IT業界の利用規約の作り方と注意点・弁護士に作成を頼む費用の目安を解説
全国20拠点以上!安心の全国対応
記事目次
この記事を読んでくださっている方の中には、ITベンチャー企業でウェブサービスを提供していくのに、利用規約の作成についてお悩みの方もいらっしゃるかと思います。
利用規約は、作っても読む人はいないだろうと考える人もいるかもしれませんが、利用規約の作成をおざなりにしていると、後日トラブルになったときに不利な立場になる恐れもあります。
しかし、利用規約はどうやって作ればいいのか、弁護士などの専門家に依頼したら費用がどのくらいかかるのかなど、不安をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。
そこで今回は、IT業界における利用規約の作り方や、作成上の注意点、専門家に依頼した場合の費用の相場などについて解説します。
IT業界でも必要な「利用規約」とは何か?
利用規約は、ビジネスの様々な場面で使用されますが、IT業界も例外ではありません。
そもそも「利用規約」とは、事業者がユーザーに提供するサービスについて、利用する際のルールをまとめた文章のことを言います。
通常、サービスを利用する際には、事業者とユーザーが個別に契約をしますが、多くの人が利用するウェブサービスでは、事業者がユーザー1人1人と契約することは事実上不可能です。
そこで、事業者が定めた利用規約にユーザーが同意し、その上でサービスを利用することで、利用規約に書かれたことが事業者とユーザーとの契約内容となるのです。
ただし、通常の契約と異なり、利用規約では契約当事者同士で内容について交渉することはできず、事業者が作成した利用規約について、ユーザー側に同意を求めるという一方的な関係です。そのため、ユーザーにあまりにも不利な内容の利用規約は無効になることがあります。
ITサービスでも利用規約を作るべき理由とは
1. 民法と利用規約の関係とは
利用規約がない、または利用規約の条項に定めがなければ、事業者とユーザーの関係には民法などの法律の規定がそのまま適用されることになります。
しかし、民法の規定はあくまで一般的なものであるため、利用規約を定めず民法をITサービスにそのまま適用すると事業者側のリスクが過大になるおそれがあります。
2. 利用規約がない場合の損害賠償のリスク
何かトラブルが発生した場合に、事業者がどの程度の損害賠償責任を負うかは、事業者にとって最も大きい問題のひとつになります。
事業者が提供したサービスが原因でユーザーに損害が発生した場合は、「債務不履行」(民法415条)の問題となります。
債務不履行とは、何かをしなければならないという約束した義務に沿った行為をしないことを言います。ITサービスの場合は、事業者は欠陥のないサービスをユーザーに提供しなければいけないのに、何らかのミスで欠陥のあるサービスを提供したような場合が考えられます。これにより、もしユーザーに何らかの損害が発生した場合には、事業者はこの損害を賠償しなければいけないという義務を負います。これが「債務不履行責任」です。
この場合に事業者側が負う責任の範囲は、「通常生ずべき範囲」(民法416条1項)の損害とするのが民法上のルールです。しかし、事業者の軽微なミスでわずかな期間サービスが停止しただけでもユーザーの売上が大きく低下したような場合は、事業者はユーザーの減った売上分も含む、すべての損害を補償しなければいけないことになり、事業者に過大な負担がかかります。そこで、利用規約で、事業者の軽微な過失による場合は、損害賠償の上限を定めておくなどの対策をしておくと安心です。
また、利用規約がなければ、不適切な行動をするユーザーに対して、投稿の削除や利用停止といった措置をとるのに時間がかかるといったリスクも背負います。
利用規約の作り方・盛り込むべき15のポイント
利用規約を作るべきとはいえ、ネットに上がっている他社の利用規約をそのまま流用するのは適切ではありません。
サービスの内容が別である以上、利用規約の内容も異なるのはもちろん、過去の裁判例では、他社の利用規約をそのまま流用することは、著作権侵害にあたる(ただし本事案では、利用規約に原告の個性が色濃く出ていたため、創作的表現と認められましたが、通常は「ありふれた表現」として著作物性は否定されています。)としたものもあります(東京地裁平成26年7月30日判決)。
では、利用規約を作成するにあたって盛り込むべき15のポイントを具体的にご説明します。
1. サービスの利用と利用規約への同意の必要性
