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投稿日: 更新日: TSL

借金を整理する方法|債務整理による返済免除・減額のメリットとデメリット

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「毎月の借金返済が負担になっているので早く解決したい」とお悩みの方は多くいらっしゃると思います。
払い続けているのに元本が減らず、一括返済できる程の余力もなく、いつまでこのような借金に追われる生活を送っていくのだろうと不安になることでしょう。また、借金返済のために新たな借り入れをする状況を続けていくと、どこからも借り入れができない状況になりかねません。
返済することが困難になった場合の解決方法の一つとして、債務整理という方法があります。債務整理とは、借金の返済免除・減額を話し合いや法的手段で解決する手続です。債務整理には複数の種類があり、選択する手続によって日常生活に支障が生じる場合もあるため、ご自身の環境や事情などを十分考慮した上で適切な手続を選択する必要があります。
今回は、借金を整理できる債務整理の種類、債務整理を利用するメリットとデメリットなどについて解説します。

借金問題を整理できる債務整理とは

債務整理とは、借金返済が困難になった場合に、借金の返済免除や減額により、借金問題を解決することができる手続です。
主な手続として、以下の4つの種類の手続があります。

  • 任意整理
  • 個人再生
  • 自己破産
  • 特別調停

上記の中でも、任意整理、個人再生、自己破産は、多くの方に利用されている手続です。それぞれの手続にメリットとデメリットがあるので、それぞれの手続の特徴やメリット・デメリットを理解した上で、ご自身に適した方法を選択することが大切です。
債務整理手続の中で主に利用されている任意整理、個人再生、自己破産の特徴とメリット・デメリットについて説明します。

任意整理の特徴とメリット・デメリット

1.裁判所を介さずに月々の返済額を減額できる手続

任意整理とは、裁判所を介さず、債務者(お金を借りている人)が債権者(お金を貸している側)と直接交渉し、将来利息のカットや月々返済可能な金額と期間について双方合意した上で、返済を進めていく手続です。裁判所を介さない手続であり、手続後の生活への影響が少ないため、債務整理の中でも多く利用されています。裁判所を介さないため強制力はなく、必ずしも債権者は交渉に応じる必要はありませんが、自己破産をした場合は債権が回収できなくなるため、債権者のほとんどは交渉に応じてくれます。
ご自身で手続を進めることも可能ですが、債務者に不利な条件で合意してしまう等のリスクがあるため、弁護士に依頼するケースがほとんどです。
(参考記事:任意整理の相談先の選び方|弁護士等の専門家に相談する際の流れも解説
https://tokyo-startup-law.or.jp/legalpark/category04/voluntary-clearing-consultation/

2.任意整理のメリットとデメリット

任意整理のメリットとデメリットは以下の通りです。

【メリット】

  • 将来利息のカット
  • 月々返済額を債務者の支払い可能な金額に見直すことができる
  • 返済期間を3〜5年の長期に設定できる
  • 過払金が発生している場合は元金から減額できる
  • 家や車を維持できる
  • 債権者を選んで手続ができる
  • 裁判所を介さず手続できる
  • 保証人に迷惑をかけずに手続ができる

【デメリット】

  • 信用情報機関に事故情報が登録される
  • 元金は減額されないので債務が減少するわけではない
  • 返済を継続できる安定した収入がなければ手続が認められない

任意整理は裁判所を介さない手続なので、任意整理したい相手を選択して交渉することが可能で、保証人が付いている債権は対象から外すなど柔軟な解決を図ることができるという点が大きなメリットだといえるでしょう。ただし、自己破産のように債務が免除されるわけではなく、減額できる借金が少ないケースもあります。
(参考記事:任意整理のデメリットとは?メリットやよくある誤解についても解説
https://tokyo-startup-law.or.jp/legalpark/category04/disadvantage-of-voluntary-liquidation/

個人再生の特徴とメリット・デメリット

1.大幅に借金が減額できて自宅を手放さずに済む手続

個人再生(個人民事再生)は、比較的新しく整備された制度のため、認知度は低いかもしれませんが、裁判手続のため法的な強制力があり、住宅ローンの残っている自宅を処分することなく、大幅な借金減額が可能な手続です。
ただし、収入面などの条件は厳しく、利用するためには以下の条件を充たす必要があります。

