内容を喋っている、録音データ

こちらも①の画像や映像と同じくらい、有力な証拠となる可能性があります。

なお、上記のような決定的といえる、不貞行為に関する会話などの録音データでなくても、他の証拠と合わせると、効力を発揮する場合もあります。

録音データの集め方

録音データを集める際は、下記の2箇所にスマートフォンなどを仕掛けると良いでしょう。

  • 自宅(リビングや寝室)
  • 自家用車

車は意外と盲点なのではないでしょうか。

過去の判例には、車内での性交渉中の音声データを、証拠として掲示したケースもあります。

③LINEやメールなどの履歴

LINEやメールでのやり取りで、性交渉について直接言及している履歴があれば、証拠となります。

LINEやメールなどの履歴

「そんなことについてLINEで話す…?」と思うかもしれません。

しかし不倫行為に夢中になっている当事者は、臆面もなく「気持ち良かったね」「昨日のホテル、また行きたいね」などと、性交渉についてやり取りしているケースが珍しくないのです。

ただし「昨日は良かったね」「熱い夜だったね」などのように、性交渉について話しているとしても、遠回しな言い方だと、証拠となりにくくなります。

その場合には「複数集めることで効力を持つ10個の証拠」で紹介するような、他の証拠と合わせる必要があるでしょう。

不倫相手が積極的に求愛している内容も証拠となる!

①~③では、不貞行為(性交渉)に言及している画像や映像、録音データ、LINEやメールの履歴が、不貞行為の決定的な証拠になると解説しました。

これは、不貞行為が認められるためには、2人に肉体関係がある証拠が必要だからです。

でも不貞行為に関する証拠がなくても、不貞行為が認められる証拠もあります。それが「不倫相手が配偶者に積極的に求愛している」と分かる証拠です。

例えば不倫相手が以下のような発言をしていたり、メールやLINEを送っていたりすると、「積極的に求愛している」と認められ、不貞行為が認められる可能性があります。

  • 絶対結婚しようね♡(結婚の約束をしている)
  • 早く奥さんと別れて幸せになろう♡愛してる!(離婚を促している)
  • 家を出て、一緒に住もう(被害者との別居、自分との同棲を促している)

このように自分との同棲や結婚、被害者との別居や離婚を積極的に喚起している場合、またハートマークや「愛してる」などの文句を多用している場合、不貞行為として認められるケースがあるようです。

Caution!

証拠にするときは、スクリーンショットではなく、相手のスマートフォンの画面ごと自分のカメラで撮影してください。

「データの改ざんのしようがない、完全な証拠」となります。日付も分かるとベストです。

【OK例:相手のスマホを撮影している】
OK例:相手のスマホを撮影している

【NG例:スクリーンショットを撮っている】
NG例:スクリーンショットを撮っている

④妊娠・堕胎の事実書類や子のDNA鑑定

妊娠・堕胎の事実書類や子のDNA鑑定

配偶者が不倫相手を妊娠・堕胎させたケースや、夫が不倫した妻を訴えるケースで証拠となるのが、妊娠・堕胎の事実書類です。具体的には以下のようなものが考えられます。

  • 母子健康手帳
  • 妊娠中のエコー写真
  • 産婦人科の診療報酬明細書

妻が不倫相手の子どもを妊娠、すでに出産している場合、子どもの血液型やDNA鑑定で発覚する場合もあります。

⑤不貞行為を認める念書や誓約書、動画・録音データなど

配偶者や不倫相手が不倫を認めている場合、それを念書や誓約書といった書面、あるいは動画・録音などで形に残すと証拠になります。

念書を作成する場合には、以下のような項目を盛り込みます。作成するのは手書きでもパソコンでも構いません。最後に念書を作成した年月日と場所、本人の直筆の署名か捺印を入れましょう。

不貞行為を認める念書や誓約書に盛り込むべき項目
  • 不貞行為のあった期間
  • 不貞行為の回数や頻度
  • 不貞行為を行った場所
  • 不貞行為を行った相手の名前、職業、住所
  • 不倫相手の場合、不貞行為を行った相手が既婚者である認知の有無

