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更新日: 弁護士 表 剛志

刑務所生活の実態とは?受刑者の1日を徹底解説!

刑務所生活の実態とは?受刑者の1日を徹底解説!
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家族や友人など身近な人が刑務所に入っていると、どのような生活を送っているのか、気になる方も多いのではないでしょうか。

また、現在捜査を受けている人も、もし実刑になったら、と不安を覚えている方もいらっしゃると思います。

今回は、刑務所内での生活環境について、内部での環境や規則、平日・休日それぞれのスケジュール等について解説します。

刑務所生活の基本とは?

刑務所は、刑事裁判で主に懲役刑を言い渡された人が収容される場所です。

そこでは、その中で刑務作業を行って勤労意欲を醸成するとともに、規則正しい生活を身に着け、出所後の更生、再犯防止が目標とされます。

基本的には厳格な規則に基づいた生活を送ることになり、自由は相当程度制約されると考えてよいでしょう。

最低限の生活は保障されますが、規則に基づいて厳格に管理され、その規則に従って生活をすることが求められます。

参考:刑事施設(刑務所・少年刑務所・拘置所)(法務省)
https://www.moj.go.jp/kyousei1/kyousei_kyouse03.html

受刑者の権利と義務について

受刑者については、管理栄養士の監修のもと食事が提供される等、健康的な生活を送るための基盤は確保されます。

また、自由時間では、時間などは限られますが、読書やテレビ観賞等も認められており、最低限の文化的な生活を送ることは可能といえるでしょう。

他方、刑務所の目的は、あくまで教育、更生を図る点が中心となるので、受刑者にもそれに応じた義務が課されます。

具体的には、指定された作業を行うという「刑務作業」があります。

また、犯罪の責任を自覚し、更生のために指導を行う「改善指導」を受講することが義務づけられる場合もあります。

この改善指導は、一般的なもののほか、性犯罪や薬物事犯等の特定分野に限定したものも行われるようです。

刑務所内での規則と罰則

刑務所内では、決められたタイムスケジュール通りに生活をすることが要求されます。

細かな時間は刑務所によっても異なりますが、多くの場合、平日は7時前には起床して8時頃に作業を開始し、休憩や昼食をはさんで夕方まで刑務作業を行う、というパターンが多いようです。

このほか、刑務所内での生活に当たっては、私語の禁止や服装等の風紀についても、厳しい規則が定められている場合が多いです。

こうした規則に違反したり、職員の指示に従わなかったりした場合、懲罰の対象となります。

これは、その違反の程度に応じて、「懲罰」と呼ばれる、戒告等の処分がされます。

参考:生活の心得(受刑者用)【山形刑務所】
https://www.moj.go.jp/content/001422167.pdf

刑務所の1日の過ごし方は?

以上のように、非常に厳しい規則が設けられている刑務所ですが、具体的な一日のスケジュールは、どのようなものなのでしょうか。

ここでは、府中刑務所での一日を例に取って、平日と休日とに分けて、詳しく紹介していきます。

(詳細なスケジュールは各刑務所によって異なる可能性があります。)

<平日のタイムスケジュール>
起床 6:45
清掃・整頓・洗面・点検 6:45~7:05
朝食 7:05~7:35
出室 7:35~8:00
作業開始 8:00(7:40)
休憩 9:50~10:00
昼食 12:00~12:20
(11:20~11:40)
休憩 14:30~14:40
作業終了 16:40(16:20)
入室 16:40~16:50
点検 16:50~17:00
夕食 17:00~17:30
(16:20~16:50)
居室清掃 17:30~17:40
仮就寝 18:00
就寝 21:00

※()内の時限は、居室内で作業を行う人の動作時限

<休日のタイムスケジュール>
起床 7:20
清掃・整頓・洗面・点検 7:20~7:40
朝食 7:50~8:10
昼食 12:00~12:30
(11:30~12:00)
点検 16:30~16:40
夕食 16:40~17:10
(16:00~16:30)
居室清掃 17:10~17:20
仮就寝 18:00
就寝 21:00