  • 債務総額が5,000万円以下であること
  • 継続的に又は反復して収入を得る見込みがあること

継続的または反復した収入を得る見込みがあれば、正社員だけでなく自営業者や派遣・パートなどでも個人再生手続は可能です。
(参考記事:個人再生手続の条件とは?住宅ローン特則を利用する条件も解説 *2021年5月納品)

2.個人再生のメリットとデメリット

個人再生のメリットとデメリットは以下の通りです。

【メリット】

  • 債務を5分の1減額できる(最大10分の1)
  • 減額した債務の返済期間が3年間の長期間に設定できる
  • 住宅ローン特例が認められるとマイホームを手放さずに済む
  • ローンがなければ車を残せる

【デメリット】

  • 信用情報機関に事故情報が登録される
  • 官報に掲載される
  • 返済を継続できる安定した収入がなければ手続が認められない
  • 手続が複雑で、6ヶ月〜1年ほど長期間かかる
  • 債務整理手続の中で一番費用がかかる保証人に借金の支払い義務が移る

任意整理と比較して債務減額が大きく、マイホームを手放さずに済む可能性があるという点は、個人再生の大きなメリットといえます。ただし、書類の準備や手続が複雑で、返済を継続的できる安定した収入がなければ認められないなど条件が厳しい点はデメリットといえるでしょう。
(参考記事:個人再生のデメリットや注意点とは?メリットや他の債務整理方法との比較も解説
https://tokyo-startup-law.or.jp/legalpark/category04/disadvantage-of-individual-debt-settlement/

自己破産の特徴とメリット・デメリット

1.借金返済を免除してもらえる手続

自己破産とは、借金の返済が困難になった場合に、裁判所に申立てを行い、債務の免責を受ける手続です。現在の収入や資産では借金返済が不可能であると裁判所が認めなければ、自己破産の手続を行うことはできません。借金総額が多くても収入や資産がある場合は、自己破産の手続が認められない可能性があります。
自己破産が認められた場合、借金支払い義務が免除されることと引き換えに、生活に必要最低限な財産以外のものは手放さなくてはなりません。

2.自己破産のメリットとデメリット

自己破産のメリットとデメリットは以下の通りです。

【メリット】

  • 借金の支払い義務が免除される
  • 家や車などの財産は処分しなくてはならない
  • 生活に最低限必要な一定の現金や財産は手元に残すことができる

【デメリット】

  • 生活に必要最低限な財産以外のものは全て処分される
  • 税金や罰金、不法行為による損害賠償請求権は免責の対象外となる
  • 信用情報機関に事故情報が登録される
  • 官報に掲載される
  • 自己破産の手続期間中、特定の職業・資格に制限がかかる(弁護士・会計士など)
  • ギャンブルによる借金など、理由によっては認められない場合がある

自己破産の最大のメリットは、借金の返済義務を免除してもらえることです。生活に必要最低限な財産以外のものは全て処分されるという点はデメリットといえますが、もともと所有している財産が少ない方にとっては、失うものは少なく、生活再建のためにプラスとなる手続といえるでしょう。
(参考記事:自己破産のデメリットは実は少ない?家族や仕事への影響・よくある誤解を解説
https://tokyo-startup-law.or.jp/legalpark/category04/disadvantages-of-self-bankruptcy-to-few/

債務整理手続後、生活にはどのような影響があるか

1.住宅ローンやクレジットカードの契約ができない

消費者金融やカード会社から借金をすると債務整理手続をした場合、個人信用情報機関に、借入れ日や金額、毎月滞りなく返済できているか、どれくらいの借り入れがあるのか、いつ完済したかなどの取引状況が記録されます。この信用情報をもとに貸金業者登録している消費者金融やクレジットカード会社は貸付をしてもよいかどうかを判断します。毎月の返済期日を遵守し、個々の収入等条件が合えば別の金融業者からも新たな融資をしてもらえますが、返済の遅延や債務整理の開始決定のような事故情報が登録されると新規借入れが難しくなります。(このように信用情報機関に事故情報が登録された状態のことを俗にブラックリストに載るといいます。)
個人信用情報機関は3機関あり、消費者金融・クレジットカード会社・銀行など貸付を行う金融機関は、以下のいずれかの機関に登録しています。