サービスを利用するには、利用規約への同意が前提だということを明記します。ウェブサービスでは、登録・利用を開始する際に、利用規約の画面が表示され同意ボタンをクリックする方法が取られることが多いです。書類や押印がないウェブ上の方法でも、ユーザーが利用規約に同意したことが明らかであれば、利用規約に従うことにも同意したと考えて問題ないとされています。
ただし、利用規約のリンクが分かりにくい位置に貼られているだけだったり、利用規約に同意する手順を踏まなくてもサービスを利用できる形態だったりすると、トラブルが生じた際の拘束力に問題が生じる可能性があるので、注意しましょう。
2. サービス独自の用語の定義
利用規約に自社のサービス独自の用語が出てくる場合は、もし今後トラブルになった場合に第三者にも意味がわかるように、用語の定義を記載しておきましょう。
3. サービスの申込み・登録方法
自社サービスを申し込んだり登録したりする方法は、利用規約に具体的に記載する方法でも、別途登録画面で案内する方法でも構いません。
4. サービスの内容の説明
自社がどのようなサービスを提供しているのか、わかりやすく記載します。ただし、すべての内容を利用規約に書くのが大変で膨大になる場合は、別途詳細にサービスを説明するページを作成しても構いません。
5. サービスの利用料金と支払方法
サービスに有料のものがある場合は、料金と支払方法について記載します。その際、有料になるサービスの範囲も明らかにしておきましょう。この点が曖昧だと、ユーザー側から過大なサービスの提供を求められるなどのトラブルにつながる恐れがあります。
支払方法は、振込やカード決済などがありますが、継続的に料金が発生する場合は、カード決済や引き落としにしておくと回収漏れのリスクを減らすことができます。
6. ユーザーのID・パスワードなどの管理
サービス開始にあたって、事業者がユーザーに対して、事業者が発行したIDやパスワードをユーザーの責任で管理すること、第三者に利用させないこと、IDやパスワードを紛失した場合には事業者に届け出ることといった義務を定めるケースは多いです。
同様に、もしユーザーがIDやパスワードを漏洩して不正使用された場合は、事業者は責任を負わない旨の規定を置いてもいいでしょう。
7. サービス内のコンテンツについての権利の帰属
サービスに含まれるコンテンツの著作権が、事業者にあることを記載します。ウェブサービスでは、これに加えて、サービスを利用しても著作権がユーザーに移転しないことや、事業者が提供したサービス以外ではユーザーにコンテンツの利用権がないなどの規定がプラスされることも多いです。
一方、ユーザーが作成・投稿したコンテンツについては、権利が誰にあるのか、事業者が利用・変更・二次利用できる範囲や条件などについても定めておきます。以前、ユニクロが、この点を自社に有利に書きすぎて炎上したことがありました。自社の権利保護を図るのは重要ですが、ユーザーの心理も踏まえて記載することが求められます。
8. サービスにおけるユーザーの禁止事項
サービスでの禁止事項を記載します。具体的には、「法令違反に関する禁止事項」(事業者や他人の権利を侵害する行為の禁止、法令に違反する行為の禁止)、「他のユーザーとのトラブルにつながる禁止事項」(サービスを妨害するような行為の禁止)を盛り込んでおきましょう。できるだけ細かく禁止事項を設定できればいいですが、最後に、「その他弊社が不適切と判断する行為」といった規定を設けておいてもいいでしょう。
9. 利用規約違反に対するペナルティ、アカウントの停止・削除についての事項
上記のように禁止事項を書いたら、それに違反した場合の効果、ペナルティについても記載しておきましょう。具体的には、事業者はユーザーが投稿したコンテンツを削除し、損害賠償請求ができることに加え、ユーザーのアカウントの停止・削除・登録抹消などをできることも記載します。
10. 事業者に対する損害賠償についての事項
ユーザーの行為によって、事業者に損害が発生した場合は、事業者はユーザーに対して損害賠償を請求できます。例えば、動画配信サービスの場合は、ネットで転載したり第三者に譲渡したりすることを禁止するなど、具体的に自社のサービスではどのようなケースが発生しうるかを予想して損害賠償を請求する旨を記載しましょう。
11. 免責に関する事項
ユーザーに発生した損害について、事業者が賠償責任を負わないことや、事業者の賠償責任に上限を設けることを記載します。損害賠償の項目同様、ユーザーから損害賠償責任を追及されるのはどのような場合かを想定して免責事項を決定しましょう。具体的には、ゲームサービスを配信する事業者の場合、対戦者のユーザー間で生じたトラブルについて責任を負わないなどの免責事項を定めることが考えらえます。
