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更新日: 投稿日: 弁護士 宮地 政和

契約書とは?作成時の重要ポイントや注意点を徹底解説

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会社を経営されている方の中には、「契約書を作成しなければ契約は成立しない」と思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。しかし、契約書の作成をしなくても、当事者間の合意さえあれば契約が成立するのが原則です。
それにもかかわらず、実務上において契約時に契約書を作成するのは、合意内容の明確化、証拠化、リスクの回避といった目的があるからです。

契約書を作成するとき、現在はインターネット上に多くのひな型があるため、それらを利用する方もいるでしょう。しかし、契約内容に沿ったひな形を選び、さらに個別に修正を加える等をしなければ、後々のトラブルの際に不利になる場合や、裁判で証拠にならない場合があります。

そこで今回は、契約書を作成するときの注意点や定めるべき内容、契約書の作成を弁護士に依頼した場合の費用などについて解説します。

契約書とは

契約書とは、契約の内容を文字で書面等に記載したものです。

契約自体は口頭で合意しただけでも原則として成立しますが、口頭合意だけだとその合意内容が不明確であったり、合意したか否か自体に争いが生じたりすることでトラブルに発展する可能性もあるため、こうしたトラブルを防止するために契約書を作成する意義があります。

個人間での物の売買やお金の貸し借り等のシンプルな行為について契約書を作成することは少ないと思います。

他方で、例えば、企業が個人に向けて継続的なサービスを提供する場合等には、利用者が守るべき事項を事前に定めておくことによって、契約期間途中でも企業側から契約関係を解消したり、場合によっては違約金を請求したりすることができるようにしておくことが企業のリスクヘッジの観点からは有意義といえ、こうした場合には契約書を作成しておくメリットが生じます。

契約書を作成しないと無効になる契約がある

契約は、一方当事者が申し込みを行い、相手方当事者がこれを承諾するという当事者間の合意があれば成立するのが原則です。そのため、契約書を作成しなければ契約が成立しない、というものではありません。

しかし、例外的に、以下の契約では、契約書等の書面の作成が契約成立の要件となっています。

  • 保証契約(民法第446条2項)
    保証契約は書面でしなければその効力を生じないと定められています。
  • 身分行為
    一般的な契約とは異なりますが、婚姻、養子縁組などは、当事者意思の明確化と公示の必要性から、書面化などの方式が必要とされています。
  • 任意後見契約(任意後見契約に関する法律第3条)
    法務省令で定められた様式で、公正証書を作成する必要があります。
  • 定期借地権設定契約(借地借家法第22条)
    50年以上の期間を定める定期借地権契約では、公正証書を作成する必要があります。
  • 事業用定期借地権設定契約(借地借家法第23条3項)
    事業用の建物を所有する目的で、契約満了時に土地を明け渡さなければならない借地権設定の契約は、公正証書を作成する必要があります。
  • 更新の無い定期建物賃貸借契約(借地借家法第38条1項)
    期間の定めのある建物の賃貸借契約で契約更新をないものとするには、公正証書等の書面で契約する必要があります。
  • 取壊し予定の建物の賃貸借契約(借地借家法第39条2項)
    法令や契約により後日取り壊しが決まっている建物を賃貸借する場合には、建物取り壊しの時に賃貸借契約が終了する旨を書面で作成しなければいけません。

また、上記以外にも、法律で契約書などの書面作成が義務付けられている契約には以下のようなものがあります。

  • 農地の賃貸借契約(農地法第21条)
    農地や採草放牧地の賃貸借では、期間や賃料等の条件を書面にする必要があります。
  • 建設工事請負契約(建設業法第19条)
    建設工事の請負では、工事の内容や請負代金等の条件を書面にする必要があります。
  • 割賦販売法既定の月賦販売契約(割賦販売法第4条)
    割賦販売法に規定された指定商品に関する割賦販売契約を締結する際は、割賦販売価格や引渡等を記した書面を売主から買主に交付します。

