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投稿日: 更新日: 代表弁護士 中川 浩秀

不倫相手の奥さんから慰謝料請求されたら?対処法や減額する方法を徹底解説

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記事目次

「不倫相手の奥さんから慰謝料を請求されているが、どうしていいかわからない」

「不倫相手の奥さんから高額な慰謝料を請求されているが、こんなに高い慰謝料を支払わなければいけないのだろうか」

このような不安な気持ちを抱えて、対処に困っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

不倫による慰謝料請求の問題は他人に相談しづらく、一人で不安と恐怖を抱え、辛い思いをされている方も少なくありません。

今回は、不倫相手の奥さんから請求された慰謝料の法的根拠、慰謝料の相場と減額の可能性、慰謝料の請求をされた際の注意事項や確認すべき点、不倫相手の奥さんと直接交渉する場合の注意点等について解説します。

不倫相手の奥さんから慰謝料請求されたら最初にすべきこと

まず、奥さんからの請求の内容がどのようなものか、慌てず、冷静に確認し、その場で安易な返答をしてしまわないように気を付けることが重要です。

一口に慰謝料といっても、事案によって妥当な慰謝料は様々です。

相手の奥さんが、本来認められる慰謝料よりも相当高額の慰謝料を請求していることも考えられます。

また、慰謝料以外にも、引越しや退職を要求してくることもありますが、このような要求には必ずしも法律的な根拠があるとは限りません。

不当な請求や要求に安易に応じてしまわないためにも、まずは落ち着いて、正式な回答については検討の時間を経た上で行うようにしましょう。

不倫慰謝料の金額相場

不倫(不貞)が原因で認められる慰謝料の相場については幅があり、過去に裁判の判決で認められた金額は、低い場合は数十万円、高い場合は500万円と事案によって様々です。

金額が増加したり減額したりする事情として、例えば、婚姻期間や不貞期間の長さ、不貞行為の回数、夫婦間に未成熟の子供がいるかどうか、不貞の状況が悪質かどうか等様々な要素が挙げられます。

その中でも、不貞発覚後の婚姻関係が破綻(別居・離婚等)したのか、それとも発覚後も婚姻関係が維持・継続されるのかが金額の大小を分ける大きな要素と考えられており、一つの目安として、以下のような金額が平均的な相場として考えられます。

  • 不貞発覚後も婚姻関係が維持・継続する場合:数十万円~100万円前後
  • 不貞発覚を原因として別居や離婚に至り婚姻関係が破綻した場合:150万円~300万円

【状況別】不倫相手の奥さんから慰謝料請求された場合の対処法

慰謝料の請求方法にはさまざまな手段があります。突然電話がかかってくる、メールや内容証明郵便が届くこともあるでしょう。

また、奥さん本人ではなく、奥さんの代理人の弁護士から内容証明郵便が届くかもしれません。

相手方である奥さんがどのような連絡をしてきたかによって、状況の緊迫度が違うため、取るべき対処法も異なります。

不適切な対応をして後悔しないためにも、ご自身の状況に応じた対処をすることが大切です。

1.奥さんから電話やメールで請求されている場合

電話やメールなどで連絡がきた場合は、緊迫度はそれほど高くないケースもあります。落ち着いて対応しましょう。

相手方(奥さん)は感情的にはなっているものの、本気で慰謝料を請求しようと考えていない可能性もあります。

ただし、無視したり感情的な対応をしたりしてはいけません。不倫が事実である場合は、自分の非を認め、謝罪の意を示した上で、相手の要求を聞きましょう。

その際、相手方(奥さん)が客観的な証拠を所持しているのか、慰謝料として具体的にいくら請求するのかを確認することも大切です。

客観的な証拠に基づく適切な請求とは言い難い場合や、相場よりも相当高い慰謝料を請求しようとしている場合、必ずしも奥さんの要求通りに支払う必要はありませんが、伝え方を間違えると事態が悪化するおそれもあります。

