刑事事件CATEGORY
刑事事件
更新日: 代表弁護士 中川 浩秀

性犯罪で逮捕された場合はどうなる?逮捕後の流れや弁護士依頼について解説

性犯罪で逮捕された場合はどうなる?逮捕後の流れや弁護士依頼について解説
東京スタートアップ法律事務所は
全国20拠点以上!安心の全国対応
東京スタートアップ法律事務所は
初回相談0

「警察から連絡が来るかもしれない」「家族が性犯罪の容疑で逮捕されてしまった」

性犯罪(不同意わいせつ、盗撮、痴漢など)の加害者として疑われたとき、これから自分の身に何が起こるのか、不安で押しつぶされそうになっているかもしれません。

特に性犯罪は、「会社や学校、近隣に知られたら終わりだ」という、他の犯罪にはない深刻な社会的リスクと孤独感を抱えやすいものです。

性犯罪は被害者がいる犯罪であり、逮捕されると長期間の身柄拘束や、実名報道による社会的信用の喪失など、人生に甚大な影響を及ぼすリスクがあります。

しかし、適切なタイミングで弁護士に相談し、正しい対処を行えば、早期釈放や不起訴処分を得られる可能性も残されています。

この記事では、性犯罪で逮捕されるまでの予兆や、逮捕後の具体的な手続の流れ、そして弁護士に依頼すべき理由について、専門用語をできるだけ使わずに分かりやすく解説します。

性犯罪での逮捕を事前に把握できる?

結論から申し上げますと、自分が逮捕されるかどうかを事前に100%把握することはできません。

警察などの捜査機関は、証拠隠滅や逃亡を防ぐために、被疑者(容疑をかけられている人)に対して捜査情報を漏らすことはないからです。これを「捜査の密行性」と呼びます。

特に、痴漢や盗撮、不同意わいせつ(旧:強制わいせつ)などの性犯罪においては、被害者のプライバシー保護や証拠保全の観点から、被疑者に気づかれないように慎重に内偵捜査(裏付け捜査)が進められる傾向があります。

「被害届が出されたかどうか知りたい」と警察に問い合わせても、教えてもらえることはまずありません。

したがって、ある日突然警察が家に来たり、街中で職務質問されたりして初めて逮捕の事実を知る、というケースも少なくないのです。

ただし、全く予兆がないわけではありません。

例えば、事件当日に警察官から職務質問を受けて連絡先を聞かれた場合や、被害者とトラブルになり「警察に行く」と言われた場合などは、すでに捜査対象となっている可能性が高いと言えます。

弁護士の視点

近年の傾向として、特に画像送信などの事案では、スマートフォンやパソコンの解析(デジタルフォレンジック)が進んだ段階で、数か月後に突然逮捕状が執行されるケースが増えています。「時間が経ったから大丈夫だろう」という自己判断は非常に危険です。