余裕があれば上記の不貞行為の内容に、以下のような誓約内容を加えることもできます。

  • 交際を解消する
  • 二度と会わない
  • 連絡を取らない(連絡先を削除する)
  • 慰謝料の請求に応じる(金額や期限、振り込み方法を含めるとより良い)

動画や録音データで証拠を残す場合には、上記に挙げた項目を、相手に発言させるようにしましょう。

ただし動画や録音データを証拠とする場合、編集後のデータでは認められないケースがあります。相手が、「無理やり言わされた」と主張する可能性も否めません。

確実な証拠としたいなら、音声よりも、念書や誓約書といった、書面に残す方が安心です。

複数集めることで効力を持つ10個の証拠

1つだけで有効な5個の証拠」で紹介したような決定的な証拠は、つかむのが簡単ではありません。

1つだけでは証拠とならないような証拠でも、複数の証拠を集めることで、効力を持つ場合もあります。

ここでは、複数集めれば効力を持つ可能性の高い、10個の証拠を紹介します。

①不倫について書かれたメモやスケジュール帳など

不倫について書かれたメモやスケジュール帳など

不倫や、不倫相手について書かれたメモや、スケジュール帳が証拠となる場合があります。

例えば以下のようなものがあれば、④不倫に関するレシートや領収書・ポイントカードやサービス券や、⑦カーナビ・ドライブレコーダー・ETCの利用履歴など合わせて、証拠の1つとなるかもしれません。

  • 不倫相手から受け取った、デートや密会の誘いの付箋やメモ
  • デートや密会を行う日付や場所を記したメモ
  • デートや密会の予定や記録を残した(と推測できる)スケジュール帳

②不倫相手にもらった手紙やカード

誕生日やクリスマスなどにもらった、手紙やカードの内容から、2人の関係性が分かる場合があります。

特に数枚に渡る、長文の手紙の場合、出会いや関係などが詳細に記してあるかもしれません。

記念日を祝う手紙やカードなら、不倫が始まったタイミングや期間が判明する可能性もあります。

Caution!

手紙やカードを見つけたら、どこで見つけたか分かるように写真撮影しましょう。

例えばカバンやジャケットのポケットの中に見つけた場合には、まず入っている様子を撮影します。その後、カバンやポケットから取り出して、全体像を撮影してください。

③不倫相手にもらったプレゼント

不倫相手にもらった手紙やカード

不倫相手からもらったであろうプレゼントが、証拠になる場合もあります。

特に友人同士では贈り合うことのないような、高級ブランドの衣類やカバンなど、高額なプレゼントをもらっている場合、不倫相手にもらった可能性が高いと考えられます。

④不倫に関するレシートや領収書・ポイントカードやサービス券

不倫に関するレシートや領収書・ポイントカードやサービス券

不倫相手と訪れたラブホテルやホテル、旅館のレシートや領収書は、比較的効力を持つ証拠となります。

同じホテルを何度も使っている場合には、ポイントカードやサービス券が出てくることもあります。使った日付や回数がハッキリ分かる場合には、特に有力な証拠となるでしょう。

何の変哲もないコンビニのレシートであっても、本来なら買う必要のない、女性用の下着や避妊具を買っていたら、かなり怪しいですよね。

その他、ゆかりのない土地のガソリンスタンドのレシートや領収書、遊園地や水族館など、1人で行く可能性の低い場所のチケットが出てきた場合にも、デートの可能性が疑われます。

⑤通話履歴

通話履歴

スマホの通話履歴も、証拠となる場合があります。
定期的に長時間の通話をしていたり、長時間ではなくても頻繁に連絡を取り合っている様子がある場合、不倫相手の可能性があるでしょう。

⑥インターネットブラウザの閲覧・検索履歴

インターネットブラウザの閲覧・検索履歴

スマホやパソコンに残っている、インターネットの閲覧履歴や、検索履歴も証拠となります。不貞行為をしている場合に考えられる閲覧内容としては、以下のようなものが考えられます。

  • 不倫相手とのデート場所やプランの下調べ
  • 密会場所となるラブホテルやお泊り旅行の宿泊先の予約
  • 不倫相手へのプレゼントのリサーチや購入

「浮気の隠し方」や「不倫がバレない方法」というキーワードで検索している場合もあります。

②不倫相手にもらった手紙やカード③不倫相手にもらったプレゼント④不倫に関するレシートや領収書・ポイントカードやサービス券と組み合わせれば、効力を発揮するのではないでしょうか。

Caution!

