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投稿日: 代表弁護士 中川 浩秀

【図解】浮気の慰謝料請求とあなたが損しないための全知識を集約!

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記事目次

「夫(妻)が浮気をしていたことが発覚した、慰謝料は請求できるのだろうか?」
「浮気されて離婚を決意したけれど、慰謝料はいくら請求できるの?手続きはどうするの?」

浮気や不倫をされて辛い思いをして、頭に思い浮かべるのが「今後どうしよう」という不安な思いと「相手への慰謝料請求」でしょう。

結婚・婚約・内縁関係にあるパートナーが浮気をした場合、受けた被害と精神的苦痛に対する慰謝料を相手に請求できます。

そこで今回は、慰謝料請求を考えはじめた方が覚えておくべき知識を、徹底的に解説していきます。

この記事を読むと分かること
  • 慰謝料請求ができるかの自己判断
  • より高い慰謝料を請求できる可能性
  • 慰謝料を請求するために集めるべき証拠
  • 慰謝料請求の流れ

配偶者やパートナーから裏切られて、ひとりで不安と辛い思いを抱えている方は少なくありません。

浮気の当事者に慰謝料を請求して区切りをつけると、新たに前を向いて進むための一歩を踏み出せます。

ぜひこの記事を参考にして、あなたが本来受け取れるはずの慰謝料を請求していきましょう。

【フローチャート図解】浮気・不倫による慰謝料を請求できる判断基準

【フローチャート図解】浮気・不倫による慰謝料を請求できる判断基準

浮気・不倫をされて、「精神的苦痛を負ったので慰謝料を請求したい」と多くの方が考えていることでしょう。

慰謝料は、浮気された配偶者が受けた精神的苦痛に対して支払われるべき損害賠償金として認められています。

慰謝料は個々の状況や事情を考慮したうえで、金額や請求の可否が決まるのです。

あなたの現在の状況が、慰謝料を請求するための条件を満たしているか、以下のフローチャートを使って確認してみてください。

フローチャート

フローチャートを見る際に注意したいのが、「婚姻関係」にある相手が浮気・不倫をした場合のみ、慰謝料が請求できるという点です。

残念ながら結婚していない彼氏彼女の関係性では、浮気による慰謝料を請求できません。

  • 結婚している配偶者
  • 事実婚上のパートナー
  • 内縁関係のパートナー

上記の関係性にあるパートナーに、浮気されて辛い思いをしている方は、相手に慰謝料を請求できます。

もしもこの段階で、「慰謝料を請求できない可能性がある」とわかった方でも安心してください。

慰謝料を請求できる可能性をあげるために、必要なポイントも解説していくので、参考にしてみましょう。

婚約者の浮気で婚約破棄に至った場合も慰謝料請求できる!

婚約している場合でも、浮気による慰謝料を請求できる可能性があります。

  • 婚約していたことが客観的に証明できる
  • 婚約者の浮気が原因で婚約破棄した
  • 慰謝料請求の時効を超えていない

婚約破棄による慰謝料請求については、「婚約破棄による慰謝料請求は可能か|相場や請求可能な事例を紹介」詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

浮気・不倫による慰謝料を請求できるケース

浮気・不倫による慰謝料を請求できるケース

浮気や不倫による慰謝料請求は、一定の判断基準を満たしている場合のみ請求が可能になります。

具体的には、大きく分けて以下の5つのケースに該当していなければいけません。

浮気・不倫による慰謝料を請求できるケース
  • 配偶者が浮気相手と肉体関係を持った(不貞行為)
  • 浮気する前までは夫婦関係は破綻していなかった
  • 相手が「既婚者である」と知ったうえで関係を続けていた
  • 不貞行為を証明できる証拠がある
  • 不貞行為発覚から3年以内である

浮気・不倫による慰謝料請求ができる基準について、ひとつずつ解説していきます。

配偶者が浮気相手と肉体関係を持った(不貞行為)

浮気や不倫による慰謝料請求の可否は、配偶者と浮気相手が肉体関係を持ったか否かで大きく左右されます。

配偶者が浮気相手と肉体関係もしくは性的な関係を持った場合、「不法行為(民法709条)」にあたると判断され、相手に対して損害賠償を請求できるのです。

不貞行為とは不貞行為とは、結婚・婚約・内縁関係にある人のどちらかが、配偶者以外の人と肉体関係もしくは性的な関係を持つ行為を指します。

夫婦間には貞操義務があるとされているため、配偶者以外と肉体関係もしくは性的関係を持った段階で、その人は夫婦の権利を害してしまったとされるのです。

浮気相手と肉体関係を持ってしまった段階で、それは法律上の「不貞行為」であると判断できます。

以下のようなケースに当てはまる場合は、不貞行為であると主張可能です。

  • 不貞行為の現場に居合わせた
  • 不貞行為に及んでいる写真や動画の証拠がある
  • ラブホテルに出入りしている証拠がある

上記のように、明らかに不貞行為に及んだと証明できる場合は、慰謝料請求が認められます。

不貞行為については、「不貞行為とはどこから?|不倫を一瞬で判断するチェックリスト公開」の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

浮気する前までは夫婦関係は破綻していなかった

今まで夫婦関係は破綻していなかったけれど、浮気が原因で夫婦関係が破綻してしまった場合は、相手に慰謝料を請求できます。

なぜなら、浮気が原因で家庭内別居・夫婦関係悪化してしまった段階で、あなたが精神的苦痛を強いられていると判断できるからです。

今まで良好な関係だった配偶者が、ある日急に態度が急変してしまい夫婦関係が悪化してしまうというケースも少なくありません。

以下のようなケースに当てはまる場合は、不貞行為であると主張可能です。

  • 理由もなく急にセックスレスになった
  • 子供とは会話するが、パートナーに対しては会話しなくなった
  • 帰宅時間が遅くなり家で顔を合わせなくなった
  • ある日急に別居を言い渡された

浮気がはじまった時期と、夫婦関係が悪化した時期が重なっている場合は、不貞行為が夫婦関係に影響を与えたと判断できるのです。

相手が「既婚者である」と知ったうえで関係を続けていた

浮気相手自身が「既婚者と浮気している」と自覚していた場合は、被害者が浮気相手に慰謝料請求可能です。

相手が既婚者だと認識している、もしくは既婚者だと気づけた状況だった場合は、「故意・過失」があると見なされます。

浮気相手の「故意・過失」とは
故意 相手が既婚者だと知っていたと判断されるケース

  • 同じ会社の同僚である
  • 夫婦共通の知人である
  • マッチングアプリで「既婚者」と知りながら出会った
過失 相手が既婚者だと気づけた状況にあると判断されるケース