性犯罪の逮捕までの流れ

性犯罪の疑いがある場合、逮捕に至る経緯は大きく分けて2つのパターンがあります。

現行犯逮捕(犯行直後にその場で取り押さえられること)以外で、後日逮捕(通常逮捕)されるケースについて解説します。

警察から電話連絡や出頭要請通知がある場合

警察署から電話がかかってきたり、「出頭要請通知書」という書面が届いたりして、警察署への出頭を求められるケースです。

これは「任意の取調べ」と呼ばれるもので、この時点ではまだ逮捕状が出ていないことが多いです。

警察は、被疑者から話を聞き、事実関係を確認した上で、逮捕の必要があるかどうかを判断しようとしています。

この連絡を無視し続けると、「逃亡のおそれがある」「証拠隠滅のおそれがある」と判断され、逮捕状を請求されて逮捕に切り替わるリスクが高まります。

警察から連絡があった場合は、無視をせず、まずは弁護士に相談して「どのように対応すべきか」「出頭時に何を持参すべきか」のアドバイスを受けることを強く推奨します。

場合によっては、弁護士が警察とのやり取りを代行し、逮捕を回避するための活動を行うことも可能です。

ここがポイント

警察署に出頭した際、取調べの内容次第では、その場で逮捕状を執行されたり、緊急逮捕されたりして、そのまま家に帰れなくなるケースも珍しくありません。

だからこそ、出頭前に弁護士と方針を固め、「何を話し、何を話さないか」を整理しておくことが、身を守るための生命線となります。

警察車両が自宅や勤務先に待機する場合

早朝、突然自宅に警察官がやってくる、あるいは勤務先や通勤途中で警察官に声をかけられるケースです。

この場合、警察はすでに裁判所から発付された逮捕状を持参していることがほとんどです。これを「通常逮捕(後日逮捕)」といいます。

一般的に、警察車両が自宅や勤務先で待機しているような状況は、すでに逮捕の準備が整っている段階と考えられます。

「逃亡の素振りを見せたから逮捕される」というよりも、すでに逮捕状が執行される直前の状態であり、逃げようとしてもその場で確保され、手錠をかけられることになります。

性犯罪の場合、被害者の供述や防犯カメラの映像、DNA鑑定などの客観的な証拠が揃った段階で、逃亡や証拠隠滅を防ぐために、予告なく逮捕に踏み切ることが一般的です。

この段階に至ると、その場で逮捕を回避することは極めて困難です。

そのまま警察署へ連行され、取調べを受けることになります。ご家族にとっても突然の出来事となり、パニックに陥りやすい状況ですが、できるだけ早く弁護士へ連絡を取ることが重要です。

性犯罪で逮捕された後の流れ

逮捕されると、法律で定められた厳格な時間制限の中で手続が進んでいきます。

スピード感を持って対応しなければ、取り返しのつかない状況になりかねません。ここでは身柄拘束から裁判までの流れをステップごとに解説します。

ステップ1:逮捕(警察による捜査・48時間以内)

警察による逮捕後、被疑者は警察署の留置施設に収容されます。逮捕から48時間以内に、警察は被疑者の身柄と関係書類を検察官に送致する(送検)手続を行います。

この期間に面会(接見)できるのは原則として弁護士のみであり家族であっても面会(接見)することはできません。

外部との連絡が遮断された状態で取調べが行われるため、精神的に追い詰められやすい期間です。

ステップ2:検察官送致(送検・24時間以内)

事件が送検されると、今度は検察官による取調べが行われます。

検察官は、送致を受けてから24時間以内(逮捕から通算して72時間以内)に、被疑者の身柄拘束を続ける必要があるか(勾留請求するか)どうかを判断します。

ここで「逃亡や証拠隠滅のおそれがない」と判断されれば釈放されますが、多くの性犯罪では勾留請求される傾向にあります。

検察官送致がされた後も、弁護士であれば接見(面会)することが可能となる場合もあります。

ステップ3:勾留請求・勾留決定(最大20日間)

検察官が勾留を請求し、裁判官がそれを認めると、「勾留」という長期の身柄拘束が始まります。

裁判官が検察官の勾留請求を却下することは少ないため、勾留請求がされてしまうと、多くの場合は身柄拘束に至ってしまいます。

原則として10日間、延長が認められればさらに10日間、最大で20日間にわたり留置施設での生活が続きます。

この期間中に、会社や学校に逮捕の事実が知られ、解雇や退学などの処分を受けるリスクが最も高まります。

ステップ4:起訴・不起訴の処分決定

勾留期間が満了するまでに、検察官は被疑者を裁判にかけるか(起訴)、裁判にかけずに事件を終了させるか(不起訴)を決定します。

日本の刑事裁判における有罪率は約99.9%と言われており、起訴されれば前科がつく可能性が極めて高くなります。

逆に、不起訴処分となれば裁判は開かれず、前科もつきません。弁護活動の最大の目標は、この段階での不起訴獲得です。

ステップ5:刑事裁判・判決

起訴された場合、公開の法廷で刑事裁判が行われます。

裁判には、罰金刑などを書面審理だけで決める「略式裁判」と、法廷で審理を行う「通常裁判」があります。

性犯罪の場合、初犯であっても悪質性が高いと判断されれば実刑判決(刑務所への収監)が下されることもあります。

裁判では、執行猶予の獲得や減刑を目指して主張を行います。

ご家族が逮捕された場合に弁護士に相談すべき理由

逮捕直後から勾留決定までの「最初の72時間」は、ご家族にとっても被疑者本人にとっても最も重要な時間です。

なぜ、すぐに弁護士に相談すべきなのでしょうか。

警察の立会いなく接見が可能

上記のとおり、逮捕直後の72時間は、原則としてご家族であっても面会することができません。

しかし、弁護士であれば「接見交通権」という権利に基づき、曜日や時間を問わず、警察官の立会いなしで被疑者と面会することができます。

逮捕された本人は、孤独と不安の中で厳しい取調べを受けています。弁護士がいち早く駆けつけ、「黙秘権の使い方」や「調書へのサインの注意点」などをアドバイスすることで、不利な供述調書が作成されるのを防ぐことができます。