証拠にする際は、日付が分かるように撮影してください。
パソコンに証拠が残っている場合も、紙に印刷するのではなく、スマホで写真に残しましょう。

例えばスマートフォンの検索履歴の場合、下記の右側の画面を、スクリーンショットではなく、あなたのスマートフォンで撮影してください。
スマートフォン撮影

⑦カーナビ・ドライブレコーダー・ETCの利用履歴

カーナビ・ドライブレコーダー・ETCの利用履歴
主な移動手段が自家用車の場合、不倫相手と会うときに車を使った履歴が、カーナビに残っている場合があります。検索履歴や走行履歴が残るタイプのカーナビなら、比較的簡単に証拠を集められます。

ドライブレコーダーを設置している場合には、録画映像が証拠となります。レコーダーの機能によっては、車内だけでなく車内の映像を録画できたり、音声記録ができることもあります。

さらにGPS機能付きの機種なら、不貞行為に及んだ日時や場所の特定が容易で、有力な証拠となります。

ETCの利用履歴は、利用照会サービスで確認できます。お泊り旅行などで遠出したときには、ETCを使っている可能性が高いでしょう。

①不倫について書かれたメモやスケジュール帳など④不倫に関するレシートや領収書・ポイントカードやサービス券と組み合わせると、説得力のある証拠になりそうです。

⑧交通ICカードの利用履歴

交通ICカードの利用履歴

主な交通手段がバスや電車、地下鉄で、PASMOやSuicaといった交通ICカードを使っている場合、カードやアプリを使って利用履歴の確認ができます。

デートや密会が怪しまれる日の、足取りをつかみましょう。

自宅や会社の、最寄り駅や停留所以外の、駅や停留所を繰り返し利用している場合、不倫相手の自宅や勤務先、密会場所だと推測できます。

確認できる利用履歴の件数には限りがあります。定期的に確認し、写真やスクリーンショットで保存しておきましょう。

⑨不倫に関するクレジットカードの利用明細

不倫に関するクレジットカードの利用明細

クレジットカードの利用履歴も、④不倫に関するレシートや領収書・ポイントカードやサービス券のように証拠となりえます。

クレジットカードの利用履歴は明細書やアプリでまとめて確認できます。配偶者がキャッシュレス派なら、いとも簡単に、何にお金を使ったのかが分かるでしょう。

⑩第三者の証言

第三者の証言

友人や知人など、第三者の証言も証拠として認められる場合があります。

例えば以下のような証言が考えられます。

  • 〇月〇日〇時頃、〇〇町のラブホテルに誰かと入るところを見た。
  • 〇月〇日〇時頃、〇〇町のラブホテルから女性と出てきたところに居合わせ、口止めをされた。
  • 〇月〇日〇時頃、〇〇町のカフェに呼び出されて、不貞行為を打ち明けられた。

証言だけでは信用に足りなくても、他の証拠と組み合わせると、信ぴょう性が上がります。

ただし、証言をする第三者が被害者側の家族や親友だった場合、証言の公平性に疑問を持たれる可能性があります。

証言をしてもらう第三者は、被害者や配偶者と利害関係にない相手であることが望ましいでしょう。

不貞行為の証拠がないときに自力で集める方法

不貞行為の証拠がないときに自力で集める方法
今、手元に不貞行為の証拠がないからといって、諦める必要はありません。証拠がまだないのであれば、これから証拠を集めていけばいいのです。