上記のように、契約書などの書面の作成が成立要件である契約は多くはありません。ほとんどの契約は書面を作成しなくとも有効に成立するのが原則です。しかし、前述のとおり、実務上において契約書を作成するのは、契約の内容を書面にすることによって、次のような効果があるからです。

  • 契約当事者で合意した内容を明らかにして、将来のトラブルを防ぐ
  • トラブルから訴訟になった場合に証拠となるよう備える
  • 免責などについて規定することで契約当事者のリスクを分散する

実務では、契約書が契約成立の要件でない場合でも(売買契約など)、裁判では契約書がなければ契約の成立が認められにくいのが実情です。そのため、将来の紛争を防止するためにも、正確な契約書を作成しておくことが重要です。

口頭による契約・書面での契約・電子契約の違い

以下では、契約の締結方法によって生じる違いについてご説明します。

口頭による契約の特徴

口頭による契約は、口約束により成立するため、簡易かつ迅速に取引を行う場面で活用されています。

他方で、口約束のみでは、後に言った、言ってないの争いになる可能性もあるため、ある程度慎重に取引をするべきケースでは不向きな契約方法といえます。

書面上の契約の特徴

書面による契約は、文字で記載された契約内容を契約当事者が確認した上で署名等することで成立するものであり、契約書の確認や署名等に対応するために一定の負担が伴うものではありますが、その分、契約内容やその成否について疑義が生じる可能性が低いものといえます。

書面による契約は、契約当事者間のトラブル防止のために有効な方法です。

電子契約の特徴

電子契約については、電子契約締結のためにどのようなサービス、方法を利用するかにもよりますが、紙に署名する場合と同程度に契約者本人が契約内容に同意した上で電子契約を締結していることが担保される仕組みであれば、書面による契約と基本的には同様の効果を持つと考えて良いでしょう。

そして、書面で契約書を締結するという手間が省けて利便性も高いため、今後も電子契約の利用は拡大していく可能性が高いと思われます。

個人契約書と法人契約書の違いとは

個人が契約書を締結する場合と法人が締結する場合とでは、一般的には、その契約内容の理解度に違いが生じやすいと考えられています。

というのも、法人は、その事業を行うにあたって多数の取引先等と契約書を締結して日常的にビジネスを行っていますが、個人は、法人と比べると契約書を確認したり締結したりする機会は少なく、契約に関する知識も乏しいことが一般的といえるためです。

そこで、例えば、法人と個人との契約については、消費者契約法等の法律によって個人の保護が図られるという特徴があります。

このように、契約書の当事者が個人か法人かによって、その法的な保護の必要性の程度等に差が生じる可能性があるため留意が必要です。

契約書は誰が作成する?作成者を決める基準

契約書を締結する際、その契約書を誰が作成しなければならないといったルールはありません。

そのため、誰が作っても良いのですが、一般的には、契約書の作成や締結に利益が大きい当事者が契約書を作成することが多いところです。

例えば、自社の商品やサービスを多くのユーザーや取引先に対して提供する企業では、その取引に当たって生じる可能性のあるリスクを想定した上で契約書(利用規約等)を作成し、これに承諾した者に対してのみ自社の商品やサービスの提供を行うことが一般的です。

こうした場合、契約書を作成して締結することは自社のリスクヘッジの観点から利益が大きいことなので、サービス等の提供側である企業が契約書を作成することが通常です。

また、こうした企業については、自社の取引等で使用する契約書の雛型を作成しておき、それを日々の業務で生じたトラブル等を踏まえてブラッシュアップしていくことで紛争の予防等を図っています。

契約書に盛り込むべき10の項目

1.契約書のタイトル

契約書のタイトルには、「売買契約書」「委任契約書」等の契約の種類を示すのが一般的ですが、契約の内容を確認し、適切なタイトルを付けるとわかりやすいです。たとえば、実態は雇用契約であるにもかかわらず、「業務委託契約書」というタイトルを付けた場合、合意しなければならない内容と記載してある内容が相違してしまうためです。もっとも、契約書のタイトルはあくまで契約内容を判断する一事情にすぎず、どのような契約が成立したかについては、あくまで合意の内容に基づいて決定されることになります。

