万引きでも後日逮捕される?警察からの電話の対応や逮捕の流れ
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記事目次
スーパーやコンビニを出た後、店員やGメンによって取り押さえられるイメージが多い万引きですが、最近では後日逮捕の事例も出ています。
後日逮捕されるのはどのような証拠が揃っている時なのか、そもそも法的にはどのような行為が万引きとされているのか、今回の記事で詳しく説明します。
万引きは何罪?
万引きは他人の財物の窃取にあたるので、窃盗罪に問われる可能性があります。
万引きの一般的な認識は、代金を支払わずに商品を持ち去る行為です。
これは、他人の所有物を勝手に持ち去ることにあたり、「他人の財物に対する占有」という保護法益を犯す行為であるため、万引きをすれば窃盗罪の容疑で処罰を受ける可能性があります。
万引きの構成要件は以下の4つです。
- 被害品が他人の財物であること
- 窃取すること
- 故意があること
- 不法領得の意思があること
これらすべてが揃うと、万引きが成立します。
注意すべきなのは、「故意があること」と、「不法領得の意思がること」という要件です。
「故意があること」が要件にあるのは、会計を忘れて無意識に外に商品を持ち出すなどのケースがあるためです。
この場合、「財物の占有者の意思に反してその占有を侵害し、自己又は第三者の占有に移す」という行為は行われているため、「窃取」にはあたります。
しかし、「故意(わざと)」の窃取ではないため、万引きにはあたりません。
続いて、「不法領得の意思」とは、持ち主が物を使えない状態にし、持ち去った物を自分の物のように扱おうとする意思のことを指します。
なぜ不法領得の意思が要件にあるかというと、窃盗と、一時的な拝借を区別するためです。
つまり、故意に商品を窃取したとしても、何らかの目的のための一時的拝借であった場合は、窃盗罪は成立しないということです。
窃盗罪の刑罰は?
先に説明した通り、万引きは窃盗罪にあたり、刑法第235条による、
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
という規定に沿って処罰されます。
勿論、同じ窃盗罪でも行為形態の悪質によって量刑は大きく異なってきます。
従って、よほどの高級品を盗まない限り、初犯で実刑判決を受けることは滅多にないと考えられます。
万引きは現行犯逮捕だけ?後日逮捕される可能性は?
その場で取り押さえられる現行犯逮捕以外で逮捕される可能性はあるのか、詳しく解説します。
逮捕には「現行犯逮捕」、「後日逮捕(通常逮捕)」、「緊急逮捕」の3種類があります。
緊急逮捕とは、殺人や強盗といった重大な事件に対して行われることが多いものなので、万引き事件における緊急逮捕という事例はあまりありません。
万引き事件の逮捕として多いのは、現行犯逮捕です。
逮捕というと警察によって行われるイメージがあるかもしれませんが、現行犯逮捕の場合は私人、つまり警察ではない一般人が実行することも可能です。
現行犯逮捕が行われるのは、犯罪の瞬間が目撃されたとき、あるいは直前に犯罪が行われたことが明らかであるときです。
万引きの場合は、商品を鞄の中に入れるときや、万引きを行った人物が退店しようとしているときなどに実行されることが多いです。
後日逮捕とは、罪を行って現場を離れた後に、警察から「逮捕状」を提示された上で逮捕されることです。
逮捕状とは裁判所から発布されるもので、これを発布してもらう為に、警察は犯行の証拠を収集する必要があります。
先程、万引きについては現行犯逮捕が多いとご説明しましたが、「万引きしたと疑えるような証拠がある」、「逃亡・罪証隠滅のおそれがある」の2つの条件が満たされた場合、後日逮捕が可能になります。
【実例付き】万引きの後日逮捕の証拠となるものとは?