自力で証拠を集める場合、大きく分けて以下2つの方法が考えられます。

  1. すでにある証拠を調べる
  2. 証拠がなく、これから集める

2つの方法について、より詳しく解説していきます。

すでにある証拠を調べる場合

すでにある証拠というのは、不貞行為に及んでいる配偶者の持ち物などを指します。具体的には、以下のようなものが考えられるのではないでしょうか。

  • 自宅のリビングや寝室、配偶者の部屋を調べる
  • 財布やカバンの中身を確認する
  • スマホやパソコンの履歴やデータをチェックする
  • 車内の様子やカーナビ、ドライブレコーダーの履歴を確認する

これらの方法で配偶者の持ち物やスマホのデータを調べると、「不貞行為による慰謝料の請求には証拠が重要!」で挙げたような証拠が見つけられる場合があります。

証拠を見つけた際には、以下のような点に注意して、記録しましょう。

形のある証拠の場合 実物ではなく、スマホなどのカメラで写真に残す

  • メモ
  • レシート
  • サービス券
データ類を記録する証拠の場合 データのコピーや抜き取りはせず、配偶者のスマホやパソコンの画面に映した状態で撮影する

  • スマホ
  • パソコン
  • カーナビ
  • ドライブレコーダー

形のある証拠は、実物を集めると配偶者にバレてしまう可能性があり、その後の証拠集めが難しくなるかもしれません。

とはいえ現物の写真だけでは、証拠にならない可能性があります。相手の財布やカバン、服に入っていたと分かるように、状況ごとの写真から撮影しましょう。

データ類の記録では、「LINEやメール」は、送受信した日時が分かるように撮影しましょう。相手のスマホを自分のカメラで撮影すると、データの改ざんを疑われるリスクが下げられます。

これから証拠を集める場合

現在証拠が全くないのであれば、積極的に行動を起こして証拠を集めましょう。具体的には以下のような方法が考えられます。

  • 自家用車にGPSやボイスレコーダーを設置する
  • 自宅に防犯カメラを設置する
  • 配偶者や不倫相手の尾行や張り込みをする

これらの方法で、配偶者の居場所や動向が分かったり、不貞行為に及んでいる画像や映像、音声データが手に入る可能性があります。

ただし、積極的に証拠を集めようとすると、気づかないうちに法を犯してしまう可能性も。上記のような証拠集めをするときには、以下のような点に注意してくださいね。

証拠収集の機器類を設置する場合 設置場所は自宅や自家用車内に限る

  • GPS
  • ボイスレコーダー
  • 防犯カメラ
動画や音声を録音する場合 編集の必要がある場合には、データをコピーして行い、編集前のオリジナルデータを残すようにする

GPSやボイスレコーダー、防犯カメラを設置するなら、自宅か自家用車内に留めましょう。

不倫相手の自宅に設置すると、プライバシーの侵害や住居侵入罪法などの罪に問われる危険があります。自宅か自家用車であれば、夫婦共有の財産のため、違法性を問われるリスクが下げられます。

動画や音声を録音したデータは、編集の必要がある場合でもデータをコピーして行い、編集前のオリジナルデータを残すようにしてください。

必要な部分の切り取りや編集は、データの改ざんを疑われ、証拠として無効となるリスクがあります。

自力で不貞行為の証拠を集めるときの注意点3つ

自力で不貞行為の証拠を集めるときの注意点3つ

自分で証拠を集める場合、「どこまでやっていいのか?」という疑問や不安があるかもしれません。

実際には、不貞行為の疑いがある場合、証拠集めの方法が法律的にグレーゾーンであっても、「不貞行為を立証するための証拠集め」と大目に見られることがほとんどです。

この根拠として、有名な「昭和52年7月15日東京高裁判決」という判例があります。

判例には、民事裁判で提出する証拠は「著しく反社会的な手段を用いて、人の精神的肉体的自由を拘束する等の人格権侵害を伴う方法によって採集されたもの」でない限り、証拠能力が認められるとあります。

とはいえ、「何をやってもOK」ではありません。

どんなに有力な証拠を手に入れても、証拠集めの方法が目に余る違法行為に該当する場合、「証拠能力なし」とされてしまう可能性があります。最悪、被害者側の自分が罪に問われるかもしれません。

