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貞操権とは?慰謝料の相場と請求できる条件を解説

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記事目次

交際相手が実は既婚者だと知り、慰謝料を請求したいのに請求方法がわからない、とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

交際相手が既婚者だったことが判明した場合、騙された気持ちから慰謝料を請求したくても、他人に相談しづらいこともあり、誰にも相談できずに、ただ辛い思いだけを抱えてしまう方も多くいらっしゃいます。

今回は、貞操権侵害による慰謝料を請求するための条件、慰謝料の相場、実際に慰謝料請求するための準備と方法、相手に慰謝料を請求する際の注意点などについて解説します。

貞操権とは

貞操権とは、自分の意思で肉体関係を結ぶ相手を選ぶことができる権利のことをいいます。

民法第710条では、以下のように定められています。

他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負うものは、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

貞操権は、上記の「自由」の一環として、いつ誰と、どのような性的関係を結ぶのかについて、自らの意思で決定することのできる自由のことを指すものと考えられており、このような性的意思決定の自由を侵害した場合は、民法上の不法行為に該当し、損害賠償責任を負うこととなります。

貞操権侵害とは何か?当てはまる行為は?

それでは、貞操権の侵害は、具体的にどのような場合に認められるのでしょうか。貞操権侵害に当てはまる行為について検討したいと思います。

貞操権侵害とは

貞操権侵害は、他人の性的な意思決定の自由を侵害した場合にあたり、不本意な相手と肉体関係を持ってしまった場合は相手に損害賠償の責任を追及することができるものです。

たとえば、「相手が独身だと言われたから肉体関係を持ったのに、実は既婚者だった」などという場合は、貞操権侵害に該当する可能性があります。

貞操権侵害に当てはまる行為とは

貞操権侵害が成立するためには、満たすべき条件(要件)があり、要件を満たさない場合は慰謝料を請求することはできません。

貞操権侵害が成立し、相手に慰謝料を請求できるためには、相手方の行為について、以下の要件を満たす必要があります。

  • 結婚可能性のある真剣交際の結果、肉体関係またはそれに近い性的な行為があったこと
  • 相手が独身だと嘘をついて相手から近づいてきた等、相手の行為の悪質性が高いこと

真剣交際の結果、肉体関係に類似する関係を持ったことが前提で、さらに、男性側が独身者であることを装っていたなどの行為について悪質性が認められることが重要です。

以下、貞操権侵害で慰謝料請求できる場合について具体的に説明します。

貞操権侵害で慰謝料請求できる場合

1.真剣交際の結果、肉体関係、またはそれに近い行為があったこと

性的自由を侵害されたこと、すなわち肉体関係に類似する関係があったことが貞操権侵害成立の要件です。

肉体関係を結んだ結果、女性が妊娠した場合には、肉体的・精神的な負担が大きくなるため、慰謝料増額の要因となります。

一方で、後述でも触れますが、プラトニックな関係やキスやハグをしただけの場合は、精神的に大きなダメージを負ってしまったとしても、そもそも貞操権侵害は成立せず、慰謝料請求をすることができない可能性が高いといえます。

2.相手が独身だと嘘をついて近づいてきた等、相手の行為の悪質性が高いこと

「不本意な」肉体関係であったことも貞操権侵害が成立するための要件となります。

具体的には、仮に既婚者であることを認識することができたならば肉体関係を結ばなかったにもかかわらず、相手が独身だと偽って近づいてきたために、独身者であると誤信して、結婚の期待を抱きながら肉体関係を結んでしまった等という場合がこれに該当します。

加えて、相手が結婚をほのめかすような具体的な行動をしていた場合には、男性側の行為の悪質性が認められる可能性が高くなります。

例えば、婚約指輪を贈られた、親に婚約者として紹介した、結婚式場の下見をした等の場合です。

また、女性が未成年者で判断力が不十分だった場合においても、同様のことが言えます。

貞操権侵害が成立せず慰謝料請求できない場合

不本意な相手と関係を持ったとしても、貞操権の侵害が成立せず、慰謝料を請求できない場合もあります。

慰謝料の請求が難しい場合として、主に以下のような場合が挙げられます。

  • プラトニックな関係だった
  • キスやハグをしただけだった
  • 結婚の話をされたことがない
  • 注意すれば相手が既婚だと認識できた可能性がある
  • 女性側に責任(落ち度)が認められる場合