事態を悪化させないためには、弁護士に相談しながら対処することが望ましいでしょう。

2.奥さん本人から内容証明が届いた場合

奥さん本人から内容証明郵便で慰謝料を請求された場合も、そこまで緊急性の高い状況ではない可能性があります。

内容証明郵便には法的な支払の強制力や執行力まではないので、受け取ったからといって今すぐ支払いに応じなければならないことはありません。

ただし、相手方(奥さん)は本気で慰謝料を請求する意向があることは確かですので、こちらが無視すれば、弁護士に依頼して裁判を起こす可能性が高いでしょう。

そのため、請求内容に不服がある場合には、法的な根拠に基づいてきちんと反論したり交渉する必要があります。

弁護士に相談してアドバイスを受けながら返信するか、弁護士に対処を依頼するとよいでしょう。

3.弁護士から内容証明が届いた場合

同じ内容証明郵便でも弁護士から届いた場合は、早急に弁護士に依頼することをおすすめします。

相手は本当に慰謝料を支払わせるつもりであると考えられ、何も手を打たないでいると弁護士によって裁判を起こされる可能性が高いためです。

自分で対処してもかまいませんが、法律の専門家である弁護士が相手方代理人に就任したケースでは、法的知識や経験に差があることから、圧倒的に不利となる場合もあります。

こちらも法的根拠に基づいてきちんと交渉、反論しなければ、相場よりも高い慰謝料を支払わなければならない事態に陥ることも考えられます。

そのような事態に陥らないためにも、早めに弁護士に依頼し、適切に対処してもらうことをおすすめします。

4.裁判所から訴状が届いた場合

訴状が届いた場合は非常に緊急性が高い状況です。すぐに弁護士に依頼し、対応してもらいましょう。

訴状は絶対に無視してはいけません。裁判所が指定した期限までに答弁書を提出しなければ、原告の請求内容通りの判決が出される可能性があるからです。

さらに、判決には執行力が付与されるため、判決後も請求を無視していると給与や財産を差し押さえられ、強制的に回収される可能性があります。

また、訴訟対応を自分で行うことも可能ですが、民事訴訟法の手続に則って適切に主張・立証しなければ、期待通りの結果を得ることが難しい場合もあるので、訴訟手続の専門家である弁護士に依頼するのが賢明といえるでしょう。

奥さんからの慰謝料請求を減額する方法

①不倫関係について反省・謝罪し、関係の解消を約束する

まずは、相手の奥さんに対し、真摯に反省の気持ちを伝え、関係の解消を約束することが大切です。

過去の裁判例においても、不倫の発覚後も関係を継続したことが慰謝料の増額事由として考慮された事例もあります。

奥さんは、自分の夫の裏切りを知り、悲しみと怒りの感情を抱えていることが少なくありません。

そのような感情を和らげて、裁判等に発展する可能性を少しでも少なくして穏便に解決するためにも、弁護士を通じて冷静に謝罪の言葉を伝えることが重要といえます。

相手方によっては、謝罪文の作成や交付、今後の夫のとの連絡や接触の禁止等を求められることもありますが、不当な要求でない限り、出来る限り反省の意思を伝える努力をすることが結果的に早期の解決に繋がる場合もあります。

不倫関係について反省し・真摯に謝罪を行い、今後の不倫関係の解消を約束した場合には、慰謝料の減額に応じてもらえることも考えられます。

②不倫慰謝料の裁判上の相場や減額要素を伝える

相場よりも過大な慰謝料を請求された場合、実際の裁判では認められない金額であることを冷静に伝えることも重要です。

不倫の慰謝料の相場には幅があることは上記のとおりですが、たとえば相手の夫婦が離婚せずに今後も婚姻関係を継続していく予定であるにもかかわらず、500万円もの慰謝料を請求された場合は、その他に余程の増額事情が無い限り、一般的には過大な金額であると評価されるでしょう。