また、「契約書」以外にも「契約証書」や「覚書」「念書」などのタイトルをつけることがありますが、同様にタイトルの使い分けには特段の意味はなく、契約による法的効力は同じです。なお、参考までに、一般的には次のような使い分けがされることが多いようです。

  • 契約書・契約証書
    当事者が権利、義務関係を明らかにして連名で署名押印するケース
  • 念書
    当事者の一方だけが果たすべき義務の内容を認めて相手方に渡すケース
  • 協定書・覚書
    契約内容をより明らかにするために、契約書にプラスして作成するケース

2.前文

前文とは、契約を結ぶのは誰かという契約の当事者を特定する部分です。通常、契約書では当事者を甲・乙で示すことが多いため「甲●●●●、乙××××とし」などと特定します。そして、タイトルに続き、「甲及び乙は次のとおり○○契約を締結する」などと記載します。

3.契約条項

契約条項とは、締結する契約の内容を記したものです。当然、契約によって内容は大きく変わります。

契約条項には、契約当事者である自社の権利・義務、相手方の権利・義務を明確にして、契約の内容、契約を履行する場所、成果物がある場合はその内容、契約期間、支払金額と支払方法、権利の帰属や移転の時期、義務履行の完了時期など、漏れがないように記載します。

4.秘密保持について

契約書には、秘密保持条項として、契約を通して知った情報や知り得た情報を外部に漏らさないことを誓約する条項を記載します。特に、契約の履行の一環として、個人情報や自社の企業秘密を相手方に提供しなければいけない場合は、必ず記載しましょう。
秘密保持条項では、契約終了後に情報を漏洩されることを防ぐために、契約期間後も秘密を保持する旨や、提供した情報の廃棄を約束させる旨を定めることが重要です。

5.損害賠償について

契約に定めた条件が履行されなかった場合や、情報漏洩があり秘密保持に違反した場合に、自社に生じた損害を填補させるために、損害賠償に関する条項を規定します。
損害賠償について定めておくことで、トラブルを未然に防ぐ効果や、損害賠償の立証を容易にする効果があります。

6.譲渡禁止条項について

譲渡禁止条項とは、権利や義務を第三者に譲渡することを禁止する条項です。契約上の権利や義務を自由に第三者に譲渡できるとすれば、自己の知り得ないところで権利や義務の相手方が変更されることになり、予期せぬ不利益を負うことになってしまいます。そのため、契約により生じる権利や義務を、相手方の承諾なく第三者に譲り渡すことや移転させることを禁止する譲渡禁止条項を定める必要があります。

例えば業務委託契約において、相手のスキルや実績を考慮して契約したのに、勝手に履行義務者が変わるなどしたら、契約内容を履行してもらえない可能性があります。譲渡禁止条項はこのような事態を防ぐためにも重要な項目です。このような事態を防止するために、特に「再委託の禁止」という条項が設けられることも多くあります。

7.反社会的勢力の排除について

法務省の暴力団「排除条項に対する方針」や、都道府県が定める「暴力団排除条例」によって、契約書に暴力団排除条項や反社会的勢力の排除条項を記載することが努力義務として求められています。もっとも、努力義務とはいえ、最近はほぼすべての契約書に反社会的勢力の排除条項が記載されるようになっています。

8.契約解除について

契約の解除とは、有効に成立した契約の効力を解消させ、その契約が初めから存在していなかったのと同様の法律効果を生じさせることをいいます。
民法上、解除ができる場合として、履行遅滞の場合や履行不能の場合などが定められているため、契約書に解除条項がなくとも解除は可能です。もっとも、民法の規定に従うだけでは、解除をしたい当事者にとって不十分な場合があります。例えば、致命的な契約違反があったような場合、当事者としては損害の発生を防止するために契約を即時解除したいと考えるのが通常ですが、民法の規定では必ずしもこれを実現できるわけではありません

そのため、当事者間で解除条項を合意し、契約書に定めておくことが有効になります。解除条項の具体例としては、契約当事者のどちらかが信頼を裏切ったと言える場合、相手に損害を負わせるような背信的行為をした場合、支払の停止や財産の差し押さえを受けた場合などには即時解除することができる、と定めることとなります。解除原因については、当事者が合意すれば原則としてどのようなものでも構いません。