  • 週末や深夜しか連絡をとっていない
  • 結婚指輪は外しているが日焼けあとが目立っていた
  • クリスマスやGWなどの休日は会っていなかった

相手が既婚者だと知りながらも関係を続けていた場合は、「家庭・夫婦関係を壊すつもりで浮気や不倫をしている」のと同等なのです。

「既婚者だなんて聞いてなかった」と主張しても、既婚者だと気づけた状況があったと客観的に判断できれば、浮気相手にも過失があります。

配偶者だけではなく浮気相手にも慰謝料を請求したい方は、浮気相手が既婚者だと知っていたかどうかを調べておきましょう。

不貞行為を証明できる証拠がある

配偶者が「不貞行為に及んだ」という証拠がある場合、より慰謝料請求がしやすくなります。

不貞行為を裏付けられるのは、主に以下のような証拠です。

不貞行為を裏付けるのに有効な証拠
  • 不貞行為に及んだことがわかる写真や動画
  • 配偶者と浮気相手の会話録音データ
  • メール・LINE・SNSなどのメッセージ履歴
  • ラブホテル利用などのレシートやクレジットカード明細
  • 浮気を認めた念書や会話録音データ
  • 興信所や探偵の調査報告書

万が一、浮気・不倫による慰謝料請求が話し合いでまとまらない場合は、裁判をとおして慰謝料請求をすることになります。

そのため、「誰がみても不貞行為に及んでいることは明らかである」と判断できるような証拠を集めることが、何よりも重要になってきます。

浮気や不倫の証拠がないと不安を感じている方は、この記事の後半「浮気・不倫の慰謝料を請求するなら証拠集めが何よりも重要!」を参考にしてみてください。

不貞行為が発覚してから3年以内である

浮気や不倫は不法行為にあたいするため、3年もしくは20年が経過すると、慰謝料を請求できる権利が消滅してしまいます。

不法行為による損賠償請求権の消滅時効【民法第724条】

  1. 被害者または法定代理人が不法行為による損害及び加害者を知った時から3年(消滅時効)
  2. 不法行為がはじまった時から20年(除斥期間)

この法律をみると、消滅時効が20年間もあるからいつでも慰謝料請求できると勘違いしてしまいがちです。

しかし実際は、配偶者と浮気相手で以下のように時効が変わるので注意しましょう。

配偶者に請求する場合の時効
配偶者に浮気の慰謝料を請求 不貞行為が発覚した日から3年
配偶者の不貞行為に気づかず、年数が経ってから過去の不貞行為が発覚して慰謝料を請求 不貞行為があった日から20年以内
配偶者の不貞行為が原因で離婚する際の慰謝料請求 離婚した日から3年
浮気相手に請求する場合の時効
不貞行為も浮気相手も特定できている状態で慰謝料を請求 不貞行為と浮気相手が発覚した日から3年

慰謝料請求は、配偶者と浮気相手どちらに請求する場合でも原則として「あなたが浮気・不倫を知って(発覚)から3年間」と考えるのが妥当です。

過去の浮気が発覚して慰謝料を請求したい場合は、過去の不貞行為が起きた日から20年以内であれば、慰謝料を請求できます。

ただし不貞行為が起きた日から20年を1日でも超えてしまった場合は、以降の慰謝料請求はできません。

慰謝料請求の時効

このように浮気・不倫による慰謝料請求の時効は、素人ではなかなか判断が難しいのが実情です。

まずは、いつから慰謝料の消滅時効3年間が計算されるのかを覚えておきましょう。

慰謝料の消滅時効起算点とは

「浮気・不倫の発覚と相手を知った日」とは、単純にあなたが配偶者の浮気に気づいた日ではありません。

  • 不貞行為(肉体関係)に及んだと証明できる証拠写真や動画が撮れた日
  • 実際に不貞行為に及んでいる現場に居合わせた日

あくまでも、法的に不貞行為にあると判断できた日が起点日に該当します。

3年間という時間は、予想以上に短いものです。

慰謝料請求の準備を進めていくとあっという間に過ぎてしまうので、慰謝料請求は3年以内に行うべきだと覚えておきましょう。

浮気・不倫による慰謝料を請求できないケース

浮気・不倫による慰謝料を請求できないケース

不貞行為によって辛い思いを強いられてきたあなたには、相手に対して慰謝料を請求する権利があります。

しかし、以下のケースに当てはまる場合は、浮気による慰謝料を請求できない可能性があるので注意が必要です。

浮気・不倫による慰謝料を請求できないケース
  • 浮気に関係なくすでに夫婦関係が破綻していた
  • 浮気相手に故意または過失がない
  • 配偶者が不貞関係を強要していた
  • 慰謝料請求の時効が過ぎてしまった
  • 不貞行為の証拠がない

慰謝料請求ができずに悔しい思いをしないためにも、事前に浮気による慰謝料が請求できないケースについても把握しておきましょう。

浮気に関係なくすでに夫婦関係が破綻していた

浮気・不倫行為をする以前からお互いの夫婦関係が破綻していたと判断できる場合は、慰謝料請求はできません。

夫婦関係が破綻していると判断されるケース
  • 以前から離婚について話し合いをしていた
  • 別居していた
  • 長期にわたり家庭内別居状態だった
  • 年単位でセックスレスである

上記のケースに当てはまる場合、一般的には夫婦関係はすでに破綻している判断されます。

夫婦関係破綻の原因が浮気や不倫でない場合は、あなたが浮気や不倫によって精神的苦痛を負ったとは判断されません。

そのため、たとえ配偶者が浮気や不倫をしていたとしても、慰謝料を請求できないのです。

浮気相手に故意または過失がない

浮気相手に慰謝料を請求したい場合は、浮気相手の故意又は過失の有無が重要です。

浮気相手自身が、相手が既婚者だと知らずに関係を続けてしまっていた場合は、その行為に過失はなかったと判断されます。

以下のケースでは、故意・過失はないと判断され慰謝料請求が拒否されるかもしれません。

  • 独身者限定の婚活パーティーで、独身だと偽った配偶者と出会い交際に発展した。相手が既婚者であることを一貫して隠していたため、浮気相手は独身だと信じきっていた。
  • 既婚者だと知らずにマッチングアプリで出会った。交際の末、結婚を前提として両親と顔合わせを済ませていたため独身を疑う余地がなかった。
  • 配偶者自身が、結婚の有無だけでなく氏名・住所・職業・電話番号などすべてを偽って関係を続けていた。そのため、浮気相手に故意や過失はなく騙されたと同等である。

