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投稿日: 代表弁護士 中川 浩秀

既婚者と不倫する法的リスクとは?知らなかった場合も慰謝料を請求される?

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付き合って数ヶ月してから、実は相手が既婚者であったことを知り、今後このまま付き合っていていいのか、すぐに別れた方がいいのか、対応に困ってしまうこともあるでしょう。

既婚者と不倫をした場合、それが遊びだったのか、本気の恋愛だったのかに関係なく、相手の配偶者から慰謝料の請求を受ける可能性があります。

それでは、具体的にどんな場面であれば慰謝料を請求されることになるのでしょうか。

この記事では、慰謝料請求を受けるケースと受けないケースの違いや、慰謝料の相場、既婚者と不倫をするリスクなどについてわかりやすく解説していきます。

結婚すると夫婦間で法的な義務が生じる

交際している時とは異なり、結婚するとさまざまな法律上の義務を伴う法律関係が生じます。

まずは、夫婦間でどのような義務が生じるのかを確認していきます。

1. 貞操(ていそう)義務

貞操義務とは、お互いに配偶者以外の人と肉体関係を持たない義務のことを指します。

この貞操義務に違反し、不倫をした相手と肉体関係を持った場合、法律上の離婚原因にあたり、夫婦の合意がなくても離婚をすることができるようになります。

また、貞操義務違反を理由とし、不倫をした配偶者に対して慰謝料を請求することができるようになります。

2. 同氏(どううじ)の義務

日本では、結婚したら、原則夫婦どちらかの名字に合わせる義務があります。

近年では、自分の名乗る名字を選択できる、「選択的夫婦別姓」について盛んに議論が交わされていますが、2023年7月現在では、未だ名字を選択できる自由は認められていません。

なお、業務の関係上、職場でのみ旧性を使用することが許されているケースもあります。

3. 夫婦で同居しお互いに扶助する義務

夫婦は同居し、お互いに協力しながら生活する義務を負っています。

ただし、同居義務に関しては、夫婦それぞれのライフスタイルを考慮して、必ずしも強制されるものではありません。

また、夫婦はお互いを扶助する義務、つまりお互い助け合って生活をしなければならない義務を負っており、たとえ収入に差があったとしても、同等の生活レベルを保てるよう、収入の高い側が低い側をに対して、経済的な援助をしていく必要があります。

既婚者と不倫をすると慰謝料請求を受けるおそれがある

既婚者と不倫をした場合、相手の配偶者は、不倫相手に対して慰謝料の請求をすることができます。

ただし、不倫であればどんな場面でも高額な慰謝料の請求を受ける訳ではありません。

まずは、慰謝料請求を支払う必要があるケースについて解説していきます。

1. 慰謝料請求支払う必要があるケース

慰謝料を法的に請求するためには、不倫が「不貞行為」に該当する必要があります。

不貞行為とは、配偶者のある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことです。

つまり、慰謝料を法的に請求するためには、不倫相手と肉体関係を持ったことが必要になります。

たとえば、知らない女性と腕を組んでデートをしたり、路上で抱き合いキスをしていたとしても、それらは性交渉を直接ほのめかす証拠とはいえないため、法的に慰謝料請求をすることができる不貞行為とはいえないことになります。

ただし、裁判で高額な慰謝料が認められるかは別にして、これらの証拠を使って、不倫相手に慰謝料の請求をすること自体が禁止されているわけではありません。

そのため、たとえ直接の性交渉の現場を抑えた証拠がなかったとしても、配偶者から慰謝料の請求を受けるおそれがなくなるわけではありません。

また、仮に肉体関係がなかったとしても、肉体関係と同視できるような行為がある場合や、家庭をそっちのけにして、頻繁に不倫相手と密会していたような場合には、慰謝料が認められるケースも存在します。

2.慰謝料を支払う必要がないケース

以下のケースに該当する場合には、配偶者から慰謝料を請求されたとしても、支払う義務はありません。

慰謝料を支払う必要がない4つのケース
  • 不貞行為の発覚から3年、不貞行為から20年の時効が成立しているケース
  • 相手が既婚者であることを、過失なく知らなかったケース
  • 相手の婚姻生活が完全に破たんしていると認められるようなケース
  • 相手の婚姻生活が完全に破たんしていると、過失なく信じたようなケース

ここで、既婚者であることを知らなかったケースについて、過失が認められたケースと認められなかったケースの裁判例を確認してみましょう。

「過失」が認められたケース

まずは、過失が認められたケースから確認してみましょう。

東京地方裁判所平成19年4月24日判決
【事案の概要】 男性は女性に対して、「自分はバツイチで今は独身である」と説明していたため、それを信じた女性が、不貞行為に及んだケース
【判旨】 既婚者であることを知りながら不貞行為に及んだものとは認められないが、男性の言葉を簡単に信じてしまったことについて、女性にも過失が認められるため、慰謝料の一部を支払うものとする。

