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投稿日: 更新日: 代表弁護士 中川 浩秀

浮気相手から慰謝料請求された?支払いが義務になるケースとは

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「配偶者が浮気をしていたのに、その浮気相手から慰謝料を請求される」

にわかには信じられないケースです。

本来であれば自分が配偶者やその浮気相手に慰謝料を請求できる立場なのに、浮気相手から慰謝料を請求されたら晴天の霹靂だと思います。

しかし、中には配偶者が浮気相手に慰謝料を支払わなければならないケースが存在しますので、放置は厳禁です。

そこで、今回は配偶者の浮気相手からの慰謝料請求に応じなければならないケースについて説明します。

浮気相手からの慰謝料請求が認められるケースとは?

本来的には、配偶者の浮気相手からの慰謝料請求に応じなければならないのは浮気をしている配偶者であり、浮気をされた側は無関係のはずです。

ただ、配偶者との婚姻関係を継続する場合には、浮気相手への慰謝料は夫婦の家計から支払われることになることがほとんどだと思いますので、浮気をされた方も無関係ではありません。

では、浮気相手から慰謝料を請求されて、支払わなければならないのはどのようなケースなのでしょうか。

配偶者が浮気相手の貞操権を侵害している

配偶者が、浮気相手に対して自分が結婚していることを隠して交際をしおり、将来の結婚を匂わせていたというような事例では、配偶者が浮気相手の貞操権を侵害しているおそれがあります。

貞操権とは、自分が誰と性的な関係を結ぶかを自由に決定する権利です。

浮気相手の貞操権を侵害している可能性があるのは、以下のような場合です。

  • 「独身だ」と嘘をついていた
  • 浮気相手が、配偶者を既婚者であることを判断できる状況ではなかった

以上のような事例では、浮気相手は、配偶者によって貞操権を侵害された被害者になるおそれがあり、場合によっては浮気相手に対して慰謝料を支払わなければなりません。

配偶者が無理矢理性交渉等を迫った場合

配偶者が、浮気相手に対して浮気相手の意思に反して性交渉等をもった場合は、配偶者が強制わいせつ罪(刑法第176条)や、強制性交等罪(同法第177条)に問われるおそれがあります。

慰謝料の請求に応じて浮気相手と示談を成立させることにより、警察に被害を届けられずに済むこともありますが、放置しておくと警察に被害届や告訴状を提出されてしまうことになりかねません

配偶者の行った行為が強制わいせつ罪や強制性交等罪に該当するかどうかの判断は難しいですが、被害届等を届け出られるリスクがある場合には、無視せずにすぐに弁護士にご相談ください

浮気相手が妊娠・中絶した場合

浮気相手が妊娠した、中絶しただけでは慰謝料を支払う必要はありません

しかし、妊娠や中絶が相手の意思に反するものであった場合は、慰謝料を支払わなければならない可能性が高いです。

例えば、以下のようなケースです。

  • 浮気相手は避妊するように要望していたにもかかわらず、避妊せずに性交渉におよんで妊娠させた
  • 浮気相手の意思に反して中絶を強要した
  • 浮気相手を意図的に流産させた

このようなケースでは、慰謝料を支払うという民事的責任だけではなく刑事的な責任も負わなければならないおそれもあります

浮気相手の意思に反する妊娠や中絶に関する慰謝料を請求された場合は、速やかに弁護士にご相談ください。

夫婦関係が破綻している&配偶者と浮気相手が内縁関係にあった

すでに夫婦関係が破綻して事実上の離婚状態にある上に、配偶者と浮気相手が内縁関係にあった場合、配偶者と浮気相手が夫婦同様法的に保護を受けることになります。

これを重婚的内縁関係といいます。したがって、配偶者が浮気相手との関係を一方的に破棄した場合は、浮気相手の慰謝料請求が認められる可能性はあります。夫婦関係が破綻していない状態で、配偶者と浮気相手が内縁関係になっていた場合は、慰謝料を支払う必要はありません。