上記のように、既婚者であることを隠したうえで、浮気相手を騙している悪質なケースもあります。

たとえあなたが被害を被った側だとしても、浮気相手に非がないため慰謝料は請求できないのです。

もちろん、浮気相手が嘘をついて「既婚者だと知らなかった」と主張する可能性も否定できません。

浮気相手に本当に故意・過失がなかったのかを確認するためにも、客観的に判断できる弁護士のような専門家を活用しましょう。

配偶者が不貞関係を強要していた

配偶者が相手に対して不貞行為を強要していた場合、浮気相手に対して慰謝料請求はできません。

なぜなら、相手が合意しないまま性行為に及んでいる関係は不貞行為とは認められないからです。

浮気相手が配偶者と関係を続けていた理由が、暴行・脅迫によるものであれば、浮気相手自身の故意・過失ではありません。

例えば、以下のようなケースが考えられます。

  • 会社の上司に性行為を強要された
  • 既婚者とわかり別れようとしたら、家族にばらすと脅されて関係継続させられた
  • 暴行するふりをされ、恐怖を感じて性行為に応じた

浮気相手と配偶者の関係性が上記のようなケースは、不貞行為ではなく配偶者による犯罪行為です。そのため、浮気相手には慰謝料を請求できません。

しかし、配偶者が意図して夫婦関係を破綻させていることには違いないため、配偶者に対する慰謝料請求は可能です。

慰謝料請求の時効が過ぎてしまった

不貞行為が発覚してから3年以内である」でも解説しているように、浮気や不倫による慰謝料請求には、請求できる時効が定められています。

そのため、法律で決められた時効までに慰謝料請求を行わなければ、請求できる権利を失ってしまうのです。

  • 不貞行為の事実及び、浮気・不倫相手を特定した日から3年
  • 不貞行為が行われた日から20年

たとえば、以下のようなケースでは慰謝料請求の権利は消滅したと判断される可能性があります。

  • 配偶者が浮気している事実と浮気相手を知った日から、3年以上慰謝料請求を行わなかった場合
  • 配偶者が浮気している事実と浮気相手はわかっているが、証拠集めに時間がかかってしまい慰謝料請求する前に3年を過ぎてしまった場合
  • 配偶者が浮気している事実はわかっているが、浮気相手がわからないまま時間が過ぎてしまい不貞関係がはじまったとわかる日から20年が経過してしまった場合

あなたが不貞行為の事実を知っているにもかかわらず、慰謝料請求の手続きを3年以内に行わなかった場合は、慰謝料の請求はできなくなってしまします。

配偶者や浮気相手が「3年以上前の浮気だから、もう時効だ」と主張した場合でも、諦める必要はありません。

なぜなら、あくまでも慰謝料請求の時効は、「あなたが浮気・不倫の事実に気づき、なおかつ浮気相手を特定できた日」から計算されるからです。

例えば以下のようなイメージで、考えてみましょう。

過去の不倫・浮気でも慰謝料請求できるケース

  • 2018年2月から配偶者が不倫した
  • 2020年12月にあなたが不倫に気づいたが、不倫相手は特定できなかった
  • 2021年6月に不倫相手を特定できたが「昔の話で3年経つので時効だ」と突き返された

このケースでの慰謝料請求の消滅時効は、2024年6月までとなる!

このように慰謝料請求の時効は、あなたが不貞行為の事実と浮気相手を知った日から3年間なのです。

もしもあなたが「しっかりと証拠を集めるまで慰謝料請求はしない」と考えている場合は、この消滅時効を念頭に入れて行動していかなければ、時効が来て慰謝料請求自体ができなくなってしまうかもしれません。

不貞行為の証拠がない

浮気や不倫による不貞行為の証拠がなく、被害を受けたことを証明できない場合は慰謝料を請求できません。

慰謝料請求に有効とされる証拠は以下の通りです。

浮気・不倫による慰謝料を請求できる証拠
  • 配偶者と浮気相手の肉体関係を証明できるもの
  • 配偶者と浮気相手の顔、関係性がはっきりとわかるもの
  • 客観的にみて誰ものが、2人が浮気・不倫関係にいることがわかるもの
  • 適切な方法で集められた違法性のないもの

浮気や不倫の証拠を集めたとしても、上記の条件を満たしていなければ有効な証拠として提示できません。

証拠集めに必死になるあまり、違法な方法で証拠を集めてしまうケースもあります。

違法だと認められてしまうと、証拠が使えなくなってしまうだけでなく、あなた自身も訴えられてしまう可能性もあるのです。

記事後半の「浮気・不倫の慰謝料を請求するなら証拠集めが何よりも重要!」では、具体的に慰謝料請求を可能にする証拠について、条件と集め方を解説していくので参考にしてみてくださいね。

浮気・不倫による慰謝料の請求相手

浮気・不倫による慰謝料の請求相手

浮気によってあなたが感じている精神的苦痛に対して、相手に慰謝料を請求できるか否かが、少しずつわかって来たかと思います。

慰謝料を請求できる可能性がある方は、次に「誰に」慰謝料を請求するのか考えなければいけません。

浮気や不倫の末の不貞行為に対する慰謝料請求は、当事者である配偶者に責任があるため両者に請求できます。

一般的な、慰謝料請求の請求相手は以下の3パターンです。

浮気・不倫による慰謝料の請求相手
配偶者と浮気相手の両者に請求 浮気や不倫が原因で離婚(別居)する場合
配偶者のみに請求 浮気や不倫が原因で離婚(別居)するが、浮気相手を特定できていない場合
浮気相手のみに請求 離婚(別居)せずに配偶者と関係を修復していくため、配偶者からは慰謝料を取らずに浮気相手のみに請求する場合

今回は慰謝料を請求する側を妻として、配偶者が夫、浮気相手が女性の場合だと仮定して、それぞれのパターンについて解説していきます。

配偶者と浮気相手の両者に請求

配偶者と浮気相手の両者に請求

夫婦関係が破綻して離婚する場合は、浮気をした配偶者と浮気相手それぞれに慰謝料請求するケースがほとんどです。

離婚や別居に至る場合は、その原因である不貞行為を行った両者それぞれに慰謝料を請求できます。

ただし、不貞行為に対して発生する慰謝料の合計金額を双方で支払うのであって、二重取りはできません。

どちらにいくらの慰謝料を請求するのかは、あなたが自由に決めることができます。

配偶者のみに請求

偶者のみに請求

配偶者に浮気・不倫をされてしまい離婚(別居)することになったけれど、浮気相手が特定できなかったという場合は、配偶者のみに慰謝料を請求することになります。

浮気相手にも非があると感じるのは当たり前ですが、状況によっては配偶者のみにしか慰謝料請求できない場合もあるのです。

  • 配偶者が浮気相手をかばって、慰謝料の全額を支払うと言っている
  • どんなに調べても浮気相手を特定できない
  • 浮気相手自身も「独身」だと信じていたため過失がないと判断された

