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投稿日: 更新日: 弁護士 宮地 政和

住宅ローンが原因で自己破産・持ち家を残せる可能性は?

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「住宅ローンの支払いが困難になり、自己破産を検討しているけれど、自己破産をすると、生活にどのような影響があるのだろうか」
「自己破産をすると住宅ローン支払い中のマイホームは手放さなければいけないと聞いたけれど、手放さなくて済む方法はないのだろうか」
このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
新型コロナウイルス感染拡大の影響により収入が減少したことが原因で、住宅ローンを滞納している方は急増しているといわれています。住宅ローンの滞納が原因で自己破産を検討する場合、持ち家を手放す必要はあるのか、持ち家を手放す場合はいつ引っ越しをしなければいけないかなど、不安に思われる点も多いかと思います。
今回は、住宅ローンが原因で自己破産する場合の注意点、自己破産に関するよくある質問と回答、持ち家を維持することが可能な債務整理の方法などについて解説します。

住宅ローンが原因で自己破産する場合の注意点

住宅ローンの返済が滞り、自己破産を検討している場合、現在住んでいる自宅がどうなるのか心配かと思います。まずは、自己破産をする場合に、持ち家がどのように扱われるのかという点について説明します。

1.自己破産をすると持ち家は原則処分される

自己破産の手続では、原則として、申立人が持ち家や自動車などを含む一定の財産を所有している場合、破産管財人が選出されます。破産管財人は、破産者の財産を処分して換価(現金化)し、債権者に対して公平に分配します。
破産管財人が選出された場合、申立人は破産管財人に持ち家を含む財産を渡さなければいけません。生活に最低限必要な一部の財産は手元に残すことが可能ですが、破産者の財産の中でも、持ち家は大きなウエイトを占める財産である場合が多く、原則として処分されることになります。

2.抵当権付きの住宅は競売の対象に

住宅購入時に住宅ローンを組む際、住宅ローンの債権者である金融機関は、ローンの返済が滞った場合の回収手段を確保するために抵当権を設定するのが通常です。抵当権とは、債権者が債権を確実に回収するために設定する担保権のことです。つまり、抵当権付きの不動産は、住宅ローンの支払いが滞ると、金融機関が売却して、売却して得た代金を返済に充当させることが可能なのです。
金融機関は、自己破産手続開始の通知を受け取ると、抵当権を実行して、住宅を競売にかけることもできます。競売にかける前に、債務者と相談して、不動産を任意売却するというケースもあります。

自己破産と持ち家に関するよくある質問と回答

持ち家がある場合の自己破産について、よくいただく質問に回答したいと思います。

1.持ち家がある場合は例外なく処分される?

自己破産の手続では、持ち家を含む財産を処分することになりますが、前述した通り、生活に最低限必要な一部の財産は手元に残すことが可能です。手元に残すことができる財産のことを、自由財産といいます。
自由財産は拡張することが可能で、拡張が認められた場合、本来は処分されるはずの持ち家や自家用車を残せる可能性もあります。以下のような場合は、拡張が認められ、持ち家を残すことができるかもしれません。

  • 持ち家の資産価値が非常に低い場合
  • 破産者が今後生活する上で、現在の持ち家が必要不可欠だと認められる場合

自由財産を拡張するためには、破産手続開始決定から1ヶ月以内に、裁判所に対して自由財産の拡張の申立てを行い、裁判所から拡張の決定を受けることが必要です。

2.自己破産の申立て後すぐに引っ越しが必要?

自己破産の申立て後、すぐに引っ越しが必要というわけではありません。通常は、住宅の売却または競売の手続が完了するまでは、現在の自宅に住み続けることが可能です。
競売や任意売却により、新しい所有者が決まるまでに期間は、物件によって大きく異なるため、どの程度の期間住み続けることが可能かは一概には言えません。新しい所有者が決まるまでには半年から1年程度かかる場合も多く、その程度の期間は住み続けることができるケースも多いといえるでしょう。

3.家族名義にすれば持ち家を維持できる?

自己破産で処分しなければいけない財産は、申立人本人の名義の財産のみです。家族名義の財産は処分されません。そのため、自宅を維持するために、自宅の名義を配偶者や子供の名義に変えようと考える方もいらっしゃいます。
しかし、自己破産直前に、持ち家や自家用車の名義を家族の名義に変更することは、財産隠しとみなされるおそれがあります。不動産の登記上の所有者を変更した場合、不動産登記を確認すれば、名義変更をした日付などがわかります。
財産を隠していたことが発覚すると、免責不許可事由に該当し、債務の支払い義務を免除されない可能性もあるため注意が必要です。

4.ペアローンを組んでいた場合は?