12. 個人情報の保護
ユーザーの個人情報保護の要請は、近年高まっています。ITサービスでは、利用規約と一緒に「プライバシーポリシー」としてプライバシー情報を取扱うときの方針・指針が公開されることが多いです。プライバシーポリシーでは、個人情報の利用目的を明記し、ユーザーの同意なく第三者に情報を提供しないこと、個人情報を第三者に提供する場合の具体例(業務提携する場合、法令に基づく要請がある場合など)、ユーザーが個人情報の開示や訂正、利用停止を希望する場合の問合せ先などについて記載しましょう。
13. サービスの変更、中止、終了に関する事項
ユーザーが継続的にサービスを利用できる契約をしているのに、事業者が一方的にサービスを変更したり終了したりすると、債務不履行に基づく損害賠償の責任を負う可能性があります。また、事業者が一方的にサービスを終了できる内容の利用規約は、とりわけ有償サービスを提供している場合にはユーザーの権利を侵害する可能性が高いため、実際に利用規約に基づき事業者側の都合でサービスを終了する場合には、慎重な対応が必要です。
しかし、事業者の状況の変化によって、サービスの一時中止や変更、終了をせざるを得ない場合があります。そこで、事業者側はユーザーへの影響を最小限にとどめるために事前の通知をする旨の通知をすること、事前の通知をすることでサービスの中止などによって事業者がユーザーに対して損害賠償責任を負わないことを記載することが大切です。
14. 利用規約の変更とその方法
利用規約を作成、公開した後に、想定外の事態が発生して利用規約を変更せざるを得ない場合があります。利用規約は、事業者とユーザーの契約内容にあたるため、一方的な変更はできないのが原則ですが、ユーザー一人一人と合意することは不可能です。そこで利用規約に、「事業者が理由を問わず利用規約をいつでも任意に変更できること」、「利用規約の変更は、サイトに掲載した時点から有効になること」の内容を記載しておきましょう。「変更までに猶予を置くこと」、「利用規約の変更後、ユーザーが異議なくサービスの利用を続ける場合は変更した利用規約に同意したとみなす」旨も記載しておくと安心です。
しかし、上記の文言を記載したからと言って、ユーザーにあまりに不利な変更は無効になる可能性が高いです。
15. 準拠法、紛争時の合意管轄裁判所
準拠法とは、事業者とユーザーの間に紛争が生じた場合にどの国の法律に基づいて判断するかということ、合意管轄とは、どこの裁判所で争うかということを指します。
準拠法を規定しておかなければ、ユーザーが世界中に散らばっている場合に、それぞれの国の法律に精通しなければなりませんし、合意管轄を決めておかなければ、訴えた人(原告)に、事業者から遠い地の裁判所を選択される可能性があり、訴訟が複数に及ぶと裁判に出廷するだけで大きな負担になってしまいます。利用規約には、事業者側に利便性の高い日本の法律を準拠法とし、本店所在地を管轄する裁判所を専属的合意管轄裁判所とすることを記載しておくとよいでしょう。
サービス別・4タイプの利用規約で気を付けるべきこととは
1. 事業者が機会提供・ユーザーがコンテンツを投稿
YouTubeやインスタグラムなど、事業者が提供した発表の機会にユーザーがコンテンツを投稿するタイプのサービスでは、コンテンツの権利の所在についての規定に特に気を付けることが大切です。
具体的には、「コンテンツの権利が誰に帰属するのか」、「コンテンツに権利侵害の内容があった場合の損害賠償責任」、「事業者がコンテンツの削除などができること」、「コンテンツの滅失などで事業者が負う責任の範囲」を明らかにする必要があります。
2. 事業者がコンテンツ提供・ユーザーがコンテンツを利用
SpotifyやNetflixのように、事業者が提供したコンテンツをユーザーが利用するタイプのサービスでは、ユーザーがコンテンツを利用する際のルールに特に留意します。
具体的には、「コンテンツ利用時の修正の可否などの利用ルール」、「ユーザーの規約違反があった場合のペナルティ」、「コンテンツに問題があった場合に事業者が負う損害賠償責任の範囲」、「事業者がコンテンツの提供を中止する可能性」などが重要です。この場合も、サービスの前提として「コンテンツの権利が誰に帰属するのか」は明らかにしておきましょう。
3. 事業者がサーバーなどを提供・ユーザーがサービスを利用
クラウドサービスやサーバーシステムなど、事業者がサービスの根幹を提供するタイプの類型で留意すべきなのは、事業者が負う損害賠償の範囲、特に免責事項を明確にしておくことです。