このような場合、たとえば代理人弁護士を通じて過去の類似した裁判例を引用する等の方法により、慰謝料相場や減額要素を適切に伝え、奥さんを説得することで、交渉段階でも慰謝料の減額に応じてもらえることがあります。

③経済状況を伝える

高額な慰謝料を請求されても、「ない袖は振れぬ」という言葉があるように、金銭的に支払う余裕がない方もいらっしゃると思います。

そのような場合、自身の収入状況や、預金等について高額な資産がないということを適切に伝えることも重要です。

たしかに、近時の裁判例においては、不倫をした加害者の経済状況が慰謝料の金額を左右する要素そのものに当たるとは考えないのが通常です。

もっとも、実際には、収入や資産が少ない場合や、金融機関や親族を頼って金策に走っても、誰も融資や援助をしてくれない場合は、高額な慰謝料を支払うことが現実的に不可能であるため、相手方もある程度の減額に応じてくれる場合もあります。

④求償権を放棄する代わりに減額してもらう

不倫は当事者双方に責任がある共同不法行為に該当します。

つまり、不倫相手の奥さんに対する不貞慰謝料の支払義務は、不倫相手である夫も連帯して負うのです。

不倫相手の奥さんが自分だけに慰謝料を請求した結果、自分の責任分を越えた支払をした場合、不倫相手の責任分も立て替えて支払(負担)をしたことになるので、負担した分を支払うように不倫相手に対し請求することができます。

このように、自分の負担部分を超えて被害者に支払った金銭のうち、他方の共同不法行為者に対して請求できる権利のことを求償権といいます。

このような求償権の行使について交渉することにより、慰謝料を減額できる可能性があります。

たとえば、不倫相手の夫婦が不貞発覚後も離婚しない予定の場合、不倫相手と奥さんは今後も家計を共にするため、慰謝料の支払い後の求償権の行使を望まない場合もあります。

そのような場合、奥さんとの慰謝料の金額に関する話し合いの中で、慰謝料支払いの後に発生する不倫相手に対する求償権を予め放棄すると交渉することで、奥さんに支払う慰謝料を減額してもらうように合意できる可能性があります。

⑤一括払いを約束して減額してもらう

慰謝料を一括で支払うことで、総額を減らしてもらうという方法もあります。

相手にとっても、支払いが途中で滞ってしまう等の回収リスクが減り、また一括で支払うことでやり取りを短期間で終えることができる精神的なメリットもあるので、ある程度交渉しやすい方法です。

⑥不倫の期間・回数などを伝えて交渉する

不倫の期間が短い、回数が少ないなどの事情を主張して減額の交渉をする方法もあります。

ただし、当事者同士で話合う場合は、こういった主張をすることで逆に反省していない等と取られてしまう恐れもありますので、注意しましょう。

奥さんから慰謝料請求されたときにやってはいけないこと

不倫相手の奥さんから慰謝料を請求された際は動揺してしまうと思いますが、落ち着いて適切な対応を行うことが大切です。

慰謝料を請求された際に注意が必要なポイントについて説明します。

1.相手からの連絡を無視する

不倫相手の奥さんから届いた慰謝料請求の文書や訴状を無視してはいけません。

不倫相手の奥さんから届いた文書を無視したせいで、無視しなければ訴訟に発展する前に解決できたはずの事案が解決困難となり、裁判費用や解決に至るまでの時間が余分にかかることも少なくありません。

また、訴訟を起こされ、裁判所から訴状が届いた場合、答弁書を期限内に提出したり、証拠を提出したりすることでこちら側の言い分を裁判所へ適切に伝えなければ、相手方の請求が認められてしまう可能性があります。

適切な対応をせずに判決が出て確定してしまった場合には、強制執行を受け、財産が差し押さえられることにもなりかねません。

相手の奥さんから慰謝料を請求されたら、絶対に無視しないことが重要であり、自分で対処するのが困難だと感じたら早めに弁護士に相談することが大切です。

2.相手に要求されるがままに退職・引っ越しをする

とはいえ、必ずしも相手方の請求内容をそのまま受け容れる必要はありません。

前述した通り、法律で慰謝料の金額自体が定められているわけではないため、相場と比較して高額な請求をされた場合は、弁護士であれば過去の裁判例による相場をもとに減額の交渉ができる可能性も十分にあるからです。

