脅迫罪で逮捕されたら拘禁刑?罰金の相場や脅迫行為と問われる可能性のある罪を解説
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記事目次
「ついカッとなって、相手に『殺すぞ』とメッセージを送ってしまった」
「喧嘩の売り言葉に買い言葉で、過激な発言をしてしまった」
感情に任せて発した言葉が原因で「脅迫罪で訴える」と言われ、警察に逮捕されるのではないか、刑務所に入れられてしまうのではないかと、不安な日々を過ごしている方もいらっしゃるかもしれません。
言葉によるトラブルは、日常の些細なきっかけから刑事事件に発展する可能性があります。
しかし、どのような言葉が罪になるのか、逮捕された後の流れや刑罰(拘禁刑や罰金)の相場を正しく理解し、早期に対処することで、事態の悪化や前科がつくことを防げる可能性があります。
この記事では、脅迫罪の成立要件や、2025年から導入された拘禁刑(従来の懲役刑・禁錮刑を一元化した刑罰)を含む刑罰の内容、罰金の相場、そして逮捕や起訴を回避するためのポイントについて、弁護士の視点から分かりやすく解説します。
脅迫罪の拘禁刑と罰金の内容
脅迫罪(刑法第222条)は、相手やその親族の「生命、身体、自由、名誉、財産」に対して害を加える旨を告知した際に成立します。この罪に対する刑罰は、法律で以下のように定められています。
2年以下の拘禁刑(懲役)又は30万円以下の罰金
以前は「懲役刑」と呼ばれていましたが、刑法改正により2025年6月から「拘禁刑」が導入されました。
拘禁刑は、従来の「懲役(刑務作業義務あり)」と「禁錮(刑務作業義務なし)」を一本化したもので、受刑者の特性に応じた処遇(改善指導や刑務作業)を行うことを目的としています。
つまり、脅迫罪で有罪になると、最長で2年間刑務所に収容されるか、最大30万円の罰金を支払うことになります。どちらが科されるかは、行為の悪質性や結果の重大さによって判断されます。
害悪の告知とは
脅迫罪が成立するための重要な要件が「害悪の告知」です。
これは、相手が恐怖を感じるような危害を加える旨を伝えることを指します。対象となる「害」は以下の5つに限定されています。
- 生命: 「殺すぞ」など
- 身体: 「殴るぞ」「痛い目に遭わせるぞ」など
- 自由: 「帰さないぞ」「誘拐するぞ」など
- 名誉: 「不倫の事実をネットにばら撒くぞ」など
- 財産: 「家に火をつけるぞ」「車を壊すぞ」など
弁護士のワンポイントアドバイス
実務でよくご相談いただくのが、「『訴えてやる』という言葉は脅迫になるのか?」という点です。
基本的に、正当な法的権利の行使(訴訟など)を通知することは脅迫罪には当たりません。
しかし、権利の範囲を著しく逸脱していたり、相手を畏怖させる目的で執拗に繰り返したりした場合は、脅迫罪や恐喝罪に問われる可能性があります。
「どこまでがセーフか」は文脈によりますので、不安な場合は安易に自己判断せずご相談ください。
脅迫罪の拘禁刑・罰金に関する傾向や特徴
「2年以下の拘禁刑」と聞くと、すぐに刑務所行きになるのではないかと恐れる方も多いですが、実際にはすべてのケースで実刑(刑務所への収容)となるわけではありません。
ここでは、統計データに基づいた傾向を解説します。
起訴率はどれくらい?
