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投稿日: 更新日: 弁護士 宮地 政和

債務整理とは?種類別の特徴などの基礎知識をわかりやすく解説

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債務整理は、返済が不可能な額まで膨らんでしまった借金の返済で首が回らず、悩んでいる方を救済するための制度です。債務整理には、主に、任意整理、特定調停、個人再生、自己破産という4つの方法があり、それぞれにメリットやデメリットが存在します。ご自身の状況や希望に合う債務整理の方法を選ぶためには、それぞれの方法の特徴やメリット・デメリットを正しく理解することが大切です。
今回は、債務整理に関する基礎知識、債務整理のそれぞれの方法の特徴やメリット・デメリット、債務整理が生活や家族に与える影響などについて解説します。

債務整理に関する基礎知識

まずは債務整理の概要や種類など、基本的な内容について説明します。

1.債務整理とは

債務整理とは、借金の元本や将来発生する利息を減額し、借金返済の負担を軽くする制度です。
債務整理には裁判所を介す公的な手続によるものと、債務者や代理人の弁護士と債権者の間で行われる私的な手続によるものがあります。
債務整理は、債務者と債権者、双方の救済を目的としており、支払えない借金に悩む債務者が救済されるのはもちろんのこと、債権や利息を諦めることとなる債権者側の被害も考慮して手続が進められます。そのため、特に裁判所を通した公的な債務整理を行う際には、債権者に対して誠実に向き合い、契約通りに返済ができないことを反省している、という姿勢を示すことが大切です。

2.債務整理を検討するべきケース

「債務総額がいくらを超えたら債務整理をするべき」という明確な基準はありませんが、一般的には借金の総額が200万円以上、月々の返済額が10万円を超えているケースでは、債務整理を検討したほうがよいとされています。
債務整理をするか否かを判断する上で重要なのは収入と借入額、返済額のバランスです。毎月の収入から光熱費や食費、家賃などの生活費を引き、そこから更に返済額を引いた金額がマイナスになってしまうのであれば、家計が破綻している状態といえます。
また、毎月の返済額が収入の3分の1を超えている場合、借入と返済を繰り返す自転車操業の状態に陥っている可能性が高いと考えられます。
債務総額の多寡にかかわらず、新たな借入をしないと生活が維持できないという状況にある方は、債務整理を検討したほうがよいでしょう。

3.過払い金返還請求とは

債務整理を行う際、正確な借金の額を確定するために、適正な金利で再計算を行う引き直し計算を行うことにより、過払い金が発生していることが判明することもあります。
以前、消費者金融など一部の貸金業者は、利息制限法で定められた上限金利の15〜20%を大きく上回る、年利29.2%での貸付を行っていました。これは違法行為ではなく、金利について定めた出資法という法律では上限金利が29.2%と定められていたため、貸金業者は同法を根拠に29.2%で貸付をしていたのです。
しかし、最高裁判所は2006年1月に利息制限法の上限を超えた「グレーゾーン金利」での貸付は適法ではないとの判断を下し、払いすぎた利息は債務者の求めに応じて返還すべきとしました。 (最高裁判所第二小法廷平成18年1月13日判決)。
その後、2010年6月に改正貸金業法が施行されて年15〜20%を超える金利での貸付は処罰の対象となりましたが、同法が施行される前に契約した借入で、かつ完済後10年を経過していないものについては前述の判例に則って払いすぎた利息の返還を求めることが可能です。この請求のことを過払い金返還請求といいます。

4.債務整理の種類

債務整理には以下の4つの方法があります。

  • 任意整理
  • 特定調停
  • 個人再生
  • 自己破産

原則として上記はデメリットが小さい順番となっており、免除される額が少ない順でもあります。
つまり、任意整理は最もデメリットの小さい債務整理であると同時に、免除される債務の額も少ないといえるでしょう。
また4つの方法のうち、特定調停は得られるメリットが任意整理に近く、かつ債務者本人が平日の日中に裁判所へ出向いて手続を行う必要があることから、利用者が少ない傾向にあります。

任意整理の特徴とメリット・デメリット

債務整理の中でも簡便で利用者も多いのが、任意整理です。任意整理の特徴やメリット・デメリットなどについて説明します。

1.任意整理の特徴

任意整理は、裁判所を介さず、債権者と債務者や弁護士などの代理人が直接交渉して、毎月の返済額の減額を求める手続です。
一般的に減額が認められるのは将来発生する利息や遅延損害金で、通常、債務者は元本のみを36回、もしくは60回払いで返済することとなります。

