下着泥棒で逮捕されるとどうなる?問われる罪や刑罰について解説

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自宅の洗濯物から下着が盗まれる――そんな被害が後を絶ちません。いわゆる「下着泥棒」は、単なるいたずらでは済まされず、刑法上の犯罪として処罰の対象となります。本記事では、下着泥棒が逮捕される具体的なケースや、適用される罪名、そして科される可能性のある罰則について、弁護士の視点からわかりやすく解説します。
下着泥棒で逮捕されるケース
下着泥棒は、主に自宅のベランダやコインランドリーなどから下着を盗む行為で発覚します。防犯カメラの映像や現行犯での通報をきっかけに逮捕されるケースが多いでしょう。
アパート・マンションのベランダでの窃盗
アパートやマンションのベランダに干してある洗濯物を、外部から侵入して盗んだ場合、住居侵入罪および窃盗罪が成立する可能性があります。ベランダも「住居」の一部であり、無断で立ち入る行為自体が住居侵入罪となります。洗濯物(下着)を所有者の了解を得ずに持ち去ると窃盗罪となり、住居侵入罪と窃盗罪を併せて重く処罰されることがあります。
コインランドリーでの窃盗
コインランドリーで洗濯中または乾燥中の下着を持ち去った場合、窃盗罪が成立します。また、被害者の洗濯物を盗むためにコインランドリーに立ち入っていることから、コインランドリーに対する建造物侵入罪が成立することもあります。これは、コインランドリーの建物の管理者は、洗濯をする者の立ち入りを許しているにすぎず、下着泥棒のための立ち入りを許していないと判断されるからです。
逮捕される行為の具体例
このように、下着泥棒は、下着を盗む行為に窃盗罪が成立するだけではなく、下着を盗むために建物や住居に立ち入った場合には建造物侵入罪や住居侵入罪が成立するということになります。
下着泥棒で問われる罪や罰則
下着泥棒は、住居や敷地に無断で侵入して盗みを働く場合が多く、窃盗罪だけではなく住居侵入罪も成立し、現行犯や防犯カメラの映像などで逮捕されることがあります。
1. 窃盗罪
下着泥棒は、他人の「財物」である下着を無断で持ち去る行為であり「窃取」に該当します。したがって、刑法上の「他人の財物を窃取する行為」に該当するため、窃盗罪が成立します。
2. 住居侵入罪
下着泥棒をするために、住宅のベランダなどに立ち入った場合には、住居侵入罪が成立します。住居侵入罪の「住居」とは、通説の説明によると、起臥寝食に利用される建造物のことをいいます。これは、家やマンションなどを指しますが、部屋だけではなく縁側やベランダもこれに含まれます。
「侵入」といえるためには、住居権者や管理権者の意思に反する立ち入りにあたる必要があります。これは、住居権者や管理権者が、立ち入った人の目的を知れば立ち入りを承諾しなかっただろうといえる場合には、意思に反する立ち入りと評価されます。
そのため、先に説明したように、下着泥棒目的でのコインランドリーへの立ち入りは、管理権者がその真の目的を知れば、立ち入りを拒むはずですから、「侵入」に該当すると評価できます。
「正当な理由がないのに」とは、違法性阻却事由が存在しないことを指します。この要件は、住居権者や管理権者の意思に反した立ち入りであることを前提に、法令に基づく行為のような違法性阻却事由がないことを意味するものと理解されています。
3. 窃盗罪以外で可能性のある罪
被害者に下着泥棒をしていることが発覚した場合、犯人が開き直って暴行や脅迫を加えることもあり得るでしょう。この場合、「窃盗の機会」に、逮捕を免れる目的、財物の奪還防止、逮捕を免れる目的で暴行や脅迫を加えることも考えられます。この場合、事後強盗罪という犯罪が成立し、窃盗罪ではなく強盗罪の扱いになります。
さらに事後強盗罪となり、その暴行によって相手にケガを負わせると、強盗致傷罪が成立してしまいます。強盗致傷罪は、無期懲役または6年以上の懲役刑が科されてしまいます。窃盗罪は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金であることからすると、強盗致傷罪が重い犯罪だということが分かります。
さらに、被害者に、下着泥棒をしているところを目撃されると、逆上して、被害者に暴行や脅迫を加えてわいせつな行為をした場合、不同意わいせつ罪になることがあります。
下着泥棒で逮捕される場合の流れ