「過失」が認められなかったケース

東京地方裁判所平成23年4月26日判決
【事案の概要】 婚活パーティーで知り合った当初から、男性は女性に対して独身であると嘘をついていただけでなく、氏名・年齢・住所・学歴などの個人情報についても偽っていたケース
【判旨】 状況を考えると、女性が既婚者であることを認識することは困難であるため、既婚者であることを知らなかったことにつき、女性に過失があるとはいえない。

このケースでは、出会った場所が婚活パーティーという少し特殊な環境だったこともあり、女性には男性の言動を信じることについて、過失は認められないと判断されました。

婚活パーティーの場合、イベントによっては独身であることの証明書などを提出しなければ参加できないものもあるため、会社の同僚や知人などが相手の場合と比べて、男性の言動を信じてしまいやすい環境にあるといえるでしょう。

また、氏名や年齢まで偽っているとなると、初めから相手を騙して不倫関係になろうという意思があきらかであるため、女性の過失は否定される可能性が高いといえるでしょう。

慰謝料請求を受けるまでの流れはケースバイケース

相手の配偶者から慰謝料請求を受ける流れはケースバイケースで、それぞれの状況により異なります。

当事者同士で直接交渉することもあれば、弁護士が代理人として連絡してくるケースもあります

もし相手の配偶者や弁護士から連絡がきた場合には、何らかの対応をしないと裁判を起こされてしまうおそれがあるため、専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

不倫慰謝料の相場は?

不倫慰謝料の相場は、50万円~300万円程度ですが、それぞれのケースにより認められる金額は異なるため、あくまでも目安程度の金額に留めておくのが良いでしょう。

1. 不倫相手が離婚するかしないかで慰謝料の金額は変わる

不倫が原因で婚姻関係が破たんし、離婚することになってしまった場合には、慰謝料の金額が高くなる傾向にあります。

もし、離婚することになってしまった原因である不貞行為の証拠をしっかり提出できるのであれば、200万円から300万円程度の慰謝料額が認められる可能性があるでしょう。

2. 慰謝料額を算定するための要素

慰謝料の金額を決める際は、以下にあげるような事情を総合的に判断して金額を決めることになります。

慰謝料の金額を決める際の考慮要素
  • 不倫をしたことが原因で婚姻関係が破たんしたか ex.別居、離婚
  • 不倫女性が既婚者であることを知っていたかどうか
  • 不倫期間の長さ
  • 不貞行為の頻度
  • 婚姻期間の長さやそれまでの生活状況
  • 子どもがいるかどうか
  • 当事者それぞれの経済状況や社会的地位
  • 不倫した女性との間に子どもがいるかどうか
  • 不倫発覚後も関係が継続しているかどうか  など

たとえば、相手が既婚者であることを知りながら、その家庭を壊すことを目的として何年にも渡り密会を続け、最終的には妊娠までしているようなケースでは、配偶者に与える精神的なダメージを考慮して、認められる慰謝料の金額が高くなる傾向にあります。

3. 不貞行為の証拠とは?

相手の配偶者が慰謝料請求をしてきた場合、不貞行為の証拠があるかどうかで今後の対応が変わってきます。

不貞行為の証拠としては次のようなものが挙げられます。

  • 肉体関係を決定づける写真や動画
  • 不貞行為に関するLINEやメールのスクリーンショット
  • ラブホテルや旅行の領収書
  • 探偵、興信所で調査してもらった不貞行為の証拠資料
  • 不貞行為を認める念書や覚書

逆に、以下のようなものに関しては、不貞行為の証拠にはなりづらいものであるといえます。

  • 親しげにしているLINEのトーク履歴
  • 2人で食事をしている写真
  • 2人分のレストランの領収書
  • 相手に渡したプレゼントの領収書

証拠として重要なのは、その証拠から、肉体関係があったことを客観的に証明できるかどうかが重要です

相手が提示してくる不貞行為の証拠を確認し、今後の対応を慎重に検討するようにしてください。

なお、相手が既婚者だと知らなかったこと、もしくは知らなかったことについて過失がなかったことを示す証拠については、以下の記事をご参照ください。

既婚者と不倫をするリスクとは?