具体的には、「提供したサービスにおけるユーザーの禁止事項」、「ユーザーの行為に権利侵害があった場合に事業者がユーザーの利用権限を停止等できること」、「通信障害や不正アクセスでサービスが利用できなくなった場合に、事業者が損害賠償責任を負わないか、損害賠償額に上限があること」などを記載し、無制限に責任を負わないように備えておきましょう。
4. 事業者がプラットフォームを提供・ユーザーがフォーム内で活動
メルカリやヤフオクなど、事業者が提供したプラットフォームでユーザー同士が契約を締結するようなサービスでは、ユーザー間のトラブルについて事業者が責任を負わないことを明示しておきましょう。
具体的には、「ユーザー間の取引上のトラブル(代金不払い、売買される商品の不具合など)について、事業者が責任を負わないこと」です。また、こうしたサービスでは、ユーザー間の取引が成立すると、事業者に手数料が入るケースが多いですが、そのような手数料が発生する条件や金額も明らかにしておきましょう。
利用規約作成時の注意点
1. 法律違反にならないための注意点
利用規約は、これまでご説明してきたように、ユーザーに損害が発生した場合に事業者が負う責任の範囲を限定しておくことが重要です。しかし、「どんな理由で生じた損害でも事業者は一切責任を負わない」というような内容の規約は無効になります。
ここでは、利用規約が法律に違反しないために、注意すべきポイントを解説します。
消費者契約法と利用規約
事業者と消費者との契約は、「消費者契約法」という法律で規制されています。消費者契約法では、弱い立場にある消費者の利益を守るための規定が設けられています。
・消費者契約法と責任の範囲
消費者契約法では、消費者を守る法の趣旨から、事業者が利用規約を定めていてもその効力が制限される場合があります。
具体的には、事業者がユーザー(消費者)に対して負う債務不履行による損害賠償責任を全面的に免責する条項や、事業者の故意(わざと)・重過失(重大なうっかり)でユーザーに損害が生じた場合に、事業者の責任を制限するような条項も無効となります(消費者契約法第8条)。重大な過失があるとは言えないケースでは、責任に上限を設ける場合は有効です。
逆に、契約を解除する際に、ユーザーが平均的な損害の額を超える過大な損害賠償やキャンセル料を支払うような内容もその額を超える部分は無効となります(同法9条)。
・消費者契約法とユーザーの同意
最初に少しお話しましたが、利用規約が有効になるには、事業者の利用規約に、ユーザーが同意することが必要です。同意の取り方は、「サービスを利用すれば同意したこととする」というような内容では決して十分とはいえません。
具体的には、サービスの申込画面に、利用規約を掲載したページに飛ぶようなリンクを設定し、申込ボタンを押してもらうような手続きを踏んでもらうことで、利用規約の同意を得たといえるというのが、経産省の見解といえます。もちろん、別途利用規約に同意するといったボタンを設置しても構いません。
著作権法と利用規約
他社の利用規約を流用することにより著作権法に違反する可能性もあります。過去の裁判例でも、通常、著作物性が否定される利用規約において、原告の個性が色濃く出ていたという理由で、原告が作成した利用規約が創作的表現と認められ、著作権侵害にあたると判断されたものがあります(東京地裁平成26年7月30日判決)。
特定商取引法と利用規約
特定商取引法は、消費者を保護する目的から、通信販売等で事業者に一定の制限を設けた法律です。
特に、通信販売では、ユーザーの承諾なく電子メール広告等を送ることは原則禁止なので、広告を含むメールやメールマガジンを送る場合には、利用規約にその内容を記載しておくことが必要です。
個人情報保護法と利用規約
昨今、個人情報の保護は重要なテーマです。上記でもお話しましたが、ユーザーの個人情報を取得するサービスでは、個人情報の取り扱い指針をプライバシーポリシーなどで記載しておきましょう。特に、個人情報を他社と共同利用したり、法令に基づいて第三者に提供したりする可能性がある場合は、その内容も記載しておいてください。
資金決済法と利用規約
事業者のサービスを利用する際に、ユーザーがポイントを購入する必要があるようなケースでは、「資金決済法」の制限を受ける場合があります。これは、ユーザーが前払いでポイントなどを購入した後で、事業者の経営が傾いてサービスを中止するような事態を防ぐために、事業者に財務局長等への届出や法務局への保証金の供託などを義務としています。