2.任意整理の利用条件

裁判所を通さずに行う私的な手続であるため、任意整理を利用する際、借金の総額や原因を問われることはありません。ただし、前述した通り、減額が望めるのは原則として将来利息のみなので、元本を36回の分割いで支払えるかどうかが、任意整理を利用するか否かの判断基準といえるでしょう。
交渉で決まった金額を予定通り返済できなかった場合、債権者から残債を一括で返すように請求されるおそれもあります。月々の収入から生活費を引いた金額が借金返済に充てられる上限となるので、借金の元本を36で割った金額がこれを超えている際には、任意整理以外の方法を検討したほうがよいでしょう。

3.任意整理のメリット

任意整理の主なメリットは以下のとおりです。

  • 必要書類が少なく裁判所にも出向かずに済むなど、債務者の負担が少ない
  • 同居している家族や周囲に知られるリスクが低い
  • 持ち家や車などの財産を残せる
  • 支払いの督促が止まる(弁護士や司法書士に依頼した場合)

任意整理では債務者自身が対象とする債権者を選ぶことが可能です。例えば、消費者金融の借金は任意整理の対象にし、住宅ローンや知人からの借金は対象にしないという選択ができるのです。
また裁判所を介さないので、個人再生や自己破産と違い、官報に名前が載ることもありません。

4.任意整理のデメリット

任意整理の主なデメリットは以下のとおりです。

  • 信用情報機関に事故情報が登録される
  • 債権者が和解に応じないことがある

債務整理をすると信用情報機関に「異動」という情報が記載されます。
これは契約通りに返済がなされなかったことを示しており、異動の文言がある状態を俗に「ブラックリスト」と呼びます。任意整理後は概ね5年間はブラックリスト状態になり、この間は新しい借入やクレジットカードの申し込みができません。
また、私的な手続である以上、債権者に任意整理の申し出に応じる義務はありません。特に弁護士や司法書士に依頼せずに個人で任意整理を行った場合、貸金返還請求訴訟という裁判を起こされるおそれもあるため、注意が必要です。

個人再生の特徴とメリット・デメリット

個人再生は、民事再生法という法律に基づき、裁判所を介して行う手続で、返済不能になった借金を原則として3年(場合によっては5年)で分割払いできる金額まで減額する方法です。
裁判所が介入するため、複雑かつ厳格な手続を要します。

1.個人再生の特徴

個人再生を行う際、債務者には全ての債権者を平等に扱う義務があります。そのため、債務者が債務整理の対象とする債務を選ぶことはできません。全ての債務の支払いを一部免除してもらい、残った金額を3年、もしくは5年かけて返済することになります。
個人再生を行うと債務を大幅に圧縮でき、多くのケースで債務の総額は5分の1〜10分の1まで減額されます。

2.個人再生の利用条件

個人再生には、主に会社員の利用を想定した給与所得者等再生手続と、主に自営業者の利用を想定した小規模個人再生手続の2種類があります。
いずれの手続を利用する場合も、以下の2つの要件を充たす必要があります。

  • 住宅ローンを除いた債務総額が5,000万円を超えていないこと
  • 継続して安定した収入を得る見込みがあること

給与所得者等再生手続を利用する場合には、上記に加えて月々の収入に変動が少ないことも条件とされています。

3.個人再生のメリット

個人再生の主なメリットは、以下のとおりです。

  • 住宅ローン特則を利用することでマイホームを維持できる
  • 自己破産と違い、不許可事由がない

自己破産と違い、職業や資格の制限がない個人再生の最大のメリットは、民事再生法196条以下で定められた住宅資金貸付債権に関する特則(住宅ローン特則)を利用すれば、マイホームを手放さずに済むという点です。
自己破産では不動産など価値の高い財産は換金した後に借金の返済に充てられるため、マイホームを残して大幅に債務を圧縮したいという方にとって、個人再生は魅力的な制度といえるでしょう。

4.個人再生のデメリット

個人再生の主なデメリットは、以下のとおりです。

  • 信用情報機関に事故情報が登録される
  • 官報に名前など個人情報が載る
  • 同居の家族の協力が必要
  • 原則的に弁護士への依頼が必須である
  • 手続にかかる費用が比較的高額である
  • 住宅ローン以外の債務は平等に扱わなければいけない