既婚者と不倫をしてしまった場合、相手の配偶者から慰謝料を請求されるおそれがある以外にも、さまざまな場面でリスクがあります。

既婚者と不倫をする3つのリスク
  1. 経済的負担を負うことから不倫相手との関係も長く続かないことが多い
  2. 配偶者と離婚できるとは限らない
  3. 周囲の信頼を失うことでキャリアに傷がつくおそれある

以下、それぞれ解説していきます。

1.経済的負担を負うことから不倫相手との関係も長く続かないことが多い

不倫が原因で離婚することになってしまった場合、原因をつくった側は「有責配偶者」として、配偶者に対して慰謝料を支払う義務を負います。

また、有責配偶者の場合、財産分与や年金分割などでも不利な立場に立たされることも多く、経済的にかなりの負担を強いられることも少なくありません。

もちろん、子どもがいれば養育費を支払う必要もありますし、話し合い次第では、住宅ローンや車のローンを負担することもあるでしょう。

そのため、離婚をして不倫相手と生活をやり直したいと考えたとしても、経済的に困窮してしまうことにより、不倫相手との関係も破たんしてしまうことがあるのです。

2. 配偶者と離婚できるとは限らない

不貞行為は、法律上認められている離婚原因にあたりますが、離婚は双方合意のもとでしかできないのが原則です。

そのため、不倫をした側がいくら離婚を望んだとしても、配偶者が離婚を希望しない場合、法律上は離婚が認められないことになります。

配偶者が婚姻生活をやり直したいと考えている場合や、慰謝料・財産分与・親権などのさまざまな問題を考慮すると、その場ですぐに離婚には応じない方がいいケースも少なくありません。

場合によっては、小さい子どもが成人するまでは離婚しないと主張してくることもあるため、その場合には離婚が認められず、何年も状況が進展しないおそれがあります。

3. 周囲の信頼を失うことでキャリアに傷がつくおそれもある

職場の同僚や取引先の社員と不倫関係になった場合、その事実が会社側に発覚すると、社内風紀を乱したという理由で、異動や配置転換、降格などのペナルティを課されるおそれがあります。

不倫をしたことが直接の解雇事由にあたることはあまりありませんが、社内で不倫の事実が広まることで働きづらくなるおそれや、部下と不倫したことにより管理能力を疑われてしまったり、取引先の信用を失ってしまうおそれもあるでしょう。

また、周囲の信頼を失うことで、仕事に影響が出てしまうこともあります。それまで順調にキャリアを歩んできたとしても、1度の不倫ですべてが崩壊してしまう可能性は少なくありません。

慰謝料請求の対応を弁護士に依頼するメリット

もし、既婚者と不倫をしてしまい、相手の配偶者から慰謝料を請求された場合には、なるべく早いうちに専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

1. 慰謝料請求に個人では対応するのは難しい

当事者同士で話し合ったとしても、お互い感情的になってしまい、話がまったく前に進まないことがよくあります。

また、もし代理人である弁護士から慰謝料の請求をされた場合には、法律と交渉の専門家である弁護士と、対等な立場で交渉をするのは、基本的に困難であるといえるでしょう。

うっかりこちらが発言してしまったことを、裁判の場で不倫の証拠として使われてしまうおそれもあります。

この点、弁護士であれば、法律的な根拠にもとづき冷静に対処することで、こちらに有利になるように交渉を進めることが可能です。

相手と粘り強く交渉することで、調停や裁判にならないよう穏便に交渉をまとめる術を持つのも、弁護士ならではの技術であるといえます。

2. 対応をすべて弁護士にまかせることができる

こちらが不倫をしているとはいえ、相手の配偶者と慰謝料の交渉を進めることに、大きな精神的ストレスを感じてしまうこともあるでしょう。

弁護士に依頼すれば、相手との交渉はすべて弁護士がおこなってくれるうえ、調停や裁判などの手間のかかる手続きについても、すべて弁護士が代わりに対応してくれます。

交渉の進捗状況は、弁護士が逐一連絡をくれるため、こちらの希望通りに交渉を進めてもらうことが可能です。

まとめ

既婚者と不倫関係になった場合、仮に相手が既婚者であることを知らなかったとしても、配偶者から慰謝料を請求されるおそれがあります。

相手の配偶者との交渉を1人で進めるのは、精神的に非常に辛いものがあるでしょう。

私達、東京スタートアップ法律事務所は、突然相手の配偶者から慰謝料請求をされて不安な思いを抱えている方々を全力でサポートしています。

不倫トラブルの解決方法を熟知した弁護士が、相手との交渉をスムーズに進めるのはもちろんのこと、ご依頼者様の不安な気持ちを少しでも取り除けるよう、親身になってお話をお伺いするなど、精神的なケアも十分にさせていただきます。

弁護士費用の分割払いなども柔軟に対応しているため、経済的に不安がある方でも安心してご相談いただけます。

トラブルは放っておいても解決しません。1人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。

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執筆者 代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会 登録番号45484
東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。
「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
得意分野
ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
プロフィール
京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設
書籍・論文
『スタートアップの法務ガイド』中央経済社
『スタートアップの人事労務ガイド』中央経済社

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