検察官が事件を裁判にかけることを「起訴」と言います。日本の刑事裁判における有罪率は99.9%と言われるため、起訴されるかどうかが前科がつくかどうかの分かれ道となります。
脅迫罪の起訴率は、他の刑法犯と比較して低い傾向にあります。
【脅迫罪の起訴率(推計)】
| 区分 | 比率(目安) | 備考 |
| 起訴 | 約 20% 〜 30% | 略式起訴(罰金)を含む |
| 不起訴 | 約 60% 〜 70% | 起訴猶予(示談成立など)が多い |
| その他 | 約 10% | 家庭裁判所送致(少年事件)など |
※出典:法務省「検察統計」および犯罪白書の統計データを基に推計
脅迫罪は被害者の処罰感情が重視される犯罪であるため、弁護士を通じた示談交渉によって被害届が取り下げられれば、不起訴(起訴猶予)となる可能性が高くなります。
現場の弁護士から見る「起訴・不起訴」の分かれ目
統計上の不起訴率は高く見えますが、これは「何もしなくていい」という意味ではありません。
脅迫事件の多くは、当事者間の感情的な対立が根底にあります。
そのため、警察介入後に加害者本人が謝罪に行っても、かえって火に油を注ぎ、示談が拒絶されるケースが後を絶ちません。
起訴を避けるためには、検察官が処分を決定する前の「限られた時間」の中で、第三者である弁護士がいかに冷静に被害者の感情を解きほぐせるかが勝負になります。
拘禁刑の刑期
起訴され、公判(正式な裁判)となった場合、どのくらいの刑期が言い渡されるのでしょうか。
司法統計等のデータを見ると、執行猶予が付くケースが多いものの、実刑となる場合は1年前後の判決が多く見られます。
【脅迫罪の量刑分布(公判請求された場合・2022年データ)】
| 刑期 | 割合(目安) |
| 2年 | 数 % |
| 1年以上2年未満 | 約 30% |
| 6ヶ月以上1年未満 | 約 50% |
| 6ヶ月未満 | 約 15% |
※出典:裁判所「司法統計(刑事事件)」
※上記は懲役刑が選択されたケースの分布です。多くの場合、初犯で悪質性が低ければ執行猶予が付きます。
罰金の相場
公判請求されずに「略式手続(略式起訴)」となった場合、法廷での裁判は開かれず、書面審理のみで罰金刑が言い渡されます。
脅迫罪においては、この略式罰金で終了するケースも多数存在します。
【脅迫罪の罰金相場】
| 金額 | 傾向 |
| 20万円 〜 30万円 | 最も多い(悪質性が高い、執拗な場合) |
| 10万円 〜 20万円 | 一般的なケース |
| 10万円未満 | 比較的軽微な事案 |
※出典:裁判所「司法統計」等のデータに基づく傾向
罰金の上限が30万円であるため、相場としては10万円〜30万円の範囲に収まることがほとんどです。
ただし、罰金刑でも「前科」として記録に残る点には注意が必要です。
脅迫罪の拘禁刑・量刑判断の基準
裁判所や検察官が、不起訴にするか起訴するか、あるいは執行猶予をつけるか実刑にするか(量刑)を判断する際には、主に以下の要素が考慮されます。
- 行為の悪質性・執拗さ:
一回限りの感情的な発言か、長時間にわたり何度も脅迫メッセージを送りつけたか、凶器をちらつかせたかなどが重視されます。 - 被害の結果と処罰感情:
被害者がどれほど恐怖を感じたか、精神的な不調をきたしていないか。また、被害者が厳罰を望んでいるか、許しているか(示談の成立有無)は決定的な要素です。 - 動機:
一方的な逆恨みか、あるいは被害者側にも何らかの落ち度があったトラブルか。 - 前科・前歴:
過去に同種の犯罪を行っていないか。初犯であれば寛大な処分になりやすい傾向があります。
脅迫罪で拘禁刑・罰金などの罪が重くなるケース
脅迫罪の法定刑は「2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金」ですが、どのような場合に罰金ではなく拘禁刑(実刑)が選択されたり、求刑が重くなったりするのでしょうか。
罪が重くなる主なケースを見ていきましょう。
①繰り返し脅迫行為をしている
一時の感情による単発的な発言ではなく、何度も繰り返し脅迫を行っている場合は、悪質性が高いと判断されます。
例えば、執拗に電話をかけ続けたり、SNSやメールで昼夜を問わず大量の脅迫メッセージを送りつけたりする行為です。
このようなケースでは、被害者が感じる恐怖心や精神的苦痛が甚大であるとみなされ、初犯であっても厳しい処分が下される可能性があります。
②恐喝などのその他の犯罪行為がある
脅迫行為単体ではなく、他の犯罪行為とセットになっている場合も罪が重くなります。
よくある例として、「殴るぞ」と脅しながら実際に暴行を加えた場合(暴行罪や傷害罪との併合罪)や、「金を払わないと痛い目に遭わせるぞ」と金銭を要求した場合(恐喝罪)などが挙げられます。
複数の犯罪が成立する場合、刑罰の上限が引き上げられるため、実刑判決のリスクが高まります。
脅迫行為で問われる可能性のある脅迫罪以外の罪
「脅迫」と思われる行為でも、具体的な状況や目的によっては、脅迫罪よりも重い別の犯罪が成立することがあります。
①強要罪
相手を脅して、義務のないことをさせたり、権利の行使を妨害したりすると強要罪(刑法223条)が成立します。
例えば、「土下座しろ」「退職届を書け」などと脅して無理やり実行させる行為がこれに当たります。
強要罪の法定刑は「3年以下の拘禁刑」であり、罰金刑の設定がないため、脅迫罪よりも重い罪となります。
②恐喝罪