個人再生をした場合、概ね5〜10年は信用情報機関に事故情報が登録されます。
また、個人再生をすると手続開始時、再生計画案の提出時、再生計画案の認可・不認可決定時の3回のタイミングで、国が発行している官報という広報紙のようなものに、名前や住所などの個人情報が掲載されます。
官報を隅々まで確認している一般の方はほとんどいないので、官報が原因で周囲に個人再生が知られる可能性は極めて低いといえます。
ただし、同居している家族については、裁判所に家計を報告する際に家族の給与明細などを提出するよう求められることもあるため、家族に内緒で個人再生を行うのは困難かもしれません。
揃える書類も多く、手続も複雑なことから、仕事を続けながら債務者が1人で個人再生手続を完全に行うのは難しいとされています。そのため、原則として弁護士に申立の代理を依頼するケースが多く、裁判所が選任した個人再生委員と弁護士に支払う報酬により、手続にかかる費用が高額となる傾向にあります。

自己破産の特徴とメリット・デメリット

自己破産は、現在抱えている全ての借金の返済を免れる手続です。自己破産の特徴や利用条件、メリット・デメリットを説明します。

1.自己破産の特徴

自己破産は、破産法に基づき、裁判所を介して、全ての債務の支払いを免除してもらう手続です。債務の支払い義務を免除してもらうことを、免責といいます。免責を得るためには、所有する財産を手放して債務返済に充てることが求められます。

2.自己破産の利用条件

自己破産ができる条件は、債務者が支払不能状態にあることと定められています(破産法第15条1項)。
支払不能状態とは、収入と返済のバランスを比較して、長期に渡って返済を続けることが困難な状況をいいます。一般的に、毎月の収入から住居費(賃貸の場合は家賃、持ち家の場合は住宅ローンの支払いや固定資産税、火災保険など住居の維持にかかる費用)を引いた金額の3分の1以上を借金返済に充てていると、支払不能状態にあると考えられます。
また、破産法252条1項各号には、破産申立に対して免責を認めるべきではない事由(免責不許可事由)が定められており、これに該当するケースでは注意が必要です。具体的には、ギャンブルや浪費が借金の主な原因であること、破産手続を妨害した事実などが免責不許可事由に該当します。免責不許可事由があるからといって、必ずしも免責が認められないわけではありませんが、不許可事由を隠して破産手続を行うと、虚偽の申告をしたとみなされて免責を得ることが困難になります。
免責不許可事由に心当たりがある、もしくは自分が該当していないか心配だという場合には、早い段階で弁護士等の法律の専門家に相談しておくとよいでしょう。

3.自己破産のメリット

自己破産の最大のメリットは、免責が得られれば借金の返済義務が消滅するため、新たな気持で生活を立て直せることだといえるでしょう。
ただし、免責を得た後も支払い義務が残る債務も存在します。具体的には、以下の債務が免責後も支払い義務が消滅しないものとして、破産法253条1項に規定されています。

  • 税金や公的保険料の支払い
  • 夫婦間の婚姻費用や親子間の養育費
  • 故意に破産者が債権者一覧に記載しなかった債務
  • 罰金などの支払い

4.自己破産のデメリット

自己破産の主なデメリットは以下のとおりです。

  • 信用情報機関に事故情報が登録される
  • 官報に名前など個人情報が載る
  • 同居の家族の協力が必要
  • マイホームや自家用車などの財産を手放す必要がある
  • 一部の職業は制限されるおそれがある

自己破産をした場合、概ね10年の間、信用情報機関に事故情報が記録されます。また、破産手続開始時と免責決定時のタイミングで、官報に名前や住所などの個人情報が掲載されます。
手続上、同居の家族に関する収入証明が必要となる点は個人再生と同様ですが、自己破産では個人再生や任意整理とは違い、マイホームや自家用車などの財産を手元に残せません。
破産申立をすると、差し押さえが禁じられている生活に必要な家具や家電、99万円以下の現金、破産手続開始後に新たに取得した財産以外の資産は債務者が自由に処分することを禁じられます。
財産は換金して債権者に平等に分配されるため、マイホームを手放したくないなどの事情がある方には自己破産は不向きです。逆に所有財産が少ない方にとっては、デメリットが少ない方法といえるでしょう。

債務整理後の生活上の注意点

借金の減額や免除による恩恵が受けられる一方、債務整理後の生活には一定の期間クレジットカードが作れない等の不都合も生じます。債務整理の生活への影響や債務整理後の生活上の注意点について説明します。

1.クレジットカードが使えなくなる

前述した通り、債務整理をすると一定の期間、信用情報機関に事故情報が登録されるため、クレジットカードの審査に通りづらくなります。既に所有しているクレジットカードについても、以下のタイミングで強制解約されて利用できなくなります。

