借金減額の方法・債務整理の種類、借金減額診断の仕組みも解説
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記事目次
借金の返済が困難になり、「借金を減らす方法があるなら試してみたいけれど、そんなうまい話はないだろう」などと思われる方もいらっしゃるようですが、適切な方法で借金を整理すれば、毎月の返済を負担の少ない金額まで減らせる可能性があります。
今回は、借金を減額する主な方法として、おまとめローンの仕組みと注意点、債務整理の仕組みと留意点、過払い金返還請求の対象となる条件、借金減額診断の仕組みと注意点などについて解説します。
おまとめローンの仕組みと注意点
最も手軽な借金減額方法として知られているのが、法的な手続が不要な借り換えやおまとめローンです。ただし、返済総額が増えてしまうケースもあるため注意が必要です。
まずは、おまとめローンで借金が減額される仕組みと注意点について説明します。
1.おまとめローンで借金が減額される仕組み
おまとめローンは、複数の借入を一本化して、利息の支払いを抑えることを目的としたサービスです。都市銀行、地方銀行、大手の消費者金融などが、おまとめローンを提供しています。消費者金融と比較して、銀行の方が低金利で、貸付金額の上限が高い傾向にあります。
銀行が提供するおまとめローンの上限金利は14%前後であることが多いため、これより高い利息で複数の金融機関等から借入を行っている場合は利用を検討する価値があるでしょう。
また、返済先を一つにすることで、現在の債務状況が把握しやすくなる、返済プランが立てやすくなるというメリットも期待できます。
なお、貸金業法第13条の2において「年収の3分の1を超えた貸付を個人に行ってはいけない」という過剰貸付の禁止(総量規制)が定められていますが、おまとめローンは既に存在する借金を一本化するだけなので、総量規制の対象外とされています。(貸金業法施行規則第10条の23第1項1号、1号の2・顧客に一方的に有利となる借換え)
2.おまとめローンの審査は厳しい?
複数の債務を一本化するという性質上、おまとめローンの借入は高額になります。そのため、法律上は総量規制の対象外であっても、金融機関が返済不能と判断した場合には審査に落ちる可能性があります。
おまとめローンでは、月々の返済額を抑えて長期の返済計画を立てるのが基本なので、将来に渡って安定した収入が見込めることが借入の必須条件と考えられます。
特に、現在の借入先への返済を遅延した履歴がある場合、審査通過が困難といえるでしょう。
3.返済総額が増えるケースもある
おまとめローンでは月々の返済金額を減らし、長期的に確実な返済をすることを目的としています。ただし、返済期間が長くなれば、その分、利息を支払う期間も延びます。したがって、返済総額が借り換え前よりも高額になるケースも存在するのです。
おまとめローン申込時には、月々の返済額だけを重視するのではなく、返済期間と返済総額も確認することが大切です。
4.利用後は新たな借り入れが困難になるおそれもある
自己破産や個人再生などの債務整理とは違い、おまとめローンや借り換えを利用した事実は信用情報機関に事故情報として登録されません。したがって、借り換えした上で遅滞なく返済すれば、今後も問題なく新しい借入ができると考える方も多いようです。
しかし、借金を一本化したという情報が残るだけでも、金融機関やカード会社などから、債務超過状態と判断される可能性があることは否定できません。
また、おまとめローンは借金の返済を目的としており、カードローンのように返済を続ければ利用残高ができて借り直しができるという性質も持ちません。一度借入契約をした後は、返済のみが可能となる点はしっかり認識しておきましょう。
5.おまとめローンの返済が滞った場合
前述した通り、おまとめローンを利用した後は新たな借入が困難となるため、より金利の低いローンに借り換えることも難しくなります。したがって、一本化しても借金返済が困難だという場合は、利息の支払い免除や元本の減額が望める債務整理の方法を検討した方がよいでしょう。
債務整理の仕組みと留意点
債務整理は、借金の返済が困難な状況に陥った場合に、利息の支払い免除、元本の減額、債務の支払い免除などにより、経済的な再建を図る制度で、複数の種類があります。主な債務整理の方法として、任意整理、個人再生、自己破産があります。これらの仕組みと留意点について説明します。
1.任意整理
任意整理は、裁判所を介さずに、債務者が債権者と交渉して、将来発生する利息や遅延損害金の免除等を求める手続です。個人で行うこともできますが、債権者から裁判を提起される等のリスクもあるため、一般的には、弁護士に交渉を依頼して行うことが多いです。
任意整理は、法律に則った手続ではないため、対象とする債務を選ぶことが可能で、保証人が付いている債務を対象から外すことができるというメリットがあります。
ただし、債権者が任意整理の交渉に応じない可能性や、債務があまり減額されない可能性があるなどのデメリットもあるため、注意が必要です。
2.個人再生
個人再生は、民事再生法に則って裁判所を介して行う債務整理の手続です。原則3年(最長5年)で返済する再生計画案を裁判所に提出して、認められた場合は、債務が原則として5分の1程度に圧縮されます。
個人再生には、民事再生法196条に定められた住宅資金特別条項(住宅ローン特則)により、住宅ローンを支払い中の持ち家を手放すことなく、債務を大幅に圧縮できるというメリットがあります。ただし、将来に渡り、安定した収入が見込めることが利用する条件となります。また、裁判所が指定した期日までに再生計画案を提出できない等、手続に不備があると、手続が途中で廃止となるという点にも注意が必要です。
3.自己破産