繰り返しとなりますが、解除条項がなければ、契約相手が不誠実な行動や契約違反をしてもすぐに解除できず、自社に損害が発生するおそれもあります。したがって、契約解除条項は必ず記載しましょう。

9.裁判の合意管轄について

裁判所の合意管轄とは、契約上のトラブルが生じて裁判所で争うことになった場合、事前に合意により手続を行う裁判所を定めておくものです。「専属的合意管轄の裁判所」として、「本契約に関する一切の紛争については、××地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする」と記載するのが通常です。

合意管轄を決めておかなければ、訴訟を起こされた場合に遠方の裁判所に通わなければいけなくなる可能性があるので、不利な場所にならないように管轄裁判所を決めておきましょう。

10.協議事項について

どれだけ綿密に契約書を作成しても、契約上予測できない事態が発生することもあります。そのような場合に、契約書に定めていない事項が生じた場合は、信義誠実の原則に従って双方協議するという条項を記しておきます。信義誠実の原則(信義則)とは、民法で定められた原則で、当事者全員が、互いに相手の信頼を裏切らないように、誠意を持って行動することとされています。

上記の内容を合意により定めた後、最後に日付の記入と署名押印をし、契約書を2通作成してそれぞれが1通を保管します。

契約書の日付は、契約が開始する日、契約に合意した日、契約当事者が意思決定した日、当事者のどちらかが署名押印した日、最後に署名押印した日など、いくつか選択の余地があります。年度をまたぐと会計上の処理に影響する可能性もありますので、契約の相手方と相談の上、記入する日付を決めるようにするのがよいでしょう。

契約書を作成する上でのポイント

次に、契約書を作成する上でポイントとなる事項を6つ説明します。

①取引に至った経緯や取引の目的を理解する

まず、なぜその取引を行うに至ったのか、その取引によって何を得たいのかという点を明確に理解する必要があります。

取引に至った経緯や取引の目的によって、契約書にどういった内容を盛り込むかという点や、契約当事者間のパワーバランス等が変わってくるため、こうした事情は、契約書を作成するにあたっての前提となる事情として正確に把握しておく必要があります。

そして、これらを正確に理解した上で、取引の目的を達成するためにはどういった条項をどのような文言で定める必要があるかという視点で契約書をドラフトすることが重要です。

②契約当事者の権利と義務を定めることを意識する

契約を締結することによって、契約当事者間は法律上の権利や義務が発生することとなります。

これは、契約書を作成する重要な目的の一つでもあるため、契約当事者にそれぞれどのような権利や義務を発生させるべきかを十分検討し、それを契約書の条項に落とし込む必要があります。

また、その際、その権利や義務にどの程度の意味合いを持たせるかについても検討した上で、どういった文言でそれを表現すべきかについても留意が必要です。

例えば、取引先の義務を定めた場合において、その義務に違反した場合には違約金や契約解除等の何らかのペナルティがある形にするか否か等も、その義務をどの程度遵守させたいと考えるかによって異なることとなります。

③想定されるトラブルを洗い出す

次に、その取引から生じることが想定されるトラブルをできる限り具体的に予想してみることが必要です。

そして、そのトラブルがどの程度発生する可能性があるか、発生した場合にどの程度のインパクトがあるのか等を踏まえ、契約書にそのトラブルに備えた条項を記載します。

例えば、何らかの事情によって損害が生じた場合、その損害をどの範囲で誰が負担するのか等定めておくことが考えられます。

こうして、取引先との将来的なトラブルの予防を図ることも契約書の重要な役割です。

④契約書と法律の定めの関係

原則として、契約当事者間でどのような内容の契約を締結するかは、各当事者の自由な意思に委ねられています。

そのため、基本的にはどのような内容であっても、当事者間で合意した内容については有効となることが原則です。

もっとも、それが法律の強行法規(当事者間の合意で変更できない絶対的な定め)に違反する場合には無効とされます(例えば、公序良俗に違反する場合等が考えられます)。

また、契約に定めがない事項については、法律に従って判断されることになります。

そのため、契約当事者間で契約がない場合には、法律的にどうなるかという点を踏まえた上で、それを契約により変更する必要性の有無や高低を判断しつつ契約条項を検討する必要があります。

