詐欺事件で逮捕された場合の対処法|逮捕の流れや判例を紹介
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記事目次
詐欺罪は他人をだまして財物を交付させ、または財産上不法の利益を得る犯罪です。
たとえば、「10万円支払えば、明日の競馬で1位になる馬を教える」というような嘘をつき、情報料として現金を支払わせる行為は詐欺罪に該当するといえるでしょう。
詐欺罪には、振り込め詐欺や保険金詐欺、結婚詐欺など、様々な手口が存在します。
警察庁によると、平成30年の詐欺の認知件数の暫定値は1万6486件、被害額は約363.9億円、検挙率は42.8%でした。
振り込め詐欺の検挙率は約30.8%です。振り込め詐欺を行ってしまっても、警察の捜査対象になる割合は30.8%ですので必ずしも逮捕されるとは限りませんが、詐欺事件は捜査に時間がかかることが多く、忘れた頃に逮捕される可能性もあります。
そこで今回は、詐欺で逮捕された場合の対処法や逮捕の流れについて解説します。
詐欺事件で逮捕されるまでの流れ
まずは、詐欺で逮捕されるまでの流れについて把握しておきましょう。
逮捕の種類は3種類
詐欺には以下の3つの種類があります。
現行犯逮捕
現行犯逮捕とは犯行が現認された場合に、その場に居合わせた者によりなされる逮捕です。
警察や検察等の捜査官だけでなく、通行人や被害者等であっても現行犯逮捕を行うことができます。
「振り込め詐欺で、被害者から現金を受け取る瞬間に警察に取り押さえられた」というケースが、現行犯逮捕にあたります。
通常逮捕
通常逮捕とは捜査機関が所定の捜査の後、被疑者が罪を犯した可能性が高いと判断した場合に行われる逮捕です。
通常逮捕には、逮捕状という書類が必要です。逮捕状は、捜査官が裁判官に発付を求めて、裁判官が認めた場合に発付されます。
事件の関係者の人数や複雑さによって逮捕までの期間は様々です。犯行当日に逮捕されることもあれば、逮捕までに数年かかることもあります。
緊急逮捕
緊急逮捕とは一定の重大犯罪を犯した疑いが濃厚な被疑者を緊急に逮捕しなければならないときに、逮捕状の発付を待たずに行われる逮捕のことで、事後的に逮捕状を得ることが要件とされています。
緊急逮捕の対象となる一定の重大な犯罪とは、「死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁固にあたる罪」(刑事訴訟法第210条1項)ですので、詐欺罪もこれに含まれます(詐欺罪の法定刑は十年以下の有期懲役です。)。
詐欺罪で逮捕されない場合とは
そもそも日本では、罪を犯したことや被疑者の居場所が捜査機関にわかったとしても、必ずしも逮捕されるわけではありません。捜査機関が被疑者を逮捕するためには、以下の要素が求められます。
- 逃亡のおそれがある
- 証拠隠滅のおそれがある
これらのリスクがあると判断されると逮捕されて、リスクがないと判断されれば逮捕されないのです。
ただし、逮捕されないからといって罪に問われないわけではありません。
在宅事件という扱いになり、捜査や取調べは続き、刑事裁判が開かれる可能性も大いにあります。
平成30年の犯罪白書によると、検察庁に送致された詐欺事件の被疑者1万6729人のうち、逮捕されなかった人は6562人でした。
詐欺事件で逮捕された後の流れ
では、詐欺事件で逮捕されたらどうなるのでしょうか。逮捕後の流れを解説します。
逮捕
詐欺罪の疑いで逮捕されると、警察署内の留置場という施設に身柄を拘束されます。逮捕されてから最長48時間は身柄が拘束され、警察官から取調べを受けます。
その期間は家族や友人と面会することができません。接見という形で面会が可能なのは、弁護士だけです。
警察の取調べの後は、検察官に送致されます。検察官に送致後も最長24時間の身柄拘束が続きます。
検察官は、取調べを行い勾留すべきかどうかを判断します。
検察官が勾留を必要と判断すると、裁判官に勾留請求を行います。
裁判官も勾留が必要であると判断すると勾留が決定します。
勾留
勾留とは、逮捕された被疑者についてさらに身体拘束の必要がある場合に、原則10日間、場合によっては20日間身柄を拘束する措置です。
勾留は、被疑者が逃亡、証拠隠滅を行うおそれがある場合に請求されます。これらのおそれがない場合は、勾留されずに釈放されて在宅事件として捜査が進められます。