このようなケースでは、発生した慰謝料の全額を配偶者に請求することになります。

浮気相手のみに請求する

浮気相手のみに請求する

浮気や不倫で夫婦関係が悪化してしまったけれど、小さい子供もいるので夫婦関係を修復していくことになったという人もいることでしょう。

その場合は配偶者には慰謝料を請求せず、浮気相手のみに慰謝料を請求する場合がほとんどです。

なぜなら、配偶者から慰謝料をとってしまうと、これからの家計に負担がかかってしまうと考えられます。そのため、配偶者ではなく浮気相手のみに慰謝料を請求するのです。

このケースでは、「求償権」に注意しておかなければいけません。

求償権とは

共同不法行為を行った当事者(浮気をした2人)のどちらかが、自身が負うべき責任部分を超えて慰謝料の支払いを行った場合、もう一方に超過分の金銭を請求できること

本来であれば、浮気や不倫による慰謝料の責任は、浮気をした配偶者と浮気相手の2人にあります。

一方のみに慰謝料請求が行われた場合は、慰謝料を支払った浮気相手が「本当であれば2人で支払うべき慰謝料を全額支払った。あなたが本来払うべきだった金額を、私に支払ってください」という求償権による請求を行えるのです。

求償権

浮気相手から適切な慰謝料を取れたにもかかわらず、求償権を行使されてしまうと、浮気相手に対してお金を支払わなくてはいけなくなります。

浮気相手のみに慰謝料を請求しようと考えている場合は、事前に「浮気相手が配偶者に対する求償権を放棄する」という約束をかわしておきましょう。

浮気・不倫による慰謝料の相場

浮気・不倫による慰謝料の相場

不貞行為をした2人に慰謝料を請求できることはわかったけれど、いくらの慰謝料が請求できるのか気になるところではないでしょうか。

一般的な浮気や不倫による慰謝料相場は、50〜300万円とされています。

慰謝料相場は、不貞行為の程度や不貞行為が引き起こした結果などによって、以下のように変わるのです。

離婚しない場合 50〜100万
浮気が原因で別居に至った場合 100〜150万円
気が原因で離婚に至った場合 100〜300万円

出典:【39の判例付】浮気の慰謝料相場と損する未来を回避する完全ガイド

一般的には、離婚や別居しない場合は、慰謝料の金額も安くなる傾向があります。

別居・離婚した場合のように、あなたが受けた被害が大きくなるほど慰謝料の金額は高くなると覚えておきましょう。

ただし、この慰謝料相場はあくまでも一例であり、必ずしもこの金額に収まるわけではありません。

なぜなら、夫婦の事情や浮気の程度はさまざまで、それぞれのケースによって慰謝料の金額も変動するからです。

浮気や不倫による慰謝料の金額は、主に以下のような要因を基準として算定されます。

代表的な慰謝料の算定基準
身分関係
  • 夫婦それぞれの年齢
  • 婚姻期間
  • 子の年齢と養育状況
  • 夫婦それぞれの収入
  • 夫婦それぞれの資産
夫婦関係
  • 婚姻・内縁・婚約関係の有無
  • 夫婦関係が円満であったかどうか
  • 同居もしくは別居していたか
不貞行為
  • 不貞関係がはじまった経緯
  • 「家庭がある」と浮気相手に告げたかどうか
  • 不貞行為の回数・期間
  • 不貞行為においてどちらが主導的であったか
  • 配偶者と浮気相手間の子どもの有無
  • 不貞行為が発覚してからの態度と謝罪の有無
不貞行為が与えた影響
  • 離婚の有無
  • 別居の有無
  • 子の親権

参考:中里和伸著,『判例による不貞慰謝料請求の実務』, LABO, 2020年, P165

慰謝料の金額は上記のように、夫婦それぞれのケースに合わせて計算されています。

そのため、あなたが請求できる適切な慰謝料額を算出するためには、一般的な相場価格だけではなく状況と要因を適切に判断する必要があるのです。

浮気・不倫の慰謝料をより高く請求するためのチェックリスト

浮気・不倫の慰謝料をより高く請求するためのチェックリスト

配偶者に裏切られあなたが負った精神的苦痛は、配偶者や浮気相手はおろか、他の人には感じることはできません。

精神的苦痛を与えた当事者に対して「少しでも高額の慰謝料を請求して相手に償わせたい」と考える方もいることでしょう。

前述しているように、浮気や不倫による慰謝料の金額はそれぞれのケースによって変動しています。

以下のチェックリストを活用して、あなたの現在の状況が慰謝料をより高く請求できる可能性があるのかを調べてみてください。

慰謝料を高く請求するためのチェックリスト
婚姻期間が長かった
夫婦の間に幼い子どもがいる
不貞関係(浮気・不倫)である期間が長い
不貞行為に及んだ回数が多い
相手が既婚者であると知りながら、浮気相手が執拗に迫って不貞関係になった
配偶者が浮気相手に対して高額な経済的支援を行っていた
あなたが不在中の自宅で不貞行為に及んでいた
不貞行為が原因で精神疾患を患った
配偶者と浮気相手の間に子どもができた
浮気相手が家族に対して悪質な行動をとってくる
浮気相手が謝罪しない
不貞行為が原因で別居・離婚することになった

上記のチェックリストで当てはまる項目が多い人ほど、より高い慰謝料を請求できる可能性があります。

浮気や不倫による慰謝料を、より高い金額で請求できる条件や実例については「【39の判例付】浮気の慰謝料相場と損する未来を回避する完全ガイド」で具体的に解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

浮気・不倫の慰謝料を請求するなら証拠集めが何よりも重要!

浮気・不倫の慰謝料を請求するなら証拠集めが何よりも重要!

浮気や不倫による慰謝料請求は、さまざまな要因で請求できるかどうかが決まるということが理解できたのではないでしょうか。

不貞行為の慰謝料請求で何より重要なのが、不貞行為を裏付けられる証拠です。

証拠なしに不貞行為に対して慰謝料を請求してしまうと、「そんなことはない」や「見間違いでは?」というようにシラを切られてしまいます。

相手に逃げ道を与えないためには、不貞行為を裏付けられる有効な証拠が必要です。

慰謝料を請求するために必要な証拠リスト
浮気・不倫を証明できる証拠
  • 写真や動画
  • 会話録音データ
  • GPSや交通機関の移動履歴
  • メール・LINE・SNSなどの履歴
  • レシートやクレジットカードの明細
  • 浮気を認めた念書や録音データ
  • 興信所や探偵事務所の調査報告書
あなたが受けた被害の証拠
  • 精神疾患や病気の診断書
  • カウンセリングを受けた領収書
  • 浮気が原因で退職した場合の証明
  • 辛い気持ちや状況を具体的に記した日記