下着泥棒は、現行犯や防犯カメラ映像などで事件が発覚し、逮捕されることもあります。警察に逮捕された場合、逮捕から48時間以内に検察に送致され、検察は身柄の送致を受けてから24時間以内に、裁判所に勾留請求することになります。さらに、勾留が認められると、勾留請求から10日間勾留されることとなります。これが延長されることもあります。したがって、最長で逮捕から23日間にわたって、身体拘束されることがあります。
下着泥棒で前科がつくのを避けるには
下着泥棒のような被害者のいる犯罪の場合は、被害者との示談が重要になります。下着泥棒は、窃盗罪という財産犯ですから、被害者に示談金を渡すことで一定の被害回復がなされたとみることができます。
もっとも、示談がなされたからといって、必ずしも不起訴となるわけではありません。検察官は、起訴するかどうかについて、犯人の性格や境遇、犯罪の軽重や犯罪後の情状などを考慮して決めるからです。
1. 示談
それでは、示談する際にはどのような点が重要となるでしょうか。
示談の際に最も重要なのは、被害者に示談金を支払っていること、そして被害者が被害弁償を受け取り、被疑者を宥恕(ゆうじょ)するかどうかにあります。宥恕とは、寛大な心でゆるすこと、という意味です。単に示談金を支払うだけでなく、被疑者として謝罪し、被害者から宥恕してもらうことに意味があります。
また、被疑者が捜査機関に身体拘束されている場合は、勾留の満期までに示談を成立させ、検察官に不起訴としてもらう必要があります。実際には、検察官は勾留の満期には上長の決裁を得て、起訴とするかを決めていますから、決裁のタイミングから逆算して示談を成立させる必要があるので、時間との勝負にもなります。
示談金の費用相場
示談金の相場は一義的に定まるものではありませんが、下着泥棒は窃盗罪ですので、まずは被害額がベースになります。一方で、下着泥棒は性犯罪としての要素が強いので、被害感情に対して示談金を定める必要があります。事案にもよりますが、一般的には10万円から50万円の範囲内での示談が多いですが、あくまで最終的には被害者の意向次第となることが多いです。
2. 弁護士に相談
下着泥棒で逮捕された場合は、やはり弁護士に相談する必要があるでしょう。なぜなら、弁護士であれば、弁護士と被害者と話し合いの機会を設定し、示談交渉をすることができるからです。また、被疑者が逮捕や勾留などで身体拘束されている場合、身体拘束からの解放を実現するための活動をすることができます。一日でも早く身体拘束を解放しなければ、職場を解雇されるリスクなどが高まります。
さらに、先に述べた示談金の相場は、あくまで一般的なものにすぎず、具体的な事案によって示談金は変わります。もし下着泥棒の示談金でお困りの際は、弁護士にご相談ください。
下着泥棒の逮捕事例
では、下着泥棒で逮捕されるのはどのような事例なのでしょうか。2つ事例を紹介したいと思います。
住宅サンルームでの下着窃盗
このケースは、被疑者が住宅に侵入し、サンルームにあった女性用の下着を3着を盗んだ疑いで逮捕されています。このケースでも、未遂ではありますが、住居侵入罪ですでに逮捕されており、その後、ロッカーから被害品が発見されたことから逮捕されています。
元俳優による下着泥棒事件
このケースは、元俳優による下着泥棒事件です。事件は東京都八王子市内で発生し、女性の住むアパートに窓から侵入し、下着などを物色していたところ、帰宅した女性に発見され現行犯逮捕されました。
この人物は、過去にも福岡で女性宅に侵入し下着を盗んだとして逮捕され、有罪判決を受け執行猶予中でした。当時は反省の意を込めたコメントをSNSで発信し、更生を誓っていましたが、今回も性的欲求を抑えきれずに同様の犯行に及んだようです。
警察の調べに対し、「人の部屋に忍び込むことで強い緊張感を味わいたかった」と供述しており、以前の事件では暗視機材を使用していたことも判明しているようです。
https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/312297
まとめ
下着泥棒が発覚したとき、対応を誤ったり怠ると、起訴され、前科が付く可能性があります。略式裁判の罰金刑で済んだとしても、前科は一生消えないものになります。
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