  • カード会社を債務整理の対象にした場合は手続開始後
  • カード会社を債務整理の対象から外した場合は契約更新時や支払い滞納時など

一般的にクレジットカードの契約書には、カード名義人の支払い能力に不安が生じた際には、カード会社は一方的に解約できる旨が記載されています。この契約に基づいて債務整理の申し出があった場合だけでなく、債務整理したという情報を知ったタイミングでも、カード会社が強制解約をするおそれがあるのです。
過去の利用履歴などから、他社の借金を整理していても問題ないとカード会社が独自の判断をするケースもありますが、債務整理をすると既に持っているカードも使えなくなる可能性が高い、という点は心に留めておいてください。

2.住宅ローンやカードローンなどが利用できない

信用情報機関に事故情報が登録されると、カードローンや住宅ローンの審査も通らなくなります。
事故情報が抹消された後には住宅ローンの申込も可能になりますが、その際も債務整理の対象にした銀行へのローン申込みは避けたほうがよいでしょう。
信用情報機関の情報は一定の期間がすぎると抹消されますが、銀行やカード会社などが内部的に保有している社内のデータベースの情報は半永久的に残る可能性があります。そのため、債務整理から相当の年月が過ぎていても、過去に迷惑をかけた金融機関では借入できないかもしれません。
債務整理後に住宅ローンを申し込む際には、まず信用情報機関に開示請求をして「異動」の文言が消えているのを確認後、債務整理前に借入をしていない銀行のローンを検討しましょう。

3.保証人への影響

保証人がついている債務では、主債務者が返済困難になった際には保証人に請求がいきます。
主債務者が任意整理する場合には、分割での支払いで和解が成立すれば保証人に請求がいかないケースも多く、そもそも保証人のついている債務を任意整理の対象から外せば保証人へ迷惑をかける心配もありません。
しかし、個人再生と自己破産では債権者を平等に扱うことが条件となっているため、主債務者から回収できなかった債務の残額を一括で保証人に請求されるおそれがあるのです。
債務整理、特に個人再生と自己破産は保証人にとっても大きな影響を及ぼします。必ず事前に、債務整理を検討している旨を保証人に伝えておきましょう。

債務整理に関するよくある質問と回答

家族や仕事への影響を心配して、債務整理に踏み切れないという方もいらっしゃるでしょう。債務整理に関する情報の中には誤ったものも散見されます。ここでは、特に気にされる方が多い点について説明します。

1.不動産や車などは必ず没収される?

任意整理ではローン完済済みの不動産や車が没収されるという心配はありませんし、ローン返済中であっても、住宅ローンやカーローンを任意整理の対象に含めなければ財産への影響はありません。
ただし、自己破産するとマイホームなどの不動産や、自己破産手続時に20万円以上の価値がある車はローン完済済みでも没収され、債権者への返済に充てられます。
また前述した通り、個人再生では住宅ローン特則を利用すればローン返済中のマイホームを残せますが、ローン返済中の車は購入時に所有権留保という契約がなされていた場合には、引き上げられてしまいます。
このように債務整理の手段や状況によって不動産や車などの財産を残せるか否かは異なるため、財産がある方は何を手元に残したいのか、優先したいのかを考慮するとよいでしょう。

2.周囲に知られる可能性は?

官報などから債務整理したことが周囲に知られる可能性は低いですが、個人再生や自己破産では同居の家族の協力が必要となるため、同居の家族には、債務整理をすることが知られる可能性が高いため、あらかじめ自己破産をする旨を伝えておいたほうがよいでしょう。
また、配偶者の生活には一定の期間、住宅ローンが組めない、カーローンが組めない、携帯電話の割賦購入ができないなどの影響が及ぶおそれもあります。問い詰められてから債務整理したことを話すと信用を失いかねませんので、配偶者には、債務整理する旨を伝えておくことをおすすめします。

3.家族の財産や生活への影響は?

自己破産を含めて債務整理は債務者の個人的な手続です。そのため、債務整理で家族名義の財産を没収されることはありません。世帯主が債務整理をしても、他の家族が自己名義でクレジットカードを作ることは制限されませんし、自己名義でローンを組むことも可能です。
ただし、共有名義の財産がある際には家族にも債務整理の影響が及ぶケースもあるため、注意が必要です。ペアローンで不動産を購入している場合は、片方が自己破産すると不動産は競売にかけられてしまうおそれがあります。

4.会社に知られる可能性はある?

