暴行罪で逮捕されない場合は?現行犯逮捕と後日逮捕について
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記事目次
暴行事件は、窃盗事件と並び身近な犯罪の一つです。
ついカッとなって友達を殴ってしまった、酒に酔って知らない人と喧嘩になって暴力を振るってしまった、という事例はよくあります。
今回は、暴行事件を起こしてしまった方、またそのご家族の方向けに暴行事件の逮捕の要件や逮捕された場合の流れについて解説します。
暴行事件と逮捕の種類
暴行事件に限らず、逮捕される場合には2つのパターンがあります。
一つが事件現場で取り押さえられる「現行犯逮捕」、もう1つが後日逮捕です。つまり、暴行事件の現場で逮捕されなかったとしても、「後日逮捕」される可能性はあるということです。
現行犯逮捕
暴行の現行犯逮捕とは、暴行が起こったその場で被害者・目撃者・駆けつけた警察官などによって逮捕されることを指します。
事件が起こったその場、その瞬間に限り、目撃者や被害者などの一般人にも逮捕する権利が与えられています。
現行犯逮捕された場合は、そのまま警察署に連行されます。
後日逮捕
後日逮捕とは、事件が起こった後に警察官が被疑者の元を訪れて、逮捕することを指します。
後日逮捕は、警察官が請求し裁判官が発布する逮捕状に基づいて行われます。
この時、警察が逮捕状を請求すれば、必ず逮捕状が発布されるというわけではありません。
逮捕の必要性が認められた場合のみ発布されます。
暴行罪で逮捕されるとどうなる?
暴行罪で逮捕されると、まずは48時間以内に検察官に身柄が送検されます。
その後、24時間以内に検察官から勾留が請求され、裁判官が勾留を決定した場合、その後になされる勾留延長も含めると10日間から20日間留置場で勾留されます。
つまり、検察官から勾留が請求されなければ最大3日間、勾留が請求された場合は最大23日間の間、警察署の留置場で身柄を拘束されてしまいます。
逮捕・身柄拘束により日常に支障が出る
逮捕された場合、最低3日間、最大23日間は警察署の留置場で過ごさなければなりません。
当然、この間は会社や学校に行くことはできません。
このため、逮捕されると仕事や勉強に支障が出るだけでなく、逮捕されたことが会社や学校に知れ渡ることで、今までと同じ生活ができなくなり、解雇や退学などの処分によって居場所を失う可能性もあります。
起訴された場合にさらに身柄拘束が延長される
勾留後、不起訴処分になれば釈放されますが、起訴されると事態はさらに深刻になります。
一度起訴されると、保釈が認められるか、判決で執行猶予や無罪、罰金刑が言い渡されるまで、基本的には留置場や拘置所(起訴後に移される場所)から出ることができません。
一度起訴されると前科がついてしまう可能性が非常に高いため、会社によっては懲戒解雇されることもあり得ます。
中でも公務員や弁護士、教員などの職業についている場合、禁固刑以上の前科は欠格事由に該当するため、努力して掴んだ資格が取り消されてしまいます。
暴行罪の逮捕要件
以下のような条件を満たしている場合は、逮捕される可能性が高まります。
犯罪の嫌疑がある
「犯罪の嫌疑がある」とは、「犯罪をおかした事実があるのではないか」という疑いのことです。
つまり、「そもそも犯罪をした疑いがなければ逮捕することができない」という当然の条件を述べています。
暴行事件の場合は、暴行を受けた被害者が誰に暴行を受けたか認識していることが多いため、ほとんどのケースは十分に犯罪の嫌疑がある状態です。
特に知人に暴行をふるった場合、その知人が被害届を出せば真っ先に嫌疑の対象となります。
ただし、犯罪の嫌疑がある人が直ちに全員逮捕されるわけではありません。あくまでも、「前提条件として嫌疑がないと逮捕ができない」と理解するのがよいでしょう。
逃亡のおそれがある
被疑者に逃亡のおそれがある場合は、逃亡を防ぐために逮捕に踏み切る可能性が高まります。
このため、逮捕されるのが怖いからといって、逃亡を試みるのはむしろ逆効果になりかねません。
証拠隠滅のおそれがある
同様に、被疑者が暴行の証拠となるものや動画・写真などを隠滅しようとしている、とみなされた場合も逮捕されやすくなります。
逮捕されない暴行罪の特徴
逆に逮捕されないケースが多い暴行罪の特徴として、以下のようなものがあります。
逮捕の要件を満たさない
被疑者である証拠が薄い、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがない、など逮捕の要件を満たさない場合には、逮捕されずに任意同行で取り調べを受けることになる可能性が高まります。
暴行事件を起こしてしまった場合には、無闇に逃げたり証拠を隠滅したりする素振りを見せず、犯行に及んでしまった事実を認めたうえで、任意の取り調べなどの捜査には協力するのが賢明です。
事件内容が悪質でない
暴行事件の内容が悪質でない場合は、犯罪の嫌疑があっても逮捕されないことが多いです。具体的には、以下のようなケースでは逮捕される可能性は低いと言えます。
- 暴行行為、被害が軽微である(押しただけ、足を引っ掛けただけ、など)
- 暴行に強い悪意がない(家族間のしつけの一環のつもりだった、など)
- 暴行行為に至った理由に一定の合理性がある(被害者が加害者に暴行しようとしており、加害者のとった行動が正当防衛と見なされる、など)
上記のように、「意図を持って相手を傷つけようとした」と言えない場合には、逮捕されることは少ないです。
また、被害者や目撃者が警察に通報しなかった場合には、そもそも起訴されないため、暴行事件として立件すらされない場合すらあります。
まとめ
暴行事件を起こしてしまった時、いつ逮捕されるか気が気でない方は多いと思います。
実際、逮捕には現行犯逮捕と後日逮捕の2種類があるため、当日逮捕されずに帰宅できたからといって、そのまま逮捕されないとは限りません。
一度逮捕されてしまうと最低3日、最大23日間警察の留置場に身柄を拘束されるため、日常生活に大きな影響が出てしまいます。
さらに起訴されれば、保釈が認められない限りその後も身体拘束が長引きますし、有罪判決を受ければ職や資格を失うことにもなりかねません。
このため、暴行事件を起こしてしまった際は、なるべく逮捕の要件を満たさないように行動することが大切です。具体的には、「逃亡のおそれがある」「証拠隠滅のおそれがある」と捜査機関に判断されるような行動は避ける必要があります。
ただ、相手を押しただけの場合など、事件の悪質性が低い場合は逮捕されないケースが多いため、過度に心配をする必要はないと言えるでしょう。
今からできる有効な手段は示談交渉
また、逮捕されない方法として最も有効といえる手段が、被害者と示談交渉することです。
被害者が捜査機関に被害届を提出していない場合には、被害者と示談交渉をし、示談を成立させることで、被害届の提出やその後の逮捕を避けることが可能になります。
仮に被害届が提出された後だったとしても、示談成立によって被害届の取下げが望めますので、その後の身体拘束が短縮されたり、不起訴処分を獲得できる可能性が強まります。
示談を行う際には、謝罪する態度を示した上で、相手の傷つけられた心情や身体の治療に応じた適切な金額を支払う必要があります。
被害者との示談において、弁護士の存在は必須です。
弁護士という第三者に関与してもらうことで、被害者との間に起こったトラブルをスムーズに解決することが望めます。
具体的には、逮捕の回避や早期の身柄解放、不起訴処分の獲得などが望めますので、暴行事件を起こしてしまった方やそのご家族の方は、ぜひ刑事事件に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。
「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
- 得意分野
- ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
- プロフィール
- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設