以下、それぞれのケースについて具体的に説明します。

1.プラトニックな関係だった

肉体関係等の性的行為が一切ないプラトニックな関係だった場合は、貞操権侵害は原則として成立しません。

そもそも貞操権は自分の意思で肉体関係を結ぶ相手を選ぶ権利であると考えられているからです。

相手が独身だと信じて恋愛感情を抱き、肉体関係を伴わない交際をしていた場合、「愛しているよ」、「いつか結婚しようね」などと言ってくれた相手が、実は、後に既婚者であったことを知ったために深く傷ついたとしても、貞操権侵害による慰謝料を請求することは原則としてできません。

2.キスやハグをしただけだった

二人きりで会ってキスやハグをする親密な関係だったけれども、一度も性交渉をしていない場合、肉体関係があったとはいえません。

そのため、プラトニックな関係だった場合と同様に貞操権侵害は原則として成立しません。

3.結婚の話をされたことがない

肉体関係があっても相手と結婚する意思が全くなかった場合は貞操権の侵害が成立しないと判断される可能性があるため、慰謝料請求が認められないことがあります。

また、「将来、結婚しよう」などという口約束だけでは不十分とされる可能性もあり、結婚の約束を具体的にしていたことを客観的に示す事実が必要といえます。

例えば、結婚式場の見学に行った、婚約指輪をプレゼントされた、親に結婚の挨拶をしたなどです。

4.相手が既婚だと判断できた可能性がある

たとえば、相手が家に招待することを不自然に頑なに拒んでいたり、左手の薬指に指輪をしているのを目撃したことがあるなど、注意をすれば相手が既婚者であると気づくことができた可能性があったにもかかわらず、十分に既婚者であることの確認をしなかった場合には、女性側の過失が大きいために貞操権の侵害があるものとは評価できないと判断され、慰謝料の請求が認められない可能性があります。

また、男性側が独身だと伝えたわけではないのに、女性が確認することなく、勝手に独身であると信じていた場合も慰謝料の請求が認められる可能性は低いといえます。

5.女性側に責任(落ち度)が認められる

また、女性側に責任(落ち度)が認められる場合も慰謝料の請求は難しいです。

例えば、交際の途中で相手が既婚者であることがわかったにもかかわらず、その後も交際を続けた場合、相手との関係は不倫(不貞行為)であることを認識した上で交際を継続したことになりますので、女性も男性と共同して不法行為責任を負うこととなります。

この場合、共同不法行為(違法行為)であることを認識しながら交際を続けたことになるため、原則として貞操権侵害による慰謝料は請求できません。

むしろ、交際相手の配偶者から慰謝料の支払いを請求される可能性が高いです。

相手に深い恋愛感情を抱いていた場合や付き合いが長い場合、相手が既婚者だと知ったからといって、すぐに別れるのは非常に辛いことかもしれません。

しかし、既婚者だと知った以上、自分が交際相手の配偶者から不倫の慰謝料請求をされる立場になってしまうという点は認識しておく必要があります。

既婚者であると判明する前の貞操権侵害について、自らの慰謝料請求が正当であることを主張するためにも、相手が既婚者だと判明した後は、直ちに交際を終了し、会わないようにすることが大切です。

貞操権侵害による慰謝料の相場

貞操権を侵害されて慰謝料を請求することが可能な場合、慰謝料はどれくらい請求できるものなのでしょうか。

1.請求したい慰謝料の金額は自由に決められる

騙された相手に慰謝料を請求する際、自分が相手に請求したい慰謝料の金額については、実は明確な規定はありません。

慰謝料は被害者が被った精神的苦痛に対して支払われるものであり、慰謝料としていくらの支払を求めるのかについては、慰謝料を請求する被害者が自由に決めることができます。