日本信用情報機構(JICC) 消費者金融(クレジットカード会社の一部)
シーアイシー(CIC) 信販会社(クレジットカード会社の一部)
全国銀行個人信用情報センター(KSC) 全国の銀行

そのため、上記3つの個人信用情報機関のいずれかに事故登録されると、以下のような状態になります。

  • 消費者金融やカードローン会社などから新たな借入れができない・住宅ローンの審査に通りにくくなる
  • カードの分割払いができなくなる

また、債務整理手続の種類により期間が異なりますが、通常、事故情報の登録から5〜10年間程度は、新しい融資を受けられません。

2.自宅や車を手放さなくてはならない場合がある

債務整理の種類によっては自宅や車を手放さずに済む場合もあります。特に家族がいる場合、家族の生活の基盤である自宅を維持したいという方は多いかと思いますので、どの手続を選択することが自身にとって最適なのかを専門家へ相談するとよいでしょう。

自宅
任意整理 手放さなくてよい 手放さなくてよい
個人再生 手放さなくてよい(住宅ローン特則が認められた場合) ローン残債のある場合は手放す必要あり
自己破産 手放す必要がある 価値のある場合は手放す必要あり
(評価額の目安:20万円)

3.保証人に迷惑をかける場合がある

保証人を設定して借入れをしているケースでは、債務整理手続が開始されると債権者から保証人に返済について通知があり、手続の種類により一括返済を迫られるなど、迷惑をかけることになります。借金の保証人を気軽に引き受ける方は少なく、万一の時は責任を負うことを了承して保証人になっているはずですが、実際に保証債務を背負うことは金銭の負担だけではなく精神的な負担もかかります。保証人に金銭の負担がないように、自身と債権者とで返済について解決できたとしても、債務整理手続をするような状況であること保証人に知られてしまうと、次第に関係が悪化して修復が難しくなる可能性があります。

保証人に知られることなく、迷惑をかけずに債務整理手続をしたい場合は、任意整理を選択することをおすすめします。任意整理は、裁判所を介さず債権者と債務者との話し合いで返済について取り決める手続で、複数の債務がある場合、保証人を設定していない借入れについて任意整理をし、保証人になっている借入れは任意整理せずそのまま継続することにより、保証人に迷惑はかかりません。個人再生と自己破産の場合、手続時点の全債務が整理対象となり、債権者との契約内容によりますが一括返済の対応を求められることがほとんどです。保証人に迷惑をかけずに債務整理手続を進めたい場合は任意整理手続を選択するとよいでしょう。

【保証人と連帯保証人の違いについて】
保証人には、保証人と連帯保証人の2つの種類があります。
保証人は、債権者が借金等返済不能になった場合、債務を背負う義務を負います。債務者に返済能力があるにもかかわらず、債権者が保証人に債務返済を求めた場合や、保証人の財産から取り立てをしようとした場合、先に債務者から取り立てをするように伝え、支払いや請求を拒否することができます。これは、保証人に催告の抗弁権と検索の抗弁権が認められているためです。

催告の抗弁権 債務者へ債務返済を請求するように求め、支払いを拒む権利
検索の抗弁権 債務者の財産から取り立てをするように求め、支払いを拒む権利

催告の抗弁権:債務者へ債務返済を請求するように求め、支払いを拒む権利
検索の抗弁権:債務者の財産から取り立てをするように求め、支払いを拒む権利

しかし、連帯保証人の場合、催告の抗弁権と検索の抗弁権は認められておらず、主債務者と同等の責任や義務が発生するため、債権者からの請求を拒むことができません。これが保証人と連帯保証人の違いです。

債務整理手続以外の借金を整理する方法

1.過払い金返還請求

過払い金とは、2010年以前に消費者金融から借入れをしており、現在の法律よりも高い金利で借入れをしていた場合に発生する払いすぎた利息のことです。過払い金の返還を求めることを過払い金返還請求といいます。
借りている金額や期間によっては借金残高がかなり圧縮される場合や、払いすぎた金利を受け取れることもあります。長期に渡り借入れをしている場合は、債務整理手続をする前に過払い金の調査について検討してもよいでしょう。