⑤契約内容が法令違反となっていないかを確認

事業を行う上では、様々な法令に従う必要があり、契約の内容も法令に適合したものでなければなりません。

例えば、法令によっては、契約書の作成や顧客に交付する書面の内容等まで定められているケースもあるため、行おうとしている事業を実施するにあたって法令で求められる要件としてどういったものがあるかを確認した上で、それをクリアするためにはどういった条項を契約書に盛り込む必要があるか等を慎重に検討しなければなりません。

⑥契約内容が全体として妥当で一貫性があるかを確認

最後に、取引の重要性と取引先との関係性等を踏まえて、契約内容に妥当性があるか(過度に不利な条件を飲む内容になっていないか、リスク発生時に企業収益を想定以上に圧迫する可能性のある内容になっていないか否か等)を確認する必要があります。

また、契約内容に全体として一貫性があり各条項に矛盾が生じていないか、内容が曖昧で複数の解釈の余地のある条項がないか等も確認する必要があります。

特に、契約書の中で矛盾する条項がある場合、結局どちらを優先すべきか不明となり、せっかく定めた条項が意味を持たないものになってしまう可能性もあるため注意が必要です。

契約書のテンプレートを利用する場合の注意点

会社に顧問弁護士をつけていない場合や、すぐに相談できる弁護士がいない場合には、契約をする際にインターネットにアップされている契約書のテンプレートを用いる方も多いのではないでしょうか。

弁護士などの法律家が監修した正しい内容のテンプレートも存在しますが、利用する場合には以下の点に注意が必要です。

  • 内容面
    契約書のテンプレートを利用する場合は、ご自身が締結する契約と、契約書の内容が一致していることが大前提です。雇用契約と業務委託契約の違い、請負契約と委任契約の違いなど、契約の内容を理解した上でテンプレートを選択しなければ、作成した契約内容が実態と乖離するおそれがあります。
    また、テンプレートは一般的な条項しか記載されていないのが通常なので、個別に修正すべき点が広範囲に及ぶ可能性や、重要な条項が漏れる可能性があります。
  • 形式面
    契約書の内容によっては、印紙税の対象になり、契約書に印紙を貼る必要があります(請負契約書、消費貸借契約書など)。貼付漏れが税務調査などで指摘された場合は、過怠税の対象になり、原則として本来貼るべき印紙の3倍の金額を徴収されます。
    また、契約書の偽造や差し替えを防ぐために、契約当事者双方の契約書にまたがるように割印を押したり、複数ページにわたる契約書に契印を押したりすることもあります。また、ひな形を流用する場合には、以前の元号のままでないかなども確認して修正しましょう。
  • 法的な内容
    昨今、民法を始めとして、様々な法改正が続いています。契約書のひな型をダウンロードするときは、その内容が最新のものであるか確認しましょう。古い法律に準拠したものもインターネット上には多いので、内容を自分で修正することが必要です。

ひな型やテンプレートを利用することは、 契約書の作成に要する時間を短縮できるというメリットがあります。ただし、内容や形式面に誤りはなくても、相手方に有利な内容になっている場合もあるため、内容を精査して、必要に応じて修正することが大切です。契約書には、将来起こる可能性のあるリスクを想定して、リスクを回避するための規定を盛り込む必要があるので、弁護士に相談して内容をしっかり精査することが望ましいでしょう。

契約書作成代行を弁護士に依頼した場合の料金や弁護士費用の相場

契約書作成を弁護士に依頼した場合、通常の契約内容の場合の相場は、内容にもよりますが、1通5万円~30万円が目安になります。

もっとも、弁護士費用は、契約の内容、規模感、複雑さなどによっても変わります。契約の内容が複雑な場合は、契約書に示された契約内容がもたらす経済的利益に応じて費用を定めているところもあります。この場合の費用相場は、金額が300万円以下の場合は10~20万円程度に設定されている場合が多いようです。ただし、金額が高額で、契約条項も多いようなケースでは、契約書の作成費用で100万円を超える場合もあります。

