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更新日: 投稿日: 代表弁護士 中川 浩秀

企業間トラブルを弁護士に相談|典型的な事例・無料相談窓口も紹介

企業間トラブルを弁護士に相談|典型的な事例・無料相談窓口も紹介
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企業活動を行う中で、会社が他の会社と取引を行う際に締結する契約や、倒産等の経営状況の変化を巡り、法的紛争をはじめとするトラブルが発生するリスクは常にあります。企業間トラブルが発生した場合は、企業法務に精通した弁護士に相談することが、早期解決につながります。

今回は、企業間トラブルの主な要因、企業間トラブルの典型的な事例、企業間トラブルが発生した際の相談先、企業間トラブルを事前に防ぐための対策などについて解説します。

【解説動画】TSL代表弁護士、中川が企業間トラブルを事前に防ぐための対策について解説

企業間トラブルの主な要因

企業間トラブルが発生する要因として、企業間の取引の以下のような特徴が挙げられます。

  • 企業間の取引では、クーリングオフが適用されない
  • 企業間取引では、当事者間の解決が原則となる
  • クレジット契約で購入した商品に欠陥があっても支払拒絶できない場合がある

個人である消費者が契約する場合は、消費者基本法や消費者契約法で、消費者保護の観点から、契約の取消しや無効について規定されています。また、特定商取引に関する法律ではクーリングオフ制度(契約書の受領日を含めて原則8日以内に書面で通知すると、申込みの撤回や契約解除ができる制度)も定められています。しかし、企業間の契約には、上記のような個人の消費者保護を目的とした法律の規定は適用されません

企業間トラブルの典型的な事例

企業間トラブルの典型的な事例を紹介します。

1.売買契約を巡るトラブル事例

売買契約に関するトラブルは、企業間でよく発生するトラブルの一つです。具体的には以下のような事例があります。

  • 売買代金の値下げを要求された
  • 売買代金を支払ってもらえない
  • 商品の作り直しを命じられた
  • 他の商品の購入を強要された
  • 商品の売買契約を締結した納入先の企業から取引を急に打ち切られた

上記の中でも特に多いのは、売買代金の支払いを巡るトラブルです。商品やサービスの品質が期待していたものと違うために代金の支払いを拒否される等のトラブルを回避するためには、契約書に求める商品のレベルに関する合意を明確に定めておくなど、想定されるトラブルに備えた対策を行うことが大切です。

2.リース契約を巡るトラブル事例

昨今、IT化が急速に進む中、パソコンなどのIT関連の機器をリースする企業が増えています。また、障害者雇用促進の要請から、介助機器等をリースする企業も増加しています。リース契約には、初期投資を削減できるというメリットがありますが、以下のようなトラブルが頻発しているため注意が必要です。

  • リース料やリース料以外のメンテナンス費用が、想定していた金額より高額だった
  • リースした機器が故障しがちで役に立たない
  • リース契約の解約を求めたら、高額な解約料を請求された

リース契約では、リース期間中の中途解約は禁止され、中途解約する場合は違約金の支払いが必要とされていることが通常です。リース契約を締結する際は、事前に、リース期間、中途解約の条件、リース対象などの契約内容を十分に確認することが、トラブル回避につながります。

3.売掛金回収を巡るトラブル事例

取引先の売掛金回収を巡るトラブルも、企業間で生じるトラブルの典型例です。具体的には以下のようなトラブルが挙げられます。

  • 取引先が倒産し、売掛金が未回収になっている
  • 取引先が売掛金の支払い延期を求めてきたため自社の資金繰りが厳しくなった

新型コロナウイルス感染拡大の影響が長引いたことにより、業績が悪化する企業が急増しました。担保を取っていない限り、取引先が倒産してから売掛金を回収するのは非常に困難です。売掛金を回収するためには、売掛金の入金遅延が発覚した時点で、迅速に適切な対処を行うことが大切です。

4.損害賠償請求のトラブル事例

企業活動を進める中で、取引先などから思わぬことで損害賠償を請求される場合があります。例えば、以下のようなケースが挙げられます。

  • 商品やサービスの納品が遅れたため、取引先の業務に影響が生じたことを理由に損害賠償を請求された
  • 納品した製品やサービスに欠陥があるとして損害賠償を請求された
  • 他社の特許権などの権利を侵害したとして損害賠償を請求された

損害賠償を請求された際は、早急に適切な対応を取ることが大切です。損害賠償請求の根拠がない場合や、賠償を求められた損害が、原因となる行為との因果関係の認められる範囲を超えて広範に及んでいる場合もあります。そのため、相手方の主張を理解した上で、事実と異なる点や、応じられない内容等が含まれている場合は適切な反論をすることが大切です。相手の主張を全面的に認める場合も、賠償の範囲や支払い方法等に関して交渉の余地があることは多いです。損害賠償請求権が発生するケース毎に裁判例の蓄積があるので、企業法務に精通した弁護士に相談して、適切なアドバイスを受けるとよいでしょう。

企業間トラブルが発生した際の相談先

企業間トラブルが発生した際、専門家に相談したいけれど、どこに相談すればよいかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。具体的な相談先について説明します。