不倫相手の奥さんが弁護士を立てて請求してきた場合、こちらから減額の交渉をされることを予め見越して、最初は相場よりも高めに請求している可能性があります。

また、慰謝料の支払請求以外の要望として、不倫相手の奥さんが退職や引っ越しを求めてくることもあるかもしれませんが、必ずしもこれに従う必要はありません。

そのように請求される法的根拠に乏しい場合が多いからです。

また、相手方から、「会社を辞めないと周りに不倫していることをばらす」とか「引っ越ししないと嫌がらせをする」等という発言を受けた場合は、脅迫罪等に該当する可能性があるため、相手方(奥さん)に対しそのような刑事責任について指摘することで、そのような行為を牽制することができるかもしれません。
相手の要求に安易に従わないよう十分に注意しましょう。

3.内容を理解しないまま相手が作った示談書にサインする

内容を十分に理解しないまま相手方(奥さん)が提示した示談書にサインをしてはいけません。

示談書にサインしてしまうと、こちらに不利な内容が含まれていたことに後から気づいても、内容を覆すことは難しいからです。

示談書の内容が適切なのかわからない、難解な表現が使われていて理解できないという場合は、サインをする前に、弁護士に確認してもらうとよいでしょう。

4.感情的になって余計に相手の怒りを買う

不倫相手の奥さんとの話し合いには冷静に臨みましょう。

感情的になったせいで、相手方(奥さん)の余計な怒りを買い、話し合いをこじらすのは、お互いにとって不利益です。

冷静に話し合うのが難しいと感じる場合は弁護士に依頼するとよいでしょう。

依頼後は交渉を全て弁護士に任せることができますので、不倫相手の奥さんと直接会って話をする必要もなくなり、精神的な負担も大幅に軽減されますし、交渉も円滑に進むことが多いです。

5. 事実と異なる内容を認める

実際に慰謝料を請求されると、ショックから冷静さを失ってしまったり、相手からのプレッシャーに負けてしまったという声をよく聞きます。

その結果、以下のように事実と異なる内容を認めてしまったケースも少なくありません。

  • 肉体関係はなかったのにあったと認めてしまう
  • 期間や回数が実際より多くても認めてしまう
  • 自分が強引に不倫に誘ったと認めてしまう

その場で判断することが難しければ、一度持ち帰るようにしましょう。

6. 口約束だけで慰謝料を支払う

当事者同士で慰謝料についてのやり取りをしている場合、口頭で慰謝料の金額や支払い期限等を決める場合もあるかと思います。

そういった場合は必ず書面で決定事項を残しましょう。

もしも、書面を作成せずに慰謝料の支払いをしてしまうと、以下のようなトラブルが発生する恐れがあります。

  • 慰謝料を支払ったのに何度も請求される
  • 後から金額を変更されたり、条件を付け足される
  • 記憶違いや認識の違いからトラブルが大きくなる

7. 相手からの請求額に従い高額な慰謝料を支払う

不安な気持ちから、早く終わりにしたいと言われるがままに慰謝料を支払ってしまうと取り返しがつかない損をしてしまうかもしれません。

請求額に上限はありませんが、不倫の慰謝料には相場がありますので、不倫をしてしまったという負い目を感じていたとしても、相場を大きく超える高額な慰謝料請求を呑む必要はありません。