※()内の時限は、居室内で作業を行う人の動作時限

参考:所内生活の手引 (府中刑務所)
https://www.moj.go.jp/content/001422175.pdf

平日のタイムスケジュール詳細

⑴ 起床

平日の起床時間は、7時前の時間帯と定められている刑務所が多いです。

起床時にはチャイム音が流れ、その音が目覚まし代わりとなります。

なお、定刻より早くに目が覚めても、他の受刑者の迷惑になるため、布団の中で静かに過ごしていなければなりません。

⑵ 清掃・洗面・整頓・点検

起床後、まずは自分の布団をたたんで整えます。そのうえで、簡単な拭き掃除を行う等して、部屋の清掃をします。

その後、洗面や歯磨きをしたあと、所定の位置に戻って座り、点検(開房点検)をすることになります。

この点検は、受刑者が居室にいることを確認するだけでなく、健康状態をチェックする目的もあります。

⑶ 朝食

点検後は朝食の時間です。刑務所によって異なるものの、概ね30分前後の間に済ませることが求められます。

食事を他人と分け合うことは認められず、食べきれなかった分は、勝手には捨てられず、残飯として提出する必要があります。

刑務所内の食事については、管理栄養士が監修し、栄養に配慮したものが用意されます。

また、曜日によってはパンが出される等、受刑者の飽きが来ないような配慮もなされています。

⑷ 出室

食事終了後は、刑務作業に向けて出室します。平日は、休憩時間を挟んで刑務作業をするのが原則です。

居室から刑務作業の場所までの移動についても、整列して移動する、号令に従って行動する必要がある等、様々な規律があります。

⑸ 作業開始

多くの刑務所では、だいたい8時頃から刑務作業を開始します。

作業時間は、原則として1日8時間を超えない範囲内と定められており、作業の途中に休憩時間も設けられます。

⑹ 昼食

午前の刑務作業が終了すると、昼食時間があります。栄養バランスに配慮した食事が提供されることは、朝食の場合と同様です。

⑺ 作業終了

作業は原則として、休憩をはさみつつ夕方まで続きます。

概ね、一般的な社会人が勤務するのと同じ時間帯だとイメージすると良いでしょう。

⑻ 入室・点検

刑務作業後は、自分の部屋に戻ります。

整列での移動や、号令に従った行動が求められる等の規律がある点は、出室の場合と同様です。

入室後も、出室前と同様に点検(閉房点検)がなされます。ここでは、すべての受刑者が入室したかの確認がされます。

⑼ 夕食

17時頃は、夕食の時間となります。

ここでも、朝食や昼食と同様に、徹底した栄養管理がされており、バランスのとれた食事が提供されます。

また、正月やクリスマス、大晦日といった時節柄のイベントでは、特別な食事が提供されます。

夕食は、昼食と比べ長い時間が確保されますので、比較的ゆっくりできると思います。

⑽ 仮就寝・就寝

食事後は、余暇時間となります。

この時間では、テレビを観たり本を読んだり、居室内で自由に思い思いの時間を過ごせます。

また、仮就寝として、この時間から布団の中で休むことも可能です。この時間以外は、規則に従って生活することが求められますので、一日の中で唯一ゆっくりできる時間といえるでしょう。

21時になると、就寝となり、必ず布団の中に入り就寝しなければなりません。

トイレに行くことはできますが、居室内の人と話をしたり本を読んだりすると、指導・懲罰の対象となりますので注意が必要です。

休日の過ごし方と自由時間

休日は、平日と異なり刑務作業がなく、一日を居室内で過ごすことが多いです。

また、起床時間等のスケジュールも少し異なります。

⑴ 起床

休日の起床時間は、平日と比べると多少遅い時間であることが多く、その分ゆっくり過ごすことができるでしょう。

とはいえ、早く目が覚めたとしても、起床のチャイムが鳴るまでは布団の中で過ごさないといけないのは、平日の場合と同様です。

⑵ 清掃・洗面・整頓・点検

清掃・洗面・整頓・点検を行った後で、朝食が提供されます。起床後の流れは、休日でも変わりません。

⑶ 朝食~昼食まで

朝食を含む休日の食事も、基本的には平日と変わらず提供されます。

朝食後は余暇時間となり、手紙を書いたり読書をしたりして過ごすことができます。

ただ、刑務所によっては会話が禁止されている場合もありますので、余暇とはいっても、基本的には各刑務所の規則に従うことにはなります。

⑷ 昼食~点検まで

12時頃には、昼食が提供されます。

昼食後も、夕方の点検までは余暇時間となります。

この時間帯も、基本的には自由に過ごすことが可能です。

なお、休日は看守の人数が少なくなることもあり、部屋の外に出ることは原則としてできません。

また、外部の者との面会等もできないので注意が必要です。

夕方頃になると、点検が行われます。休日は、基本的に部屋の出入りはないため不要では、とも思われますが、異常やトラブルが発生していないかを確認するため、必ず行われます。