ここでは、具体的に何が証拠となって後日逮捕に繋がるのかについて実例を踏まえてご紹介します。
防犯カメラの映像
防犯カメラの映像は、客観性の高い証拠として評価が高く、犯行の瞬間が映っていれば後日逮捕の決め手にもなり得ます。
実例を挙げると、北海道中央区のアクセサリー店でブレスレットの万引きの疑いをかけられた男性は、防犯カメラに映った犯人と特徴が似ていたことが証拠の一つとなり、後日逮捕されています。
この事件の場合は、犯行の客観的な裏付けとして防犯カメラ映像が挙げられたのではないかと考えられます。
周囲の人々の証言
周囲からの証言も補助的な証拠にはなり得ます。
しかし、逮捕状発付に足る程の客観性が無ければ、証言だけを根拠に後日逮捕まで至るのは難しいかもしれません。
ただ、証言によってある程度容疑者が絞られていれば、捜査が本格化し、防犯カメラの映像などの客観的証拠の捜索にまで手が進められ、結果的に後日逮捕に繋がる可能性はあります。
盗品を所持している
最近では、フリマアプリやオークションサイトの普及もあり、転売を目的とした万引きも横行しているのが現状です。
実際に、フリマアプリでの転売が発覚し、後日逮捕に繋がった例もあります。
このような事件を防止すべく、フリマアプリやオークションサイトの運営側もユーザーに住所・氏名・生年月日の登録を必須化するなどして、捜査機関との連携を強めています。
従って、転売目的の万引きについては、後日の出品によって盗品保持が発覚し、逮捕される可能性が高まっていると言えます。
万引き容疑で警察から電話がきた…すぐに逮捕されてしまう?
警察から電話が来た場合、日時を指定して警察署に出頭の上、事情を聞きたいといった話をされることになります。
警察が電話で出頭を求めている段階では、基本的には逮捕の必要性がないと判断している状況であるため、すぐに逮捕される可能性は低いです。
そして、電話で約束した日時に警察署に出頭すると、万引きの容疑について警察の取り調べを受け、詳細を確認されることになります。
また、警察が取り調べた内容を書面(供述調書)にして、その内容に誤りがないか確認を求められた上で、誤りがないということであれば最後に署名・押印するよう指示されることになります。
この供述調書は、犯罪があったこと等を裏付ける証拠となるものなので、内容に誤り等ないかしっかりと確認した上で、誤り等あれば訂正してもらうようにして下さい。
もしも警察がこれに応じてくれない場合は、供述調書に署名や押印をする必要はありません。
署名や押印をすることはあくまでも任意なので、認識に反する供述調書には署名や押印をしないことが重要です。
警察からの電話を無視した場合どうなる?
警察から電話があった際に都合が悪くて出られなかった場合、再度の連絡を待つか、かけ直す等の対応をすれば問題ありません。
しかし、何度かかって来てもあえて出ず、無視を続けることはやめた方が良いです。
警察としては犯罪の疑いがあるために話を聞きたいと思っているところ、任意の呼び出しに応じないとなれば、その疑いの程度にもよりますが、状況によっては逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されて逮捕されてしまう可能性が高くなるためです。
また、捜査に協力的でないという姿勢は、逮捕のみならずその後に勾留される可能性を高めることにもなります。
よって、警察からの電話等にはできる限り素直に協力した方が良いです。
万引きしてから何日後に逮捕される?
万引きの後日逮捕は、1~2ヶ月以内に行われることが多いです。
ただし、逮捕までの日数はどのように万引きが発覚したかによって変わってきます。
例えば、先に紹介したアクセサリーの万引きについては、逮捕までわずか15日しかなかったわけですが、オークションサイトへの出品によって発覚したケースについては逮捕まで1年以上かかっていたものもあります。
ちなみに窃盗罪の場合は犯行から7年が経てば公訴時効を迎えるので、それ以上の期間を経た場合は公訴の可能性が無くなり、逮捕の可能性も限りなく低くなります。
万引きの後日逮捕の条件・時効
万引きをして後日逮捕される条件として、まず、被疑者が万引きを行ったことについて一定の証拠があることが必要です。
例えば、防犯カメラの映像が証拠となり、そこから犯人を割り出した上でその犯人の足取りを追いかけて自宅を特定し、後日逮捕されるというケースもあります。
また、万引きをしたこと自体には争いがない場合であっても、それだけで必ず逮捕される訳ではなく、逃亡や証拠隠滅のおそれ等を踏まえて逮捕の有無が決められることとなります。
時効については、万引きは刑法上の窃盗罪という罪に該当するため、万引きを行った日から7年が経過すれば時効となり、その万引きについて刑事的な処罰を受けることはなくなります。
万引きをしてしまった後の流れとは?