不倫相手の奥さんから請求された慰謝料は払う必要がある?法的根拠について解説

不倫相手の奥さんから請求される慰謝料の法的根拠について説明します。

1.不倫の慰謝料請求の法的根拠

不倫相手の奥さんからの慰謝料請求は、民法第709条,710条を根拠とする請求であるとされています。

この条文は、不法行為による損害賠償請求について規定しており、不倫が不法行為に該当するという解釈の下、同条文を根拠とする請求となっています。

民法第709条では以下のように規定されています。

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う

つまり、不法行為をした者は、その被害者に対して慰謝料を支払う責任があるということです。

婚姻関係にある夫婦はお互いに貞操義務を負うとされています。

貞操義務とは、配偶者以外の者と性的な関係を持たない義務をいい、貞操義務に反することを不貞行為(不倫)といいます。

不貞行為(不倫)は不法行為に該当するため、既婚男性との不倫の事実が認められる場合は、相手の奥さんから慰謝料を請求されることになるのです。

また、民法第710条には以下のように定められています。

他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない

これは、他人の権利を侵害した者は、たとえそれが精神的なものであっても、賠償金(慰謝料)を支払う必要があるということです。

不倫相手の奥さんは旦那が不倫したことにより精神的苦痛という損害を被ります。

この精神的苦痛に対して、慰謝料の支払いをしなければならないと定められているのです。

2.慰謝料を支払う必要がないケース

既婚男性との不倫を理由に慰謝料を請求されたとしても、慰謝料を支払う必要がないケースもあります。

代表的なケースとして、以下の5つが挙げられます。

  • 相手が既婚者だとは知らなかった
  • 肉体関係がなかった
  • 時効が成立している
  • 相手の婚姻関係が既に破綻していた
  • 不貞相手が既に慰謝料の支払いを完了している

それぞれのケースについて具体的に説明します。

① 相手が既婚者だと知らなかった場合

相手の男性が既婚者だと知らずに関係を持ってしまい、既婚者だと知らなかったことについてこちらに過失(落ち度)がない場合には、慰謝料を支払う必要はありません。

相手が独身だと信じて肉体関係を持ったのに実は既婚者だったという場合は、独身を装っていた既婚男性に対し、こちらの貞操権の侵害を理由として慰謝料を請求できる場合もあります。

貞操権とは、自分の本意(自由な意思)で肉体関係を結ぶ相手を選ぶことができる権利のことをいいます。

貞操権侵害について詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしていただければと思います。

② 肉体関係がなかった場合

不倫相手との間に肉体関係等の性的な関係が一切なく、プラトニックなものだった場合、不倫相手の奥さんに慰謝料を支払う必要がない場合が多いと考えられます。

ただし、過去の裁判例では、肉体関係が認められない場合であっても、愛情表現を含むメールを送信する等婚姻生活を破壊する可能性のある交流があったケースにおいて、少額ながら慰謝料の支払いを認めた判決もあります。

肉体関係等の性的な関係があったかどうかは、不倫の慰謝料請求が認められるかに関する重要な要素の一つといえます。

既婚男性との間で、肉体関係等の性的関係や身体的な接触が一切なかった場合、原則として不倫相手の奥さんからの慰謝料請求が認められることは難しいといえるでしょう。

③ 時効が成立している場合

時効が成立している場合も慰謝料を支払う必要はありません。

不法行為による損害賠償請求権の消滅時効については、民法第第724条1項で以下のように定められています。

不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使していないとき

つまり、不倫相手の奥さんが、夫の不倫の事実及び不倫相手を知ってから3年以上が経過してから慰謝料を請求した場合は、消滅時効が成立するため、支払いに応じる必要はありません。

④ 既に不倫相手の婚姻関係が破綻していた場合

不倫関係になった時、既に相手の婚姻関係が破綻していた場合も、慰謝料請求が否定されるケースの一つといえます。

婚姻関係が破綻している場合とは、一例としては、長期間別居している状態や、不倫とは無関係に離婚に向けた話し合いが調停等で具体的に行われている状態のことを指します。

不倫相手から「妻とは別居中で、もうすぐ離婚する」などと言われて交際が始まった場合は、別居の期間や婚姻関係の状況次第では、慰謝料の支払いを回避できる可能性もあります。