⑸ 夕食~就寝まで

夕食の時間は、平日と比べると早い時間の場合が多いです。

夕食後は、部屋の清掃を行うなどして、それ以降は余暇時間となります。

18時になると仮就寝となり、ここからは横になることもできます。

21時からは完全就寝となり、全員が布団の中に入り静かに過ごす点は、平日の場合と同じです。

刑務所の居住環境と生活実態

刑務所内では、基本的に複数人が同じ居室で過ごすことになります。

刑務作業以外は自分の居室にいることが多いので、否が応でも他の人との共同生活を余儀なくされます。

したがって、快適とはとてもいいがたい中での生活となることでしょう。

居室内での振舞いや生活態度についても、様々なルールが定められていますので、それを遵守して生活をすることが求められます。

常に人とのかかわりが生じるわけですから、喧嘩やいじめといった、人間関係のトラブルもそれなりに多くあるようです。

ここでは、刑務所内での生活環境とその実態について紹介します。

参考:受刑者が居房内で生活するための物品(法務省)
https://www.moj.go.jp/content/000002253.pdf

居室の広さと設備について

刑務所の居室には、大きく2種類があります。

一人が使用することを前提に作られた「単独室」と、複数人での共同利用を前提に作られた「共同室」です。

居室の割り当てはランダムで決められますので、希望が通るわけではありません。

居室内には、洗面台や便所が設置されており、テレビや布団、机が用意される場合が多いです。

在室中も、テレビを観る時は所定の位置で座ることや、片づけをする際の置き場所等、細かい規則が定められています。

広さも刑務所によって異なる場合もありますが、決して広いとはいえず、人数分の布団を敷くと大体スペースが埋まるくらい、と考えておくとよいでしょう。

受刑者同士の人間関係

共同室の場合、4~6人程度が同じ部屋に収容されることが多いです。

受刑者同士で上下関係はない、というのが公式ルールですが、実態としては、入ってきた時期や犯罪の種類に応じて、事実上の上下関係が形成されることはあるようです。

また、刑務所内は、外部から遮断され、様々な規則を守りながら生活をすることになりますので、ストレスがたまりやすい環境といえます。

その結果、いじめや喧嘩が起きてしまうことも珍しくありません。

特にいじめについては、看守に知られると自分が懲罰の対象となるため、目立たないよう陰湿に行われることもあるようです。

喧嘩についても、自分は巻き込まれただけという場合でも、懲罰の対象となる可能性もありますので、注意が必要です。

刑務作業の内容と報酬について

懲役刑の場合、所定の作業を行うことが法律上定められています。

これは刑務所側から割り当てられるもので、希望が通らなくても拒否することはできません。

禁錮刑や拘留刑の場合には作業義務はありませんが、希望すれば作業を行うことが可能です。

刑務作業は、大きくA作業、B作業、C作業の3種類に区分されます。

A作業は炊場や経理作業といった、一定の高度な技術や知識が必要な作業、B作業はA作業とC作業以外の作業、C作業は居室内または工場内での作業を、それぞれ指します。

各就業者は、10等工から1等工までの10段階に格付けされ、数字が若いほど高い優遇措置を受けられます。

作業成績や就業態度によって、等級が上昇していき、これを「昇等」といいます。

また、作業を行った場合には、毎月、作業報奨金が計算されます。

ただし、これはその都度支給されるわけではなく、原則として釈放時に、計算された金額が支給されることになります。

あくまでも出所後の生活に困らないように、という配慮によるものです。

刑務所での教育プログラムとは?

刑務所は、所内生活を通じて犯罪の責任を自覚させ、再犯を防ぐことを目的としています。

そのため、刑務作業だけでなく、こうした目的に従ったプログラムも用意されています。

まず、「改善指導」があります。

これは、都度指示される日程に従い、1日8時間以内の時間で、犯罪の責任を自覚し、健康な心身を培い、社会生活に適応するために必要な知識や生活態度を習得するために行われる指導です。

さらに、薬物事犯や性犯罪等の特定分野の犯罪に関しては、その分野に特化した改善指導が行われることもあります。

このほか、日常生活全般における事項についても指導を行う、集団行動訓練や生活指導目標といったものも存在します。

いずれのプログラムも、出所後に再犯をせず、自立して生活を送れることを目標として用意されているわけです。

刑務所生活Q&A

ここでは、刑務所生活についてよくある質問に回答します。

刑務所ではお風呂にどれくらい入れるの?

入浴は一週間に3回、1回あたり15分とされています。髭剃りはこの時にしかできない決まりになっています。

運動や、髪を切ることはできるの?

運動は、就業日に30分行うのが原則とされています。

髪を切ることも、概ね1か月に1回できますが、髪型は、原則として原型刈りか前五分刈りという、丸刈りにかなり近いスタイルに限定されます。

刑務所内の温度管理はどうなの?

刑務所内では、暑さ・寒さは適切に管理されています。

極端に暑いとか、極端に寒いといったことで不快に感じることはないと考えてよいでしょう。

刑務所内で楽しいと感じることは?

刑務所はあくまで罪を償う場所ですので、楽しい、快適だと感じることはほとんどないでしょう。

人間関係での悩みや辛さもありますので、つらいと感じることがむしろ多いと思われます。

とはいえ、季節ごとのイベントが行われることもあり、そうしたことを楽しみとして過ごされる方もいるようです。

まとめ

刑務所内では、最低限の生活における配慮はされているものの、あくまで罪を償う場所ですので、快適な場所とは程遠い環境です。

とはいえ、身近な人が刑務所に入られている場合に、その状況を少しでもイメージできますと幸いです。

犯罪をして実刑判決を受けてしまうとこのような環境に置かれることとなりますので、くれぐれも犯罪には手を染めないようにするのが一番でしょう。

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執筆者 弁護士表 剛志 大阪弁護士会 登録番号61061
いかなる内容の法律相談であっても、まずは依頼者さまのお話を真摯にお聞きし、弁護士以前に人として、「共感」することを信条としています。 まずは人として「共感」し、その次に、法律家として問題点を「整理」して、法的解決を志向することに尽力いたします。
得意分野
一般民事、家事事件(離婚等)、企業法務
プロフィール
大阪府出身
京都大学法学部 卒業
同大学法科大学院 修了

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