相手を脅して金品を交付させたり、財産上の利益を得たりすると恐喝罪(刑法249条)が成立します。
「慰謝料として100万円払え、さもないと会社にバラすぞ」といったケースが典型的です。
恐喝罪の法定刑は「10年以下の拘禁刑」であり、罰金刑はありません。非常に重い犯罪として扱われます。
③威力業務妨害罪
企業や店舗に対して脅迫を行い、その業務を妨害した場合は「威力業務妨害罪」(刑法234条)に問われる可能性があります。
「店に爆弾を仕掛けた」「商品に異物を混入させるぞ」といった脅迫文を送りつけ、店を臨時休業に追い込んだり、警備を強化させたりする行為です。
法定刑は「3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」です。
④暴力行為等処罰法違反
「暴力団」の名をかたったり、集団で威力を示したり、凶器を示して脅迫を行ったりした場合は、「暴力行為等処罰法」という特別法が適用されることがあります。
この法律が適用されると、通常の脅迫罪よりも刑罰が加重され、「3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金」となります。
脅迫罪で実刑判決(拘禁刑)になった事例
実際に脅迫罪で起訴され、執行猶予がつかずに実刑(刑務所への収容)となった事例をいくつか紹介します。
いずれも悪質性や反復性が重視されたケースです。
事例1:元交際相手への執拗な脅迫
別れた交際相手に対し、復縁を迫る目的で「復縁しないなら殺す」「家族もどうなるかわからない」といったメールを数百回にわたり送信した事例。
過去にも同様のトラブルで警察から警告を受けていたにもかかわらず犯行に及んだ点や、被害者の恐怖心が極めて強い点が考慮され、懲役1年の実刑判決が下されました。
事例2:近隣トラブルでの凶器を用いた脅迫
騒音トラブルをきっかけに、隣人の自宅に押しかけ、包丁を見せながら「出てこい、刺してやる」と怒鳴り続けた事例。
実際には怪我をさせていませんが、凶器を用いている点や、平穏な生活を著しく脅かした点が重く見られ、暴力行為等処罰法違反も含めて懲役1年6月の実刑判決となりました。
事例3:企業への爆破予告と脅迫
特定の企業に対し、不満を理由に「本社を爆破する」「社員を無差別に殺害する」という内容のメールを匿名で複数回送信した事例。
企業の業務を妨害した(威力業務妨害罪)だけでなく、多くの社員に生命の危険を感じさせた脅迫行為として、懲役2年の実刑判決が言い渡されました。
脅迫罪・脅迫事件を弁護士に相談するメリット
脅迫罪の疑いをかけられた場合、放置して警察の捜査を待つのではなく、早急に弁護士に相談し、対策を講じることが重要です。
弁護士に依頼することで、以下のようなメリットが期待できます。
①逮捕の回避
警察が介入する前、あるいは逮捕される前に弁護士が介入することで、逃亡や証拠隠滅の恐れがないことを捜査機関に主張し、在宅事件(逮捕されずに捜査が進む形)への切り替えを求めることができます。
逮捕を回避できれば、会社や学校へ通いながら日常生活を続けることが可能です。
②早期釈放に向けた働きかけ
万が一逮捕されてしまった場合でも、弁護士はすぐに接見(面会)に行き、取調べのアドバイスを行います。
また、検察官や裁判官に対して勾留(長期間の拘束)の必要がないことを法的に主張し、早期の釈放を求めます。
早期釈放は、職場や学校への発覚を防ぐためにも極めて重要です。
③不起訴の獲得
前述の通り、脅迫罪は被害者との示談が成立すれば、不起訴となる可能性が高い犯罪です。
しかし、加害者が直接被害者に連絡を取ることは、新たな脅迫と捉えられるリスクがあり、警察からも禁止されることが一般的です。
弁護士にご依頼いただければ、「加害者とは会いたくないが、弁護士となら話をしてもいい」という被害者の方に対し、代理人として冷静に交渉を行うことができます。
私たちは単に金額を提示するだけでなく、ご依頼者様の反省の意を丁寧に伝え、被害者様の恐怖心や怒りを和らげるプロセスを大切にしています。
結果として、示談(被害届の取下げ)が成立し、不起訴を獲得できる可能性が飛躍的に高まります。
④処分の軽減のために最善を尽くす
起訴が避けられない場合でも、犯行に至った経緯や深い反省、再犯防止策などを裁判で主張し、執行猶予付きの判決や、より軽い罰金刑で済むように弁護活動を行います。
まとめ
脅迫罪は、「害悪の告知」によって成立する犯罪であり、2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科されます。
「たかが言葉」と軽く考えていると、逮捕・勾留によって長期間社会から隔離されたり、前科がついたりして、人生に大きな影響を及ぼす可能性があります。
しかし、早期に被害者へ謝罪し、示談を成立させることで、逮捕の回避や不起訴処分を獲得できる可能性も十分にあります。
脅迫行為をしてしまった心当たりがある方、警察から連絡が来て不安な方は、手遅れになる前に、刑事事件に強い弁護士へ相談することをお勧めします。
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- 得意分野
- 不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 刑事事件
- プロフィール
- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設









