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投稿日: 更新日: 代表弁護士 中川 浩秀

【完全版】窃盗の刑期について|再犯・初犯の場合や懲役刑について

【完全版】窃盗の刑期について|再犯・初犯の場合や懲役刑について
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窃盗罪を犯して逮捕され起訴されてしまった場合、どういう刑罰になるのか、再犯と初犯で異なるのかなど、刑罰の種類や重さが気になる人もいるでしょう。

そこで、窃盗罪の刑罰はどうなっているのか、刑を軽くすることは可能なのか等について解説します。

窃盗罪が懲役になる場合とそうでない場合

窃盗罪には懲役刑と罰金刑の2つがあります。

窃盗罪の内容が比較的軽ければ、略式裁判となり罰金刑が言い渡される事が多いです。

しかし、窃盗罪の内容が重いと判断される場合や、行為そのものが不法侵入といった悪質な行為であれば正式裁判によって懲役刑が科せられることもあります。

懲役刑とはつまり、実刑判決ということになるので、刑務所に身柄を移され、刑務作業をしながら刑期を過ごすことになります

ただし、窃盗罪で懲役刑を言い渡されても執行猶予付きであれば刑務所に行かなければならないことにはなりません。

窃盗罪の懲役は何年?再犯の場合は?

窃盗罪の懲役は10年以下であり、窃盗罪で実刑判決が下ったとしても窃盗罪のみであれば刑務所で過ごす期間は10年以下であることが一般的です。

しかし、他にも懲役の有無そのものが異なることがあるため詳しく紹介します。

初犯の場合

初犯であり、かつ被害者と示談が成立していれば、たとえ起訴されたとしても実刑判決を受けず執行猶予が付く可能性が高いです。

しかし、初犯であっても事件の内容によっては実刑判決を受ける可能性があります

窃盗罪の内容が悪質な行為である場合は、初犯でも実刑となることがあります。同じ窃盗罪でも、少額の万引と、侵入を伴う窃盗やひったくりといった行為では悪質性が異なります。

窃盗事件の被害額が大きく、被害者との間で示談がまとまらない場合も実刑判決を受け、10年以下の懲役が言い渡される可能性が高いです。

再犯の場合

刑罰を決めるときに裁判官が重視する事情の一つが「再犯可能性」(再度犯行に及ぶ可能性)です。

過去に同じような犯罪に及んでいる場合は再犯可能性ありと判断され、実刑判決を受ける可能性が高くなります。

特に執行猶予中の再犯は実刑となる確率が高く、以前の執行猶予が取り消され、前の刑期と合わせて刑期が長くなるケースも珍しくありません。

しかし、裁判所の判決で懲役か禁錮1年以下、さらに酌量の余地があること、前回の執行猶予にて保護観察がついていないことなどの項目を全て満たせば執行猶予中の再犯であっても実刑にならず、さらに執行猶予が付く場合もあります。

ここで、再犯の意味だけ、定義しておきます。

自分の犯した罪が再犯と判断されるかどうかは最初にチェックしておくべきです。なぜなら、再犯には法律上の定義があり、一般的に想起されるイメージと異なっている場合も多いからです。

再犯
…一回目の犯罪の懲役刑の執行を終えてから、もしくはその執行猶予を得た後の5年以内に二度目の罪を犯している場合

このため、5年以内に刑罰を受ける場合は、再犯です。逆に、前回の犯罪から5年を越えている場合は、初犯に該当します

窃盗して物を返したら(弁償)罪は軽くなる?

窃盗で罪を軽くする方法として、弁償を例に挙げる人は多いでしょう。

仮に窃盗をしてしまった場合でも、盗んだ物をすぐに返すことで刑が軽くなる可能性はあると言えます。刑を軽くするためには被害者へ盗んだものの弁償をすることが重要です

そのため、盗んだ商品そのものを返すことで被害者との示談が進めば、反省の気持ちを捜査機関に示すことができます。また、盗んだ物がもう被害者の元に返っているのであれば処罰をする必要性も低くなります。

これらの理由から、刑期が短くなったり、場合によっては不起訴となったりする可能性も考えられるでしょう。

窃盗罪で懲役実刑を避ける、軽くするには

弁償に意外にも、少しでも刑を軽くしたい、実刑判決を避けたいと考える方は多いでしょう。弁償以外の方法で罪を軽くする方法を紹介していきます。

しかし、実際に実刑を避けたり刑を軽くしたりするためには、個人や家族、知人のサポートだけでは難しいです。

そこで、不起訴処分を受けるために自分はどのように対応すれば良いのか、具体的な対処方法を紹介します

自首する

自首をすることで、刑を軽くしてもらえる可能性があります。刑法第42条には、以下のような規定があります。

第42条
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。

自主は捜査機関の手間を省ける上に、犯人が反省していることを示すことにもなるため、刑の減軽に繋がるのです。

もし、まだ罪が明るみになっておらず、窃盗してしまったことを後悔しているのであれば、捜査機関に自首をして反省していることを示すことが重要でしょう。

しかし、自首は、まだあなたの元に警察が来ていない場合に限られます。既に被害届が出されていて、あなたの元に警察が来てしまっていたら、当然ながら自首は間に合いません。被害届が出されているだけなら、間に合います。