自己破産は、破産法に則って裁判所を介して行う債務整理の手続です。全ての債務が免除されるという大きなメリットがある一方、持ち家や自家用車などの財産を手放す必要があるというデメリットもあります。
ただし、所有している資産が少ない場合は、それほど多くのデメリットはありません。また、任意整理や個人再生とは違い、将来的に安定した収入が見込めなくても、自己破産をすることは可能です。
4.債務整理を行う場合の留意点
上記の債務整理を行うと、信用情報機関に事故情報が登録されます。信用情報機関とは、消費者の信用力に応じたクレジットやローンなどのサービスを提供することを目的として、消費者の信用情報を管理している組織です。クレジットやローンの申し込みをする際、消費者の信用情報を確認するために、信用情報機関への照会が行われます。
信用情報機関に事故情報が登録されていると、俗に言う「ブラックリストに載っている状態」となり、クレジットカードやローンの審査に通ることが難しくなります。そのため、債務整理を行った後は、最低でも約5年程度は、クレジットカードやローンが利用できない可能性が高いという点は留意しておきましょう。
過払い金返還請求の対象となる条件
過払い金返還請求により、払いすぎた利息分を取り戻せる可能性があると聞いたことがあるという方もいらっしゃるかと思います。利息制限法と出資法で定められた利息の差額返還を求める手続が、過払い金返還請求です。しかし、現在は利息制限法の上限利率を超えた貸付は禁じられているため、過払い金が発生する契約が締結されることはありません。
では、いつまでに行った契約で過払い金が発生する可能性があるのでしょうか。過払い金が発生する条件と返還請求時の注意点について説明します。
1.過払い金が発生する条件
出資法の定める上限利率は、2010年6月18日の法改正後に年29.2%から20%まで引き下げられました。したがって、過払い金が発生する可能性があるのは、基本的に、2010年6月17日以前に契約した借入のみとなります。
また、出資法改正に先駆けて、2006年1月13日に最高裁判所が利息制限法の上限利息を超えた金利での貸付は許されないとの判決を下しており、2007年以降はこの判決に倣って、大手消費者金融等も金利を下げました。そのため、過払い金が発生する可能性が最も高いのは、2007年以前の契約に絞られるでしょう。
過払い金返還請求が可能な期間には限りがあり、該当の借金を完済した後10年が過ぎると、過払い金返還請求はできなくなります。(最高裁判所第一小法廷平成21年1月22日判決)。
2.信用情報機関に事故情報が登録される?
過払い金返還をすると、信用情報機関に事故情報が登録されるのか心配だという方もいらっしゃるかと思いますので、信用情報機関への影響について説明します。
まず、既に完済した借金については、過払い金を請求しても、信用情報機関に事故情報が登録されることはありません。また、返済途中の借金について過払い金返還請求し、過払い金と残債を精算した後に借金がゼロになった場合も信用情報に影響はありません。
しかし、借金返済中に過払い金返還請求をして、残債から払いすぎた利息を引き直しても借金が残った際には、債権者が「任意整理をした」と判断されるおそれがあります。
借金減額診断の仕組みと注意点
インターネット上でも見かける借金減額診断(シミュレーター)は、自分に適した借金減額方法を知る参考となります。借金減額診断の仕組みや注意点について説明します。
1.借金減額診断 (シミュレーター)とは?
借金減額診断(シミュレーター)とは、現在の借入額などの簡単な情報を入力することで、どのくらい借金が減額可能か試算してくれるサービスです。このサービスを提供しているのは法律事務所や司法書士事務所等で、減額可能な金額を試算しているのも弁護士や司法書士なのです。そのため、利用後に怪しい金融商品を紹介されるということもなく、法律に沿って計算された金額が提示されます。
弁護士や司法書士が無料でそのようなサービスを提供している理由は、借金減額診断の結果が、債務整理の依頼に繋がる可能性があるからです。
したがって、基本的に借金減額診断は安全なのですが、債務整理の代行資格を持たないNPO法人や実態が不明な会社などから借金減額診断の結果が届いた、有料のサービスをしつこく紹介されたなどという場合は、詐欺である可能性も否定できません。
借金減額診断を利用する際には、提供元の組織をしっかり確認することが大切です。
2.借金減額診断必要な情報
借金減額診断を利用する際、入力を求められる主な情報は以下のとおりです。
- 借金の総借入額
- 借入年数
- 借入先の件数
- メールアドレス
- 携帯の電話番号
メールアドレスや携帯の電話番号は、診断結果を伝えるために必要となります。氏名や居住地の都道府県の入力を求められることもありますが、一般的には、あまり多くの個人情報は必要とされません。
3.診断通りに借金減額できないこともある
借金減額診断では、入力された情報に基づいて簡便な計算が行われるため、実際に債務整理を行っても診断通りの減額ができないことも少なくありません。
どこから、何%の金利で借入しているのか等の詳細な情報がないと正確な計算を行うことは不可能なので、借金減額診断の結果はあくまで目安と考えてください。
まとめ
今回は、借金を減額する主な方法として、おまとめローンの仕組みと注意点、債務整理の仕組みと留意点、過払い金返還請求の対象となる条件、借金減額診断の仕組みと注意点などについて解説しました。
借金に関する問題は周囲に相談しづらく、一人で悩みを抱えている方は多くいらっしゃるかと思います。多額の借金を抱えて、解決策が見つからない状況のように思えても、債務整理に精通した弁護士に相談することで自分に適した借金減額方法がわかり、状況が一変するケースもあります。
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