以下では、万引きをしてしまった場合、どのような流れで捜査が進んでいくか等をご説明します。
在宅捜査の場合
万引きをしても必ずしも逮捕されるとは限りません。
万引きをしたこと自体は明らかであっても、逃亡や証拠隠滅のおそれはなく、身柄を拘束しなくとも捜査に支障が生じないと判断されれば、逮捕や勾留をされることなく在宅事件として捜査が進められることになります。
在宅事件の場合、警察や検察から電話等で適宜呼び出しがあるため、その呼び出しに応じて取調べに対応していくこととなります。
逮捕・勾留される場合
万引きを理由に逮捕、勾留される場合、まずは逮捕された時点から48時間以内に警察から検察に身柄を送致されることになります。
そして、身柄を受け取った検察官は、その日のうちに被疑者から話を聞いた上で、裁判所に勾留請求をするか釈放するかを決定します。
検察官が勾留請求をした場合、被疑者の身柄は裁判所に移されることになり、そこで被疑者は裁判官から直接話を聞かれることになります。
その上で、裁判官が勾留の必要性があると判断した場合、勾留請求をされた日から10日間身柄の拘束が続くことになります。
また、勾留期間は延長することが認められているため、10日で足りない場合は更に10日間延長され、最大で20日間もの間身柄を拘束されてしまう可能性があります。
なお、逮捕や勾留は、一つの犯罪事実について一回と決まっているため、余罪がある場合には別の犯罪事実に基づいて再逮捕や再勾留が繰り返されてしまい、より身柄の拘束期間が長引く可能性もあります。
示談交渉をする場合
身柄を拘束されているか否かに関わらず、万引きを行ったことについては争いがない状況であれば、不起訴処分となるか否か(刑事罰を受けるか否か)の判断のために、被害者との示談が成立しているか否かは極めて重要な要素となります。
被害者と示談に向けた協議をする場合、被害者としては犯人と会いたくない方も多いこと等から、自分一人で対応することは難しいため、弁護士に依頼をして示談を進めていくことが一般的です。
示談に際しては、直接謝罪することは難しいことが多いため謝罪文を書く必要があるケースもありますし、示談金として被害金額+迷惑料等に相当する金額を支払うこと等が求められます。
万引きに関する相談は弁護士へ
近年の万引き被害は深刻化しており、店側も防犯カメラの設置など積極的な対策を進めています。
このため、今までは現行犯逮捕が多かったものの、後日逮捕の件数が大きく増えていく可能性も十分にあります。
また、フリマアプリ、オークションサイトの捜査機関との協力強化によって、既に出品されている盗品についても捜査の対象となる可能性があります。
万引きに関しては、逮捕や勾留となる可能性や処分の見通し、示談の必要性等を個別具体的な事情に応じて判断する必要があります。
そして、その判断を迅速に行い、逮捕や勾留を回避したり、前科をつけないために被害者と速やかに示談したりといった対応が必要になるため、なるべく早く弁護士に相談することを強くおすすめします。
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- 企業法務・コンプライアンス関連、クレジットやリース取引、特定商取引に関するトラブルなど
- プロフィール
- 岡山大学法学部 卒業 明治大学法科大学院 修了 弁護士登録 都内の法律事務所に所属 大手信販会社にて社内弁護士として執務 大手金融機関にて社内弁護士として執務