不貞行為を裏付ける証拠が不足していると、慰謝料請求ができなくなってしまうかもしれません。

請求額が減額されるケースもあるので、後悔しないためにも慰謝料請求に有効となる証拠について覚えておきましょう。

証拠の日付の証明方法について

日記や写真は、「写真がいつから存在するのか」を公的に証明してもらえる「確定日付」をもらっておくことを推奨します。

詳しくは、日本公証人連合会HP内の「確定日付」のページをご確認ください。

確定日付の手続きは、全国約300カ所にある「公証役場」で行うことができます。

【浮気・不倫の証拠】不貞行為を証明できるもの

浮気や不倫の慰謝料請求には、不貞行為を裏付ける証拠が必ず必要になってくるということを、繰り返しお話してきました。

具体的には、大きく分けて以下ものが慰謝料請求に有効な証拠となります。

  • 写真や動画
  • 会話録音データ
  • GPSや交通機関の移動履歴
  • メール・LINE・SNSなどの履歴
  • レシートやクレジットカードの明細
  • 浮気を認めた念書や録音データ

それぞれの証拠について、具体的に解説していきます。

写真や動画

不貞行為を裏付けられる一番有効な証拠は、肉体関係を持っていることがわかる写真や動画です。

具体的には、以下のような写真や動画が証拠として有効になります。

証拠になる写真や動画
  • 性行為をしている最中
  • 前戯や口淫、もしくは裸で抱き合っている
  • ラブホテルに出入りしている
  • 浮気相手の自宅に出入りしている

実際に性行為をしているとわかる写真や動画があれば、直接的な証拠になるため不貞行為の言い逃れはできません。

写真や動画に撮影日がわかるように日時や時間が表示されている、もしくは腕時計やスマホの画面も一緒に撮影することで、行為に及んだ日を証明可能です。

より言い逃れできない証拠を掴むためにも、時系列や日時がわかるように撮影することを覚えておいてください。

これから証拠を集めるために自分で撮影しようと考えている方は、以下の点にも注意しておきましょう。

POINT!

証拠として一番有効なのが写真・動画ですが、以下のように撮影するタイミングや状態によって、証拠として取り扱えない場合もあるので注意しましょう。

  • 手を繋いでいる・キスをしているなどの、肉体関係を持ったか判断できない
  • シティホテルなど、ラブホテル以外に入っていく瞬間
  • 顔が鮮明に映っていない
  • 撮影日時がわからない
  • 画像加工された可能性がある

上記のような写真や動画だけでは、2人が肉体関係を持ったと言い切るには不十分です。

証拠としての写真や動画を撮影する際には、「肉体関係を持っている」ことを第三者でも理解できるような状況で撮影するようにしましょう。

録音データ

実際に性行為(性類似行為も含む)をしている音声や、肉体関係を持ったことが分かる会話録音データも証拠として利用できます。

具体的には、以下のような録音データが証拠として利用可能です。

証拠になる録音データ
  • 自宅で性行為に及んでいる音声
  • 家族で利用している車で性行為している音声
  • 性行為したことがわかる浮気相手との音声(性行為の具体的な内容など)

配偶者と浮気相手の会話を録音するためには、性行為の音声もしくは性行為の具体的な内容について会話している音声を、録音しなければいけません。

ボイスレコーダーなどの器具をこっそり設置するのは、素人には難しいのが実情です。

基本的には、法的に違法とされない、自宅や自家用車に録音器具を設置するようにしましょう。

POINT!

行為中の音声や会話を録音する際には、収集方法が法律に触れているとして証拠として認められない可能性があるので注意しましょう。

  • 浮気相手の自宅や車に録音器具を設置する
  • 別居中の配偶者の家に侵入して録音器具を設置する
  • 配偶者の持ち物や、部屋の家具に勝手に穴を開けて録音器具を仕込む

録音データは、写真や動画に比べると証拠としては弱いのが実情です。

そのため、録音データだけを証拠として慰謝料請求をするのではなく、他の証拠とあわせて提示できるように用意しておくのがおすすめです。

GPSや交通機関の移動履歴

スマホやカーナビのGPSや、電車の移動履歴なども他の証拠組み合わせることで、不貞行為に及んだ場所を裏付ける証拠として認められます。

主に、以下のような方法で集めた移動履歴が有効です。

証拠になるGPSなどの移動履歴
  • あなたのスマホGPS機能で調べた移動履歴
  • 自家用車のカーナビで調べられる移動履歴
  • 電車の利用履歴

配偶者がどのような行動をしているのか調べるためには、GPS機能を活用するのが効果的です。ただし、違法にならない方法で調べなければいけません。

おすすめの方法は、あなたのスマホのGPS機能をONにした状態で、自家用車に隠しておく方法です。

また、夫婦の所有物である自家用車であればドライブレコーダーやカーナビの履歴を調べることで、証拠を集められる可能性があるのです。

POINT!

配偶者の行動履歴を調べる際には、以下の点に意識して「どこに行って、何時間滞在していたのか」を調べてみましょう。

  • ラブホテルの駐車場に車を停めている
  • 通勤では使用しない最寄駅周辺に長時間駐車している
  • 終電で浮気相手の最寄駅で下車している

このように、配偶者がどのように移動して、何時間滞在しているのかをGPS履歴から調べることができます。

たとえ「その時間は会社にいたから勘違いだ」と相手が主張したとしても、このような複数の証拠を組み合わせることで、不貞行為を裏付けられるのです。

メール・LINE・SNSなどのメッセージ履歴

最近では、配偶者やパートナーのメール・LINE・SNSのDMなどやり取りを偶然見てしまい、浮気や不倫が発覚したというケースも増えています。

具体的には、以下のようなやり取りが確認できれば、証拠として取り扱うことが可能になります。

メール・LINE・SNSで証拠になる履歴
  • 性行為の様子を撮影した動画や画像を送り合っている
  • 裸で抱き合っている様子を撮影した画像を送付している
  • 待ち合わせのやり取りにラブホテルの名称を出している
  • 「あなたとのセックスが今まで一番よかった」「気持ちよかった」というように、具体的な性行為の内容についてやり取りをしている

誰が見ても不貞行為に及んだことが分かるメッセージ履歴があれば、肉体関係をもったことの言い逃れはできないので、慰謝料の証拠として有効なのです。

直接的に性行為に結びつくメッセージ履歴が無い場合でも、2人がどちらかの自宅やホテルに泊まった日程や、旅行に行った証拠などを調べることができます。

メッセージの履歴は、行動を裏付ける証拠にもなるため、送受信日時も重要です。

メッセージ履歴を他の証拠と照らし合わせることで、不貞行為を裏付けられる可能性もあるので、可能な限りたくさんの証拠を集めておきましょう。

POINT!