最低限、以下のような行為には気を付けましょう。

  • データの加工や編集をしない
  • データの捏造や偽造をしない
  • 不倫相手の自宅や勤務先に出向かない

データの加工や編集をしない

データの改ざんを疑われると、証拠能力がないと見なされる場合があります。

長い動画や画像の一部分だけを切り出すなど、必要があってデータの加工や編集を行う場合も、オリジナルデータは残すようにしましょう。

データの捏造や偽造をしない

ありもしないデータを勝手に作り上げてはいけません。

0から作り上げるのはもちろん、メールやLINEの一部の文面を変えるのもNGです。不正が明らかになれば、自身が罪に問われる可能性があります。

不倫相手の自宅や勤務先に出向かない

GPSやボイスレコーダー、防犯カメラを設置してもいいのは、自分と配偶者の家や自家用車内だけです。

不倫相手の自宅や勤務先に出向いたり、GPSやボイスレコーダー、防犯カメラを仕掛けたりすると、相手に訴えられるかもしれません。

自力での証拠集めが難しいときの依頼先2つ

自力での証拠集めが難しいときの依頼先2つ

自力での証拠集めが難しい場合は、第三者の力を借りる方法を考えましょう。

この章では、下記の2つの依頼先について、説明します。

  • 探偵や興信所に依頼する
  • 弁護士に相談する

探偵や興信所に依頼する

自分で証拠を集めるのが難しければ、プロの探偵や興信所に依頼するという手があります。

公安委員会に届け出をしている探偵であれば、「探偵業法」という法律の範囲内で調査を行ってくれます。

いずれも、調査結果を「調査報告書」という成果物として受け取れます。不倫相手の会社や本名が分からない場合、報告書で判明するケースがあります。

しかし、報告書単体しかない場合は、証拠としては使えません。1つだけで有効な5個の証拠」のような、写真や映像などの決定的な証拠を手に入れられるように、依頼しましょう。

探偵や興信所に依頼すると、少なくとも数十万単位の費用がかかります。

自分である程度下調べをして、証拠の得られそうな日時や場所を特定してから依頼するようにすれば、予算を抑えられるでしょう。

弁護士に相談する

証拠集めが難しい場合は、弁護士に相談するという手もあります。

弁護士は、探偵や興信所のように、証拠集めはできません。しかし法的に有効な証拠集めのアドバイスなどをしてくれます。

  • どのような証拠が必要か
  • どうやって証拠を集めればいいか
  • 証拠集めをする際にはどのような点に注意すべきか
  • 手持ちの証拠だとどのような判決が考えられるか

また、弁護士は弁護士法に基づく「弁護士会照会制度」を活用して、不倫相手の連絡先や住所を調べることもできます。必要に応じて、戸籍謄本や住民票の写しの請求も可能です。

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私たち「東京スタートアップ法律事務所」では、不貞行為に関するトラブルの実績豊富な弁護士が、あなたを全力でサポートします。気になることがあれば、以下のQ&Aでチェックしてみてくださいね。

【よくあるご質問】

Q.相談料は発生しますか?
A.相談料は初回60分無料です。ただし、相手方の身元情報が不明である場合など、例外もございます。ある程度、不倫相手の身元が判明してからの相談をおすすめします。

Q.電話での相談はできますか?
A.もちろん可能です。特に、ご契約前の段階ではお電話によるご相談をメインとしています。契約後であっても、ご来所いただいての相談は、必須ではありません。

Q.相談後は必ず依頼しなければいけませんか?
A.いいえ、ご依頼は必須ではありません。ご依頼いただくかどうかのご判断は、弁護士から見通しを聞き、お見積もりを受けた後で問題ございません。

Q.依頼後は相手方やその代理人と直接やり取りする必要はなくなりますか?
A.当事務所が相手方とやり取りいたしますので、精神的な負担の大きい不倫相手との交渉は一切不要です。基本的には不倫相手と顔を合わせたり、会話をしたりせずに解決に持ち込めます。