しかし、そのような請求金額が、裁判上で認められるか否かは別問題であり、被害者側の主張する金額を相手がすんなりと支払ってくれるかどうかについても、実際に請求をしてみないと分かりません。

仮に話し合いがまとまらず、弁護士に依頼する場合、過去の裁判例を参考にして、適切な慰謝料の金額について検討することになります。

過去の裁判例と比較して高額過ぎる慰謝料を請求すると、相手に減額を主張されて、訴訟に発展する可能性もあるため、弁護士の助言等を参考にしながら適切な金額で請求することが大切です。

2.訴訟になった場合の慰謝料の相場

訴訟になった場合に認められる慰謝料の相場には幅があり、概ね約50万円~300万円程度です。

慰謝料の金額は、個別の案件毎の事情によって異なりますが、貞操権侵害の場合に300万円以上の高額な慰謝料を裁判所が認めることは非常に少なく、男性側によほど悪質性が認められる場合に限られます。

3.慰謝料が高額になる可能性があるケース

男性側に悪質性が認められ、慰謝料が高額になる可能性があるのは、具体的にどのような場合なのでしょうか。

高額の慰謝料が認められる例として次のような場合が挙げられます。

①女性の年齢が低い場合

女性の年齢が18~20歳前後の場合、判断能力が十分にあるとはいえない場合もあります。

そのため、独身だと偽って相手の貞操権を侵害した男性の悪質性は高いと評価された結果、高額な慰謝料が認められる傾向にあります。

②女性が妊娠し、出産又は中絶している

女性が妊娠し、出産又は中絶した場合、女性が被った精神的苦痛は大きいものと判断されます。

特に出産した場合は、女性のその後の人生に大きな影響が及ぶため、高額な慰謝料が認められる可能性が高いでしょう。

③男性が交際や肉体関係を強要した

男性が既婚者であることを隠したまま、自分の立場を利用する等して、女性に対して「結婚を前提に交際してほしい」などと積極的にアプローチし、女性が戸惑っているにもかかわらず強引に肉体関係を結んだ場合も、悪質性が高いとされて高額な慰謝料が認められる可能性が高いでしょう。

④交際期間が長かった

交際期間が長かった場合、その分、騙されていた期間も長かったということになります。

また、その間に、女性が結婚や出産に適した時期を逃す可能性もあります。

交際期間の長さの分、精神的苦痛は大きいと判断され、慰謝料は高額になる傾向にあります。

⑤交際を解消する際、男性側の対応が不誠実だった

男性が既婚者であることが発覚して交際を解消する際、話し合いに応じてもらえず音信不通になった場合などは、不誠実で悪質であると判断され、高額な慰謝料が認められる可能性が高くなります。

上記はいずれも比較的高額な慰謝料が認められやすいケースの一例ですが、裁判所が300万円以上の慰謝料を認めるのは稀です。

貞操権侵害で慰謝料請求をするための準備

実際に相手に慰謝料を請求するためには、準備が必要です。慰謝料の請求をスムーズに進めるための準備について説明します。

1.相手の氏名と住所の把握

相手の正確な氏名と住所、電話番号などの連絡先は把握しておきましょう。

相手の氏名と住所は、文書の送付によって相手に対し慰謝料を請求する場合や、訴訟を起こす場合に必要です。

できる限り正確な情報を把握できていることが望ましいです。

相手が引っ越した、電話番号を変えた、電話番号しか知らないなどという場合は、弁護士への相談を検討するとよいでしょう。

弁護士は、委任された事件を交渉や裁判で解決するために必要な範囲で、相手方の住民票や戸籍を職務上請求することが可能です。

また、委任された事件についての資料や証拠の有無・内容について、弁護士会を通じて他の団体に照会することができる制度があり、一般には開示されない相手の情報を収集できる可能性があります。