平成30年の犯罪白書によると、詐欺事件の被疑者について99%の割合で勾留請求がなされており、逮捕された後に勾留される可能性が非常に高いといえます。
起訴、不起訴の判断
勾留されている場合は、勾留期間が満了するまでに検察官が起訴をするかどうかを判断します。
起訴すると判断した場合は、刑事裁判が開かれます。不起訴処分になれば刑事裁判が開かれることはありません。
詐欺事件が起訴されるかどうかは、詐欺事件の内容や事件に至った経緯、前科の有無、被害者との示談の成立等によって判断が異なります。
詐欺事件が、「無銭飲食」や「釣り銭詐欺」等の詐欺の場合は、被害者との示談が成立していれば不起訴処分となることもあります。
しかし、振り込め詐欺等の特殊詐欺は、被害者との示談が成立していても起訴されるおそれがあります。
平成30年に、詐欺罪で起訴された人数が8509人、不起訴となった人数は6501人でした。全体の起訴率は31%でしたので、詐欺事件は起訴される確率が他の犯罪よりも高いことがわかります。
刑事裁判
詐欺罪の法定刑は「十年以下の懲役」となっており罰金刑がありません。
執行猶予がつかなければ、刑務所に服役することになります。
執行猶予がつくかどうかは、被疑事実の重大性や犯行の動機、前科の有無等によって判断がなされます。
一般的には、無銭飲食や釣り銭詐欺などの単純なものは、起訴されても執行猶予付き判決が言い渡されやすいです。
しかし、特殊詐欺や組織的な詐欺の首謀者である場合は、初犯であっても実刑判決が言い渡される可能性が十分にあります。
また、特殊詐欺で、現金を受け取る受け子や、電話をかける架け子といった末端の役割を果たした場合も、首謀者ほどではないものの実刑判決になる可能性があります。
詐欺事件の刑罰はどれくらい?事例をチェック
では、実際の詐欺事件の刑事裁判ではどのような刑罰が言い渡されているのでしょうか。事例で確認してみましょう。
保険金詐欺を行った夫婦に実刑判決と執行猶予付き判決
保険会社に嘘の申告をして保険金をだまし取ったとされる夫婦の裁判では、妻に執行猶予付き判決、夫には実刑判決が言い渡されました。
妻は、反省しており奪った保険金を弁済していることから懲役1年2か月、執行猶予3年という判決になりました。夫は自分の責任を軽減するような供述をしていることから、懲役1年の実刑です。
同じ罪を犯しながら、反省の有無や被害弁済の有無によって判決が分かれているという興味深い事例です。
反省することや、被害金額を弁済することの重要性がよくわかります。
警察官になりすまして詐欺を行った男性に懲役4年6か月
警察官になりすまして高齢者7人からキャッシュカードを盗むなどして、合計約1500万円を盗んだ男性には、懲役4年6か月の有罪判決が言い渡されました。
キャッシュカードを盗んだこともあり、詐欺罪だけでなく窃盗罪でも有罪となりました。
男性は、この特殊詐欺において首謀者ではありませんでしたが、行為の重大性から実刑判決となっています。
詐欺事件を起こしてしまった人はまず弁護士に相談
詐欺事件を起こした場合、その場合で逮捕されなくても後日逮捕されるおそれがあります。
詐欺罪では逮捕されると勾留される可能性が高く、他の犯罪と比較すると起訴される割合も高くなっています。
詐欺事件での逮捕による身柄拘束や、起訴などの不利益を避けるために重要なのは、早い段階で弁護士に弁護人となってもらうことです。
弁護士に依頼することで、被害者との早期の示談の締結や、逮捕や勾留を避けるための弁護活動が可能となります。
詐欺事件を起こしてしまったことは覆すことができませんが、被害者との示談を締結させることや、反省文の作成等によって処分の軽減が見込めます。
詐欺事件を起こしてしまった影響を最小限に抑えたいときは、詐欺事件の対応実績が豊富な弁護士に弁護を依頼しましょう。
被害者との示談を早急に締結させるためには、コミュニケーション能力が高い弁護士が望ましいです。
弁護士を選ぶ際は実績だけでなく、人柄やコミュニケーション能力にも注目しておくとよいでしょう。
「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
- 得意分野
- ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
- プロフィール
- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設