この状態は、判断が難しいので弁護士に相談することをおすすめします。

浮気相手の慰謝料請求が認められた場合の慰謝料相場

次に、浮気相手に慰謝料を支払う際の相場を、裁判例とともに解説します。

貞操権侵害の場合

貞操権侵害の慰謝料の相場は50万円から100万円弱です。実例を確認してみましょう。

以下では、夫から浮気相手へ貞操権侵害の慰謝料99万円を支払うように言い渡された事例をご紹介します(東京地方裁判所平成28年4月26日判決)。

夫が既婚者であることを隠して女性と交際

登場人物は、妻、夫、夫の浮気相手の女性です。夫は浮気相手に「独身である」と偽って交際スタートしました。

入籍の日はいつにするのかと話したり同居する物件を探したりすることもあり、浮気相手は夫が既婚者であることを知らずに過ごしていました

その後、浮気相手は妊娠し、夫に中絶をするようにとほのめかされるも結局流産します。

夫の様子がおかしいと感じた浮気相手が夫の自宅を見に行くと、妻と二人の子どもがあることを知るに至りました。

浮気相手は、夫と妻の家庭を壊したくないと夫と別れようとしましたが、夫は離婚するからと浮気相手を説得し、結局両者は交際を継続することになります。

浮気相手が再度妊娠

その後、浮気相手は夫の子どもを妊娠しました

浮気相手は夫が妻と離婚することを期待していましたが、実際には夫は妻と離婚の話をしていませんでした。ある日、浮気相手が夫の携帯電話に連絡をすると、妻が応答します。

妻は、浮気相手に対して交際していることを問いただし、夫と離婚することになったら法的措置をとることを告げました。

最終的に、浮気相手は夫との子どもを出産することになります

浮気相手は夫から慰謝料を受け取り、妻に慰謝料を支払う

裁判官は、夫が浮気相手の貞操権を侵害したとして、夫に対し、浮気相手に慰謝料90万円と弁護士費用9万円の合計99万円を支払うように命じました。

夫が既婚であることを隠していたことや、浮気相手が妊娠、出産していることなどから、夫が浮気相手の貞操権を侵害していると判断されました。

ちなみに、妻から浮気相手に対して不貞慰謝料も請求されており、浮気相手は妻に対して120万円を支払うことになりました。

浮気相手も夫が既婚者であることを途中で知りながら交際を続けており、夫婦関係に深刻な影響を与えて精神的苦痛を与えたと認められたからです。

このように、夫は交際当初、既婚者であることを隠しており、浮気相手の貞操権を侵害していたとしても、浮気相手が途中で既婚者であることを知っていれば、それ以降の不貞慰謝料を、妻から浮気相手に対して請求できることもあります。

配偶者の浮気相手から慰謝料を請求されたら、支払いの是非だけでなく、浮気相手に対して不貞慰謝料を請求できるかどうかも含めて弁護士に相談しましょう。

配偶者が無理矢理性交渉等を迫った場合

配偶者が浮気相手に対して無理矢理性交渉等を迫って関係を結んでいた場合の慰謝料の相場は、数十万円から数百万円です。状況で大きく異なるため、幅が広く一概にはいえません。

アロマサロンの店員が合意なく顧客と性交渉に及んだ事例では、店員に対して150万円の慰謝料の支払いが命じられています。

合意なく妊娠・中絶に至った場合の慰謝料

配偶者が浮気相手を合意なく妊娠させた場合や、中絶、流産させた場合の慰謝料も一概にはいえませんが、数十万円から300万円程度です。

重婚的内縁関係

配偶者が重婚的内縁関係を一方的に破棄した場合の慰謝料の相場は、ケースバイケースです。

20年間の長期にわたる重婚的内縁関係を一方的に破棄した男性に対し、1000万円の慰謝料を支払うようにと命じた判決もあります。

浮気相手から慰謝料を請求された時の対処方法

配偶者の浮気相手から慰謝料を請求されたら、放置せずに弁護士にご相談ください

これまでお話ししたように、配偶者が浮気相手の慰謝料を支払わなければならない可能性があります。

また、逆に浮気をされた配偶者から浮気相手に慰謝料を請求できるケースもあります。

慰謝料を支払うべきなのか、若しくは請求できるのかは事例ごとに判断が異なりますので、自身で判断をせずに弁護士に相談をして助言を受けましょう。

また、慰謝料を支払う場合は、慰謝料を支払うとともに示談を成立させる必要があります

その際は、示談の成立によって今後は金銭を請求しないことなどを約束する「清算条項」を盛り込んでおくなど、将来のトラブルを防止するための措置も講じておかなければなりません。

示談の成立には、法的知識だけでなく高い交渉力が求められます。ご自身で示談交渉を行うと、別のトラブルを引き起こすリスクがありますので、まずは弁護士に相談するのがよいでしょう

まとめ

配偶者の浮気相手から慰謝料を請求された場合、状況によっては配偶者が貞操権侵害に基づく慰謝料を支払わなければならないおそれがあります。

逆に、浮気された配偶者が浮気相手に不貞慰謝料を請求できることもあります

配偶者の浮気相手からの慰謝料請求には複雑な問題をはらんでいることが多いため、放置したりご自身で判断したりせず、一度専門家である弁護士に相談しましょう。

その際は、男女問題の解決実績が豊富で、かつコミュニケーション能力が高い弁護士にご相談ください

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執筆者 代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会 登録番号45484
東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。
「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
得意分野
ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
プロフィール
京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設
書籍・論文
『スタートアップの法務ガイド』中央経済社
『スタートアップの人事労務ガイド』中央経済社

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