性行為に及んだと明確に判断できないメッセージには、以下のようなものがあります。

  • 「昨日はたくさん愛してくれてありがとう」や「君との時間は最高だった」では性行為に及んだか判断できない
  • 「君の体は素敵だった」など体を褒める言葉だけでは、外見を褒めているだけだと言い切れてしまう

浮気や不貞行為で辛い思いをしていると、どのようなメッセージ履歴も浮気や不倫の証明になるはずだと思いがちです。

しかし現実では、直接不貞行為につながるものでなければ証拠としては取り扱えないので注意しましょう。

メッセージ履歴を証拠として取り扱いたい場合は、スマホの画面を写真撮影して保存しておくのが、最適な方法です。

メッセージを印刷したり、コピペして保存する方法もありますが、簡単に偽証できてしまうので証拠として弱くなってしまいます。

LINEやSNSのメッセージ履歴に不貞行為を裏付ける証拠があった場合は、メッセージの送受信日と内容が一言一句わかるように、相手のスマホ画面を撮影するのが得策です。

レシートやクレジットカードの明細

不貞行為に及んだと分かる、レシート(領収書)やクレジットカードの明細でも不貞行為を証明できる場合があります。

証拠になるレシートや明細書など
  • ラブホテルの領収書
  • シティホテルやビジネスホテルの領収書・明細書
  • ラブホテルのサービス券・会員証・ライターなど
  • ラブホテルを利用したことが分かるクレジットカード明細書

配偶者の洋服やカバンのポケットに、ラブホテルなどで休憩・宿泊したことが分かるレシートや領収書が残っていたというケースもあるでしょう。

もしもホテルの支払いを現金ではなくクレジットカードで支払っていた場合は、クレジットカード明細に利用歴が記載されます。

レシートやクレジットカード明細に「◯月◯日 〇〇ラブホテル」というように、ラブホテルの名称と支払日が掲載されていた場合は、誰かとラブホテルを利用していたことが分かるのです。

POINT!

クレジットカード明細に記載される名称は、ラブホテル利用がばれないように考慮されている場合があります。

  • 〇〇商事
  • 〇〇株式会社
  • 〇〇レジャーサービス
  • 個人名義

少しでも怪しい名称を見つけた場合は、何の名義なのかをインターネットなどで調べてみましょう。

もちろんレシートやクレジットカード明細だけでは、不貞行為を強く裏付ける証拠にはなりません。

なぜなら、レシートや明細書では「ラブホテルを利用した」という証明はできますが、「誰と」利用したのかはわからないからです。

しかし、配偶者が誰かとラブホテルに行ったという証拠として利用できるので、そこから問い詰めて浮気相手を特定できる可能性もると覚えておきましょう。

浮気を認めた念書や録音データ

配偶者やパートナーがすでに浮気や不倫による不貞行為を認めている場合は、その内容を念書として残しておきましょう。

話し合いの段階で、配偶者や浮気相手が不貞行為の事実を認めた場合は、その後の口裏合わせを防ぐためにもすぐに念書を作成するのがおすすめです。

証拠となる不貞行為の事実を認めた念書や録音データ
  • 必要な項目を記載した自筆の念書
  • 配偶者や浮気相手それぞれの署名と捺印のある念書
  • 話し合いの様子を一部始終記録した録音データ

念書自体には法的な効力はないものの、当事者が不貞行為の事実を認めているということを証明する証拠にはなります。

とくにパソコンで作成した念書ではなく、自筆の念書を作成すると「自筆したことで本人の合意の上作成されたことがわかる」と判断できるのです。

実際の判例では、「1,000万円の慰謝料を同月末までに支払う」と合意したうえで作成された手書きの念書があったことで、減額の余地なく1,000万円の慰謝料が認められたケースがあります。

このケースでは、「手書きの念書は丁寧に書かれているわけではないが、脅迫されたわけではなく合意しているとみなす」と判断されたのです。

相手が浮気を認めている念書や録音データは、不貞行為を裏付ける力強い証拠として認められています。

興信所や探偵の調査報告書

配偶者やパートナーが浮気をしていることは分かっているが、ここまで紹介されてきた証拠を自分で集める自信がないという方もいます。

そのような方は、「自分でなんとかしよう」とこだわるのではなく興信所や探偵などのプロの力を借りるのがおすすめです。

証拠として有力な調査報告書
  • 時系列別にわかりやすく記載されている
  • 対象者の顔がはっきりと映っている
  • 曖昧な表現を使っていない

興信所や探偵の調査報告書は、他の証拠と組み合わせれば、不貞行為の事実を裏付ける有力な証拠のひとつです。

しかし、興信所や探偵事務所によっては、調査のスキルが不足していて充分な報告書をあげられない場合もあります。

POINT!

探偵事務所などを選ぶ際には、以下の点が費用だけでなく報告書のサンプルもあわせて確認しておくのがおすすめです。具体的には、以下のような点がしっかりとしているか確認しておきましょう。

  • 不貞行為がはっきりとわかる
  • 証拠写真は撮影日・撮影時間がわかる
  • 報告書は時系列で整理され読みやすい
  • 現場の地図情報なども添付されている
  • 曖昧な表現を使っていない
  • 主観ではなく客観的な目線で報告書を作成している

自分では証拠を集められないという方は、プロである興信所や探偵に依頼するべきです。

信頼できる興信所や探偵を選ぶためには、証拠として有効な報告書を作成できるのかも考慮しましょう。

【精神的苦痛の証拠】精神的苦痛の度合いを証明できるもの

浮気による慰謝料請求に必要なのは、不貞行為の証拠だけではありません。

不貞行為が原因で、あなたがどれだけの精神的苦痛を負ったのかを証明する証拠も必要です。

具体的には、以下のようなものがあれば証拠として提示できます。

  • 精神疾患や病気の診断書
  • カウンセリングや通院に伴う領収書
  • 浮気されて辛い気持ちや状況を記した日記

必ずしも、これらの証拠がなければ慰謝料請求ができないというわけではありません。

しかし、あなたが受けた精神的苦痛の度合いを証明することができれば、より高い慰謝料を相手に請求できる可能性があるのです。

精神疾患や病気の診断書

配偶者の不貞行為により、強い精神的苦痛を負い続けたことで、精神疾患や身体的な病気を発症してしまう方も少なくありません。

病院の診断を受けた方は、病院が出してくれる診断書を証拠として利用できます。

精神的苦痛を受けたことを証明できる症状の例
  • 急性胃腸炎など
  • 不眠症
  • うつ病
  • PTSD(心的障害後ストレス)