【グレーゾーン金利】
金銭貸借の際の上限金利に関する法律は出資法と利息制限法の2つの法律があり、現在はどちらも制限利率は20%と定められていますが、2010年の貸金業法と出資法の改正以前、出資法の制限利率は29.2%と定められており、出資法の制限利率を超えない場合は刑事罰の対象にはなりませんでした。利息制限法は貸付元本により15%〜20%と利率が定められていたため、利息制限法の上限金利を越え、出資法の制限利率を越えないグレーゾーン金利が存在していました。
利息制限法を超えた利息を、債務者が任意に支払う場合は返還請求できないとされていましたが、世論からの反発が強まり、2010年の法改正によりグレーゾーン金利は撤廃されました。

2.生活を見直して出費を減らす

社会生活を送る上で最低限必要なものはありますが、様々なものを少しずつ見直すことで出費を減らすことができるかもしれません。周囲に流されず、ご自身の生活に本当に必要なのかどうかを見直し、少額でも節約を続けていくことで、借金の返済が楽になるでしょう。具体的には、以下のような方法で出費を減らすことが可能です。

  • 家賃や車の維持費等の固定費を下げる
  • 保険を見直し、必要のない付帯契約などを解約する
  • 携帯電話のプランを見直す、MVNOへの乗り換えを検討する
  • 必要のない有料アプリや有料配信サービスを解約する

3.複数の借入れ先を一つにまとめる

複数の借入れ先があり、合計の負債額が多額の場合、一つの借入れ先にまとめることで月々の返済額が減額になる可能性があります。借入れ元本に応じて制限利率が異なるので、借入額が少額の債権が複数あり、まとめると借入れ合計金額が100万円を超える場合は、金利が下がり、月々の返済が減る可能性があります。
また、銀行の低利率のおまとめローンなどの利用条件を充たす場合、低利率のおまとめローンを利用することにより月々の返済額は減額される可能性があります。また、返済日も一本化されることで管理しやすくなるでしょう。ただし、複数の借入れを一つにまとめたということにすぎず、元本が減額されたということではありませんので注意しましょう。
また、過払い金が発生している場合は、おまとめローン後でも過払い金返還請求をすることができます。おまとめローン後に過払い金請求をすることで、信用情報機関に登録されずに過払金返還請求することができるというメリットがあります。ただし、最終取引日より10年経過すると時効となり、また、2020年に民法改正により「権利を行使できることを知った日から時効を5年とする」という条項も付け加えられています。過払金返還請求には期限があり、また、起算日はいつになるのかなど、ご自身で判断するのは難しいので、法律の専門家に相談して手続を依頼することをおすすめします。

まとめ

今回は、借金を整理する方法について解説しました。
債務整理は、借金の返済免除・減免を法的手続または当事者間の交渉により解決する方法です。それぞれの手続にメリットとデメリットがあるため、ご自身の状況にあう適切な手続を選択することが大切です。また、債務の状況によっては、債務整理の必要はなく、過払金の返還請求で解決できる可能性もあります。ご自身の状況にあう手続を選択するためには、さまざまな角度から検討する必要があるため、債務整理に精通した弁護士に相談することをおすすめします。

私達、東京スタートアップ法律事務所は、借金をリセットして自分らしい生活を送るための基盤作りを全力でサポートさせていただきたいと考えております。債務整理に精通した弁護士が、一人ひとりの方の状況やご希望を丁寧にお伺いした上で最適な債務整理の方法をご提案させていただきます。秘密厳守はもちろんのこと、分割払い等にも柔軟に対応しておりますので、安心してご相談いただければと思います。

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執筆者 -TSL -
東京スタートアップ法律事務所
東京スタートアップ法律事務所は、2018年9月に設立された法律事務所です。
全国に拠点を有し、所属メンバーは20代〜40代と比較的若い年齢層によって構成されています。
従来の法律事務所の枠に収まらない自由な気風で、優秀なメンバーが責任感を持って仕事に取り組んでいます。
得意分野
不貞慰謝料、刑事事件、離婚、遺産相続、交通事故、債務整理など

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