2. 炎上を避けるための注意点
上記のような法律には違反しないけれど、利用規約の内容が事業者に有利すぎる場合は、ユーザーからの反発を招いて炎上することがあります。炎上が大きくなると、事業活動自体にも影響が生じるおそれがあります。特に以下の3つの点について、利用規約の内容に注意が必要です。
ユーザーが作成したコンテンツの著作権
特に、ユーザーがコンテンツを投稿するタイプのサービスでは、コンテンツの著作権をめぐって炎上のトラブルが発生しやすいです。
2014年にユニクロが、ユーザーが投稿したTシャツのデザインの著作権を全てユニクロに無償譲渡するという内容の規約で炎上した事件があります。ユニクロは、ネットユーザーからの非難を受けて、利用規約を改定する対応を取りました。
ユーザーが作成したコンテンツと損害賠償責任
同じく2014年にテレビ朝日の動画投稿サイトで、ユーザーが投稿した動画はテレビ朝日が無償で利用できるとしつつ、動画が原因で発生したトラブルは、投稿者が解決のため自ら対応しないといけないといった内容の利用規約が炎上しました。これも、無償で動画を報道で利用しつつ、問題が起きたら投稿者に全責任を負わせる不当な内容だとの非難を受け、テレビ朝日は利用規約を改訂しました。
これらの実際の炎上ケースから言えるのは、1対1の契約である契約書と、多くのユーザーを対象にする利用規約は違うということを認識し、ユーザーの利益にも配慮した内容の利用規約を作成すべきであるということです。
法律の文章は、とかく難しい文章で書かれがちですが、利用規約は多くの人が見るものということを意識して、「ですます調」など、ソフトで分かりやすい言葉で書くようにしましょう。
利用規約の作成を弁護士に頼んだ場合の費用の目安
利用規約の作成を弁護士に頼む費用には、2つの支払方法があります。
1. 顧問契約型
利用規約の作成は、会社のスタートアップ時に作成することが多いため、利用規約の作成だけではないその他の手続や法律相談も含めて、一定の期間弁護士を頼む方法です。初期費用を抑えつつ、顧問契約という長期的な関係が前提となるので、その事業のビジネスモデルや契約内容について理解した弁護士から継続的にリーガルサービスを受けられるのがメリットです。また、利用規約は事業の開始時に一度作って終わりというものではなく、サービス内容の一部変更や事業の転換(ピボット)によって都度書き換える必要があります。顧問契約を締結していれば、この点もスムーズに対応してもらうことができます。
顧問料としては月額5万円〜という事務所が多いようです。
2. 単発型
利用規約の作成だけを単発で頼む方法です。ただし、前述のように利用規約は事業の開始時に一度作って終わりというものではなく、サービス内容の一部変更や事業の転換(ピボット)によって都度書き換える必要があります。単発型の場合、別途契約が必要だったり費用がかかったりと、スムーズな対応が難しくなります。
単発型の費用は、20万円~30万円というところが一般的です。また、利用規約の文字数などボリュームによって値段を設定している事務所もあります。
いずれにしても、依頼する弁護士事務所がWEBサービスにも知見があるか、迅速に動いてくれるか、費用対効果に見合っているかなどを検討して依頼することが重要です。
利用規約が必要となるWEBサービスを検討している起業家や事業者の方は、必ず弁護士に相談しましょう。
まとめ
今回は、ITサービスを念頭に、利用規約の作り方や注意点について解説しました。
利用規約が無効になる可能性があること、将来の損害賠償のリスクも踏まえなければいけないことなど、利用規約の作成に当たって心配になった方もいらっしゃるかもしれません。
利用規約は、事業者とユーザー間の契約の内容になるもので、内容の如何によっては将来事業者を揺るがすリスクを負いかねない重要なものです。
また、法曹業界では非常に稀有な存在ですが、多くのWEBサービスに精通した弁護士も存在します。彼らは、法律を踏まえて利用規約を作成することだけでなく、今後の事業展開まで見据えての利用規約の作成や、時としてビジネスモデルに対するアドバイスや壁打ち相手にもなってくれます。
弁護士といっても様々なタイプがいるので、事業のパートナーとなってくれる人を初期の段階から味方につけておくと良いでしょう。
- 得意分野
- ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
- プロフィール
- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設