病院からの診断書には、病気の度合いや原因と思われるストレス、診断日などが記載されています。

そのため、恥ずかしいと思わずに「不貞行為が原因でストレスを感じている」というように伝えておきましょう。

診断書と不貞行為の証拠を照らし合わせることで、不貞行為が直接的に病気に影響していると判断できるのです。

カウンセリングや通院に伴う領収書

精神的苦痛が原因で何かしらの病気になってしまった場合は、それに伴って発生した費用の領収書も証拠となります。

証拠として保管しておきたい領収書等
  • 通院のための交通費
  • 治療費
  • 入院費
  • 定期的に通っているカウンセリングの領収書

発生した支払いのすべてを慰謝料として請求できるわけではありませんが、不貞行為との因果関係が証明できれば慰謝料請求の証拠として有効になります。

浮気されて辛い気持ちや状況を記した日記

配偶者に浮気されて感じた辛い気持ちや、日々の状況を詳しく書いた日記も証拠として取り扱える可能性があります。

「日記を他人に見せるのは恥ずかしい」と感じる方がほとんどでしょう。ましてや、辛い気持ちを綴っているならなおさらです。

しかし、状況を具体的に書いている日記ほど、あなたの精神的苦痛を判断できる証拠になり得ます。

日記を証拠として取り扱える例
  • 配偶者に浮気・不倫の疑惑を持ち始めた正確な日付
  • 配偶者が不在がちになったことで不安を感じるようになった頻度
  • 夫婦関係が悪化していき結果、精神的苦痛を感じるようになった経緯
  • 浮気や不倫が発覚したことで、あなたや子どもに起きた変化

上記のように、より具体的に日付や状況、配偶者がとった行動や言動を書いている日記は、不貞行為によってあなたが重大な精神的苦痛を強いられたことの立証に役立ちます。

日記のように日時が明確にわかる記録は、あなたが精神的苦痛を受けてきた頻度を証明してくれるのです。

毎日日記をつけており、浮気や不倫が発覚してからの様子を詳しく綴っている場合は、証拠として利用できると覚えておきましょう。

違法な方法で証拠集めをしないように注意!

浮気や不倫の証拠集めは、違法な方法で収集したと捉えられてしまい、以下の法律に違反したと判断される場合もあります。

  • プライバシー侵害
  • 不正アクセス禁止法
  • 住居侵入罪
  • ストーカー規制法

素人では証拠集めの違法性を判断できないため、探偵や弁護士などの専門官に相談するのが得策です。

浮気・不倫による慰謝料を請求するときの流れ

1 慰謝料の目安を調査
2 配偶者の場合:話し合いで慰謝料を請求
3 浮気相手の場合:内容証明郵便で慰謝料を請求
4 示談交渉・示談書作成
5 慰謝料に応じない場合は弁護士に相談

浮気や不倫による慰謝料請求をするためには、普段の生活をしながら証拠集めや手続きの準備を進めなければいけません。

慰謝料請求の手続きをスムーズに進めるためにも、慰謝料請求の流れを把握しておきましょう。

請求できる慰謝料の目安を調べる

まずは、配偶者と浮気相手に対していくらの慰謝料を請求するのかを決めなければいけません。

事前に調べておいた不貞行為の証拠を参考にしたうえで、あなたが受けた精神的苦痛の度合いに見合った慰謝料金額を請求することができます。

請求する慰謝料の金額を決める際には、以下の要素を参考にしてみましょう。

  • 一般的な慰謝料相場
  • 不貞行為の証拠で証明できる被害の度合い
  • あなたが請求できる慰謝料の最高額
  • 減額交渉された際に妥協できる慰謝料の最低目標額

相手に請求する慰謝料の金額は、あなたが自由に決めることができます。しかし、感情任せに高額すぎる慰謝料を請求してしまうと、交渉さえもせずに支払い拒否してくるかもしれません。

確実に慰謝料をとるためにも、ケースごとに違う適切な慰謝料金額の目安を調べておきましょう。

【39の判例付】浮気の慰謝料相場と損する未来を回避する完全ガイド」の記事では、より具体的に違う慰謝料相場を、実例を踏まえて解説しているので、参考にしてみてください。

離婚する場合は夫婦の資産も調べておこう

早い段階で、夫婦の共有資産・相手の資産状況・財産分与などの金額を減らす目的の財産隠しを防げます。

相手名義の銀行通帳や保険の契約書・明細書、不動産の登記簿などの資料を集めておき、「どこの会社に、誰の名義で登録しているのか」をいつでも調べられるようにしておきましょう。

財産分与の種類については、「【専業主婦だけど離婚したい】貧困生活に陥らない離婚成功術!財産分与の割合は」で解説しています。

【配偶者の場合】直接話し合いで慰謝料を請求

配偶者に慰謝料を請求する場合は、直接話し合いで慰謝料を請求することもできます。

直接の話し合いでは、以下の点に注意したうえで、感情的になりすぎないように話し合いを進めていきましょう。

直接話し合いの場で注意すべきこと
内容の記録 すべての話し合いの内容を録音できるようにしておき、後日「言った」「言ってない」でトラブルになる状況を回避する
証拠の提示 不貞行為を裏付ける証拠を見せる際には、事前に証拠のコピーをとっておき、証拠の破損・紛失をふせぐ
不貞行為の認否 不貞行為を認めさせたら、本人が認めたことを証明する念書や会話録音データを保管しておく
第三者をおく 感情的になってしまい話し合いがすすまない場合は、当事者のみではなく客観的な立場から判断できる第三者も一緒に話し合いを行う

浮気をされて辛い思いをしている方の中には、「配偶者と顔を合わせて話し合える自信がない」と不安を感じている方も少なくありません。

そのような方は無理して直接話し合いで解決しようとせず、書類・メール・電話もしくは浮気相手に請求するのと同じ方法で、ストレスを抑えてやり取りをするのがおすすめです。

【浮気相手の場合】内容証明郵便で慰謝料を請求

浮気相手に慰謝料を請求する場合は、内容証明郵便を使って書面で慰謝料を請求するのが一般的です。

内容証明郵便を使うことで、相手に書類が届いたことを証明でき、「慰謝料を請求されているなんて知らない」と言い逃れさせない状況を作れます。

さらに加えると、以下のような印象を与えられるというメリットもあるのです。

  • 本気で慰謝料をとろうという意思表示
  • 相手に心理的なプレッシャーを与える
  • 慰謝料請求の消滅時効を止められる

内容証明郵便は、自分名義で送付することもできますが、弁護士名義で送付も可能です。

弁護士名義で内容証明郵便を送付すると、受け取った相手にさらに思い心理的プレッシャーを与えられるため、交渉に対応してくれる可能性が高くなります。

示談交渉と示談書の作成

配偶者と浮気相手が不貞行為の事実を認めたら、最終的な慰謝料金額を決めるために示談交渉を進めていきます。

示談交渉をする際には、以下の点に注意しましょう。

示談交渉で気をつけたいポイント
  • 一度示談するとやり直しが効かない
  • 感情的になりすぎないように気をつける
  • 交渉がまとまらない場合は裁判する意志を伝えておく
  • 集めた証拠を全部見せず、必ずコピーを取っておく