契約書の作成やリーガルチェックが必要となる機会が多い場合は、顧問弁護を依頼することを検討してもよいでしょう。顧問弁護の費用は、業務範囲にもよりますが、月5~30万円程度が相場です。

弁護士・法律事務所によって契約書作成の弁護士費用の料金相場はさまざまなので、まずは法律相談を利用して契約書作成の見積を依頼するのがいいでしょう。また、その弁護士が契約書作成についての企業法務に強いかどうかも確認した上で依頼することをおすすめします。

契約書作成を弁護士に相談・依頼する場合のメリット

上述のとおり、契約においては契約書の作成が成立要件ではない場合が多いですが、実務ではリスク回避のためにも契約書を作成するのが通常です。契約書を作成する際は、契約の内容や契約当事者の個別事情を適切に反映させ、法的にも間違いがないように作成しなければいけません。

弁護士に契約書作成を相談・依頼した場合のメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。

  • 自社の取引や事情に合った契約書を作ってもらえる
    弁護士に契約書作成を相談・依頼すると、まずは契約に至る経緯や特に重視したい内容などのヒアリングを踏まえて、自社に有利かつ最適な契約書を作成してもらえます。
  • 契約上のトラブルの発生を未然に防止できる
    弁護士に契約書作成を相談・依頼すると、適法な契約条項を定めつつ、自社に不利な事情が生じた場合にも損失を最低限にするような条項を漏れなく契約書に盛り込んでもらうことが可能です。また、契約違反があった場合のペナルティも明らかにしておくことで、紛争時にスムーズな対応が期待できると同時に、相手方への抑止効果にもなります。

一方で、弁護士に頼むと上記のような弁護士費用がかかるのがデメリットです。締結しようとしている契約がシンプルな内容であり自分で作成できるものか、また将来起こり得るトラブルに備えて弁護士に依頼して正式な契約書を作っておくべきか、法律相談などを利用して検討するのがよいでしょう。

契約書作成を弁護士に依頼するメリットについてはこちらの記事にまとめましたので、参考にしていただければと思います。

まとめ

今回は、契約書を作成する際の注意点、契約書が必要な場合と契約書に定めるべき内容と、弁護士に依頼した場合の費用等について解説しました。

契約書は、契約内容にマッチしたタイトルをつけるところから始まり、個別の事情に応じて内容をカスタマイズしていくことが必要です。契約書の漏れや不要な記載があると、損害が発生した場合に損害を填補できなかったり、問題になる部分が無効になったりするおそれもあります。後々の契約上のトラブルを防ぐためにも、企業法務に精通した弁護士に相談して、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。

我々東京スタートアップ法律事務所は、豊富な企業法務の経験を活かし、数多くの企業の顧問弁護士として、日々、様々な業種の契約書の作成やリーガルチェックを行っています。スポットでの契約書の作成やリーガルチェックにも対応しておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。

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執筆者 弁護士宮地 政和 第二東京弁護士会 登録番号48945
弁護士登録後、都内の法律事務所に所属し、主にマレーシアやインドネシアにおける日系企業をサポート。その後、大手信販会社や金融機関に所属し、信販・クレジットカード・リース等の業務に関する法務や国内外の子会社を含む組織全体のコンプライアンス関連の業務、発電事業のプロジェクトファイナンスに関する業務を経験している。
得意分野
企業法務・コンプライアンス関連、クレジットやリース取引、特定商取引に関するトラブルなど
プロフィール
岡山大学法学部 卒業 明治大学法科大学院 修了 弁護士登録 都内の法律事務所に所属 大手信販会社にて社内弁護士として執務 大手金融機関にて社内弁護士として執務
書籍・論文
『スタートアップの法務ガイド』中央経済社
『スタートアップの人事労務ガイド』中央経済社