また、ご家族からの伝言を伝え、精神的な支えとなることも重要な役割です。

示談交渉が可能

性犯罪において、検察官が起訴・不起訴を判断する際に最も重視するのが「被害者との示談が成立しているか」という点です。

示談が成立し、被害者から「許す(宥恕)」という意思表示が得られれば、不起訴処分となる可能性が飛躍的に高まります。

しかし、性犯罪の被害者は加害者に対して強い恐怖心や嫌悪感を抱いており、加害者本人やその家族が直接連絡を取ることはほぼ不可能です。

そもそも連絡先を教えてもらえないことが大半です。

第三者である弁護士が間に入ることで、被害者の感情に配慮しながら冷静に交渉を進めることが可能になります。

弁護士の解決ノウハウ

性犯罪の示談では、単に示談金を支払うだけでなく、「被害者が加害者を許す(宥恕文言)」を獲得できるか、そして「口外禁止条項(事件のことを他言しない)」や「接触禁止条項」を盛り込めるかが、その後の社会復帰や不起訴処分にとって極めて重要です。

私たちは、被害者様の心情を最大限に尊重しつつ、ご依頼者様の将来のリスクを最小限にするための粘り強い交渉を行います。

長期の身柄拘束を回避できる可能性がある

仕事や学校への影響を最小限にするためには、早期の釈放が不可欠です。

弁護士は、検察官や裁判官に対して「逃亡や証拠隠滅のおそれがないこと」を法的に主張し、勾留請求の却下や、勾留決定に対する準抗告(不服申立て)を行います。

特に痴漢や盗撮などの事件では、被疑者が事実を認めて反省しており、家族による監督体制が整っていることを具体的に示すことで、勾留されずに在宅のまま捜査が進む「在宅事件」への切り替えが認められるケースも少なくありません。

逮捕後の弁護士依頼のポイント

性犯罪で逮捕された場合、弁護士選びは時間との勝負ですが、慎重に選ぶ必要があります。依頼する弁護士を選ぶ際のポイントは以下の通りです。

  1. 刑事事件・性犯罪の解決実績が豊富か
    刑事事件はスピード勝負であり、民事事件とは異なる専門的なノウハウが必要です。特に性犯罪は、被害者感情への配慮が必要不可欠であり、示談交渉の経験値が結果を左右します。
  2. すぐに行動してくれるか(フットワークの軽さ)
    連絡をしてから実際に接見に行くまで数日かかるようでは、取り返しのつかないことになります。「即日接見」に対応しているかなど、初動の早さを確認しましょう。
  3. コミュニケーションが取りやすいか
    専門用語ばかりで説明が分かりにくい弁護士ではなく、本人や家族の不安に寄り添い、分かりやすい言葉で状況を説明してくれる弁護士を選ぶことが大切です。
  4. 費用体系が明確か
    着手金、報酬金、実費など、費用について明確な説明がある事務所を選びましょう。

まとめ

性犯罪での逮捕は、ある日突然訪れます。逮捕されてからの72時間は、外部との連絡が遮断され、厳しい取調べが続く過酷な時間です。

  • 逮捕の予兆: 警察からの呼び出しや、自宅周辺での待機などがあるが、完全に予測することは難しい。
  • 逮捕後の流れ: 逮捕→送検→勾留と進み、最大23日間の身柄拘束が続くリスクがある。
  • 弁護士の必要性: 即時の接見、被害者との示談交渉、早期釈放に向けた活動など、弁護士にしかできないサポートがある。

逮捕されてしまった場合でも、諦める必要はありません。

早期に弁護士に依頼し、適切な対応をとることで、社会復帰への道は開けます。一人で悩まず、まずは専門家に相談してください。

あわせて読みたい記事

画像準備中
執筆者 代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会 登録番号45484
東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士として、男女問題などの一般民事事件や刑事事件を解決してきました。「ForClient」の理念を基に、個人の依頼者に対して、親身かつ迅速な法的サポートを提供しています。
得意分野
不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 刑事事件
プロフィール
京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設
書籍・論文
『スタートアップの法務ガイド』中央経済社
『スタートアップの人事労務ガイド』中央経済社

\ 初回相談0円!お気軽にお問い合わせください /