
中川 浩秀
拠点
銀座本店
経歴
東京スタートアップ法律事務所 代表弁護士。2018年9月に東京スタートアップ法律事務所を設立。「Update Japan」という目標を掲げ、弁護士業界の既成概念にとらわれない組織づくりやサービス開発を進めている。趣味は旅行、読書、バスケットボール、テニス。
中川 浩秀 × 日野 卓郎

拠点
銀座本店
経歴
東京スタートアップ法律事務所 代表弁護士。2018年9月に東京スタートアップ法律事務所を設立。「Update Japan」という目標を掲げ、弁護士業界の既成概念にとらわれない組織づくりやサービス開発を進めている。趣味は旅行、読書、バスケットボール、テニス。

拠点
静岡支店
経歴
74期弁護士。静岡支店所属。慶應義塾大学法学部卒業、大手自動車部品メーカーで約12年間勤務。予備試験を経て司法試験に合格、2022年にTSLへ新人弁護士として入所。売上および受任数で、2024年・2025年の年間MVP受賞。1児の父。
中川
“自分の型”みたいなものを持ちすぎないようにしています。相談に来た人に対して、「仕事をしている」というより、友達の相談に乗っているような感覚で、「会話する」ことを大事にしています。だから依頼してもらえるのかな、とは思います。
法律相談ではまず、「何に困っていますか」「今日は何を聞きたいですか」と聞くようにしています。そこを聞かずに始めてしまうと、相談者が求めている法律相談とずれてしまう気がするんです。
日野
中川さんって、相談者と関係を作るまでの時間が短いんですよね。距離を測るのがすごくうまい。相手の温度感を見ながら、「この人にはこんな感じがちょうど良いな」というのをすぐにつかんでいる印象があります。
僕自身も、最初の声かけはかなり意識しています。相談者が困っていることと、こちらが法律家として聞かなければいけないことは、必ずしも同じではありません。相手の気持ちをちゃんと理解して、自分の言葉で返して、「わかっていますよ」と伝えられるかどうか。そこができると、相談者の反応はやっぱり変わるんですよね。
こちらが理解していることが伝わると、「自分のことをちゃんと見てもらえている」と感じてもらえます。そうすると関係ができて、相談もスムーズに進みます。
中川
結局、「会話する」ということですよね。
相手の温度感を見て、もちろんかっちりやるときもあれば、フレンドリーにいくこともある。でも、最初から堅い雰囲気を求めている人って、実はそんなに多くない感覚があります。
日野
いちばん良くないのは、法律の話ばかりしてしまうことだと思います。法的な解釈だけなら、今はWebでもAIでもある程度調べられる時代です。
でも相談者が本当に困っているのは、「相手に職場へ来てほしくない」とか、「お金の工面はどうしよう」とか、法律以外のことだったりします。
法律相談ではあるんですけど、結局”相談”なんですよね。だから、人と人との会話が何より大事なんだと思います。
中川
事件処理も同じです。「依頼者に寄り添う」という言葉もよく使われますが、これは依頼者の言うことを全部聞くことではありません。
依頼者の要望を全部実現しようとすると、事件が終わらないこともあります。共感することは大前提ですが、本当に依頼者のためになることを説明し、納得してもらうところまでが弁護士の仕事だと思っています。「依頼者はこう言っています」「相手方はこう言っています」を伝えるだけの弁護士って、全然プロフェッショナルじゃないですよね。
日野
依頼者は困っているからこそ、お金を払って私たちに依頼してくださっています。
だから話をしっかり聞くことは当然大切です。その上で、「この先生が言うなら従おう」と思っていただける信頼関係を築けて初めて、本当に寄り添えたと言えるのだと思います。