警察が来る前に、逮捕状が出る前に、必ず自首をするようにしましょう。

執行猶予付きの判決を目指す

窃盗罪で起訴され裁判に発展しても、執行猶予が付く可能性があります。懲役刑が求刑されたとしても執行猶予がつけば、すぐに刑務所に収監されることはありません。

執行猶予が付くと元通りの生活に戻り、再犯をしなければ執行猶予が取り消されることはなく、刑務所に収監されることもないのです。このため、可能な限り、執行猶予を目指す必要があります。

執行猶予が付く条件としては、窃盗事件の被害者へ賠償と謝罪を完了しており、示談が成立しているかどうかが重要視されます

2度と窃盗罪を犯さないことを主張する

実刑判決を避けるためには再犯をする可能性がないことを主張することが重要です。

初犯の場合は再犯の場合ほど「また同じ窃盗罪を犯すのではないか」とは比較的判断されにくい傾向にあるので、家族が更生をサポートすることや、これまでに罪を犯したことはないこと、更生プログラムに取り組んでいる姿勢など、反省していることをアピールしましょう。

自分や家族の証言だけではなく、弁護士を通して主張、立証することで、初犯であれば実刑判決を回避できる可能性が高くなります。

示談を行う

被害者と示談交渉を行い、可能な限り被害の全額を弁償することが大切です

窃盗被害が起こっても弁済ができている場合は、被疑者に対する被害感情が和らいでおり、特に初犯であれば結果としてそもそも起訴されず不起訴処分となる可能性もあります。

また、被害者に被害届を取り下げてもらうといった方法も有効です。被害者へ示談金を支払い、示談書を作り被害届を取り下げてもらえば、多くのケースは不起訴処分を獲得できます。

弁護士に依頼する

被疑者が罪を犯したことについて反省はしていたとしても、刑事事件は自らが一人で弁護をすることは非常に難しいといえます。ここで必要になってくるのが弁護人です。

依頼人の利益のために対応してくれる弁護士がいなければ、不起訴処分にならなかったり刑事処罰の程度が重くなったりする場合も十分想定できます。

刑事事件に強い弁護士や法律事務所であれば、窃盗事件の被疑者の弁護にも積極的に対応してくれます。

特に初犯であれば、弁護士が対応することで執行猶予付きの判決や不起訴処分を獲得できる可能性が高いです。

そのため、少しでも有利な結果を得るためには、少しでも早く弁護士に相談をして対応を始めてもらう必要があります。

示談交渉で弁護士を依頼しなかった場合にどうなるのか?

示談交渉する際には、被害者と電話もしくは直接話す、または書面を送るといった方法がありますが、どの方法が有効かはそれぞれの事件の内容や置かれている状況によって異なります。

謝罪文や反省文という形で書面にして被害者に送付することで、謝罪・反省している気持ちを自分の言葉で伝えることは可能ですが、内容次第では被害者感情を逆なでしてしまう可能性もあります。

直接話したり、電話で話したりする際には、被害者の表情や対応に合わせて交渉できますが、その反面、上手に話せないといった可能性もあります。

さらに、示談交渉に失敗したり、相手の感情を逆撫でしたりする可能性もあります。そもそも、被害者は加害者本人とは直接連絡を取りたくないと考えていることが通常ですので、自力で示談交渉をすることは相当難しいと思われます

示談の意味と示談書を自分で作成する方法については下の記事で解説しています。

弁護士に依頼することによって得られるメリット

弁護士に依頼することで、示談をスムーズに進められることが最大のメリットです。

示談は、方法を誤ると状況が悪化する可能性が高いことに加えて、起訴前に示談を成立させなければならないのでスピーディに対応する必要があります。

示談交渉をスムーズかつ確実に行うためには、弁護士に依頼する方法が現実的です

窃盗の被害者には当然怒りの感情があるため、加害者と直接会うことを拒否するケースが多いので、加害者と被害者だけで話し合いを行うのは難しいでしょう。

弁護士は被疑者の代理人となり、被害者と連絡を取り合うことが可能です。

被害者の氏名や連絡先を被疑者本人に伝えずに交渉することができるため、被害者も、弁護士であれば示談交渉に応じても良いという気持ちになる可能性が高いため、交渉をスムーズに進めて示談を成立させることにもつながります。

さらに、刑事事件の弁護実績が豊富な弁護士であれば、様々な案件の示談交渉を行っている経験があります。

注意深く、適正な方法で示談交渉を進めることはもちろん、過去の事例から示談金として妥当な金額を提示し、適切な形で示談を進めることができます。

起訴される前に、可能な限り早く被害者と示談を成立させるためにも、弁護士への相談・依頼を検討しましょう

まとめ

このページでは、窃盗罪における刑罰の種類や重さ、刑を軽くするための方法等について述べてきました。

窃盗罪に及んでしまった方は、ぜひ参考にしてみてください。

また、現在逮捕されていない方は、こちらの記事もおすすめです。

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執筆者 代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会 登録番号45484
東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。
「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
得意分野
ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
プロフィール
京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設
書籍・論文
『スタートアップの法務ガイド』中央経済社
『スタートアップの人事労務ガイド』中央経済社

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