示談交渉では、あなたの主張と請求金額、そして不貞行為を裏付ける証拠を提示する場合があります。

相手に証拠みせる場合は、あなたの手の内をすべて開示しないようにしましょう。万が一、話し合いの際に相手が感情的になってしまうと、証拠を奪われてしまう可能性があるからです。

証拠を失ってしまい、慰謝料請求が困難にならないためにも、必ずコピーを保管しておくのがおすすめです。

示談交渉がまとまったら、法的に有効と判断できる適切な示談書を作成する必要があります。適切な示談書には、主に以下のような内容を記載することが重要です。

示談書に記載すべき事項

  • 不貞行為の事実を認める
  • 慰謝料の金額・支払い方法・支払い期限
  • 慰謝料以外の誓約事項
  • 求償権の放置
  • 清算条項
  • 守秘義務条項
  • 双方の氏名と住所
  • 示談成立日

示談交渉を当事者のみで行おうとすると、感情的になってしまい交渉がなかなかまとまらなくなってしまう場合があります。

そのような場合には、客観的に状況を判断できる第三者に立ち会いのもとで示談交渉をするようにしましょう。

費用を抑えるために、示談交渉や示談書作成を自分でしようと考えている方は、「【不倫・浮気】慰謝料が決定した場合の示談書の作成方法と注意点」も参考にしてみてください。

慰謝料請求に応じない場合は弁護士に相談

もしも慰謝料請求相手である、配偶者や浮気相手が慰謝料の支払いに応じなかった場合は、すぐに弁護士に相談して適切な対処をとるべきです。

配偶者と浮気相手では、その後の対処法は変わってきます。

配偶者 婚姻費用・離婚慰謝料・財産分与・養育費など、配偶者に請求できるお金は慰謝料以外にもさまざまある。
浮気相手 浮気相手が慰謝料支払いに応じない場合は、減額・分割払い・訴訟・強制執行などの方法がとれる可能性がある。

どの方法で対処すべきかの判断は素人では難しいというのも実情です。場合によっては、訴訟を起こして裁判になることも想定していなければいけません。

慰謝料トラブルを早く解決するためには、「慰謝料支払ってくれない!どうしよう?」と1人で悩むのではなく、専門知識でしっかりとサポートしてくれる弁護士に相談すべきです。

浮気・不倫の慰謝料請求を弁護士に相談すべき4つの理由

浮気・不倫の慰謝料請求を弁護士に相談すべき4つの理由

慰謝料請求は自分で行うこともできますが、早い段階から弁護士に相談することで、効率よく確実に慰謝料を受け取れます。

慰謝料請求を弁護士に相談すべき理由は、以下の4つです。

  • 交渉がスムーズにすすめられる
  • より高額な慰謝料を請求できる可能性がある
  • 適切な示談で後日トラブルを回避できる
  • あなたの精神的苦痛を緩和できる

あなたが妥当な金額の慰謝料を受け取るまで、しっかりと寄り添ってサポートしてくれる弁護士のメリットについて解説していきます。

交渉がスムーズに進められる

配偶者や浮気相手に対しての慰謝料請求を弁護士に依頼すると、以降のすべての交渉を弁護士が代理人としておこなってくれます。

弁護士に交渉を任せることで、以下のようなケースでもスムーズに交渉が進められるのです。

弁護士に交渉を任せるメリット
  • 強気な態度の配偶者と浮気相手に言い負かされても諦める必要がない
  • 慰謝料を拒否していた浮気相手も交渉の席についてくれる
  • 法的に有効な証拠を集められるので言い逃れさせない
  • 相手が弁護士をたてた場合も適切に反論できる
  • いざという時は訴訟に踏み出せる

このように、法律のプロである弁護士という存在があるだけで、相手に心理的プレッシャーを与えられるため、交渉がまとまりやすくなるのです。

より高額な慰謝料を請求できる可能性があがる

慰謝料の相場を素人が判断するのは難しいのですが、弁護士であれば適切に判断したうえで、より高い慰謝料請求をします。

  • それぞれのケースによって違う慰謝料請求額
  • 高い慰謝料を請求するために必要な証拠集め
  • 減額交渉されても最終的に受け取れる最低目標額

弁護士は上記のように高額請求するための対処と、高額請求したうえで最終的にあなたの手元に残るお金を計算したうえで、可能な範囲の高額請求をサポートしてくれます。

適切な示談で後日トラブルを回避できる

当事者のみで示談交渉した場合、慰謝料の支払い後に新たなトラブルが発生しないとも言い切れません。

弁護士に示談交渉から示談書作成まで任せておけば、以下のような新たなトラブルを回避できます。

後日起こりうる新たなトラブルの例
  • 「やっぱり納得できない」と慰謝料支払いを拒否してくる
  • 分割にしていた慰謝料の支払いが滞る
  • 浮気相手が求償権を使って費用を請求してくる
  • 元配偶者や浮気相手が根に持って危害を与えてくる

自分で示談書を作成する場合には、作成した項目が本当に法的に有効な文章なのかを判断することはできません。

将来的な不安を解消しておく意味合いでも、弁護士に依頼して法的に有効となる示談書を作成しておくのがおすすめです。

あなたの精神的苦痛を緩和できる

弁護士への慰謝料請求の相談は、「相手から確実にお金を取れる」という点だけがメリットだと思われてしまうかもしれません。

もちろん、相手から慰謝料をとるために並走してくれるのが弁護士です。

しかしその前提には、弁護士自身が「あなたの辛い気持ちに寄り添ってくれる存在」であることを覚えておいてください。

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まとめ

浮気や不倫された場合の慰謝料について、慰謝料請求の可否や証拠の集め方、そして慰謝料請求の流れについて解説してきました。

慰謝料請求を考えはじめた方のTO DO LIST
  1. 慰謝料を請求できるのかフローチャートで確認する
  2. 高額慰謝料請求ができるのかチェックしておく
  3. 慰謝料請求に必要な証拠を集める
  4. 慰謝料を請求して交渉をはじめる

少しでも早く慰謝料を受け取るためにも、この記事で紹介してきた知識を活用してみてください。

もちろん、ご自身の力だけでは限界を感じている場合や相手と交渉するのが不安な方は、浮気や不倫による慰謝料請求に精通している弁護士への相談も検討してみてくださいね。

画像準備中
執筆者 代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会 登録番号45484
東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。
「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
得意分野
ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
プロフィール
京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設
書籍・論文
『スタートアップの法務ガイド』中央経済社
『スタートアップの人事労務ガイド』中央経済社

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