Q.依頼したけれど慰謝料が獲得できず、弁護士費用分を損するという可能性はありますか?
A.基本的にはありません。理由は、①ご事情をお伺いした上で、回収の見込みが薄い案件に関してはご依頼をすすめていないことと、②着手金無料の成功報酬制を採用していることも2点によります。

Q.裁判になる可能性はありますか?
A.交渉段階でご依頼いただいた場合、裁判になる割合は全体の1割程度です。裁判になってしまうと解決までの期間が長引き、費用もかさみます。弁護士の交渉術で、示談などでの解決を目指します。

相談を検討している場合には、まず以下のページをご確認ください。

初回相談(60分)は無料で受け付けています。

電話受付平日 8:30〜20:00/土日祝 9:00〜19:00弁護士への相談予約(通話無料)0120-615-022(通話無料)

まとめ

ここまで不貞行為とは何なのかについて、解説しました。最後に記事の内容を簡潔にまとめます。

不貞行為の定義は以下の通りです。

▽不貞行為とは

配偶者以外との「肉体関係(性交渉)」を意味する、民法に定められている法律用語です。一般に浮気や不倫と呼ばれる場合もありますが、厳密には、少し意味が異なります。

不貞行為と混同されやすい言葉に、「浮気」と「不倫」があります。それぞれの違いは以下の通りです。

◎浮気、不倫、不貞行為の違い

婚姻関係にあるか 肉体関係があるか
浮気 結婚していない場合も含む 肉体関係がない場合も含む
不倫 結婚している場合に限る 肉体関係がない場合も含む
不貞行為 結婚している場合に限る 肉体関係がある場合に限る

「不貞行為」は既婚者が不倫相手と肉体関係に及ぶことです。「肉体関係がない」のであれば、「不貞行為」には該当しません。

具体的な行為については、以下のチェックリストが参考になります。

◎特定の行為が不貞行為に当たるかどうかのチェックリスト

確認できている行為 不貞行為に当たるか
頻繁にLINEや電話をしている ×
2人でランチに出かける ×
2人で夜、食事をしたり、お酒を飲んだりする ×
2人だけでデートする
相手の自宅に出入りしている
手をつないだり、腕を組んだりしている ×
ハグをしたりキスをしたりする ×
肉体関係がある(性交渉をしたことがある)

上記の表で△としている行為は、下記3つの事例のような「肉体関係があると推測できる」疑わしい行為に該当する場合、不貞行為だと判断される場合もあります。

◎肉体関係が確認できなくても不貞行為に当たる可能性のあるケース

  • ラブホテルを2人で利用している
  • 2人で泊まりがけの旅行をしている
  • 同棲している

反対に配偶者の不貞行為が確認できたとしても、下記のような特定のケースに該当する場合、不貞行為だとは認められないケースもあります。

◎肉体関係があっても不貞行為に当たらない可能性のあるケース

  • すでに夫婦関係が破綻している場合
  • 配偶者が「独身」を自称し、不倫相手を騙している場合
  • 配偶者が強引に関係を迫った場合

もし「配偶者の行為が不貞行為に当たるのか判断できない」という悩みや、「不貞行為をされた証拠を見つけたい」という希望があれば、不倫問題の実績豊富な弁護士に、相談してみてはいかがでしょうか。

画像準備中
執筆者 弁護士宮地 政和 第二東京弁護士会 登録番号48945
人生で弁護士に相談するような機会は少なく、精神的にも相当な負担を抱えておられる状況だと思います。そういった方々が少しでも早期に負担を軽くできるよう、ご相談者様の立場に立って丁寧にサポートさせていただきます。
得意分野
企業法務・コンプライアンス関連、クレジットやリース取引、特定商取引に関するトラブルなど
プロフィール
岡山大学法学部 卒業 明治大学法科大学院 修了 弁護士登録 都内の法律事務所に所属 大手信販会社にて社内弁護士として執務 大手金融機関にて社内弁護士として執務
書籍・論文
『スタートアップの法務ガイド』中央経済社
『スタートアップの人事労務ガイド』中央経済社

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