夫婦ともに一定以上の収入を得ている共働き世帯では、夫婦がそれぞれの名義で住宅ローンを組むペアローンを利用している方も多いようです。ペアローンを利用している場合、夫婦の一方が自己破産しても、もう一方が返済できている場合は、自宅を維持できるのではないだろうかと思われるかもしれません。
しかし、ペアローンでは、一般的に、夫婦が相互に連帯保証人となります。そのため、一方が自己破産した場合、連帯保証人である配偶者に対して、ローンの残額が一括請求されることになります。一括請求に応じることができない場合、住宅ローンの債権者である金融機関が、物件全体を競売できるという契約内容になっているのが通常です。

5.自己破産後、どうしても持ち家に住み続けたい場合は?

自己破産後に、子供の通学等の事情から、どうしても持ち家に住み続けたいという場合、リースバックを利用するという方法があります。
リースバックとは、リースバック業者に自宅を売却した上で、毎月家賃を支払い、一定期間済み続けるという契約のことをいいます。所有者とリースバック業者との間で、取引が行われるため、周囲には自宅を売却したことを知られる可能性もありません。
ただし、リースバック契約では、住み続けることができる期間に限りがある場合があるため、契約をする際は、必ず期間を確認しましょう。また、家賃の支払いを滞納すると、契約を解除され、退去を迫られる可能性があるという点にも注意が必要です。

6.自己破産後に再び住宅ローンを組むことは可能?

自己破産手続開始の申立てをすると、信用情報機関に事故情報として登録されます。事故情報が登録されると、俗に言う「ブラックリストに載っている状態」になるため、住宅ローンの審査に通らなくなる可能性が極めて高くなります。
銀行系の情報を主に扱う信用情報機関である全国銀行個人信用情報センター(KSC)には、10年間情報が残るといわれています。そのため、一般的には、自己破産後10年程度は、住宅ローンを組むことは難しいと考えられています。
ただし、自己破産後、10年経過する前に住宅ローンの審査に通った事例もあります。一般的に、大手銀行よりも、地方銀行やネットバンクなどの方が審査に通りやすい傾向があるようです。また、頭金を多く入れることにより、審査に通る可能性は高くなります。

持ち家を維持することが可能な債務整理の方法

住宅ローンの支払いが難しい状況に陥っているけれど、どうしても持ち家を手放したくないという場合は、自己破産以外の債務整理の方法を検討するという方法もあります。持ち家を手放さずに済む債務整理の方法について説明します。

1.個人再生の住宅ローン特則を活用

借金の返済が困難で債務整理を検討しているけれど、家族の生活の基盤であるマイホームに住み続けたいという場合、個人再生を検討してもよいでしょう。個人再生には、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)という制度があります。この制度を利用することにより、住宅ローンを支払いながら、それ以外の債務を整理することが可能です。
ただし、個人再生は民事再生法により、継続・反復して安定した収入を得る見込みがあることが必須の条件として定められています。

2.任意整理は裁判所が関与しない債務整理法

任意整理とは、債権者と交渉し、月々の返済の負担を軽減する債務整理の方法の一つです。自己破産や個人再生とは異なり、裁判所は関与しません。法律で定められた厳格な規定やルールもない私的な手続なので、対象とする債権を選択できるなど、柔軟な対応が可能です。
任意整理の対象から住宅ローンを外しておくことにより、ローン支払い中の持ち家を手放すことなく、債務整理を行うことが可能です。他の債務整理の方法と比較して、家族や周囲に知られる可能性が低いというメリットもあります。
ただし、任意整理には法的な効力がないため、債権者には任意整理の申し出に応じる義務はありません。また、減額できる借金が少ないケースもあります。

まとめ

今回は、住宅ローンが原因で自己破産する場合の注意点、自己破産に関するよくある質問と回答、持ち家を維持することが可能な債務整理の方法などについて解説しました。

自己破産が認められれば、住宅ローンを含めた債務の支払いは免除されるものの、持ち家は原則として処分されることになります。持ち家を維持したまま債務整理をしたいという方は、債務整理に精通した弁護士に相談して、他の債務整理方法を検討してもよいでしょう。

私達、東京スタートアップ法律事務所は、借金をリセットして自分らしい生活を送るための基盤作りを全力でサポートさせていただきたいと考えております。債務整理に精通した弁護士が、一人ひとりの方の状況やご希望を丁寧にお伺いした上で最適な債務整理の方法をご提案させていただきます。秘密厳守はもちろんのこと、分割払い等にも柔軟に対応しておりますので、安心してご相談いただければと思います。

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執筆者 弁護士宮地 政和 第二東京弁護士会 登録番号48945
人生で弁護士に相談するような機会は少なく、精神的にも相当な負担を抱えておられる状況だと思います。そういった方々が少しでも早期に負担を軽くできるよう、ご相談者様の立場に立って丁寧にサポートさせていただきます。
得意分野
企業法務・コンプライアンス関連、クレジットやリース取引、特定商取引に関するトラブルなど
プロフィール
岡山大学法学部 卒業 明治大学法科大学院 修了 弁護士登録 都内の法律事務所に所属 大手信販会社にて社内弁護士として執務 大手金融機関にて社内弁護士として執務
書籍・論文
『スタートアップの法務ガイド』中央経済社
『スタートアップの人事労務ガイド』中央経済社

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