相手の正確な情報がわからない場合は、あきらめずに一度弁護士に相談してみましょう。

2.証拠集め

相手に貞操権を侵害されたことを理由に慰謝料を支払ってもらうためには、その事実を立証する証拠資料が必要です。

具体的には、下記のような資料が有効です。

  • 相手が独身であると説明している資料(メールやライン、婚活アプリでの会話記録、婚活アプリ上の相手のプロフィール欄等)
  • 相手が結婚の意思をほのめかしたことを示す資料(メールやライン、家族に紹介したときの写真等)
  • 相手と肉体関係にあったことがわかる資料(関係前後のメールやラインのやりとり、女性側の供述、宿泊先や旅行先での写真等)

嫌な記憶を蘇らせるのは不快なものかもしれませんが、慰謝料請求のためには、非常に重要な資料です。

削除や廃棄をしないで保管しておきましょう。

上記で挙げた証拠がない場合も諦めることはありません。

弁護士に相談すれば、自分では思いつかなかったものを有効な証拠として活用することを提案してもらえる場合もあります。

また、場合によっては相手との会話を録音する等、弁護士の助言を元に立証することもできます。

弁護士に依頼することで、困難に思われていた請求や交渉が実現する可能性もあるのです。

貞操権侵害で慰謝料を請求する方法

相手に慰謝料を請求するための具体的な方法について説明します。

1.当事者同士で話し合い

当事者同士での話し合いが可能な場合は、まずは話し合ってみてもよいでしょう。

相手が話し合いに応じ、慰謝料の支払いについての合意が得られた場合は、具体的な金額、支払期日を決めて支払ってもらいます。

後になって、相手から「脅された」などと言われて返金を要求される等のトラブルが発生する可能性もあるため、合意書や示談書等の書面を作成しておくことが望ましいです。

相手が引っ越したり、電話番号を変えたりするなどにより、連絡がつかずに話し合いができない場合は、弁護士への相談を検討してもよいでしょう。

上記のとおり、弁護士は、委任を受けた事件について職務上必要な住民票や戸籍などを取得することができるので、相手の居所や連絡先を調査することが可能です。

2.内容証明郵便の送付

相手との話し合いが決裂した場合、配達証明付きの内容証明郵便を送付して相手に慰謝料を請求することを検討してもよいでしょう。

①内容証明郵便とは

内容証明郵便とは、誰が、誰に、いつ、どんな内容の郵便物を送ったかを郵便局が証明してくれるサービスです。

内容証明郵便を利用することで、相手が郵便物を受け取ったことの証明ができ、「受け取っていない」などという相手の虚偽の主張を防ぐのに有効です。

②内容証明郵便の送り方

内容証明郵便を実際に送る方法は、少々複雑です。
まず、文書の形式が決まっています。(電子内容証明の場合を除きます。)

  • 縦書きの場合:1行20字以内、1枚あたり26行以内
  • 横書きの場合:1行20字以内、1枚あたり26行以内、又は1行26字以内、1枚あたり20字以内、又は1行13字以内、1枚40行以内

で収めねばなりません。枚数に制限はありませんが、複数頁にわたる場合はホッチキスなどで綴じ、そのつづり目に契印をする必要があります。

内容については、タイトル(「慰謝料請求書」など)を記載の上、相手が行った違法行為の内容(「独身だと偽って肉体関係を迫った」など)、「慰謝料を請求する」という文言、請求金額、支払期日及び支払い方法、差出人及び受取人の住所・氏名を明記します。