債務整理した事実を勤務先に報告する義務はありませんし、会社に債務整理が知られる可能性は低いと考えられるでしょう。
しかし、自己破産では手続中に就業が制限される職業があり、これに該当する場合には仕事に就けない期間が生じてしまいます。就業が制限される職業や資格は多岐にわたります。現在の職業が該当するか心配な方は、弁護士などに相談するとよいでしょう。

5.引っ越しが制限されるって本当?

破産手続中に裁判所の許可なく勝手に引っ越しを行うことは禁じられています(破産法第37条)。
これは郵便物が未達になることや手続中に連絡がとれなくなることを防ぐ目的のため、事前に裁判所の許可を得れば転居は可能です。
任意整理や個人再生では引っ越しの制限はありませんが、引っ越しの予定がある場合は、依頼している弁護士に伝えておきましょう。

6.戸籍には債務整理の履歴が残る?

戸籍や住民票に破産者である旨が記載されるなど、債務整理すると公的な書類に履歴が残ると誤解している方もいらっしゃいますが、住民票にも戸籍にも債務整理の事実は一切記載されません。

債務整理の選び方

各債務整理の特徴やデメリットを説明しましたが、結局どの方法を選ぶべきかわからない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。各債務整理が適しているケースについて簡潔に説明しますので、参考にしていただければと思います。

1.任意整理が適しているケース

任意整理は、元本の支払いが免除される可能性が低いため、債務総額が高額過ぎない方に適した債務整理と言えます。
原則として任意整理が適しているのは、以下のようなケースです。

  • 総債務額の元本のみであれば3年程度の分割払いで完済できる
  • 将来に渡り、安定した収入が見込める
  • 不動産や車など、手放したくない財産がある
  • 保証人つきの債務がある
  • 家族や周囲に債務整理を知られたくない
  • なるべく早く手続を終えたい

2.個人再生が適しているケース

個人再生は、債務総額が比較的高額で、安定した収入が見込め、かつ住宅ローン返済中のマイホームを残したい、という方にメリットが大きい債務整理方法です。
原則として個人再生が適しているのは、以下のようなケースです。

  • 住宅ローンを除いた債務総額が5,000万円を超えていない
  • 将来に渡って安定した収入が見込める
  • 債務総額が大きく、元本のみの支払いも苦しい
  • 住宅ローン返済中の不動産を残したい
  • 自己破産の免責不許可事由に該当するおそれがある
  • 自己破産手続中に制限を受ける職業に就いている

3.自己破産が適しているケース

債務整理の中で唯一、支払いの免除という恩恵を受けられる自己破産は、借金問題解決の最終手段ともいわれています。
原則として自己破産が適しているのは、以下のようなケースです。

  • 将来に渡って収入が安定する目処が立たない
  • 20万円以上の換金価値がある自己名義の財産がない
  • 債務総額が収入に対して高額で、他の債務整理では解決が難しい

まとめ

今回は、債務整理に関する基礎知識、債務整理のそれぞれの方法の特徴やメリット・デメリット、債務整理が生活や家族に与える影響などについて解説しました。

債務整理の方法の選択を誤ると時間やお金を無駄にしてしまう可能性もあるので、ご自身に適した方法の判断が難しいと感じる場合は、債務整理に精通した弁護士に相談することをおすすめします。

私達、東京スタートアップ法律事務所は、借金をリセットして自分らしい生活を送るための基盤作りを全力でサポートさせていただきたいと考えております。債務整理に精通した弁護士が、一人ひとりの方の状況やご希望を丁寧にお伺いした上で最適な債務整理の方法をご提案させていただきます。秘密厳守はもちろんのこと、分割払い等にも柔軟に対応しておりますので、安心してご相談いただければと思います。

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執筆者 弁護士宮地 政和 第二東京弁護士会 登録番号48945
人生で弁護士に相談するような機会は少なく、精神的にも相当な負担を抱えておられる状況だと思います。そういった方々が少しでも早期に負担を軽くできるよう、ご相談者様の立場に立って丁寧にサポートさせていただきます。
得意分野
企業法務・コンプライアンス関連、クレジットやリース取引、特定商取引に関するトラブルなど
プロフィール
岡山大学法学部 卒業 明治大学法科大学院 修了 弁護士登録 都内の法律事務所に所属 大手信販会社にて社内弁護士として執務 大手金融機関にて社内弁護士として執務
書籍・論文
『スタートアップの法務ガイド』中央経済社
『スタートアップの人事労務ガイド』中央経済社

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