⑤不貞した配偶者が既に慰謝料の支払いを完了している場合

不倫(不貞)は、不貞をした配偶者と、不貞の相手方とが2人で共に行うものです。

そのため、不倫は、民法上の共同不法行為(民法第719条)となり、不倫の慰謝料は、両名に対し連帯して支払うことを請求することができます。

ただし、誰にどのような順序で請求をするのか(しないのか)は、慰謝料請求の権利を持つ被害者側の任意ですので、どちらか一方に対してのみ請求をすることもできます。

例えば、不倫相手の奥さんが、不倫相手と自分の両方に対し連帯して支払うことを請求をしたケースで、不倫の慰謝料として200万円の支払が認められると仮定した場合には、自分と不倫相手の2人で、不倫相手の奥さんに対して合計200万円を支払うことになります。

不倫相手が既に200万円以上の不貞慰謝料を奥さんに支払っている場合、慰謝料は支払い済みということになるため、請求されても支払う必要はありません。

奥さんから慰謝料請求されたら、減額や免除のために弁護士へ相談を

不倫相手の奥さんとの直接交渉を避けて円満に解決したい場合、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に依頼するメリットと費用について説明します。

1.弁護士に依頼するメリット

①不当に高額な支払いをさせられる心配がない

不倫相手の奥さんが請求する慰謝料は、相場よりも高額である場合も多いです。

弁護士に依頼した場合、相場よりも高額な慰謝料請求に対して、適切に減額交渉をしてもらえるため、不当な支払いをさせられるおそれがなくなります。

弁護士に依頼すると費用はかかりますが、慰謝料の減額に成功することにより、結果的に負担する金額は安く抑えられる可能性が高いです。

②精神的負担が軽減する

弁護士に委任することで、不倫相手の奥さんと直接対峙する必要がなくなります。

相手方からの連絡も原則として全て弁護士の元へ届くので、直接やりとりすることはなくなり、精神的な負担は大幅に軽減するでしょう。

また、弁護士に依頼して状況を把握してもらうことにより、万一、相手方からの脅迫等のトラブルが発生した場合も速やかに対処してもらうことが可能です。

2.弁護士費用の相場

弁護士への依頼を検討する際は費用が気になるかと思います。

弁護士に支払う費用には、事件の対応を開始する時に支払う着手金、事件が解決した後に支払う報酬金の二種類があります。

着手金の相場は、交渉の場合は10~20万円程度、裁判に発展している場合は追加で20~30万円程度が一つの目安です。

不倫で慰謝料請求された場合の弁護士費用の相場や費用が用意できない場合の対処法などはこちらの記事にまとめていますので、参考にしていただければと思います。

まとめ

今回は、不倫相手の奥さんから請求される慰謝料の法的根拠、慰謝料の相場と減額の可能性、慰謝料請求された際の対応に関する注意事項や確認すべきこと、不倫相手の奥さんと直接交渉する場合の注意点等について解説しました。

不倫相手の奥さんから慰謝料を請求されても、支払う必要がない場合や、請求金額を減額できる場合も少なくありません。

当事者同士の交渉は難航する可能性が高く、余計なトラブルが発生するケースも多いため、不倫問題に精通した弁護士に相談しながら、円満な解決を図ることをおすすめします。

私達、東京スタートアップ法律事務所は、不倫問題で慰謝料を請求され、お困りの方が不当な負担を強いられないよう全力でサポートしております。

不倫問題の慰謝料減額交渉等の実績を豊富に持つ弁護士が、法律の専門知識と交渉術を駆使して相手との交渉にあたります。

秘密厳守はもちろんのこと、分割払い等にも対応しておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。

【参考リンク】
民事訴訟の相手方(被告)となった方へ(裁判所公式サイト)
画像準備中
執筆者 代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会 登録番号45484
東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。
「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
得意分野
ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
プロフィール
京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設
書籍・論文
『スタートアップの法務ガイド』中央経済社
『スタートアップの人事労務ガイド』中央経済社

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