そして全く同じ文書を、相手方送付用、郵便局用、自分の控え用に合計3通準備します。こちらはコピーでも構いません。

文書を送る封筒には相手の宛名と差出人の住所、氏名を、文書に記載したとおりに記載する必要があります。

文書内で都道府県名を記載したならば、封筒に記載する住所にも都道府県名を省略せずに、一言一句違えず記載します。

内容証明の料金については文書の枚数によって異なります。

1枚の場合480円、2枚の場合は770円です。他に、送付用の料金が必要で、通常の郵便料金に一般書留の料金である480円が加算されます。

相手に郵便物が届いたことを証明する配達証明を希望する場合はさらに350円かかります。

内容証明郵便はインターネットで発送することもできます。

郵便局へ行く手間もなく、24時間いつでも利用が可能です。

利用方法など詳細については、郵便局のページをご確認下さい。

■参考リンク
e内容証明|郵便局

③内容証明郵便を送る際の注意

内容証明郵便を相手方の自宅に送る場合、なるべく親展もしくは本人限定受取で送るようにしましょう。

相手方の妻に知られてしまった場合、こちらが不倫相手として慰謝料を請求されてしまう可能性があるからです。

3.訴訟提起

内容証明を送っても、相手から何も連絡がない場合、交渉に応じない場合には、最終的に訴訟提起を検討することになります。

訴訟を起こすと、裁判所が双方の主張書面や証拠に基づいて、過去の裁判例を参考に妥当とされる慰謝料を決めることになります。

判決が出れば、執行力と言って、裁判によって認められた権利の内容を国家機関に対して強制的に実現するよう求めることができる地位が付与されるので、相手の財産に強制執行をすることが可能となりますが、判決がを獲得して強制執行を実現するまでには多大な時間と労力を要します。

貞操権侵害による慰謝料請求の際の注意点

慰謝料請求をする場合に注意が必要な点について説明します。

1.相手の妻に慰謝料請求されるリスク

慰謝料請求のために送った内容証明郵便や、訴訟を起こした際の訴状が相手方の自宅に送達されることにより、相手の妻に夫の不貞(不倫)について気づかれる可能性があります。

相手の妻にとっては、こちらは不倫相手にあたるため、逆に慰謝料を請求されてしまうリスクもあるのです。

しかし、こちらも貞操権を侵害された被害者ですし、既婚者であることを知らなかった事情によっては、不貞について故意や過失が認められるとは限らないことから、直ちに慰謝料の支払いに応じる必要はないといえるでしょう。

たとえ、相手の妻が示談書に捺印を求めてきても、安易に応じてはいけません。一度成立してしまった示談を覆すのは困難です。

相手が独身だと偽っていたことを適切に主張しつつ、それを裏付ける証拠を示し、冷静に対応しましょう。

場合によっては、弁護士に依頼することを検討してもよいでしょう。

代理人として弁護士を立てることで、直接相手や相手の妻に関わらなくても済むので、精神的な負担は大幅に軽減されます。

弁護士があなたの受けた損害について、正当な主張をした上、交渉にあたってくれるので安心です。

2.時効に注意

貞操権侵害の慰謝料請求には時効があります。

時効は、相手に騙されていたことがわかってから3年です。

貞操権侵害をされた被害者は、精神的に大きなダメージを受け、直ちに慰謝料請求に動けないことも多いです。

また、自分のケースが慰謝料を請求できるケースであることを時間が経ってから知ったということも少なくないでしょう。

時効が迫っている場合は、早急に請求手続を進めなければいけません。

時効は相手方に内容証明郵便を送付する等して慰謝料の支払を催告することで6ヶ月延長され、それまでに訴訟提起することでストップ(時効完成を猶予)することができます。

時間がない場合は、弁護士に相談した方がスムーズに進むかと思います。

3.脅迫しないこと

以前と変わらず不誠実な対応を続けて、償おうとしない相手に対して、怒りを感じたとしても、脅迫してはいけません。

たとえば、「支払に応じないと家族にばらす」とか「支払わなければ職場にばらす」などと言うのは脅迫に該当します。

脅迫してしまうと、場合によっては相手から脅迫罪や名誉毀損で訴えられるおそれがあります。

相手に償ってもらうためにも冷静に交渉しましょう。

相手の卑怯な対応に対して精神的に辛いと感じたら、弁護士を代理人に立てることも検討してもよいかもしれません。

直接対応しないで済むため精神的負担が軽減します。

また、本人同士では誠実に対応しなかった相手方が、弁護士からの請求に対しては交渉に応じるケースも少なくありません。

4.訴訟は判決まで時間がかかる

上述のとおり、相手が慰謝料請求の交渉に応じない場合、最終手段は訴訟を提起することになりますが、訴訟を起こして判決をもらうまでには時間と労力がかかります。

判決までの期間は、訴訟内容によって異なりますが、一般的に一年近くはかかることが多いでしょう。

また、裁判所に正しく権利や事実を主張するために、弁護士と何度も打ち合わせをする必要がありますし、証人尋問のために出廷しなければならない場合もあり、判決を得るためにかかる労力も相当なものです。