1.企業法務に精通した弁護士

企業間トラブルが発生した際に、早期かつ穏便な解決を図るためには、企業法務に精通した弁護士に相談することが望ましいです。企業法務に関する専門知識と経験を豊富に持つ弁護士に相談することにより、以下のようなメリットを得られる可能性があります。

  • 相手方の企業の要求や主張が法律上認められるか否か見極めてもらえる
  • 相手方の企業に関する詳細な調査をしてもらえる
  • 最新の法規制や裁判例を踏まえた適切な対応をしてもらえる
  • 裁判などの法的紛争に発展した場合も、最後まで全ての対応を任せることができる

弁護士に依頼した場合、費用はかかりますが、売掛金未回収などの直接的な被害や社会的信頼の失墜等による間接的な被害を受けた場合の損害は、弁護士費用の比ではないことも多いです。
弁護士に相談した場合にかかる費用や、相談しない場合のリスクについては、こちらの記事にまとめましたので参考にしていただければと思います。

2.日本弁護士連合会が運営する「ひまわりほっとダイヤル」

企業法務に強い法律事務所が見つからない場合は、日本弁護士連合会が運営している「ひまわりほっとダイヤル」を利用してもよいでしょう。「ひまわりほっとダイヤル」は、中小企業経営者を対象にした弁護士相談窓口です。電話すると地域の弁護士会の専用窓口につながり、折り返しの電話で弁護士との面談を予約できます。
一部の地域を除き、初回相談30分は無料となっています。詳しく知りたい方は公式サイトをご確認下さい。

企業間トラブルを事前に防ぐための3つの対策

企業間トラブルが発生すると企業活動に大きな支障を来します。そのため、未然に防ぐための対策を講じることが大切です。具体的な対策について説明します。

1.契約書のリーガルチェックを行うこと

企業間取引では、さまざまな契約を締結する機会がありますが、前述した通り、売買契約やリース契約をはじめとする企業間の契約を巡るトラブルは頻発しています。企業間で契約を締結する際は、将来生じる可能性のあるトラブルを想定し、契約書にトラブルを回避するために必要な規定を定めておくことが大切です。契約書を作成する際は、関連する法律や規制を遵守しなければ、契約自体が無効とされる可能性もあるため、注意が必要です。関連する法律や規制を十分に理解しているか自信がない場合は、企業法務に精通した弁護士に依頼してリーガルチェックを受けることをおすすめします。

2.取引先の情報を収集すること

企業間のトラブルを避けるためには、問題のある企業と取引をしないことも大切です。新しい取引先と取引を開始する際は、取引先の企業について十分な情報収集を行いましょう。特に、取引先が反社会的勢力ではないか確認することは重要です。「うちの会社は、反社とは無縁だから大丈夫」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、外見からは全くわからなくても反社会的勢力と関係のある企業も存在するため、細心の注意を払うことが求められます。取引開始後に反社会的勢力であることが判明する可能性もあるため、契約書に暴力団排除条項を定めて、反社会的勢力であることが判明した場合は直ちに契約解除できるようにしておくことが重要です。

また、売掛金の回収ができなくなるというリスクを避けるためには、新規の取引先との取引を開始する前に、与信調査を行うことが大切です。与信調査を十分に行う余裕がない場合でも、最低限、商業登記簿などから資本金や所在地を確認しましょう。また、転職サイト等の従業員の口コミはリアルな経営状況を反映している場合も多いので、チェックするとよいでしょう。
最近は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、業績が悪化する企業が増えているので、既存の取引先に対する定期的な与信調査を行うことも大切です。

3.顧問弁護士等の相談先を見つけておくこと

企業間トラブルの予防策を講じていても、全てのトラブルを回避できるとは限りません。そのため、トラブルが発生した際に迅速に対処できる体制を整えておくことも重要です。
企業法務に強い弁護士と顧問契約を締結すると、トラブルが発生した時に、会社の経営方針や取引関係などを理解している弁護士に適切な対応をしてもらえるため安心です。
トラブルが発生してから弁護士を探した場合、すぐに対応してもらえない可能性がありますが、顧問弁護士と契約している場合は迅速に対応してもらえます。また、自社の経営方針や業務内容等を理解している弁護士が対応するため、期待した結果を得られる可能性も高くなります。

まとめ

今回は、企業間トラブルの要因、企業間トラブルの典型的な事例、企業間トラブルが発生した際の相談先、企業間トラブルを事前に防ぐための対策などについて解説しました。

企業間トラブルが裁判に発展した場合、会社が被る損害が大きくなる可能性があります。そのため、できる限り早急に企業法務に詳しい弁護士に相談して、早期解決を図ることが大切です。

東京スタートアップ法律事務所では、豊富な企業法務の経験に基づいて、各企業の状況や方針に合わせたサポートを提供しております。企業間のトラブルが発生した場合の対応や、トラブルを未然に防止するための対策等に関する相談にも応じておりますので、お気軽にご連絡いただければと思います。

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執筆者 代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会 登録番号45484
2010年司法試験合格。2011年弁護士登録。東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。同事務所の理念である「Update Japan」を実現するため、日々ベンチャー・スタートアップ法務に取り組んでいる。
得意分野
ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
プロフィール
京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設
書籍・論文
『スタートアップの法務ガイド』中央経済社
『スタートアップの人事労務ガイド』中央経済社