中川
AIって答えはくれるけど、解決はしてくれないんですよね。「どう対処したらいいですか」という質問にはある程度の答えを返してくれますが、最後は「専門家に相談してください」で終わることも多い。
だからAIと同じことをしているだけでは、弁護士としての価値はありません。
「この人の問題を解決するんだ」と意思決定をして、「あなたの問題は僕が解決するから任せてください」と前に立てること。それは人間にしかできない価値だと思います。
日野
TSLが取り扱っている分野って、別にTSLだけがやっているわけではないんです。他の事務所でも相談できる中で、「なんとなくTSLが良かった」って思ってもらえる理由が、やっぱりあると思うんですよね。
弁護士って、相談者・依頼者という”人”と一緒に事件を進めていく仕事です。「なんとなくこの先生良かったな」「最後までやってくれそうだな」と思ってもらえることは、すごく大きいと思います。
TSLはWebマーケティングをメインに集客していますし、3〜4か所程度ほかの事務所にも話を聞いてから相談に来ていただく方が結構います。その中で、「こんなに親身に話を聞いてくれた先生は初めてです」「こんなに話しやすい先生には初めて出会えました」「日野先生にお願いしたいです」と直接言っていただいたことが、何件かありました。
そういう言葉をいただける件数はすごく多いわけではないですけど、やっぱり嬉しいですね。「あなたにお願いしたい」と思っていただけることが、選ばれるということなんだと実感します。
中川
事務所名じゃなくて、「あなたにお願いしたい」と思ってもらえて、その人にとっての特別な存在の弁護士になれたら強いんですよね。そうなると究極、価格競争だっていらなくなることもあります。
あと、選ばれて依頼される案件って、仕事を進めやすい傾向もあります。「あなたに任せる」と信頼していただけているわけなので。

中川
大前提として、本人が「受任できるようになりたい」と思っていることが必要です。育つ気がない人を育てることは、おそらくできません。
逆に、そう思っている人は放っておいても成長します。周りができるのは、そのスピードを加速させることくらいだと思っています。
僕自身、誰かから何かを教わって成長したという感覚が無いですし、「育てる」という言葉自体が少し傲慢にも感じるんですよね。成長するための材料は世の中にいくらでもあるので、自分から取りに行けば、どんな環境でも成長できると思っています。
ただ、教わったことを試行錯誤する時間と量は必要です。法律相談を終えて、同じ「保留」という結果でも、目的意識を持って振り返る人と、そうでない人では得られる経験値がまったく違います。
その場で受任にならなかった法律相談は、今でも全部、その後どうなったか確認しています。「なんで受任にならなかったんだろう」「どうしたら良かったんだろう」と、今だに1件ずつ悔しいと感じます。その積み重ねが、「選ばれる弁護士」につながると思っています。
日野
あとは、事務所の目標と自分の目標を重ねられることも大切だと思います。同じ方向を向いているからこそ、受任へのコミットメントも持ち続けられるんですよね。
僕自身、何年か前に受任力アッププロジェクトに参加したことが一つの転機でした。
週に一度集まって、それぞれの法律相談を振り返り、改善点を次の相談で実践するんです。その中で中川さんから直接アドバイスをいただいて、自分なりに落とし込んで実践していきました。
あれをきっかけに法律相談のスタイルが変わりましたし、不貞慰謝料の被請求案件では、受任率も30%くらいから50%を超えるようになりました。
中川
法律相談を録音して全体へ共有するという取り組みは、あのとき初めてやってみたんですよね。
「事務所全体の受任率を底上げしたい」という一心で、手探りで始めた施策でしたが、一定の成果が出たので、現在も内容をブラッシュアップしながら希望者を募って継続しています。
日野
「弁護士とはこうあるべき」という枠は、あまり必要ないと思っています。
法律相談も結局は、一対一の人と人との会話です。基礎的な方法論やテクニックはもちろん大切ですが、一周回って、それが一番大切なんじゃないかなと思います。
中川
自分の個性は大事にしたほうがいいと思います。
「法律相談はこうするべき」と型にはまりすぎるより、自分のキャラクターや主義主張を活かしたほうが、結果的に相談者にも伝わると思います。
この業界は型にはまりたがる人が多い傾向があります。失敗しても「型が悪かった」と言い訳できますからね。でも、10年20年と生きてきて何も個性がない人なんていません。自分が持っているものは、怖がらずに出したほうがいい。そうすることで、自分らしい「選ばれる弁護士」になれるんじゃないかと思います。