そのため、裁判前の交渉段階で相手に請求に応じてもらうことが望ましいでしょう。

貞操権侵害による慰謝料請求を弁護士に依頼するメリット

貞操権侵害で慰謝料を請求する際、弁護士に依頼することを検討される方もいらっしゃるかと思います。

弁護士に依頼するとどのようなメリットを得られるのか具体的に説明します。

1.相手が無視できなくなる

弁護士が慰謝料請求について受任すると、まずは相手方に対して文書を送るのが一般的な流れです。

文書には、弁護士が事件を受任し、今後は代理人として全ての交渉を行う旨、及び慰謝料の支払いを請求し、応じない場合は法的措置を検討する旨を記載します。

さらに、文書の送付は内容証明郵便を利用することが多いでしょう。

弁護士が代理人になったこと、支払いに応じなければ法的措置を受けるかもしれないこと、さらに内容証明郵便という厳格さを感じさせる形式の郵便が届くことによって、相手方に対し、いい加減な対応では許されないと感じさせることができます。

そのため、これまで連絡を無視し続けてきた相手でも、何らかの対応をすることも多くあります。

2.論理的な主張により適正に慰謝料を支払わせられる

弁護士に依頼すれば、法的な観点から相手方が慰謝料を支払わねばならない根拠を論理的に説明し、過去の類似事件の裁判例を元に適正な金額の慰謝料を支払ってもらえるように導いてもらえるでしょう。

相手方が貞操権侵害を認めない場合は、証拠に基づいて裁判手続を行ってもらうこともできますし、相手方が慰謝料の支払いを認めたにもかかわらず約束を履行しない場合にも、法的手段を講じて支払いのための手続を行うことができます。

3.相手と直接関わることなく慰謝料の支払いを受けられる

弁護士に委任すれば、その後の相手方とのやり取りは全て弁護士が行います。

相手方からの電話や手紙なども原則として全て弁護士宛てに届くことになるので、不誠実な相手と直接関わることはありません。

そのため、余計なストレスを感じることなく、相手方に対し適正な金額の慰謝料を請求することができます。

まとめ

今回は貞操権侵害による慰謝料を請求するための条件、慰謝料の相場、実際に慰謝料請求するための準備と方法、相手に慰謝料を請求する際の注意点などについて解説しました。

貞操権侵害が認められる場合、一般的には訴訟を起こしても慰謝料は高額に至らないことが多いです。

費やす時間と労力の観点から見ても、交渉段階で示談を成立させることが望ましい場合もあるでしょう。

示談を成立させたい場合、本人同士では相手との話し合いが進まない場合、慰謝料請求に必要な相手方の住所等の情報や証拠の集め方がわからない場合などは、弁護士に相談することをおすすめします。

私達、東京スタートアップ法律事務所は、不誠実な相手から辛い思いをさせられた方を全力でサポートしております。

秘密厳守はもちろんのこと、分割払い等にも対応しておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。

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執筆者 -TSL -
東京スタートアップ法律事務所
東京スタートアップ法律事務所は、2018年9月に設立された法律事務所です。
全国に拠点を有し、所属メンバーは20代〜40代と比較的若い年齢層によって構成されています。
従来の法律事務所の枠に収まらない自由な気風で、優秀なメンバーが責任感を持って仕事に取り組んでいます。
得意分野
不貞慰謝料、刑事事件、離婚、遺産相続、交通事故、債務整理など

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